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第5話 特訓

「おはよう、あんた」

メルサが起きてリビングに来ると、すでにヤタが起きていた。

「おお。おはよう」

「ハルたちは?」

メルサがリビングを見渡すが、まだヤタしか起きてきていない。いつもは早いというのに。

「ああ、まだ起きてない」

「そうかい。…それにしても昨日はビックリしたよ。まさかハルがゴーレム使いだったなんて」

「本人も知らなかったようだ」

「ふうん。…さて、二人を起こしに行こうかね!まき割りを手伝ってもらわなきゃ」

そう言うと、メルサはハルたちを起こしに行った。


コンコン

反応はない。

「仕方ないね。入るよー」

メルサはドアを開け中に入った。

入って右側にベッドがある。そこにハルとハルが連れてきたゴーレム、ラビが一緒に寝ていた。微笑ましい様子だが、まき割りがある。メルサは心を鬼にして二人に声を掛けた。

「起きるんだよハル!ラビ!」

「ううーん」

「ケケ。腹一杯…」

二人は寝ぼけており、中々起きない。

メルサはすぅっと息を吸うと、

「起きなさーい!!」

メルサは叫び、その声に驚いたハルとラビは飛び起きた。

「な、何!?」

「おはよう!やっと起きたね!朝飯前のまき割り、頼んだよ」

ニッコリ笑顔のメルサは、それだけ言うと部屋から出ていった。

「……」

残されたハルとラビは呆然としていたが、我に返ると着替え始めた。


「よう、おはようさん。メルサの声でやっと起きたな。まき割りに行くぞ!」

少し不機嫌そうなハルには何も言わせず、そのまま玄関を出る。

家を出ると斧を手に取り近くの木々に向かう。言い忘れていたが、ヤタの家は街の中で少し離れた所にある。自然豊かな場所で、自然に取れるものは自然で取る、これがヤタとメルサの生活の仕方だ。

ハルは泊まらせてもらっている代わりに、まき割りを手伝っている。体力作りにもなるし気分転換にもいい。

ラビは割ったまきを回収し、一つの場所に集めていた。


(さて、今日はどうしようかな。昨日の依頼は終わって報酬も貰ったし。)

ハルは今日の予定を考えていた。

(そういえば、昨日ラビと戦った時に思ったけど、やっぱり魔法の使い方はちゃんと知っておいた方がいいな。特訓が出来る広い場所がないか、後でヤタに聞いてみよう)

今日の予定が決まったハルは、さっさとまき割りを終わらせた。


「ただいまー」

「おかえり」

まき割りを終えたハル達は、メルサが準備していた朝食を食べる。

「ヤタさん、この街のどこかに特訓出来る場所ってありますか?」

「特訓?あるにはあるが…、するのか?」

「うん。魔法書を借りて特訓しようかと」

「そうか。…それなら街の東に岩山がある。自由に使える場所だ。そこならいいんじゃねえか?」

「分かった!じゃラビ、ご飯が終わったら行ってみよう」

「ケケ!」

二人は少し急いで食べ、岩山に向かうことにした。


ヤタの家を出たハルとラビは、街に来ていた。街の東側にある岩山に行くには、どうしても街の中心を通らないといけない。ハルとラビは街の様子を眺めながら歩いて向かう。

「この街って、朝から人が多いよね。行列が出来てる店もあるし、賑やか!」

ハルが周りを見ながらラビに話しかける。

「ケケ。俺は街に出ることは滅多になかったからな、分からねぇ」

ラビはハルの肩に乗りながらハルと同じ方向を見ていた。

「それにしても…」

ハルが他の場所に目線をやると、色んな人と目が合う。

何でだ?

ゴーレムを一緒に連れているのが珍しいのだろうか?

ハルは疑問を浮かべたが、すぐに頭から振り払い東の岩山へ走り出した。


数十分後、

ハルとラビは岩山に着いた。

周りには誰もおらず、広さも申し分ない。これなら思いっきりやっても大丈夫だろう。

「さあ、ラビ。今から特訓するよ!」

「ケケ!特訓はいいが、どうやってするんだ?」

最もな意見だ。

まずはステータスを確認しよう。

ハルは自分のステータスを開いた。

「あれ?」

自分のステータスを見て不思議に思った。ラビと契約したのだから、ゴーレム使いという称号が付くとかなんとかヤタさんが言ってたと思うけど、称号は何も付いてないぞ?それに…。

ハルはステータス画面の一番右に矢印が付いていることに気づいた。

それを押してみる。


ラビ Lv.14 聖人形(ゴーレム)

契約者ハル

攻撃力16 魔力17

防御力15 耐性16

魔法防御力15

魔法攻撃力 火10 炎9 風26 光20


これはラビのステータスだ!

契約すると、契約した相手のステータスも見る事が出来るのか。

ラビは風と光、火系を主に使える。私との相性は良さそうだな。

ヤタから借りてきた魔法書を広げ、初級の魔法からやってみる。

魔力の制御は出来ているから、一つずつ確実に素早く出せるようになるまで魔法の特訓をする。

ラビも魔力を持っているので、使える属性を練習する。


魔法書、初心者講座

火、炎系

初級 ファイアーボール、灯り火、炎弾、火炎

水、氷系

ウォータースプレッド、水刃、水弾、氷弾、アクアボール

ウインドカット、風羽、つむじ、エアカッター、風刃

雷刃、ビリビリ、雷電、

アースシールド、アースニードル、

ライト、光線 、ミラー

ブラックシャドウ、消闇


夕方

「ある程度は出来るようになったかな?後は、使い方次第でレベルを上げて行くしかないか。中級、上級の本もどこかにあると思うし」

「ケケ!やってみると、意外と面白いもんだな」

「もう夕方だよ。もうすぐ帰らなくちゃ」

「飛んで行けたら楽なんだが。ハルは飛べないしな」

「そうだねぇ。…ねぇ?風魔法で飛べないかな?」

「風魔法もいいが、ハルは火炎系も得意だろ?熱の推進力で飛べないか?」

「なるほど!」

ハルは足から炎を出し、早速やってみる。

「あちち!」

「ケロ!いきなり出しすぎだ!炎を抑えて」

「分かった!む、難しい」

すると、ゆっくりだが地面から足が離れていく。

バランスも取るのが難しいのだろう、左右に体が揺れている。

「ケロ!バランスを取るときは両手からも少し出したらどうだ?」

ラビの指示通りに両手からも小さな炎を出す。

「ケロ!!いいじゃねぇか」

ラビの言うとおり、バランスはしっかり取れており安定して空中を飛んでいる。しかし、

「靴が…」

ハルの言うように、炎の熱で靴が溶けていた。

「明日からも魔力と魔法の練習と、あとは飛ぶ練習。それから、炎の熱にも耐えられる靴とグローブが必要だね」

「ケケ!明日の朝、街の店に行ってみようぜ?どうせこの街にもあまり長くいないんだろ?」

「うん。ある程度特訓が終わったら、この街を出るつもり。それまでに旅の必需品や装備を買っとかないと」

「ケケ!旅も楽しみだな」

「さ、帰ろう」

ハルの飛行がまだ安定していないので、歩いて帰る。家に着けばヤタやメルサが驚くだろう。身体中はボロボロで靴は溶けている。二人の驚く顔を思い浮かべながら帰路に着くのだった。



次の日

朝早くからハルとラビは街に来ていた。気分は最悪で楽しいはずの買い物が楽しく感じないのだ。いつもはちゃんと朝食を食べてから出てくるのだが、今日は食べていない。

原因は明らか、昨日の特訓のせいだ。夕方、ハルとラビは家に帰ったのだが二人の姿を見てメルサが怒ったのだ。何故かは分からない。

とにかく不機嫌でヤタも見知らぬふりをしている。

メルサは朝ごはんも作ってはくれなかった。というか、起きてすら来なかった。

お腹の減ったハルとラビは街に出て朝ごはんを食べることにした。

二人は朝早くから開いている店に入る。

テーブルにつき注文をする。

「ケケ?何でメルサは怒ったんだ?」

「分からん。分からんのだよ」

「ケロ。何で怒ってるか言ってくれなきゃ分からないじゃないか」

「そうだねぇ。何でだろ?」

「ケロ。飯食ったらどうする?まずは靴を買いに行くか?」

ラビの言うとおり、ハルは裸足だった。

「うん。まずは靴を買って熱にも耐えられる靴とグローブを作って貰える所に行こう。それから…」

「ケロ?どした?」

「何だが視線を感じるような」

「ケロ?今更気づいたのか?昨日からだったぞ?」

「やっぱり?何で?」

「さあ?」

腑に落ちない様子のハルだったが、注文したご飯が運ばれてきたので考えるのは後にした。まずは腹を満たすのが先である。


店を出た二人は、道具屋に向かった。

カラン、カラン

店のドアの開閉音。

ハル達は中に入る。

見渡すと、薬系や生地系などがたくさんある。

「いらっしゃい!」

奥から男性が出てきた。頭は眩しいほどに神々しい。見た目はちょっと不良っぽいが、まだ若そうだ。30代半ばから後半といった所だ。

「おはようございます。あの、靴は売ってありますか?」

ハルは丁寧に言う。

「あるよ」

男性、店主は奥から靴を持ってきた。サイズのあるものを選び、それを購入する。

あと、

「旅に必要なものはどれですか?」

「それなら…」

見た目とは違い、律儀に教えてくれる。ありがたい。

「そう言えば、アイテムバックというのは普段から取り扱っているんですか?」

「アイテムバックは冒険者や旅人の必需品だからな。今はうちには置いていないが」

「そうですか、大丈夫です」

アイテムバックはどうやら他の人に見せても大丈夫そうだ。レアアイテムだったらどうしようかと思ったが、その心配はなさそうだ。

「ラビ、ラビも何か小さなバックとかいる?」

「ケロ?飲み物入れ用の水筒くらいじゃねぇか?」

「分かった」

「ケロ、俺は道具よりも作る方に興味がある」

「ああ、靴とグローブね。後で行こう」

「…嬢ちゃん、あんたゴーレム使いか?」

店主が聞いてきた。

「あー、別にゴーレム使いじゃないですけど」

「ゴーレム使いじゃねぇのにゴーレムと契約してんのかい?」

「まあ」

「…それにそっちのゴーレム、人格と言うか、意思を持ってるような話し方をするな?」

「ケケ!持ってるっつうの」

「!!まじか。」

「そんなに驚くことなんですか?」

「当然だ!ゴーレムが意思を持つことはあり得ない。それに契約しているのにゴーレム使いじゃないのにも驚きだ。いいかい嬢ちゃん?ゴーレムが意思を持って喋っていることは話しちゃいけないよ」

「どうして?」

「この世界ではあり得ないことだからさ!異端扱いされるのが目に見えている。異端者に差別する者もいる。それから嬢ちゃんもだ。ゴーレムを連れているんだから、ちゃんとゴーレム使いと名乗った方がいい。怪しまれる」

「そっか」

「それだけじゃない」

「ケケ!まだあんのか?」

店主は続ける。

「嬢ちゃん、自分の姿を見たことはあるかい?」

「え?ないけど」

急に聞かれたが、確かに自分の姿は見たことない。

「嬢ちゃんは、いわゆる美少女ってことだ。ただでさえ珍しい髪の色をしているから、周りを惹き付けてしまう」

美少女?

私が?

店主の言葉に、ハルは驚く。

「二人とも、気を付けた方がいい。売り買いする奴隷商人とかもいるし、変な王族、貴族からトラブルに巻き込まれることもあるだろう」

「ええ、めんどくさい」

ハルはうなだれる。

「髪は隠せるようにフード付きの服がいいだろう」

「おじさんは何でそこまで?」

「俺は道具屋だ。色んな旅人や冒険者がこの店にやって来る。嬢ちゃんだけでなく、そいつらにもアドバイスをあげているんだ。だから嬢ちゃんみたいな目立つ人物が現れると、気を付けろと伝えているのさ」

「ケロケロ、お節介好きか?」

「もうクセだ」

店主は笑う。

ハルはお礼を言うと、溶けない靴やグローブを作って貰える場所はないかと尋ねてみた。

「それなら街の西側にある、武器&装備屋に行ってみるといい。確か特注で作って貰えたはずだ」

ハルは再度お礼を言い、店を出た。


「ラビ、西側に行く前に服屋に寄っていいかな?着替えとか買わないといけないし」

「ケロ、いいぞー」

二人は服屋に入り、ハルは着替え用の服(フード付き)とズボン、下着を購入。ラビにも何かと思ったがラビによって断固拒否された。


買い物が終わり西側の武器&装備屋に着いた。


カン カン カン カン


店の中から金属を叩くような音が聞こえる。ハル達は中に入るとメガネをかけた男性に声を掛けた。

「こんにちは」

「こんにちは」

男性は優しそうな声で返事を返してくれた。

「あの、ここで特注の装備を作ってもらえると聞いたんですが」

「もちろん可能です。どういった物でしょう」

ハルは説明した。

炎の推進力を使って飛ぶためには足と手から炎を出さないといけない。しかし、炎を出すと普通の靴では溶けてしまう。また、両手で炎を出すときに直接炎が手に当たるので熱いのだと伝える。

真剣に聞いていた男性は話を聞き終えると、少し待っていてくれと言い奥の方へと行ってしまった。

「ケケ、どうだ?」

ラビは小声で話す。

道具屋の店主から言われた通り、人前で話さないようにすることにしたのだ。その方がトラブルが回避出来るというもの。

「分かんない」

ハルも小声で返す。

少し待つと男性が戻ってきた。

「鍛冶職人に先ほどの話を伝えてきた所、詳しい形状を聞いたのち、作業に取りかかるとのことでした」

「じゃあ作ってもらえるんですね!」

「はい」

男性の返事を聞くと、要望を伝えていく。


まずは靴から。

ブーツ型で高さはないほうがいい。旅で歩くからね。

それから軽量は重視。魔法の炎にも耐えられる耐熱性。耐水性は付けられるだろうか?

付けられるなら付けてもらう。

次はグローブ

こちらも耐熱性と耐水性で軽量がいいかな。

色は…特に要望はないけど、炎の魔法を使ったときに合う色がいいなぁ。


と、こんな感じに要望を伝えた。

男性は特に何も言うことなく、ハルの話を聞く。

(あ、あと)

「耐熱性、耐水性のフード付きコートは作れますか?」

「大丈夫ですよ」

「じゃあそれを大二つ、小一つお願いします」

「分かりました。注文は以上ですか?」

「はい!」

「代金は前払いとなりますが?」

「大丈夫です」

ハルは代金を支払った。

「それでは一週間後にお待ちしています」

ハルとラビは店を出た。


「ケケ?なあ、最後何を注文したんだ?」

「レインコート。服屋になかったからお願いしたの。旅で雨が降っても大丈夫なように」

「俺の分もか?」

「もちろん!」

「…ケケ!」

「さ、特訓に行こう!」

ハル達は走って岩山に向かった。

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