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魔王と勇者とその仲間たち
勇者とそのパーティーが魔王ダグロラスを倒し、世界に平和が戻って数年…
人々は魔王の脅威を過去のものとし、日々を過ごした。勇者一行はそれぞれの故郷へ戻り日常を取り戻したかのようにみえた…
第一話 「憤怒」
「だいたい、俺らが死に物狂いで魔王を倒したってのに、こういう扱いはないんじゃないか?」
店中に響く野太い声でドラークは言う。
「そりゃ一般人と比べて力や体力はあるよ?でもその後のこの扱いはどうだよ!馬車馬と変わりゃしねえじゃねえか!」
勇者のパーティーにおける「戦士」を務めていたドラーク・マクノウチは一リットルジョッキをテーブルに叩きつけ席を立つ。
(何度目のションベンだよ…帰りてえな…)
同僚のイーサルは、歴戦の英雄の背を見ながら呟いた。
ー 魔王との戦いの後、それぞれの故郷に戻った勇者一行はいわゆる救国の主として崇められ、その後の生活を保証されるはずだった。
しかし、彼らを待っていたのは生活の保証とは到底呼べるものではなく、有り余るエネルギーを秘めた「バケモノ」とみなされ、普通の生活はおろか、日々の食事すらままならぬものであった。