〇 2分で語るここまで・これからのお話
南壽星巉は、島状の現世界の一つ。約四千年前の神代終焉により崩壊した四生界が半再生して出来た。
その中心地に華瓊楽王国があり、南壽星巉の大地を繋ぎ止めている世界樹(壽星桃)を台閣の天壇にて祭っていた。
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萼暦二〇八九鐘年――、幽谷の大要塞と謳われる花人の国・萼で、あってはならない一大事件が起きた。封印用途ながら兵器に匹敵する呪物(誘す貝)が盗み出された。
その実行犯は花人(蓮尉晏やづさ)。彼女は誘す貝を強奪して謀反人となり、同士・飛叉弥はその場にいながら阻止できなかった(しなかった?)として、当時の地位や名誉、信用を失っている。
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その後、華瓊楽暦一六二五年――、壽星桃は誘す貝に生気を吸い取られ、ひいては華瓊楽国の地力までも減退させ、砂漠化を広める元凶となった。
壽星桃に生気を施し、養っていた守り人(胡碧火)は力尽きて死去。養分を得る当てを失くし、大地の地力を吸い取る一方となった壽星桃は、責任を果たすべく対処に当たった飛叉弥によって切り倒され、砂漠化は止まった。
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やづさを引き入れた敵組織・黒同舟の指導者(死蛇九)は、これによって壽星桃という世界樹を葬り、新世界樹(椥の木)の樹立、という四千年ぶりの歴史的事象を引き起こすことに成功した。
死蛇九は台閣の元神官で、神代史に精通している。
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そして今、椥の木の養い手となっている主人公・皐月が異界から介入するようになり、その正体を敵味方、各自が探り始める。
いじめられていた少女に手を差し伸べ、さらわれた彼女を悪の手から救い出したり。
成り行きとはいえ、貧乏大家族の借金を肩代わり。子供ながらに働きたい少年の力になろうとしたり。
皐月は良い奴――? それとも悪い奴?
飛叉弥とやづさの疑惑に関与あり?
それとも無関係で潔白――?
見解の相違が深まり、皐月を襲うある異変をきっかけに、一枚岩だった花人たちにも本格的な亀裂が……。




