オレ・誕生(1)
最初に言っておきますが今まで過去回想ばかりです。しかも今回のタイトルを見て分かる通り今回の話
過去回想しますだから最初に謝っておきますごめんなさい。
過去回想ばかりですがどうか最後までお付き合いください。
さて、舞台は先程の話の冒頭ナイトールが電話を待っている所からです。
ナイトールがいくら電話の前に佇んで待っていても博士からの電話が来るはずも無くただ時間だけが過ぎていた。
「うわっ!何だナイトールか、朝ぱっらから何してんだ」
時間はもう6時、起きて来た痛翔が電話の前のナイトールを見て不審者かと思い驚きの声を上げた。
「あっ我が護衛対象おはようございます」
「何だ元気が無いな何かあったか?」
痛翔は普段と違う機嫌のナイトールを見て心配になり声をかけた。
「いいえ大丈夫です。ご心配には及びません」
「そうか・・・・」
言葉では心配無いと言っているがその風貌を見ると明らかに元気が無い。
「ん~~取り敢えず居間に行こうぜ」
「はい」
やはり返事も元気無く何処か視線も遠くを見ている様であった。まるで遠い昔に妻を亡くし川沿いの土手で1人静かに空を眺めている夫のようであった。
「いや何だよその例え・・・つうかいつの間にお前復活しているんだ」
復活も何も私は本来の仕事に戻っただけですが何か?
「うわっムカつくわムカつくわその言い方だからお前嫌いなんだよ」
「はははは我が護衛対象。幽霊と喋ってる面白いですね」
「おいーーしっかりしろナイトール俺が今喋っている奴はお前も知っているあのくそ生意気な奴語り部だぞ、何一般市民みたいなリアクションを取っているんだ俺達は特別であいつの声が聞こえるんだぞ忘れたのか?」
本当に何で2人には私の声もとい存在が確認されるのでしょうか全くもって意味分かりませんね。
ていうかナイトール本当にやばくないですか何だか冗談抜きに心配になってきましたよ。
「おおうお前もそう思うか、ナイトール本当にどうしたんだろう」
取り合えずご飯でも食べたらどうでしょうかと私は思うのですが。
「そうだな折角居間にいる事だしテレビをつけてご飯の準備でもしようぜ」
そう言い痛翔はテレビをつけた。
テレビの画面は丁度ニュースの番組になっていた。
「やっぱり朝はニュースだよな何か変わったニュースでもやっていてナイトールの今の状態を少しでも和らげる事が出来るといいんだけど」
そうナイトールの事を心配しながらテレビのリモコンを片手に持ちテレビのニュースを見る痛翔とボーっとテレビの画面を見るナイトール。
(続いてのニュースです昨日未明住宅街で飼っているティラノサウルスが脱走したもようで飼い主である木下さんは・・・・)
ピッ! (チャンネルを変える音)
(またも怪盗に盗まれ警察は・・・・・・)
ピッ!
(昨日現場のこの地域に怪獣とそれを倒した巨大ロボットが戦いを繰り広げて・・・・・)
ピッ!
(「よく当たる話題の占い師にインタビューしたいと思いますこんにちは」「どうも」「今までどの様な事を当てて来たんですか」「そうだなーこの前もある家族に猫の捜索を依頼されたんだよ・・・・」)
そこでテレビを消し痛翔は一言残念そうに言い放った。
「どれもいまいちでパッとしない普通のニュースだな折角ナイトールが興味を持ってくれると思ったのに俺でさえ興味を持たない内容ばかりだ」
いやいやどこが普通のニュースだよ普通じゃあり得ない内容ばかりだったじゃねえか。
「あ、何言ってんだお前この時代この世界では普通じゃない事がもう普通になっているの、エレニウム(奇跡の原石)が発見されてから非現実的なものなんて無いのすべて現実なの、だから俺達にとっては怪盗がいようが怪獣が出現しようがそれは何処かの市の文化だって認識しているんだ」
確かに今のこの世界特に日本は様変わりして県が全て無くなり市が独自の文化を全面的に掲げているこの時代何が起こってもそれは不思議じゃ無いのかも。
「よし分かったか、たく当たり前の事を説明させないでくれ」
そう言うと痛翔はまたテレビのリモコン持ちテレビをつけもう片方の開いている手で市販のパンを1つ手に取った。
「天気予報見なきゃいけないからな~」
市販のパンをもぐもぐ食べながら痛翔がテレビのニュースを見ているとニュースである事が取り上げられていた。
(「それでは呼んでみましょう現場の笹川アナウンサー」
「はーい今日はここ新しく建てられました富部区にあるトヨベミライ科学館に来ています」
「確か今日オープンなんですよね」
「その通りです中には今までの歴史、他の市はどの様な文化を築いているかまた今は無き県があった時代の資料も盛りだくさんですよ」
「成程そちらの一番の目玉は何でしょう」
「それは何といってもやっぱり医療のブースでしょう医療市の普段見れない治療法や道具などなどが見れるのですから・・・」)
その言葉を笹川アナが言っている所で科学館の中の様子が少し写し出された。
その画面を見て痛翔はいい考えを思いついたのかその場で飛び上がった。
「ナイトール今日放課後ここに行こうぜ、飛鷹や天使を誘って」
「別に構いませんがいいのですか真美様1人だけを誘わずに」
「別に天使とデートしたいから行くんじゃねえよちょっと用事があるから皆で行きたいんだよ」
「な、熱でもあるのですかそれとも今日は地球最後の日ですか」
「お前・・・・・まっ少しは元気出て来たみたいだな」
痛翔はニカッと笑いコップに入ったキンキンに冷えた牛乳を飲み干す。
喉をキンキンに冷えた牛乳が通るのを感じながら痛翔は考えた。
(あれを見せればきっとナイトールは元気になるはずだ)
「とにかくだ今日の放課後は皆でこの科学館に行こう」
「それでしたらチケットの予約を今のうちにすませておきますね」
ナイトールは元気の良い言葉はくれるものの本当の意味で元気にはまだなっていない。
「おうサンキュー」
痛翔は元気が無い事をナイトールから感じ取ったが、あえてその事には触れない様に返事をし洗面台へと向かった。
痛翔は洗面台に着くと自分の青と白色のマイ歯ブラシを手に取りシャコシャコと磨きながらまたも考える。
(しかし、もしナイトールにあれを見せても元気にならなかったらどうしよう・・・・・・・・・ええい俺はナイトールとの思い出を信じるそう今決めた)
そう考えをまとめ水を口にふくみ喉の奥でガラガラと鳴らしながらうがいをし、ふくんだ水を吐き出し歯磨きを終える。
居間に戻るとナイトールが自分の剣型のスマホケースに入ったスマホを操作しながらチケットの予約を行っていた。
「ようナイトールチケットの予約はどんな感じだ」
「そうですねー。流石に今日オープンした科学館は先程のテレビの影響も大きいのかこの時間でも予約がいっぱいで中々取れそうにもなかったのですが・・・・」
「でも取れたんだろう」
痛翔はもったいぶる様にナイトールへと問いかけた。
「ええ何とか放課後の時間帯を何とか押さえる事ができました」
「流石ナイトール。俺はやると信じていたぞ」
「褒められましても何も用意できませんし、犯罪の片棒を担ぐ気もありませんよ」
「その手があったかナイトールに手伝って貰えば天使のあんな姿やこんな姿が見放題だひゃっほー」
「私を犯罪者の仲間入りにさせないで下さい」
やれやれと呆れながらナイトールはテレビを消し時間を確認し痛翔へそろそろ学校に行かないといけませんよと言い放った。
それを受け急いで行く準備を始める痛翔。
ナイトールはその間に洗い物をしたりと自分にできる事をした。
用意が出来て痛翔は家に鍵をかけ「行ってきます」と元気よく大きな声で挨拶を家に向かって叫んだ。
その様子をに見ていたご近所さんのおばちゃん達は口々に喋り。
「あらあら今日も元気がいいわね」
「昨日の夕方も何かと元気がいい声で叫んでいたわね」
「確か紙?髪?だとかそんな事を言っていたわね」
と元気のいい痛翔を見て微笑ましく思っていた。
そんなご近所さんに軽く挨拶をし痛翔は学校へと急ぎ走り出した。
学校に着き朝のホームルームも終わり自分の席でひと段落していると飛鷹が痛翔へと話かけて来た。
「なーオレっちあれナイトールは一体どうしたんだあんな元気の無い彼を見るのは初めてだぞ」
「あー飛鷹その事で話があるんだが今いいか」
「ああ別に大丈夫だけど」
「それじゃ急で悪いんだけど今日の朝のニュースでやっていた科学館しっているか?」
「ああ今日オープンのトヨベミライ科学館だろ緑山アナウンサーが説明していた」
「ん?笹川アナウンサーじゃなかったけ?」
痛翔は朝の朧気な記憶を思い出しながらそう飛鷹に言った。
「オレっちが見ていたのはきっとニュースYで下北川ニュースが俺が見ていたニュースだからじゃないのか」
「下北川ニュースってちょっと名前が斬新過ぎないか?」
「名前はこの時代だし珍しくも無いだろそれに名前だけで決めるのは早計だぞオレっちなんたってあそこのニュースはどこよりも早く特ダネを掴むからなー」
と飛鷹が言っている所で2人揃って何事かと天使こと噓減真美が痛翔達の方へと近づいていった。
一早く噓減さんの存在に気づいた痛翔はいつも通りというかやっぱりあの言葉を言うのであった。
「ててててててて天使ーーーーーーーーーーーーー」
「オレっちもういいから」
飛鷹も流石に呆れて来たのか半ばうんざりするように言い放った。
「で、2人で何を話していたの?飛鷹君オレ君。あっ!でも私が聞いちゃいけない話とかだったら無理に話さなくても大丈夫だよ・・・」
ちょっと残念そうに話す噓減さんはどうやら話を聞いちゃいけない話なら聞かないでおこうと思ったと同時に自分が仲間外れにされた気持ちになる為少し残念そうなのだ。
いい子だ痛翔が天使と呼ぶ気持ちがより一層分かって来た。
「ああ大丈夫だよ天使。天使にも関係ある事だから」
「本当に嬉しい」
天使こと噓減さんは満面の笑みで喜びを露わにしてそれを目の前で見ていた痛翔はデレデレして笑いその様子を見ていた飛鷹はニヤニヤ笑っていた。つまり全員笑っていた実に平和だ。
「天使、飛鷹にも話したんだが見ての通りナイトールの奴が元気無いだこりゃ」
「あっ、本当だナイトールちゃん全然元気が無いよ!どうしてあんなに元気が無いの?」
「う~ん理由は分からないんだけど今朝からなんだ」
「そうなんだ・・・・」
噓減さんがまたも残念そうに顔を歪めるから痛翔は慌てて話の本題に入った。
「ところで天使今日オープンの科学館の事は知っているかな?」
「うん知っているよ確か高橋アナウンサーが・・・・」
「ストップそのアナウンサー問題はもういいから。でねそこに放課後行こうと思うんだけど」
「えっ!」
その事を聞いて噓減さんの顔がたちまち赤くなっていくその様子を横で眺めている飛鷹は「ひゅー」と口笛を吹いている教室もざわざわし始めた。
教室では「遂に告るか」や「変態も遂に卒業か」や「遂に噓減さん結ばれるのね」などと声をひそひそと放ちまくっていた。
そして意を決して噓減さんが顔を真っ赤にしながら尋ねる。
「ああああのオオオレ君それってデートって事?」
「いや違うよ飛鷹も行くし何といっても今日の主役はナイトールだからなでも折角なら仲の良いこの4人で行こうかなと思ったんだけど」
「あっ、そうなの何かごめんね勘違いしちゃったみたいで・・・」
「いやこちらこそ申し訳ない先に皆で行くって事を言っておくべきだった」
痛翔は噓減さんに早まった考えをさせ期待をさせた事を少し後悔した。しかし痛翔は心の中で天使には悪いが今は早くナイトールを何とかしないと考えていた。
一方痛翔の話を聞いた教室の奴らはというと。
「うわー世界の終わりだー今日で地球は破滅するんだ」
「あの痛翔が噓減さんとのデートを自ら放棄したーーーー」
「皆落ち着け落ち着いてスマホでニュースを見るんだ小惑星が地球に落ちてくるかもしれないし謎の奇病が繁栄するかもしれない」
「お前が落ち着けよ」
「噓減さんかわいそう痛翔君サイテー」
「例え地球が滅んでも愛してるぞまなみ」
「私もよ武富君」
「リア充爆発しろ・・・ボソッ」
その様子を見ていた痛翔は最初は唖然としていたが段々怒りがこみ上げていき。
「てめえら俺の事を普段どう思っているのか今よーく分かった後で全員殺す(怒)」
「たくっ、一体何の騒ぎだ」
そこに担任の先生までやって来て、廊下から何やら騒がしいと思ったら教室で生徒達が騒いでいるのを目撃して慌てて教室に入り今に至る。
「で、何があった」
先生の名前は「金字鉄男」あだ名は「キンテツ」名前の通り性別は男だ。
常にゴム製の竹刀を持っていてその竹刀は硬く無い為痛くは無いと思われるが威力がありこれが結構痛い、何故ゴム製なのかというと金字家は代々竹刀を持って学業を教えていたのだが少し昔に竹刀は危ないと保護者から苦情が来たが手放すのは受け継がれてきたものを放棄する事だと考えその時からならば柔らかいゴム製はどうだろうと思いPTAに掛け合ったところ良い返事が聞けたので以来ゴム製の白い竹刀を持ち歩いているのだ。
因みにこの竹刀はオーダーメイドでもちろん「エレニウム」が使われている。
話を戻すとしよう今の状況は簡単に言えば鉄男先生が前であぐらをかきその他の生徒全員正座をさせられているところだ。
1人の生徒が状況と訳を説明した。
その事を聞いたキンテツは痛翔の肩をポンポンと叩きこう言った。
「痛翔今日は休め」
「いくら先生でも怒りますよ(怒)」
普段ならここで一言言ってくれるナイトールだが今日は黙って部屋の隅の方にいて空を窓からボーっと眺めていたこりゃ本当に重症だな。
そして時間は流れ放課後。
「よし何か色々あったけど無事放課後になったな」
「それじゃオレ君飛鷹君ナイトールちゃん科学館へレッツゴー」
「テンション高いねまみっち。それにしてもオレっちいくら放課後だからといって今日オープンしたばかりの科学館のチケットは取れたのか?」
「それについては抜かり無くナイトールが朝何とか取ってくれたんだよなナイトール」
「はいちゃんと人数分チケットの予約を取ってあります」
言葉は普通だがやはり元気の無いナイトールに皆心配ムードになる。
「なーオレっち本当に科学館に行ったらナイトールはいつものナイトールに戻るのか(ヒソッ)」
飛鷹はナイトールに聞こえない様に小さい声で尋ねた。
その事を受けて痛翔も小さい声で答える。
「ああ、たぶん俺の感が正しくてナイトールがあの日の事を思い出してくれたら必ず元気になる(ヒソッ)」
「な!確証無いのかよ(ヒソッ)」
「確証無くても自身はある俺はナイトールと俺の絆を信じる」
「おい声聞こえるぞでもま、それでこそオレっちだなよしわかった。俺も手伝う何かできる事があったら何でも言ってくれ」
「おうありがとうな飛鷹持つべきもの親友だな!」
「へへへよせやい」
痛翔はお礼を言い、飛鷹は照れくさそうに笑った。
それを少し離れている所で噓減さんとナイトールが聞いていた。
「いいな私も男の子だったらあんな友情芽生えたのかな~」
羨ましそうに噓減さんが言うがナイトールはまた遠い空を見てボーっとしている。
「ナイトールちゃん大丈夫元気無いみたいだけど」
「!はっはい」
不意に声をかけられてボーっと空を眺めていたナイトールが驚いたように声をあげる。
「どうしたのナイトールちゃん本当に元気無いみたいだけど」
「すみません。理由は言えませんし今はほっといてもらえればありがたいです」
「そう・・・・・・」
噓減さんはそれ以上聞く事が出来なかった。何故なら話しているナイトールの顔や雰囲気で本気で聞いて欲しくないと分かるからだ。
その様子を痛翔と飛鷹は見て不味いと思った。
「おいオレっちあれ不味いだろう」
「ああナイトールと天使がどんどん暗い気持ちになっていってる」
このままでは折角の計画も失敗するかもしれないと思った痛翔は2人に声をかけ早く科学館に行こうと誘った。
高校の門を出て5分程歩いた所のバス停に行き、バスが来るまで待っている今現在。
親友である飛鷹が痛翔に話かける。
「ところでオレっち科学館に着いたらどうするんだ」
「ん?どうとは?」
「行動だよ行動!オレっちはナイトールに見せたいものがあるんだろう」
「えっ!そうなのオレ君!」
「ああ・・・・・」
痛翔はナイトールが話を聞いて無く何処か遠くを見ているのを確認すると天使こと噓減さんに声を小さくして今日の計画について話始めた。
ここから先はバスが来るまで皆小声で話しています
「さっき飛鷹には言ったんだけど今日のこの科学館に行こうと言った理由はナイトールを元に戻す目的があるんだ」
「え!そうだったんだ」
噓減さんは驚き、飛鷹はもう知っているのでその様子をうなずきながら「うんうん」と見ていた。
「そう、ナイトールに元気になってもらう事こそ今回の一番の目的なんだ天使」
「うんそうだね私もあんなナイトールちゃん嫌だもん早く元気になってもらいたい」
「で、オレっち俺達は何をすればいいんだ」
「もしかしてあり得ない話だけど万が一ナイトールが途中で帰ろうとしたりしたら一緒に止めてくれ」
「うんわかったよオレ君」
「ガッテンだオレっち」
「そして俺が目的の所にナイトールを誘導出来たら2人は好き勝手に見学してくれ」
「え~でも私気になるな~2人の話」
「そうだぜオレっち今回の目的はあくまでナイトールを元気付ける事それなのに最後まで見届けられないのはあんまりじゃないか!」
「えっでも取るに足らない話だぜ天使や飛鷹にとっちゃ」
「お願いオレ君遠くで2人の会話聞くだけだから許して」
「絶対に邪魔はしないからよ~オレっち頼むよ~」
「えっ2人共そんなに俺とナイトールの話気になるの?」
「「気になる」」
2人の圧に押され痛翔はナイトールとの話を聞かせる事に承諾せざるおえなかった。
まあぶっちゃっけ私も気にはなっていたんですけどね。
「お前は許しを得なくても勝手に聞いて寧ろ説明するだろう」
突然空中に向かって話始めた痛翔を見て飛鷹と噓減さんは心配そうに見る。
「オレ君大丈夫そこには誰もいないよ」
「おいおいオレっちまでおかしくなっちまったのか?」
痛翔は慌てて大丈夫だと言い2人を安心させた。
そうこうしてる内にバスがブロロロロと音を吹かせながらバス停に停まりバスの前方のドアから客が3人降りていき前方のドアが閉まりバスの真ん中のドアが開いて客を招き入れようとしている。
「ほらナイトールバスが来たぞ早く乗り込むぞ」
「はい・・・・」
痛翔がナイトールにバスに乗るのを促してもナイトールは元気の無い返事をしてバスに乗り込んで一番後ろの右端の席にこそっと座った。
痛翔、飛鷹、噓減さんもその後についていき一番後ろの席に座った。
走行しているバスの中ナイトールはまたボーっと外の景色を眺めていたが痛翔達はというと、その空気をまるで読まないかの如く楽しそうに今日の授業の事や今日あるテレビの事をわいわい話していた。
普通なら空気を読んで静かに黙って沈黙を作るが彼らは違った、彼らは要するに静かなのが嫌なのだ。
美術館とか授業中とか静かにしなければならない時は我慢するがそれ以外の時例えば今の状況などはとても我慢できずついつい喋ってしまう。
これは彼らが相手の気持ちを考えずにしている行動では無く、寧ろ相手の事を考えての行動だと言える。
相手が落ち込んで沈んでいるからと言って自分達まで沈んで黙ってしまえばその場の空気が更に重たくなってしまうから彼らは黙らない。
この時の彼らの行動は2つ、1つ目は落ち込んでいるその人を無理やり会話に入れという力技、そしてもう1つは今のまんまじゃダメだからまた後で何とかする後回しにするというやり方で今回の場合は後者である。
彼らもできるならば今すぐにでもナイトールを元気にしたいしかし今何を言っても無駄という事が3人共、分かっているから気を使わない様に楽しく会話をしている。
バス停に停まるたび客は増えバスも混んできた。
痛翔達は声を少し抑え会話を続けた。
その間もやはりナイトールは窓の外をボーっと見ている。
5つ目のバス停に差し掛かろうとした時近くに科学館が見えて来た。
「あっ科学館が見えて来たよオレ君、飛鷹君」
そう言い噓減さんは座席に座ったままピョンピョン飛び跳ねてみせた。
「おっ本当だなそれにしてもはしゃぎ過ぎじゃねえか「まみっち」なあオレっち」
「は~天使がピョンピョンするんじゃ~」
「あっダメだなこりゃまみっちの仕草がかわいい過ぎるせいで自分の世界に入っちまっているなー」
そうこうしている内にバスは科学館より少し離れた所にあるバス停に停まりドアが開く。
「おっとこうしている場合じゃねえオレっち、まみっち、ナイトール降りるぞ」
「うん皆降りよう」
「は~天使がピョンピョン」
「・・・・・・・・」
素直に言う事を聞く噓減さんとトリップしている痛翔に元気の無いナイトール何だかカオスな光景だ。
そんなこんなあってバスから降りた一行は無事科学館へとたどり着いたのだった。
トヨベミライ科学館の外観はドーム状で天井はクリアな造りになっており、下の方は青の色で統一されていてとても清潔感のある外観だ。
駐車場の広さも豊富で大きい駐車場が第5駐車場までありお客さん達が不自由無く駐車できるようになっている。
中でも一番に目を奪うのが入口付近に居る恐竜だ。
獰猛な肉食恐竜はいないが、代わりに穏やかな草食恐竜が入口で出迎えてくれる。
そして肉食恐竜の代わりに入口の草食恐竜の反対側にいるのがメカティラノだ。
安全を配慮し肉食恐竜は飼育されてないから全身機械で出来たティラノサウルスのロボットを置く事にしたらしい。
そしてそれが大当たりで現に草食恐竜のエリアにもメカティラノのエリアにも人だかりが出来ていて下手をしたら科学館の中の展示よりも人気かもしれない。
もちろん入口はその恐竜達やメカティラノのずっと前にあるので無料で見れるわけではない。
しかしその恐竜やメカティラノだけに人気が集まっているのではなく科学館の中も凄い事になっている。
例えばある市ではタイムマシンが開発されそのタイムマシンを量産しタイムマシンゲームというものを開催している市から初代タイムマシンの設計図や実物が置いてあるが動く事は無い何故ならその設計図などを提供した市がタイムマシンの特許を取っていて勝手に動かす事、勝手に造る事などが禁止されもし勝手に造ったり動かしたりしたらすぐさま逮捕される事となり中々、戦争は無くなったが市同士のこう言った争いは無くらならず寧ろ激しさをます一方である。
など他の市から条件付きで技術・知識などを提供してもらいこの科学館は出来上がった。
もちろん我が医療市の技術は制限など無いので思う存分技術を出し切れる。なので一番人気が集まっているブースは今朝テレビで言っていた様に医療ブースが圧倒的人気となる。
そして現在痛翔達はチケット販売売り場にいる。
「でっナイトールよ俺達のチケットはどうすれば手に入る」
「はい我が護衛対象、あそこのチケット予約売り場に行けばそこでちゃんと4人分買えますよ」
相変わらず元気の無い声で話すナイトールの指差す方向を見るとそこには他の売り場とは異なった科学館と同じ色合いで青色で統一されており他の売り場に比べ小さく3人が入れる広さであり、他の売り場は何人も並んで長蛇の列になっているがこちらは数えても9人位しか並んでいない。
「何でこっちの売り場はこんなに並んでいる人が少ないのオレ君?」
「本当に何でなんだよナイトール」
と痛翔が聞いてきたのでナイトールは元気の無い声で説明し始めました。
「そもそもですね私が今朝予約できたのも誰でもできるものではなく科学館が出来る少し前にトヨベミライ科学館のホームページに寄付金を募るページがありましてその寄付金を送った方だけが今回優先的に予約が出来てチケット料金も半額以下になり他にも色々とサービスを受けれる様になったのです」
「お前いつの間にそんな事していたんだそして一体何円寄付したんだ?」
「たまたまそのホームページを見つけてこれは後々必要になるのではと私の頭の中のコンピューターが割り出しまして千円から応募出来るようですから取り敢えず一万円寄付しました」
「わあナイトールちゃん凄いじゃあこの科学館ナイトールちゃんのお金も使われているんだ!」
「本当だぜナイトール!しかもそんな訳の分からないホームページに取り敢えずで一万もつぎ込めるんだから大したもんだよ。な~オレっち」
「いや飛鷹それよりもこいつの頭の中の方が異常だわ、今日の事を見越して準備していたって事だろうそれもう予知じゃねえか!」
「ふっどうやら我が護衛対象は改めて私の事を最高傑作のロボットと認識してくれたようですね」
すると先程から元気の無いナイトールだったが少し元気を取り戻せたみたいだ。
「おっ!どうやら少しナイトールの元気を取り戻せたみたいだぜオレっち」
「そうだなでもこれではまだ駄目だ、やはり早くあの展示場に行かなくては」
そう話している間に予約チケット売り場には行列は無くなりこちらを見ているのがばれたのか売り場のおばちゃんが手招きをしてきた。
痛翔達が支払いをし終わると次はナイトールの番だ。
痛翔達はナイトールが入場でどの様な扱いを受けるか不安と好奇心があったが、結果は普通に大人1人と数えられた。
どうやら今のこの世界では普通のプログラミング道理動くロボットは荷物やペット扱いでナイトールのような人工知能を持ったロボットは人間と同じ扱いらしい、そして見た目大人と変わらないナイトールは(下半身が無いけど)大人1人と数えられるのだ。
そして痛翔達が門を潜って最初に目にしたのは恐竜でもメカティラノでも無く歌う花だった。
「わーオレ君見てお花さん達が歌ってる可愛い」
「わー飛鷹見て天使が花の事をお花さんて言ってる可愛い」
「いやそこ!オレっち何まみっちの真似しなが変な事言っているんだ」
「変な事とは失礼なちゃんと真実しか言っていないぞ俺は」
「いや、まみっち見る前に展示物見ろよ」
「ふん、この麗しく可憐で超絶可愛い天使に比べればどんなに凄い展示物も二の次だ」
「オレっち当初の目的忘れてないだろうな」
「うっ!分かってるよ」
その後もちょっとづつ科学館の展示物を見て回り気づけば医療ブースに到着した。
「じゃあここで二手に分かれよう、メンバーは天使と飛鷹、俺とナイトールだ」
するとナイトールは先程の元気の無い様子が一変し驚きを隠せない状態になっていた。
「ちょちょっと待ってください我が護衛対象、一体どうしたんですかいつもなら真美様とどんな事をしてでも2人きりになるよう模索していますのに・・・」
「お前普段俺を何だと思っているんだ、まあその通りだけど・・・・まああれだお前に話があるんだよ」
「えーそれこそ納得しかねますよ何で私なんかに話があるんですか?そもそもこんな所まで来て話す事ってなんですか?」
「ここじゃなきゃ話せない事なんだよ」
「え何ですかそれ怖い」
「うるせーつべこべ言わずに黙ってついて来い」
「ははい・・・・」
「じゃあまた後でな飛鷹、我が麗しき天使ーーあっ飛鷹よ天使に何かしたら殺すから」
「うんまた後でねオレ君」
「オレっち何もしねえから安心しろ」
そうして痛翔はナイトールと一緒に医療ブースをどんどんと進んでいった。
その後を飛鷹と噓減さんもこっそりついていった。
ナイトールが痛翔の後をついていき「まだですかまだですか」と言っているが痛翔は無視してどんどん奥に進む。
そうしてようやく止まった。
ナイトールが痛翔が向いている方を見るとそこにはお母さんのお腹の中で育っていく赤ちゃんの映像が大スクリーンで放映されていた。
そのコーナーは別に珍しいコーナーでもないので客は痛翔達だけだ。
そして痛翔は口を開き言い放った。
「ナイトールこれを見て思い出さないか?」
「思い出さない訳がないでしょう!」
「そう言ってもらえると信じてたぜ」
「そうですよこの映像を見ていると私と護衛対象が初めて会った時を思い出します」
その事を隠れて聞いていた飛鷹と噓減さんは意味が分からなかった「えっ生まれても無いのにどうやって出会うんだ?」と。
「本当に衝撃的な出会いだった」
「ですね」
それは話を約16年と5時間遡らなければならない・・・
どうも、今回は話が長いので初分けていきたいと思います。果たして2人はどういう出会い方をするのか?ナイトールは元気になるのか?それはまた次回になります楽しみにしてて下さい。