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悪役お嬢な俺登場!  作者: 仮のかり
2/13

2:お昼ご飯いただきます

「いきなり倒れるから風邪ひいたのかと思ったよ〜」


はいどうぞとホットミルクを手渡される

おそるおそる口をつけてみると、熱すぎずぬるくもない丁度いい具合の温度である


のんびりした口調の甘いボイスにぴょんぴょん跳ねた黄色の髪

ここがもし智也の考えるようなゲームの世界であれば、彼はエルメスという若くもアシクレアの護衛兼執事を任されている少年だ。

魔法の才が認められ徹底的な教育ののちにアシクレアの右腕になった…という設定だ。

口癖は『僕の髪は、金髪じゃなくて黄色の髪だから〜!』で小柄な割によく食べるタイプ、投票ではいつも5位辺りにいる上位ランナーだ。


「今日は愛しの殿下がいらっしゃる日じゃないのに熱をあげるなんて…。」


ブッとミルクを吹き出しそうになる

咄嗟に少年の方を見たが窓をちょんちょんとつついておりこちらの慌てぶりに気づいてないようだ


愛しの殿下


これはイケメン王子ことシャルラット王子の呼び名だ

もちろん、アシクレアだけの。

ゲーム序盤ではギャグかと言わんばかりにこの言葉を使うもんだからユーザーも面白がって、彼をこの呼び名で呼んだり自分の推しキャラを愛しの〜と呼ぶなどちょっとしたネタになっている


(これもしかして…俺もそう呼んだ方がいいのか…?)


中身、アラサーのオタクなオッさんが?

身も心も純潔そうなあの王子に?

いやいやいやいや


「無理だって…。」

「あはは!大丈夫、大丈夫〜

アシクレア様はお美しいからいつか愛しの殿下も振り向きますよ〜」


エルメスは体調不良からかいつもよりも消極的なご主人様を慰めようと背中をさする

無論、話が食い違っているため効果はないのだが。


「ご飯をいっぱい食べていれば知らずと可愛らしくなりますよ!

さぁさお昼食べましょ〜か〜」


え?食事?

…俺基本的な食事マナーしか知らないぞ

やばいまずいダメですよ

ここがゲームの世界なら今の自分は中世ヨーロッパ風のお嬢様なわけで

もし中身がおっさんとバレたら…?


俺どうなるんだろ


「…今日は特別にベッドで食べますか〜

お父様やお母様方にアシクレア様は病気だと言っておきますからね〜」


エルメスはそう言うと部屋を飛び出した

とりあえず食事マナー危機は回避したようだ

ホッと一息ついてホットミルクを飲む

あ!ホットとホッとって掛け合わせれちゃった

あはは…


…。


……。


何ほっこりしてんだ!

え、まずこの状況なに!?

こうなった原因は一つしかなさそうだけど

あの怪しげなサイト(?)だろうけどさ!

でもおかしいだろ!?

そんなクリックだけで誘拐されるどころか自分自身作り変えられているとか

どこの海外映画だよ!

あれか、それとも異世界転生とやらか!?

どっちにしろ現実で起きてたまるか…!!


…。


あれだ


これはきっと夢だ


もう一度眠って起きた時にはいつも通りのシミがついた天井がお出迎えしてくれるに違いない


うんきっとそうだ、いや絶対そうだ。


いやぁ、短い時間だったがゲームの世界に入り込めたと思えて楽しかった〜

これもイラストのネタにさせていただこう


そうと決まれば…


「おやすみなさい…。」



「おやすみする前にすることありますよ、アシクレアお嬢様?」


グェ……なんか腹に……。


「さぁさ早く起きてください!

令嬢たる貴方が昼食に顔を出さないこと自体恥ずべきことなのですよ!」


目をパチリと開くとお腹辺りにどっかりとエルメスが座りこんでいた

普通に重苦しい…夢じゃない、現実だ。


「わ、わかった…わかったからどいて!」

「わかればいいんです!

ささ、早速お口を大きく開いてくださ〜い」


この時気づくべきだった

エルメスが片手に大量のサンドイッチを持っていることを


更に考えるべきだった

エルメスは大食いだということを



そして本能的に察知するべきだった

逃げるべきだ…と。


「はい、どうぞ〜」

「!?ムム!?」

「はい、これもあれもそれもこっちも!」

「ちょまムムム〜!」

「ハイこれ!アシクレア様が好きなスイーツサンドイッチ!」


(ちょっとこれ…死ぬ!)

わんこそばならぬわんこサンドイッチが喉元に押し込まれる

ただしサイズは普通サイズなのでどっちかというと大食い大会と言った方が合っているのかもしれない


「アシクレア様はただでさえ食事量が少ないんです

こう言う時は僕がちゃんと食べさせるようにとお父様からお願いされてるんです」

(アシクレアのお父様〜!貴方の命令でお子さんが死にそうになってますよ!)

「さぁさ、ちゃ〜と食べてくださいね

残しちゃダメですよ〜」

(お前は親戚のおばちゃんか!)


なんとか飲み込もうとしてもなかなか入らない

元々食べる量が少ないと言っていたし、体質的に食べるのが苦手なタイプなんだろう

…女子の体のことわかんないけど…。




「はぁ〜いよく食べきりました!」

(だから…お前は…親戚の…おばちゃんか…!)


食事に体力を奪われ、ツッコミにキレがない

声に出すつもりはないが、もし出そうとしても出せないだろう

それほど疲労困憊していた


「じゃあ歯磨きして差し上げますから、あ〜…」


(え?してもらうの?)


見るとこっちを見つめ返しあ〜と口を開けた美少年、エルメスが。


「…いつもみたいにお口開けてくださいよ

いや貴方、もしかして…。」


(やば、別人だってバレたのか…!?)


「虫歯、なんですか?」

「え…?」

「ずっと静かですし、いつもなら怒ってばっかりなのに…食事だって酷い熱を出した時も最後まで優雅に立ち振る舞ってたのに…。」

(え、えぇ?食事でそんな無理しちゃうの?)

「ザッと見た感じ顔色が少し悪いぐらいで異常はないんですよ


…そう、見ていない口の中以外は。」

「ち、違うよ、エルメスk」

「いいや!アシクレア様

言い訳はダメですよ!

この件はお父様の方に報告させていただきますね!」

「ちょっと待って!見たらわかる!ほら中に虫歯ないでしょ!?」


イーっと歯を見せる


「僕が見えないだけでもしかしたら隠れてるかも知れないですからね!」


それでは!と言ってエルメスはまた部屋を出た

…これって歯医者さんが来るってこと…?


とりあえず俺の中でアシクレアの新しい一面がわかった

静かすぎないタイプということだ

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