12:主人公とは
とも?
ともってことは…つまり…
「き、君…俺のこと知ってるの?」
ともというのはネット上での俺の名前
「わぁあー!
やっぱりともさんなんだ!
本物に会えるなんて…!」
感激しているのか少し涙ぐんでいる
「私、ぬいぬいって名前でフォローさせていただいてるものです!
いつもまれっちイラスト拝見させていただいてました!」
「ぬいぬいさん!?」
まさかのゲーム世界に来たら、フォロワーさんと会うことになると誰が予想できようか
「も、もしかして私のこと知ってるんですか?」
「当然だよ!
いつもリプ返してくれてるし、たまにイラストをぬいぐるみで再現とかしてるじゃん!?
本物に会えるとかマジ神なんだけど!」
こっちの方が
いえいえこっちの方が
といたちごっこを繰り返す
「…それをいつまで繰り返すんです?」
いつのまにか立ち直っていたエルメスが止めに入る
だいぶ重症だったみたいだから一人にしておこうと放置していたが、もう切り替えているらしい
「僕はシュジンコウに会えば、何か起こるって君が言うかr」
「キャーー!エルメスゥー!!」
俺は突然叫んだりはしない
言うまでもないが、話の腰を折ったのはアレクシアだった
「久しぶり!
元気にしてた?」
「グッ!
やめて下さい!」
「そう言わずに〜」
ほれほれと近づく様はまるでオヤジ
「それで!
どうなんです!?
何かありましたか!?」
アレクシアに拘束されたエルメスはそれを振りほどこうと必死に体を捩っている
更に僕がこんな目に合ってるからには収穫がないとキレるぞとばかりに睨んでくる
「いやぁ…主人公ってハートを消費するごとにイベントあるからアレクシアとアシクレアイベでなんかあるかな〜って思っててー…そのー…」
「御託はいいから早く結論!」
「なんの成果も得られませんでしたあぁァァアあ!!」
「ふっざけんなよ!?」
「エルメス君ってこんなに口悪かったんだ」
「素はめっちゃ口悪いしなんなら人の悪口も言ってるよ」
お父さんのだけど
「アシクレア様でも、ましてや令嬢でない二人に僕が敬意を払うとでも?」
「ひどっ!」
「エルメス君の悪役執事!」
「なんとでも言えばいいでしょう、僕は痛くも痒くもありませんから」
「エルメス君のバーカ!」
「エルメス君の分からず屋!」
「悪口のレパートリーが狭いね」
「腹黒野郎!」
「真っ黒黒助!」
「さ!早めに調査に戻るとしますか」
「チビー!」
「どチビ!」
「…おい、それ以上言ったらガチでキレるぞ」
エルメスにもコンプレックスあったんだな?
ニヤリと笑いながら隣を見るといたずらっ子な笑顔を浮かべた令嬢が
「牛乳飲めよー!」
「カルシウム足りてるー!?」
「…。」
「イライラはカルシウム不足が原因だz」
ガシッ
「…ふぇ?」
黙った少年に畳み掛けると突然顔を掴まれる
…と
「アイタタタッタタ!や、ちょ、ぎびゅぎびゅぎびゅ!」
「…ご忠告ありがとうございます」
笑ってるように見えるけど口角あげただけで普通に笑ってないよ!この子!!
「ここ一週間、誰かさんのどんちゃん騒ぎでイライラしていたものですから」
そう言うとアレクシアちゃんの方へ視線を動かす
…ぬいぬいさん、もしかしてアシクレア時代にも何かやらかしたのか…。
全く…と言って顔の拘束を解く
…と、言っても忌々しそうに放ったと言う方が正しいけれども
「え、エルメス君ってあんなんだっけ?」
コソコソと耳打ちしてくる
「あんなんだよ」
エルメスがこちらをギロッと睨んできたので黙る
「俺、これからずっとこれに付き合うのか…。」
「愚痴ならいつでも聞くぜ、ブラザー」
「頼りになるよ、ハニー」
「あっ!そうだそうだ〜!
お互いにお気に入り登録しとこ!
そしたらワープですぐに会えるっしょ?」
そう言うとアレクシアは手を宙にかざす
「お気に入り登録?」
「そうそう、画面開いて〜お気に入りキャラ選択のところで登録」
「…画面?」
「うん、メニュー開くやつ」
「…ナニソレ」
「え、ステータスとか見れるっしょ?」
「…いやいや、できないっす」
「まじっす?」
「まじっす」
どうやらアレクシアはメニュー画面を開けるらしい
主人公特権だろうか?
「じゃあ、私が会いに行くよ!」
「なんかすんません」
「いいよいいよ〜…あの姑感溢れるエルメス君相手にしてたら疲れるのよぉ〜く分かるから」
エルメスの方を見るとこちらの話を聞いてるのかよくわからない位置からこちらをじっと見つめている
「…なにか?」
「なんもないっす」




