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払雲花伝〈ある花人たちの物語〉【塵積版】  作者: 讀翁久乃
第3幕:色移葉(うつろい)の山を越えて
175/194

〇 新たな幕開けの一節 | 主な登場人物の雲行き




  “ 仰いで天に()じず、()して人に()じざるは、二の楽しみなり ”


                    

               *



 君子には三つの楽しみがある。

 だが、天下の王になることは、このうちに含まれない。

 

 第一に、父母がともに健在で、兄弟に事故がないこと。

 第二に、天を仰いでも恥じることがなく、

 地にうつむき、やましく思うことがないこと。

 第三に、優れた人物を弟子にして、教育すること――。



 これは嘘ではない。

 だが、心の底から思うことが、欲のある生き物に叶うだろうか。


 心の底から思えるとしよう。このうち一つでも良い。 

 だが、いずれも得難い楽しみならば



      一つとて望めば、それだけで、欲深いのかもしれない――……。




                  【 語り部の声……『王の悩み』より 】










◇ ―――― 主な登場人物の雲行き ―――― ◇




須藤皐月すどうさつき

 前回、自分の素性にかかわる重要な記憶を取り戻したが、

 非協力的な態度を続け、あえて飛叉弥をブチ切れさせた。

 花人として・南世界樹の養い手として、

 逃げてはならない立場であると分かっていながら、

 無関係を主張してきた理由は、飛叉弥への複雑な思いがあったから。

 様々な重要人物らと、時おり密談を交わす。

 その正体は、 “蓮暁寺龍牙驪れんぎょうじりゅうがれい” という世に知られざる花人で…? 





蓮壬彪将飛叉弥はすみひゅうじょうひさや飛蓮フェイレン

 関与を迫ってきた半面、皐月を巻き込みたくないのが本音。

 花人とは無縁な世界で、幸せに暮らしてくれることを願っている。

 前回、不本意ながら、過酷な運命から逃れる術がない事実を

 皐月にぶちまけてしまい、

 なんとかならないか画策してきた立場として、敗北感を味わった。

 本格的に参戦しようと動き出す皐月に、心配を寄せる。

 魔薬・ケリゼアンに関われない事情があり、

 今回、はじめて皐月に代行を頼むが……。


 



辻村茉都莉(つじむらまつり) 

 十六歳。玄静の孫娘。 “連理の枝” が見える少女。

 皐月の正体にこだわらず、なにかと世話を焼く。 

 小柄でかわいらしいが、父は野獣のようなゴツい空手家。

 花人としての皐月について知るため、いざ華瓊楽カヌラへ。

 縁結びを司る “結び巫女” ……かも?

  




須藤玄静(すどうげんせい)

 文明社会の最先端にある摩天で、皐月を育てた老父。

 人間でないと知りながら、萌芽神社にて生活を共にしてきた。





桜源嶺薫子おうげんりょうかおるこ芳桜ホウオウ

 皐月を拒絶していたが、その身辺を探り、茉都莉と出会ったのを機に、

 彼を認めるか否か、独自の基準で試し始める。

 鋭い洞察力がありながら、その場では感情的になりやすい。

 常葉臣ときわおみの資質があると見て、茉都莉を華瓊楽カヌラへ導き……?





桐峰柴きりみねしば桐騨トウダ

 皐月の血液から正体を探り、うてなの機密にたどり着いた軍医。

 今回、ケリゼアンによる病と闘うことになる皐月をフォローするが、

 何も知らない仲間たちとの間に挟まれ、懊悩する。





菊嶋嘉壱きくしまかいち菊羽越ツェンウェイツ

 他メンバーより皐月と接する機会が多く、

 彼の第一印象を覆す様々な場面に立ち合った。

 相変わらず、その正体には気づいていないが、

 皐月の肩を持つことに躊躇いがなくなり、ついに啓との間に

 決定的な亀裂を生むことに……。





喜梨啓丁きなしけいてい梨琥リク

 飛叉弥を慕っており、皐月を敵視。

 同じむぐら出身で、これまでずっと心強い存在だった嘉壱が

 皐月をかばうようになったことで、ついに感情を爆発させる。





真椿芽満帆まつばきめいみつほ椿奈チュンナ

 敏感な性格で、仲間割れを防ごうと立ち回る一方、

 皐月の異変にも気づき、洞察を深めていく。

 仲間の絆を守るため、皐月に対する印象が変わってきていることを

 自覚しながら、嘉壱のように発言できない自分に後ろめたさを感じている。





菖淵史雄勇しょうえんしゆういさみ菖雲ショウウン

 皐月を巡って続発する問題を注視。

 相変わらず考えていることの大半は読めないが、

 今回は、仲間割れを起こす言動を許さない、

 副隊長らしさも見せる。

 影で皐月をフォローする動きも見せ……?





(かく)智津香(ちずか)

 朱地雲しゅじうん王国のもと侍医。

 腕のいい女呪医だが、どうやら曰くつき。

 日夜、怪しい研究に没頭してきた。

 飛叉弥とは何かと貸し借りのある仲である様子。

 すでに柴を雇っていたが、皐月を介してやってきた逸人を、

 新たに雑用として雇うことに。ケリゼアンをめぐる今回の任務に、

 考えあって同行させる。





髑髏しゃれこうべ宋愷そうがい

 黒同舟の一人。智津香の因縁の相手。

 華瓊楽カヌラ全土を、解毒できないケリゼアンの恐怖に陥れようとする。

 その肩慣らしとして前回、左蓮に協力。

 ケリゼアンによって巨大・狂暴化させた妖魔で街を襲撃。

 皐月の化け物じみた生命力を目の当たりにし、

 不老不死の霊薬・月花の甘露との関係を睨んで……?






逸人(いつと)

 貧乏大家族の九歳長男。小柄だが、利発でしっかり者。

 子どもらしさに欠けるものの、皐月には甘えたい気持ちが……?

 智津香に雑用係として雇われて依頼、医学知識を貪欲に吸収中。

 助手に昇進を目指す。命がけの任務に挑む皐月の世話係を命じられ……。





◆ひいな

 数か月前、華瓊楽カヌラに初召喚された皐月を、

 飛叉弥のもとへ導いた少女。九歳。

 今回の舞台、茶万チェマン村の長の孫娘。 

 砂漠化が原因で起こった暴動で父を亡くしている。

 逸人同様、ケリゼアンをめぐる任務に同行することに。

 父に似たところがある皐月を慕っている。





五十鈴(いすず)

 飛叉弥の妻と噂されるが、実際には侍女で、

 それ以上でもそれ以下でもない。

 ただ、飛叉弥には特別な感情を抱いている様子。

 家事が苦手で彼にあきれられる毎日だが、

 力になろうと奮闘、精神修行中。茉都莉の心に寄り添う。

 実は凄まじい過去を秘めているようで……?





〔 参考資料 〕※随時、ここに記載していきます。



 “ 仰いで天に()じず、()して人に()じざるは、二の楽しみなり ”

                     【孟子・尽心上 君子三楽】


 ・門神 - Wikipedia


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