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降臨

読み終わったら、下のポイント評価の欄から評価して頂けると作者が泣いて喜び、ブックマークして頂けると爆発四散する寸前で止まります。…ホント、お待ちしてますんで。

 「う、んん…?」顔に触れる草の感触がくすぐったい。俺、今横になっている、のか?


 「うぐ、あ゛がぁ…」声が出ない。まるで自分の身体じゃないかのように、俺の声帯は声の代わりに呻き声と擦過音がごちゃ混ぜになったような音を吐き出した。


 「が、く、ぐぁぁぁ…」ダメだ。どう頑張っても声が出ない。というか、まるでそういう風に「創られてない」感じだ。「そういう機能」がないっていうか。


 (クッソ、どういう状況だこれは。取り敢えず周りの状況を把握しねえと…)そう思いつつ、周囲の状況を確認するために()()()と音を立てながら腕をついて立ち上がった。…ん?『ズシン』?


 (なんだ?今の音…)思ったより遥かに大きい音に、俺は自分の腕を反射的に見やる。そこにあったのは俺の腕ではなく…青白い鱗に包まれ、鋭く黒い爪を持った、は虫類じみたナニカの前脚だった。


 (…は?)思わず立ち上がろうとしても、前に叩きつけられるように倒れ込む。足が動かない…いや違う。足が無い。というか、足と言える()()()()()。俺の足がかつてあった場所には二本の脚ではなく、腕と同じく青白い鱗に覆われた巨大な蛇の胴体があるだけだった。


 《あー、テステス、マイクテストマイクテスト、こちらマイクのテスト中、こちらマイクのテスト中…ぃよぉーし!準備完了!おい、聞こえるか、お前さんのためにわざわざ平原のど真ん中に降ろしたんだが…そっちの様子はどうだ?》「ぐぉ、GYOAAAAAA!!!!(意訳:っ…ざけんじゃねぇ!一体全体何がどうなってやがる!手前ェ俺の身体に何しやがった!?)」


 声にならない叫びを上げながらここでは無い何処かに向けて吠えると、さっきみたいに頭の中に声が流れ込んでくる。《いや何、最初はお前さんの身体を新しく作ってそれを強化しようと考えてたんだが、例えそうしても()()()()()。どんなに強化しても人間の枠から抜け出せなかった…だから、考え方を変えたのさ。もっと強い(しゅぞく)に…例えばそう、その世界における最強の幻想種たるドラゴンの肉体とかを入れものにしてみよう、とな》


 な、なんじゃそりゃぁ…「GYUAAAA…(意訳:マジかよ…なら、最初にそう言ってくれ…)」《いやー、すまんすまん。まさか体動かすのに難儀してるとは正直思ってなかった。フツーは感覚的にみんな分かってるもんだから》そりゃそうだ俺元人間だもの。


 《ま、その辺は練習だな。それより…さっきお前さん、威勢よく吠えてたな?ギャーって》?ああ。今は考えるだけで話が通じてるから喋ってないけど。《ああそうかい。なら一言忠告しとくが…基本的に獣の遠吠えは仲間との連絡、あと、『縄張りの宣言』とかの目的があるそうだ…もう、お前さんにも見えてるだろ?()()()()()()()()()()()()()()()()()()()』の姿が》…ああ…見えてるよ。遠目でも分かる存在感(ヤバさ)を持ったバケモンがこっちに飛んできやがるのが…!




 『そいつ』は、ジェットエンジンでも載っけてるじゃないかと思うくらいの超高速度でこっちに飛んできた。一瞬、そのまま体当たりでもする気か?と思うほどの速度で突っ込んできたが、『そいつ』は俺の目の前まで来ると左右6枚の翼で軽く羽ばたいて急減速、そのまま地響きと土砂を巻き上げながら地面に降り立った。


 《ほう…?何やら身の程知らずが喚いていると思って暇潰しに飛んできてみれば…少々当てが外れたな》舞い降りた『そいつ』…夜を溶かし込んだような赤黒い体色の巨大な(ドラゴン)は、俺を見るなりそんな事を低く圧し潰すような声で(のたま)った。


 (暇潰しと来たか…態度と言い雰囲気と言い、こいつはどう見ても逆らったらアウトな奴だな)《ふん、一丁前に分析か。チビの癖に頭が回る奴だ。そしてそれは間違ってない》…勘弁してくれ。心まで読めんのかよ。


 《当然。(われ)は『玉座に座する者』の一角。読心(それ)くらい造作も無いわ》…ケッ、またえらく仰々しい肩書きだこと。《ほざけ。身の程知らずの子蛇め。…まあ、貴様がただの蛇ではないのはとうの昔に知っているのだが、な》はぁ?どーいうことだ。疑問が頭をよぎる。その時だ。天衝く巨竜が堪えきれない様子で笑い出したのは。


 《カカカ…おい悪戯っ子よ。そろそろ種明かしをしてやれ。こっちがバラしてしまいそうだ》《ったくもー、もう少し引っ張りゃあいいのに。頼むぜ全く…よく考えてみろよ。あのときお前さんは本気で吠えなかったろ?なのになんでこのご老体はあんな直ぐにここに来た?》そりゃあ…なんか聞き取る手段があったんだろ。


 《あー、まあ確かにな。それよりこう考えた方が自然じゃねえか?『最初から待ち構えていた』ってよ》…あ。


 《そういうこった。最初(ハナ)からこのご老体には話は通してある。味方だぜ》お前ら…《カカカ、済まぬな小童。お主にこの世界のスケール感って物を体験して貰おうと思ってな》アホか!寿命が縮むかと思ったじゃねぇか!


 《ま、結果的に良かったろ。お前さんはこの世界のデカさを体験できたし、爺さんもコイツがどんな奴か伺い知れた訳だし》そうは言っても、もう少しやり方あったろ…


 《そう言うな。こっちも時間無い状況でサプライズの準備してたんだから》あれ、サプライズのつもりだったのかよ。心臓止まるかもしれんサプライズなんて出来れば願い下げなのだが。


 《おい、話は済んだか?》爺さん、あんたもあんたでくつろいでんじゃないよ。あとどっから出したその馬鹿デカいちゃぶ台と湯呑み。《まあ、細かいことは今はいいだろう》良かねぇわ。あとツッコミが追い付かんからボケはもういらん。






 《さて、これからどうするかだが》自分が空気を緩めたのを華麗に無視した上で、声が真面目くさって話し出す。《お前さんにはこのバケモンの下で修行を積んで貰う》(…ちょっと何言ってるか分かんない)いきなり何言ってんだコイツは。


 《まあ落ち着け、な?分かっていると思うが…お前さんはこの世界の初心者(ビギナー)だ》うん、そうだな。


 《だろ?つまり、いくら強い体でも、油断するとそれはそれは簡単に死んじまうのさ。だから、ある程度強くなっておいた方がいい。お前さんみたいに自分の意志を曲げないような奴は特に、な》言外に頑固って言われた気もするが…まああれだ、要するに今後何があってもいいようにってことか。


 《左様。今の貴様はまだまだ小童。己を押し通すには弱すぎる…故の修行だ。今後何も諦めたく無いのなら、ここで鍛えることを勧める。無論、強制はせんがな》…そういうもんかねぇ。まあでも、やっといた方が良いことなら、やってみるか。どの道このままじゃ歩くことすらままならないことだし。


 《決まりだな。じゃあそういうことだから、後は頼むぜ》《心得た。では…ついて来い。吾の棲み処まで案内してやろう》分かった。…あれ?これ、乗せてもらえるとかそういうのは…?


 《ある訳無かろう。まずは体の動かし方を学べ。それすら出来ぬのが今の貴様なのだからな》くっそー、あンの狸爺、自分が宙に浮いてんの忘れてんじゃないのか。《フン。無駄口叩いとる暇があるなら体を動かせ。それと、言い忘れてたが修業期間は百年だ。その百年のうちに吾が戦いの総てをその身に刻み込んでやる》オイちょっと待て!!一世紀も修業すんのかよ!寿命とか大丈夫なのかソレ!?


 《全く…竜の寿命が人のそれと同じ筈が無かろう。それに、時間の流れなど、どうとでも出来る》は?それってまさか…《ほーれ、ぼさっとするな。詳しいことは棲み処で話す。今はただ走ることに全てを傾けるがよい。時間は有限だぞ》くっそー…!こうなったらトコトンやってやろうじゃねェか!!

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