13:親フラを回避したい!
「それでなんだけどね!」
エルメスが勘付かない内に手を叩き、話を切り替える
「君もゲームの世界に来た人だって言うなら話すことが多くなるね…。
まず、確認したいんだけど、変なURLクリックしたらここに飛ばされた?」
「はい、そうです!
なんかれすきゅー?とか書いてあって…」
彼女も同じ移動方法らしい
と、なると今後俺はまた別人になる可能性があるってことか…。
「一応、アシクレアになった時にメモしたんですけど…もしもメモがそのままあるのだとしたら窓ガラスに挟んで隠してあると思う」
「どこの窓ガラス?」
「アシクレアの部屋のベッド近くの窓ガラス
あそこだったらエルメス君にも取られずに済むかなぁって」
なるほど、確かにあそこはアシクレアだけが開錠できる
優秀な宝箱だ
「開けた瞬間に取らないと落ちちゃうところに置いてあるから毎回ヒヤヒヤしながら取ってたよ〜」
「賢い判断だね
君ってば窓ガラス近くに来たらいっつもソワソワしてるんだもん
何か隠してることはわかってたけど、僕じゃ開けれないからね」
ぬいぬいさん…。
…あれ?
「と、とにかく!おうちに帰ったらわかります!」
俺…あの窓ガラス…開けたよな…?
「このゲームのタイトルとか今まで探った情報は大体書いてあります!」
ハッとして後ろに控えている少年の方を見ると事実を思い出したのか苦虫を潰したような表情を浮かべている
「でも、書いてあるのは絶対にこの三人以外に見せちゃダメだよ
色々書いてあるから!」
「…あの、さーせん」
「ん?なんてなんて?」
聞こえなかったのかアメリカ人のようなオーバーリアクションで近づいてくる
「マジですみませんっ!」
「え!?ど、どうしたの?
…まさか」
「…僕がいながら…申し訳ないです」
「…落っことしちゃった?」
「…かもしんない」
俺たちがする行動はただ一つ
「「今すぐ帰らなきゃ!」」
誰かが見つける前に
特にあの底が見えないお父さんに見つかる前に
「ごめん!続きはまた今度でいい?」
「もちろんよ!それよりも早く!
私の魔法もかけてあげるから!」
「魔法?」
「今、考えている場合じゃないですよ!
ほら、そんな暇あったらサッサと足動かす!!」
とにかく急がないと!
ここから馬車のあるところまで5分
家に着くまで25分
家でメモを見つけるまでにかかる時間は…わからない!
そうこう考えているうちにさっきここに送り届けてくれた御者の手の振る姿が見える
「ルエリズア、馬車を動かす準備をなさい!」
執事からの突然の命令とかけてきたご令嬢の姿にパチクリするルエリズアさん
だが、早く!と命じられれば今までの仕事を染みつかせた彼の体が反射的に動く
ストッパーを外し馬車の扉を開ける
「館へ!」
命令に応じる御者と馬
ガタゴトという振動は行きよりも強く、流れる景色はずっと速い
「…何もできない現状が忌々しくてしょうがないよ」
「仕方ないよ
とにかくあの父親に見つかってないことだけ祈っておこう」
執事の最大の懸念はどうやら父だったらしく全くだと大きく頷いている
「…アレクシアお嬢様には感謝しなければだね
僕らに俊足魔法をかけてくれたんだ」
「しゅんそく…魔法?」
「足が速くなる魔法だよ
人だけでなく動物にもかけれる」
なるほど重いドレスを着ているのに妙に早く馬車に着いたのはそれが原因だったのか
「この馬たちにもかけてくれてる」
「え、これ御者が早くしてくれてるんじゃないの?」
「ううん
ほら、あの蹄を見て」
言われたように馬の足元を見ると微かに光っている
「おぉ〜全然気づかなかった」
「俊足魔法は大きなエネルギーではないから見えづらいんだ
それにアレクシアお嬢様はスピネル家の子供
行きの馬車でも言ったけどスピネル家は宝石を扱う家柄
宝石の弱魔法って基本見えづらいんだ」
「宝石の…魔法…!」
めっちゃファンタジーでカッケェ…!
…でも実際はガチャなんだよな…。
そういえばガチャでも課金ガチャだと色付きエフェクトだったな
「かっこいいと思ってるところ水を差すけど、透明ってことは大した魔法じゃないってことなんだよ」
「どういうこと?」
「えっとね〜…例えばさ何もないこの空気と今朝味わった僕の炎
どっちの方がエネルギー大きいと思う?」
「そりゃあ今朝の炎だよ
でも、それは透明と色付きじゃなくて炎の魔法があるかないかの差でしょ?」
「ところが違うんだよ
空気中には魔法電子体がふよふよ浮いているんだ
それらの結合具合によって炎になったり水になったり、僕が使うのだと磁場になったりとか」
「えっ魔法ってなんか…バーンとその場に出て、ドドドー!って出す感じじゃないの?
そんでその炎とか水で建物壊したり燃やしたり」
「今朝の炎で屋敷が燃える様子はありましたか?」
「…ナイデスネ」
「わかればよろしい
物理世界と魔法世界は普通は混じらない平行線
しかし、ヒトはそのどちらにも属する生き物
更に知恵を持って魔法世界をこちらの物理世界に一部組み込み、ヒトは生き物の頂点に立った…て感じ」
…こんなのゲームの設定には載ってないぞ?面白いから全然いいけど
「話を戻すけど、魔法世界では色が濃ければ濃いほどエネルギーが強い
で、宝石魔法はほとんど透明で弱いんだよ
宝石を扱う貴族は基本的に商人になりやすいんだ」
「つまり、装飾品として売りさばいてるってこと?
自分たちの武器を?」
「そう
というか自分が扱うものの位置ってなんとなくわかるんだよ
そのサーチ能力を使って宝石を発掘して、自分だけのものにして価格が上がった時に売り出す
スピネル家も昔はそうだった」
「だった?今は?」
「そこだよ!
今会ったアレクシア様は宝石使いの中でも類い稀な優秀な子でね
今期の魔法使いの中でもトップクラスの力を有しているんだよ
そこでついたあだ名がエースのアレクシア
ミドルネームもAだし、実力もAてかA +だし、見た目も美しくA++の完璧美少女だって世間は騒いでる
それに彼女自身、学者になりたいって言ってるんだ……いや、言ってた、か…。」
ガクッと肩を下ろすエルメス君
なるほど…とりあえず、アレクシアが世間から期待された美少女ってことだけ把握できた
ゲーム内でも割とチヤホヤされてたのもそこが原因か…アシクレア以外で
ワイワイしていると馬車が止まる
さぁ、こっから運試しだな




