その頃
いやっほーー帰ってきたよ皆、私だよ私語り部という名の神だよ。
奴が寝ているうちに帰ってきたんだよーーー。
やはり奴には荷が重かったようだないくら奴でも寝ながら喋る事はできまい。
それに場面が違うとなると奴が喋るわけにはいかない。
という訳で私が帰ってきたのだ。
という訳で今から語り部としての役割を果たすから皆よろしくねー。
丁度痛翔が寝静まった頃、とある古びた倉庫内で話声が聞こえる。
「今回も楽勝だったな」
「ほんとほんと僕達、もしかしなくても凄いんじゃない」
「ちょっと油断していると足元すくわれるわよ」
「ごわすごわすごわす今日も気分がいいでごわす」
「う~ん僕としてはリーダーの意見が聞きたいね~」
声から推測するに声を未だに発していないリーダーを入れて全員で6人倉庫内にいるようだ。
すると真っ暗だった倉庫に月明かりが差し込んで喋っていた5人の姿が露わになった。
1人目は赤いモヒカン頭が目立つ黒いジャンパーを着てジーパンを履いていて髑髏のネックレスをしているまさに世紀末というような風貌をしている彼のあだ名は「アッシュ」。
2人目は眼鏡を掛け緑色のジャージをきてノートパソコンを動かす彼のあだ名が「キーボード」。
3人目は5人の中の紅一点赤髪短髪で片目が隠れていて真っ赤なライダースーツの胸元部分を開け見えるか見えないかのギリギリを保っているそんな妖艶な彼女なのに頭には白いうさ耳をつけている。そんな彼女のあだ名は「キッス」。
4人目は太った体の下にシャツを着ず茶色いちゃんちゃんこを着て下は青の短パンそして靴では無く下駄を履いていて、少し離れた所でペットのポメラニアンが鳴いている。そんな彼のあだ名は「ゲゲゲ」。
そして五人目が煌びやかな恰好をしてその手にはバラの花を持ち指にはバラの形の指輪し背中には薔薇と大きく漢字で書かれている。そんな彼のあだ名は「バラ」ではなくなぜか「ひまわり」。
すると奥から野太い声が聞こえてくる。
「ぎゃあぎゃあうるせぇなー何の騒ぎだ」
この者こそ彼らのリーダーで本名は先ほどナイトールが言ったように「豪塚武」、がたいはよく右手にはメリケンサックをはめている。そんな彼のあだ名は「ガンズ」。
するとリーダーの登場にアッシュは怯え、キーボードは眼鏡をくいっと上げ、キッスは顔を赤くし、ゲゲゲは尻餅をつき、ひまわりはふっふ~んと鼻を鳴らした。
まずアッシュがリーダーへと話しかけた。
「豪塚リリリーダー本日はどの様なご用件で?」
「本名で呼ぶなと言っただろうが(怒)」
「ひ~~すすすいません」
「ふ~まあいいお前らがこんな夜中にうるさくするから目が覚めちまっただろうが」
と大きな欠伸をしながら豪塚は言った。
「で何の話なんだ?」
「はいガンズリーダー私としましてはこのままうまく事が運んで皆気が緩んでいると思うのですわ」
「僕の計算上このまま事が運び我々が勝利する確率は90%」
「そそそそうだぜいくら警察がいようとガンズリーダーがいりゃ屁でもねーぜ」
「ごわすごわすそうでごわす我が愛犬(ゴン蔵)も大丈夫だと言っているでごわす」
「なーゲゲゲ」
「なんでごわすアッシュ」
「毎回思うがポメラニアンにゴン蔵はどうなんだ?」
「ゴン蔵がゴン蔵という名前がいいと言っているので別にいいでごわすじゃないでごわす」
「訳分かんねぇ」
と話が脱線したのを見かねてひまわりが話を戻すべく言葉を発した。
「まあまあ2人ともそれ後にして話を戻してもいいかい」
「ああ悪い」
「すまないでごわす」
「ふ~、でリーダーの意見を聞きたかったのですがガンズリーダーはどの様にお考えですか?」
「ああ、お前らが気にする事も無理はねえと思う。だがそれはリーダーが俺じゃねえ奴のセリフだ」
自身満々にいう豪塚武この男はそういう人間だ。親が離婚してグレた時からそうだったが、この性格のせいかグレた時から今まで豪塚に付いてくる奴はその都度いた。この自信満々な性格な所に人は集まってくるのだろう、今でも仲間を見つけ強盗団などやっているのだから。そもそも彼はなぜ強盗団などやっているのだろうか、その理由は別段珍しい訳ではなく豪塚が高校生くらいの頃金もなくその辺をブラブラしていたら人気のない一軒家を見つけた。その一軒家に侵入し金目の物を探し始めた。しかしその直後家の主であるおばあちゃんが帰ってきた。普通はすぐ逃げる所だが豪塚はその場にあった紙袋を被り大所から包丁を用意しておばあちゃんを脅し金を奪い逃げた。豪塚は家に帰ってから後悔と心配でいっぱいだったがその中に少し強盗を成し遂げた自分に興奮していた。やがて冷静になり自分は捕まるのではないかという心配が大きくなった。しかしいくら待てど豪塚が捕まる事は無かった。あの一軒家のおばあちゃんは通報していなかったのだ。おばあちゃんは自分の家に入った強盗が高校生だと見破りその声も震えているため何か訳があるんだと勘違いしてしまった。そこでおばあちゃんは老い先短い自分の人生では無くこの子のためにお金を使おうと心に決め行動に移したのだった。しかしこの甘さこそが豪塚を強盗団までのし上げたのだ。いくら待っても警察が自分の所に来ないので豪塚の心はあるもので埋め尽くされていった。もっと強盗をあの興奮をというどす黒い感情に飲まれていった。この時豪塚の中に出てきた欲こそ「強盗の欲」だったのかもしれない。あのおばあちゃんがこの事を知ったらどの様な顔をするだろうきっと自分は何て愚かだったのだろうと泣き崩れる事だろう。豪塚の強盗はそれからヒートアップした。いかに自分だとばれないかと工夫をし強盗を続けた。時には何も取らず脅すだけもやってみたがそれでは豪塚の心は満足しなかった。豪塚はあくまで強盗がしたいのだ。だから人殺しもしていないし女の子も襲ってはいない純粋に強盗がしたいのだ。何度か捕まりそうになった事もあるのだがそこは強運いや悪運が強いのだろう結局今日まで捕まる事は一度も無かった。
そんな豪塚が倉庫内の材木の上にどかっと座り言った。
「お前らは黙って俺についてくればいいんだよ警察なんて敵じゃあねえ」
「ヒャッハー流石リーダー」
「ふっそういうと100%そう言うと思っていましたよ僕は」
「興奮するわ❤」
「流石リーダーでごわす」
(キャンキャン)とポメラニアンも鳴く。
しかしひまわりだけ怪訝な顔をしていた。
その顔が気に入らないのか豪塚は怒鳴った。
「おいひまわりなんだその顔はてめえ俺が捕まるとでも思っているのか!」
「いえそうではないんですがこの間よく当たるという占い師に相談に行ったんです。占いの結果、リーダーや我々は警察でないものに敗北するとでました」
「おいひまわりてめえリーダーに向かって適当な事ほざいてんじゃねえよ」
「僕も占いなんかより計算を信じるしね」
「ごわすごわす空気を読むでごわす」
明らかに空気が悪くなるのを感じつつそれでもひまわりはまだ心配の顔している。
すると豪塚とキッスが語り始めた。
「ひまわりその占い師が言っている事はつまり警察じゃない奴に俺達は負けるそう言ったんだな」
「はいその通りです」
「だったらもしかしてあれじゃないかしら」
「あれ?」
「レジェンド5よ。あのレジェンド5の一人がこの医療市に住んでいるって聞いた事あるもの」
「でもレジェンド5は都市伝説だろう」
「いえレジェンド5は都市伝説ではありません。僕が今ネットで調べてもその当時の映像や新聞記事なんかも乗っていますし、レジェンド5のホームページも存在します。占いなんかよりこっちの方がよっぽど信憑性はありますよ」
「ごわすそれ本当でごわす」
「マジかよやっべーーー」
「ええい黙れ黙れ黙れ」
レジェンド5の話題が出てきた事によりパニックになった場が我慢できず豪塚は怒鳴った。
そして豪塚は続けて言った。
「レジェンド5が何だってんだそんな奴に負けると本当に思っているのか」
「・・・・」
「・・・・」
「・・・・」
「・・・・」
「・・・・」
しかし5人は一言も喋らず黙っていた。
すると豪塚は口元をニヤリと笑い言い放った。
「まあその占い師もレジェンド5も俺のこの能力の事は知らないだろうけどよ~」
「!」
「!」
「!」
「!」
「!」
「そうだったリーダーにはあのものすっげー力があるんだった」
「ふっ、まあ僕は初めから分かっていましたが」
「流石リーダー惚れ直しましたわ」
「ごわすごわす何だ何も心配要らないでごわす」
「僕としたことが考え過ぎのようでしたすみませんリーダー」
「まあいいだろう許してやる。その代わり今度あんなふざけたこと言ってみろぶっ飛ばしてやるからな」
「お慈悲をありがとうございます」
するとその時物陰から1匹の黒猫が顔を出した。
この黒猫は朝から何も口にしておらずお腹もぎゅるぎゅる鳴いている。
この黒猫は見てわかるように首輪をしておらず明らかに野良猫だ。
豪塚はまたもニヤリと笑い腹を空かせお腹が鳴っている黒猫の方を見つめながら言った。
「丁度いいお前らに俺の力を改めて見せようじゃないか」
そう言うと豪塚は座っていた材木からすくっと立ち上がり黒猫の方を向いた。
その瞬間何かが黒猫の目の前に現れた。
黒猫はその目の前に現れたものが何かは分からないが黒猫は野生の本能ですぐさま危険を察知し大急ぎでその場から離れるしかし次は自分のお尻の辺りに違和感を覚える勇気を出して後ろを振り返るとそこには今さっき自分の目の前にあったものと同じものが突如として現れた。
その時過去の記憶が黒猫の脳裏をよぎった。
それは自分が野良猫になる前の話。
ペットショップのショーウィンドウから覗いていた自分、自分の目の前を何人も何人も人々が通り過ぎていくそして他の仲間達は次々とパートナーを見つけ旅立っていく、自分は選ばれないまま子猫の自分はすくすくと成長した。いったい自分の何がいけないのだろうそう考えるようになった。尻尾の形が悪いのだろうかそれとも鳴き声が変なのだろうか何が原因だろう何が原因だろうと考えだしたらキリが無い。そんな自分にもついにパートナーが出来る。しかしもう皆様はお気付きだろう自分は今や野良猫つまり自分のパートナーはハズレだったのだ。
それは突然起こった。
「う~んこいつ中々売れね~な~」
ペットショップの店員が言う。
なおここからはこの神である私語り部が猫の言葉を通訳しよう。
決して猫が喋っている訳ではないので勘違いしないように。
それでは続きをどうぞ。
そのペットショップの店員に答えるかの如く猫は鳴く。
「にゃー」(そんなの自分も分かっているんだよ)
「お前このままここの主なる気じゃないよな」
冗談ぽくペットショップの店員が言うと黒猫はそれに答えるよう威嚇した。
「フシャーー」(下らない冗談を言っているんじゃないよ、自分は必ず自分に合うパートナーを見つけてやるからな今に見てろ)
するとそこでペットショップの自動ドアが開き小さなおんなの子とその両親が入ってきた。
「わ~この猫ちゃんすごくかわいい」
「おいおいそんなに走ると転ぶぞ~」
「あらあら元気ね~」
「にゃ~」(あ~いうパートナーだったらすごくいいんだけどな~)
「このワンちゃんもすごくかわいいどうしようかな~」
「う~ん父さんはこのサソリがかっこいいと思うだけどな~」
「あらママはこのハムスターがいいわ」
「もう今日は私のペットを買いに来たんでしょプンプン」
「悪かったよ~。そうだな今日はお前の好きなペットを買いに来たんだものな」
「ママも悪かったわごめんなさいね。つい張り切っちゃって」
「うんじゃあもう一度見よう。わ~」
黒猫は思った、もしかしたらこの家族なら自分をパートナーに選んでくれるかもしれないそんな期待が出た。
そしてその小さな女の子が黒猫の前にやって来た。
「う~んよし決めたこの猫ちゃんがいい」
「え?」
「どうしたんですか店員さん家の子が何か変な事を言いましたか?」
「いえそう言う訳では無いのですがおじょうちゃん本当にその猫がいいの?」
「うんダメ?」
「いえそこはお客様の意見なのでダメという訳ではないんですが・・・」
「いったいなんなんだ訳を聞かせてくれ」
「にゃーにゃー」(そうだそうだ邪魔するんだったら訳を言え)
責められる店員は意を決して言いました。
「実はですねこちらの黒猫、黒猫であるだけでも不吉なのに、尻尾に髑髏のマークがあるんですよ」
「む!ホントだ」
「にゃにゃにゃー!」(本当だこれのせいで今までパートナーが見つからなかったのか全然気付かなかった!)
「その尻尾がいいんだよだってかっこいいじゃん」
「お父さんもその意見には賛成だがあや本当にいいのか」
「にゃー」(どうやらこの女の子はあやという名前らしい)
「いいのあやね、この子がいい」
「う~ん」
「パパ、あやがいいと決めたんだから私達はそれを受け入れましょう」
「そうだな実は父さんもその猫気に入ってたんだ」
「わ~いありがとパパママあやね、絶対大事にする」
黒猫は最初何が起きたか分からなかった。これは夢か幻か何なのか、自分だけではなく店員も信じられないという風に驚きを隠せていなかった。それでもこれは現実こんな不吉な自分をパートナーに選んでくれたのだこんなにいい家族が、ようやくこれで自分は救われる。
と思っていたがこの直後黒猫にとっていよいよ最悪のハズレの客が来る。
その者は客と言ったが客などではない。
その最悪の客の名は豪塚武だった・・・・・・・。
店員が今まさにあやちゃんの両親と黒猫の支払いを済ませようとしたその時だった。
店の入口から怪しい人物達が突入した。
「強盗だ金を寄こせ」
「何だ何だ」
店の中はざわつき始め客の中には悲鳴を上げる者もいる泣きじゃくる子供もいる。
「わかりましたとにかく落ち着いて話をしましょう」
店の奥から店長が犯人を刺激しないように話をしてきた。
強盗犯の数は5人、全員仮面を付けているため顔は分からない。
その中には女性もいた。
「にゃー」(何だこの状況)
するとサイのマスクを被って左手に拳銃を持った豪塚は言った。
「さ~てじゃあお楽しみの人質を誰にするか決めるかー」
「それならば私が人質になろう」
店長が豪塚の前に現れ発言した。
しかし豪塚は拳銃の引きがねを引き店長の左足を撃った。
店長は吠え、客は絶叫する。
「ぐおおおおお」
「「「「「きゃあああああ」」」」」
「嘘だろ撃ちやがった」
すると豪塚は怒りに震えながら店内に響くように言った。
「誰が勝手に動いていいと言った。それに人質を勝手に決めんじゃねえ楽しみが無くなるだろうが」
すると店内にいる客はその事を聞いて絶句した。
楽しみ?楽しみと言ったかこの男は、誰もがそう思った。
すると豪塚は黒猫の方を見ている女の子に目を付けた、そうあやだ。
豪塚は素早くあやをその腕に抱き左手に握っている拳銃をあやの頭に押し付けた。
「よしこいつに決めた」
もちろんあやの両親もそのまま見ているのでは無く。
「あや、あや~くそー人質なら俺がなるだからあやをはなしてくれ」
「そうよ私も人質になるはだからあやお願い解放して」
「だから勝手に決めんじゃねえよ。おいキッス、ゲゲゲそいつら黙らせろ」
「分かったわリーダー」
と狐のマスクを被った女があやの母親の前に立ち止まり。
「分かったでごわす」
と狸のマスクを被った太った男があやの父親の前に立ちふさがった。
「よしこれでいい」
「ね~おじちゃんこれよく分からないけど悪い事だよね~悪い事しちゃいけないんだよ」
「ほ~!」
あやはこんな状況にもかかわらずそんな事を言い、そんなあやの言葉に豪塚は感心した。
あやの両親は勿論のこと他のお客や左足を撃たれた店長や店員もあやを心配した。
「ね~おじちゃんどうしてこんな悪い事する何か理由があるの?」
「ふ~ん聞きたいか?」
「うん」
このあやの発言で店内にいる者たちはチャンスと捉えた。
これは理由によっては交渉の余地があるかもしれない、だが1つ何かが引っかかり不安もある。
「俺には家族がいる。ありきたりだがそいつらを食わせていかなきゃならねえんだ、でもこのご時世仕事は上手くいかずよ~するに疲れちまったんだ俺は・・・・・・」
すると店員が言った
「でしたらこのお店で働くというのはどうで」
「なんてな」
「え?」
「嘘だよ嘘俺に家族何ている訳ねえだろう強盗をしている理由?そんなの楽しいからに決まってんだろうが、あひゃあひゃひゃひゃひゃひゃひゃ」
「もう嘘もついちゃダメ」
客達の悪い予感は当たったそもそも人質を楽しみで選んでいる奴にろくな奴がいないのだ。
「もうおじちゃん本当に悪い事しかしないんだからプンプン」
「おじょうちゃんいい加減黙らないと怒るよ」
その時豪塚の目が少しの間だけ目が赤く光りサイのマスクの目の部分が赤く光った。
しかしそれを見ていたのはあやだけだった。
「あっ!おじちゃん今目が」
「目がなんだって」
その時豪塚の左手の方から何かが飛び出してきた。
「にゃー」(自分の事を忘れてもらっては困る)
そのまま豪塚の左腕を爪で切りつけて拳銃を落とさせた。
「ぎゃーこのくそ猫」
「猫ちゃん!」
攻撃を加えたその後も豪塚の体にしがみついて離さない黒猫。
それを必死に振り落とそうとする豪塚。
「離せ離せこのくそ猫」
「にゃあにゃーにゃーにゃあごフシャー」(自分はようやくパートナーを見つけたんだお前なんかに自分の新しいご主人様を傷つけさせやしない)
そんなやり取りを繰り返したのを見ていて豪塚の仲間達が言った。
まず犬のマスクを被った黒いジャンパーの男が言う。
「ガンズリーダーそんな猫ほっといて逃げましょうぜ」
続いて鳥のマスクを被った煌びやかな恰好をし胸ポケットにバラを忍ばせている男も言う。
「リーダー撤退も必要な事ですよ」
そしてキッスと呼ばれる女とゲゲゲと呼ばれる男も順番に口を開いた。
「ガンズリーダーもう警察もきますわ。早く撤退の準備を」
「ごわすごわす逃げるでごわす」
「ちっ、しゃーねえ」
そう言うと豪塚はあやを離し黒猫がくっついたそのままの姿で逃げ出した。
その事を遠くから見ていたあやの両親は一目散にあやを抱きしめにいった。
「あや、あや良かった本当に無事で良かった」
「ママも、もしあやの身に何かあったらと思うママはママは・・・・」
2人ともあやを失うかもしれない恐怖とあやが無事だった事に目に涙を浮かべた。
あやも泣いていたが両親とは違う事で泣いていた。
「うえ~ん猫ちゃんが猫ちゃんが」
「あ~そうだなあの黒猫はきっとあやを守ってくれたんだろうな」
「そうねあの黒猫ちゃんはあやにとってのヒーローね」
「あのねママパパ私、あの猫ちゃんじゃなきゃやだ」
「そうは言ってもあの黒猫はあの強盗犯と一緒にどっかに行ってしまった」
「そうよあや」
「でもでもでもー」
また泣きそうになるあやを見て両親は考え答えを出し店員へと声をかけた。
まず父親が声を出す。
「店員さんすみませんこんな状態だと分かっているんですが、あの黒猫の写真があったら譲っていただけませんでしょうか」
それに続いて母親も声を出す。
「お願いしますお金は払いますから」
「そう言われましても・・・・・・」
「私からも頼むよ」
「ててて店長!足は大丈夫なんですか」
「私も見ていたその女の子の度胸、そしてあの黒猫の勇気、それに比べて私は店長でありながら何も出来なかった。そちらの女の子のご両親がたにも何もできずにいた事本当に申し訳ございませんでした」
店長は深々と頭を下げ謝罪した。
そんな店長を見て店員も土下座の恰好で頭を下げた。
「そんな、店長は勇敢に立ち向かってくれたじゃないですか、それに比べて私は恐怖で足が動かなかった私の方がよっぽどクズだ。お客様このたびは大変申し訳ございませんでした」
そんな2人を見てあやの両親は怒らずに言った。
「頭を上げてください2人共、店長さんは彼の言う通り勇敢に強盗犯に立ち向かって下さったじゃないですか」
「そうですよそちらの店員さんはまだ私達よりも若いんだから命を粗末にするものじゃ無いわ」
「なんと素晴らしい方々。分かりました写真を用意しましょう店長」
「あ~、それとですねその猫の写真とその猫のお金は要らないから」
「え!店長いいんですか私も同じ意見なのですが本当によろしいのですか?」
「いいですとも私達を心よく許してくれ、そちらのおじょうちゃんは強盗犯に勇敢に立ち向かって下さったじゃないですかこれは心からのお礼です。勿論これでも足りないと言うのでしたらこちらから他のお礼もさせて貰うつもりです」
「いえここまでして下さった上にまだお礼をせがむつもりはございませんよ」
「ええその通りですわ」
そう言ってあやの両親達は店員から写真を受け取り泣いているあやへと言う。
「あや、この写真を使ってあの黒猫を探すポスターを作ろう。見つかるのは何年先になるかもしれないでも何もせずにいるよりよっぽどいい」
「そうよあや、頑張って猫ちゃん見つけましょう」
「うんわかった私猫ちゃん探す」
そのやり取りを見ていた店長と店員が言う。
「ならば我々も協力します。そのポスターうちの店やご近所にどうぞ貼ってください」
「勿論我々も情報が入り次第そちらに連絡します」
あやとあやの両親は店員と店長に感謝を言葉にし、警察が事情聴取している所を避けて外へと出ていった。
一方その頃、肝心の黒猫はと言うと。
話は豪塚達が逃げた所まで遡る。
黒猫が体にしがみついたまま豪塚は待っていたもう1人の仲間が中で待機していた車に乗り込んだ。
運転席には猫のマスクを被った緑色のジャージを着た男が座っていた。
車は6人全員が余裕で乗れるワゴン車だった。
車の状態はエンジンは掛けていていつでも出ることのできる状態だ。
車や乗るやいなや豪塚は一言。
「出せ」
「はい分かりました」
運転手は返事をし車を発進させた。
車の窓からデパートやコンビニなどが次々と過ぎていくのが見え豪塚はそこで一息付く。
「さて落ち着いたはいいがこのくそ猫をどうするか」
「連れてきたのですかリーダー」
体にしがみついている黒猫に対しどうするか豪塚が悩んでいたらキッスがそう言った。
キッスは考えたこの猫はもしかしたら始末されるかもしれない猫好きのキッスは例え自分達の計画を失敗に追い込み自分が愛する豪塚に傷を負わせても始末されるのは嫌だと思った。
「リーダーこの猫に傷を負わされたでごわす」
「ちっ全く今日に限って半袖を着ていたのが仇になったぜ」
そう言って豪塚は自分の左腕にできた傷を忌々しく見ながら乱暴に黒猫を引きはがそうとしていた。
「ちょちょっとリーダーそんなに乱暴にしなくても・・・・」
「なんだキッス、だったらお前が何とかしろ」
「分かったわよ」
キッスは豪塚から猫を引きはがすのではなくまず頭を撫で声を掛けた。
「大丈夫よ怖くない、いい子ね~よしよし」
「にゃー」(この女は優しいんだが気を抜く訳にはいかない)
「むう、じゃあこれならどうだ」
キッスは今度は黒猫のお腹周りを撫でまわすように触った。
「にゃあご」(これはいい気持ちだ、力が抜ける)
そう一声鳴いて黒猫はまるで力尽きたかのように豪塚から離れた。
「お前すげーな俺が力を入れて引っ張ったのにびくともしない奴をこんなに簡単に・・・」
「そんなガンズリーダー褒めないで下さいよ」
キッスは顔を赤くし腰をもじもじと小さく振った。
そんな中、車はどんどん昼だと言うのに人気が少ない場所に来た。
「もう直ぐアジトだな」
「手袋していたけど一応ガンズリーダーが落とした拳銃回収してきたよ」
「サンキューひまわり」
煌びやかな恰好をした男に豪塚は礼を言う。
車の運転をしているキーボードと呼ばれる男が皆に尋ねる。
「皆、僕はお腹が空いたからアジト近くのコンビニで何か買ってきたいんだけど」
「まあ流石に今日はもう強盗する気分じゃないしな別にいいぞ」
「ごわすごわすお腹が空いたでごわす」
「う~ん僕もコーヒーが飲みたいな」
「俺も腹が減ったぜヒャッハー」
そこで豪塚はポツリと小さい声で言った。
「ついでにこのくそ猫を始末する道具も買うか」
「え!」
「どうしたキッス何だか顔が青いぞ」
「え、はい」
「全く顔が青くなったり赤くなったり忙しい奴だな」
その時キッス脳内で2つの事が浮かんだ。
自分の顔を見られていて嬉しかった事とやっぱり猫を始末するんだという最悪の真実。
ここからはキッスの脳内です。
脳内で体をもじもじさせているミニキッスがいた。
ミニキッスはもじもじしながら独り言を言った。
{え~豪塚様私の事そんなに見ていてくれたのすっごく嬉しいこれはもう結婚じゃない!}
するとそのもじもじしている脳内ミニキッスにツッコミを入れるもう一人のミニキッスが言った。
{アホ!そんな事よりも猫ちゃんの心配でしょうが!}
これからはもじもじしている方をモジキッスと呼び、ツッコミしている方をコミキッスと呼ぼう。
コミキッスの反論にモジキッスは言った。
{そんな事は無いでしょうそんな事は、貴方だって同じキッスでしょうじゃあ豪塚様が私の事を見ていたのにリアクションを一切取らないの?}
{それとこれとは話が別、こっちは命が掛かっているのよ}
{でもその事を豪塚様に言ったらきっと後悔するわ}
モジキッスからの反論を受けう~んと悩みながらコミキッスは頭を抱える。
{そうよね猫ちゃんを私が飼うなんて言ったらきっと断られて嫌われるわよね~}
{そうよ豪塚様に嫌われたくないでも猫ちゃんも助けたいこの2つの願いを叶えるために考えるのよ私!}
「おいキッス着いたぞ」
その一言でキッスは脳内から現実へと戻る。
「へ?」
「へ、じゃねよさ先行っているからな鍵を閉めて来いよ」
再び脳内。
{{ここよーーー}}
2人のミニキッスが声を合わせて言った。
{ここしか無いわ!}
{ええ、ここしかチャンスは無いわ}
{{皆がいない間に猫ちゃんを逃がすのよ~}}
再び現実。
キッスは脳内で決めた事を実行するべく後ろで丸くなっている黒猫に近づく。
「にゃー」(何だせっかく寝ていたのに起こしやがって)
「ごめんね猫ちゃん寝ていたのに起こしちゃって」
キッスは寝ていたのに起こされた黒猫がもう少しで引っ掻く所をかわした。
キッスは「あっでも引っ搔かれたら豪塚様と間接引っ掻きになっていたかも」と少々ヤンデレな事を考えていた。
そんな事を考えていたキッスだったが頭をブンブンと振り回し本題に入る。
「猫ちゃん言っても分からないかもしれないけど豪塚様はあなたを殺すつもりよ」
「にゃーあ!」(マジでか守る為とはいえちょっとやり過ぎたか)
「だからねペットショップから出たばかりのあなたにこんな事言いたくないんだけどここから逃げて」
「にゃー」(マジか宿無しか自分)
「私は今あなたにひどい事を言っているわ。だってペットショップ暮らしで狩りもできないあなたに野良猫になれと言っているもの」
「にゃー」(姉さんそんなに悲しい顔しなせいでくだせい)
そう鳴くと黒猫はキッスの元から離れていった。
「そう分かってくれたのね。さようなら元気でね」
そうして黒猫を見送ったキッスは車の鍵を閉め皆が待つコンビニへと向かった。
黒猫はキッスと別れてから1匹トボトボと歩いていた。
「にゃーご」(これからどうしよう取り合えず今日寝るところ探そう)
黒猫はキッスと別れたコンビニから少し離れた所にある公園のベンチを見つけた。
「にゃー」(ここがいいここで一晩明かしてまた次の日に色々考えよう)
そして寝る前に色々考えた。自分にパートナーが出来なかった事、それが尻尾の模様が理由だった事、もう少しで自分にも最高のパートナーが出来る所だった事、あの最低男が全てぶち壊した事・・・・。
あいつさえいなければ。
黒猫に初めて出来た怒りの感情しかし黒猫のその感情は睡魔が来るにつれて収まっていった。
その後の黒猫は近くの町に行き、そこで食べ物を手に入れようと奮闘するもことごとく失敗に終わりお腹を空かす毎日そんな黒猫の前に茶色くデカい猫が現れた。その猫はお前にここでの生き方を教えてやると色々教わり黒猫は生活するのに困らなくなった。そんなどこかで聞いたような毎日を過ごしている黒猫に茶色いデカい猫がある言葉を言った。その言葉とは。
「にゃーご」(いいかどんな時でも諦めずに噛みついていけ)
その言葉を思い出し、ようやく現代。
今まさに黒猫の後ろ前両方に何かがある。
「にゃーご」(この状況まずいな下手に動いたらやられる)
黒猫は静かに息を潜めている。
黒猫はこれが豪塚の攻撃だとは思っていない。
黒猫にとって目の前に現れたものはあくまで現象なのだ。
豪塚はそんな黒猫の様子を楽しそうに見ながら少し怒りの感情で言った。
「そういえばこの左腕の傷もあんなくらいの黒猫だったな」
「!」
その言葉を聞いてよくその黒猫を見たら尻尾の模様からあの時の黒猫だとキッスは分かった。
キッスは豪塚がその猫が自分に傷を付けた猫だと気づかれると思い冷や冷やした。
「ちっ、あのくそ猫どこに行ったか分からねえがムカつくぜ」
そう豪塚は猫の尻尾など初めから見ていなかったのだ。
豪塚にとって黒猫への印象は所詮なんてその程度のものだったのだ。
その事に気づいたキッスは取り合えず胸を撫で下ろした。
豪塚はつまらなそう左手に持っている銃を構え一言。
「これでチェックメイトだ」
「ちょっとリーダー」
キッスが止めるのも聞かずに豪塚は持っている銃の引きがねを引いた。
(ドン)
すると黒猫は野生の感で銃弾を避けた。
「すげー避けやがったぞあの猫」
その声を聞いてようやく豪塚と黒猫の目が合った。
「フシャーーー」(お前はあの時のーーー)
黒猫は怒りで体の毛という毛が逆立って明らかに豪塚に対して敵意を見せている。
自分をこんな惨めで辛い過酷な生活に追いやった者に会ったのだからこの反応は仕方ない。
更に黒猫はある事に気が付いた。
「にゃあご」(さっきから自分の目の前にある物、アイツが手に持っている物と同じだ)
そうそれこそが豪塚の強盗の欲が与えた能力なのだ。
豪塚武 第1症状 能力名「無限銃器」
豪塚が指定したポイントに能力で作った銃器をいくらでも出せる。出し方は銃口がワームホールみたいなものから出るものや手元に銃器を無限に出す事も出来る。これによりどんな場所にでも銃口を無限に構える事が出来、強盗をするさえ警察を含むその場にいる全員に銃口を向ける事が出来るため彼にとってはその場にいる全員が人質になる。勿論銃器は能力で作られているが本物と威力は変わらない。なお引きがねは遠隔操作で引くことが出来る。
この能力があるから警察も豪塚達を捕まえる事はおろか新人警察に至っては目の前で起こっている事が理解できず気絶してしまう事もある。
いくら「エレニウム」が見つかったこの時代においても実際に目にするのと聞くのとではやはり違うらしい。
そんな説明をしている間にも黒猫は次の一手を考えていた。
「にゃあご」(何だったんだ今の攻撃は確かあの時店長に向かって攻撃していたよな)
過去の記憶を呼び覚まし店長の事を思い出す。
「にゃー」(たしか店長はアイツと話そうとして気づいたら店長の足から血が・・・・)
その事を思い出し黒猫は青ざめる。
何て恐ろしい物だ、何て物をアイツは持っている!
黒猫は改めて自分の危機に気づく。
アイツが持っているその恐ろしい物がどういう訳か今自分の目の前と真後ろに形は違えどある。
このままでは自分は確実に殺される。
「にゃ~」(どうにかしてここから逃げなきゃ)
豪塚と黒猫はお互い沈黙しながら相手の出方を見ている。
不意に豪塚が沈黙が耐え切れなかったのか豪塚は欠伸をした。
黒猫はその隙を見逃さなかった。
「にゃー」(今だー)
黒猫は後ろに逃げずにあえて前に走った。
豪塚は黒猫が前に来るとは思わなかったので、驚いてその場で固まった。
5秒間じっとしていた豪塚が意識を戻し黒猫へと手に持っている銃の引きがねを引いた。
(ドン)
しかし弾丸は黒猫を大きく逸れて明後日の方向に行った。
豪塚は怒りの感情を露わにした。
その様子を見ていた他の5人がそれぞれ声を出した。
アッシュ「マジパネー猫だ」
キーボード「一般の猫の動きじゃありません。すぐデータを取らなくては!」
ゲゲゲ「凄いでごわす凄いでごわす」
ひまわり「ワーオ僕も目を疑うほど凄い光景だね~」
キッスは小さい声で「良かった猫ちゃん無事で」
「にゃー」(どんな問題)
と挑発するように黒猫は後ろを振り返り高々に鳴いた。
しかしその行動が余計だった。
その挑発を受け豪塚の怒りはマックスになった。
「このくそ猫もう許さねぇ」
初めから許さなかったじゃないかと言う皆の意見は置いといて。
豪塚は持っている銃を構えると同時に黒猫の真後ろに銃を出現させた。
「にゃあ」(やばい早く逃げなきゃ)
自分の危機に改めて気づき猫は全力疾走した
豪塚も負けじと黒猫の四方八方に銃を出現させ発砲した。
(バン)
(パン)
(ドドドド)
(キュイーン)
複数の銃声がその場に広がった。
その時1つの弾丸が黒猫の足をかすった。
「にゃーーーーーーー」(ぎゃーーーーーーーーー痛い)
それを見た豪塚はまるで宝くじの1等が当たった時のように喜んだ。
「いよっしゃーーーーーー参ったかくそ猫め」
片足を引きずりながら歩く猫を見ながら豪塚はにやにやしながら黒猫に近づく。
「ざまねえな、くそ猫今楽にしてやるよ」
その光景を見ていたキッスはついに我慢できなく言葉を発した。
「リーダーもういいじゃないですかリーダーの強さはもう分りましたしそれにその猫ちゃ・・・猫に貴重なリーダーの体力を消耗させる訳にはなりません」
「そうっすよガンズリーダーそんな猫殺した所でどうなるんですか死体の後始末が面倒になるだけですよ」
「僕もこの場でその猫を殺すのは得策でないと考えます」
「ごわすごわすゴン蔵も殺すのは嫌と言っているでごわす」
「う~ん僕もそんな後味悪い事は嫌だねー」
キッス以外の4人もそれぞれ猫の生存を望んだ。
やはり皆誰も傷つけたく無い根は優しい連中なのだ。
それに比べてこの豪塚武と言う男は何だろうね~。私でさえ嫌悪感を覚える人物だというのに、キッスは一体どこに惚れたというのだろうか。早く痛翔オレにぶっ飛ばされればいいのに・・・おーっと失礼しましたつい愚痴をこぼしてしまいました。それでは物語に戻りましょう。
その5人の説得を聞き少し反省したように豪塚は口を開いた。
「分かった悪かったよ。俺も頭に血が上りすぎていた頭冷やさねえとな~」
「ガンズリーダー(ほっ)」
キッスはその言葉を聞いて今度こそ安心だとホッとした。
「おいくそ猫命拾いしたなお前の負けだ何処へでも行ってくたばってこい」
「ふにゃーご」(畜生畜生この恨み絶対忘れないからなー覚えておけよ)
そう言って黒猫は闇へと消えた。
「まあそういう訳だ俺がいれば警察もレジェンド5も敵じゃあねえ」
「はいガンズリーダー信じてますわ❤」
「ごわすごわすリーダーは強いでごわす」
「僕も普通の人間がリーダーに勝つのはまず不可能だとデータにも出ています」
「そうっすよリーダーがいれば鬼にグレネードランチャーっすよ」
「う~ん僕のやって来た占い本当によく当たるんだけどな~」
ひまわりだけ何故かまだ不安を漏らしていたが豪塚は取り合えず全員の士気を取り戻せた事に安堵する。
ふと豪塚は1人頭の中でこの能力を手に入れた事を思い出していた。
それは豪塚があのペットショップを襲うより仲間が出来て強盗団になるよりもずっと前の事。
豪塚はいつものように強盗を繰り返していたがその日はへまをやらかし危うく警察に捕まる所だった。
「くそあそこで、へまさえしなければいい所まで行ったのにもっと大きな力があれば・・・もっと強盗をもっともっともっとやらなければ気が済まない」
と豪塚がボヤいている場所は今回豪塚が強盗に入った場所から3キロ程離れた場所にある公園だった。
その公園は滑り台が1つブランコが2つで砂場が1ヶ所の小さな公園で入口出口になりえる場所は全部で2ヶ所、あとは周りを鉄の柵で囲まれている。
先ほどまでその公園に小さい子供の年で言うと8歳位の子とその母親がそこに居たが豪塚が来るやいなやそそくさと帰って行ったが豪塚はそんな事は気にせずブランコに腰かけている。
もう時間は夕方になりつつあり日も暮れてきている。
そんな夕暮れ時だというのにふと豪塚が前を見るとそこに小学校低学年位の女の子が豪塚を見てくすくすと笑っていた。
小学生の恰好は髪型は大きな白い帽子で分からないがその白い帽子と合わせたようにこちらも真っ白なワンピースを着て赤い靴を履いている。
その女の子に向かって豪塚は鬱陶しそうに言う。
「お嬢ちゃん何がそんなに可笑しいか分からないけれど今俺は機嫌が悪いんだ、悪い事は言わねえさっさと家に帰ってママのお腹にでもタックル食らわせてこい」
と豪塚が女の子が帰るように発言したがその事を無視するように笑いながら豪塚に話しかけてきた。
「うふふ、おじちゃん今と~っても困っているでしょう」
「はっガキが何を言うと思ったが、そんな下らねえ事を言うくらいだったらさっさと家に帰れ」
「むう!おじちゃんまた帰れって言う」「まあそんなあなただから私が気に入ったんだけどね」
?。
その時豪塚は不思議に思った。自分の周りを見てもそこには豪塚と女の子しかいないはずなのに、第3者の声が先ほど聞こえたのだ。それはもちろん豪塚の声では無いし、豪塚の前にいる女の子の声でも無くもっと年上で妖艶なお姉さんのような声だった。しかし何度周りを見てもそんな年上なお姉さんなんか見つからず声の謎は深まるばかりだった。その直後その謎は突然解明するのだった。
「あら~私の事必死に探してくれてる所悪いんだけれど私はさっきからあなたの目の前にいるわよ」
!。
豪塚は声のする方を向いて驚いた。
先程までガキ臭い喋り方をしていた豪塚の前にいる女の子の口からその妖艶なお姉さんの声が流れていた。
「どどどどういう事だ。さっきと声が全然違うじゃねえかガキ!」
「あら~そんな事気にしちゃって可愛い僕ね~」
「ふふふふざけんじゃねえ俺様を脅かそうたってそうはいかねえぞ」
「もうそんな事はどうでもいいじゃない」
「おい遊んでんじゃねえ」
!。
豪塚はついに頭がおかしくなったのかと思った。
そんなはずは無いと何度も考えた。
ここには確かに豪塚と女の子しかいないただでさえ女の子の声が別人の声になっているのにその上また新しいそれも妖艶なお姉さんでもガキ臭い女の子の声でもない別の声が聞こえた。
しかも今度の声は豪塚の前にいる女の子ではなく女の子の頭の辺から聞こえた。
今度の声も子供の女の子の声で例えるなら喧嘩早いボーイッシュな子。
「てめえ一体何がしたいんだ俺の頭を爆破したいのか、それなら良かったなー俺様の頭はもう爆発寸前だよ」
「あら~それはごめんなさいそんなつもりは無かったんだけれども」
「うるせーーーーその「あら~」っていうの止めろ」
「あら分かったわ」
「たくっ」
豪塚は気味が悪いその女の子から離れてすぐさまここから逃げ出そうとブランコから腰を上げたその時だった突然豪塚の前にいる女の子が豪塚の目の前まで来て言った。
「ごめんなさいね。余計な事で時間を取ってしまって、これから本題に入るわ」
「本題?」
「あなたさっき力が欲しいって言ったわよね」
「おっおっおおおう」
豪塚は先ほどまでのふざけた感じでは無い女の子の喋りを聞いて動揺した。
「あげるわあなたに力を」
「なんの冗談だ?」
「冗談じゃないわ、あなたのその面白い欲が私にそうさせてるの」
「欲?」
「そうあなたのその「強盗の欲」が素晴らしく面白いから私も彼女もあなたに与えると決めたの!」
「彼女?」
「さっきあなたが聞いた私以外の声の主よ」
豪塚は先ほど聞いた喧嘩早いボーイッシュな子の声を思い出し豪塚は質問した。
「でそいつはどこにいるんだ?」
「おじちゃんには見えないよ」
「こいつ声をまたガキんちょに変えやがった」
「あらこっちの方がいいかしら」
「ちっもういい、で力は何時くれるのかな~」
「もうあげたわ。いえ正しくはうつした(・・・・)と言った方がいいかしら」
「は?何の事だ」
豪塚は意味が分からず考えたその時豪塚の目が赤く光りパワーが漲ってくる。
「うおー何だこの凄まじいパワーは?」
「やった成功したわ。普通なら自我を失うのだけれどもあなたの欲に賭けてみて正解だったみたいね」
「それは俺様を実験動物にしたって事か!」
「喜びなさいあなたが私以外の2人目の第0症状を超える可能性がある者よ!」
「人の話を聞け!でもこの力があれば今までよりも、もっと強盗がしやすくなる感謝するぜ嬢ちゃん」
「あなたこそ人の話は最後まで聞きなさい。あなたの力はまだそんなものじゃないわ」
「どういう事だ?」
豪塚は疑問に思い先ほどまでの興奮を抑えて尋ねた。
「もっとすごい力が手に入るのか?」
「今のあなたのその状態を第0症状と言います。そしてその次の段階を第1症状と言って第1症状になったらあなたに備わっている欲に関連する特別な能力が手に入ります」
「能力だと!」
「はい、けれどもそんな簡単に手に入ると思わないでくださいね。第1症状は欲が原因で能力をその人に授けるためその欲が人一倍大きくなければ能力は生まれません。あと同じ欲の能力は生まれる事はございませんので早い者勝ちになりますわね~」
豪塚は最後の方が何か軽かったが自分に出ているこのパワー見てこの女の子が言っている事は嘘じゃないと確信し、今度こそその公園を後にするため2つある出入り口の近い方へ向かって歩いていく。
「あらもう行くのね」
「ああ、お前の話を100%信じた訳じゃねえけどこのパワーを見る限りお前の言っている事が嘘じゃないって事も分かった。能力手に入れてやろうじゃねえか!」
「その調子でかんばって精々私達に面白いものを見せて頂戴」
「けっ、最後まで偉そうだな。ま~ありがとよじゃあな」
「あら~気を付けて帰るのよ」
「おじちゃんじゃあね~」
「つまんない結果だったらただじゃあおかないからなー」
豪塚を送る3つの声。1つは妖艶なお姉さんの声、2つ目は小さい低学年の女の子の声、そして3つ目はこれまた小さい女の子で喧嘩早いボーイッシュな子のような声を聞き豪塚は公園を後にした。
ここで豪塚の回想は終わり現代へ。
豪塚は眠たそうに目をこするとぼそっと言った。
「あの女のガキから貰った力何だよなそう言えば」
「ん?リーダーどうしましたか?」
アッシュが突然黙り込んで突然喋りだした豪塚の事が気になり豪塚に声を掛けた。
「ななな何でもねえよそれより早く寝るぞ今度強盗する予定の銀行の下調べを明日もするんだから」
「はいリーダー明日に向けて早く寝るっス」
とアッシュ。
「そうですね頭を休める事も重要な事」
とキーボード。
「私は寝る前にお風呂に入ってくるわ」
とキッス。
因みにお風呂はここの倉庫に元からある作業員用のお風呂があり壊れていたそのお風呂をキーボード達が治して今はそこを使っているのだ。
「ごわすごわすゴン蔵と一緒に寝るでごわす」
とゲゲゲ。
「やれやれキッスにお風呂先に取られちゃったか」
とひまわり。
5人がそれぞれ寝る準備をしている中1人豪塚は考えていた。
{あの女のガキ何が目的かは知らねえが俺を何かに利用するつもりならそれでいい俺様もこの力を好き勝手使ってやる}
と豪塚は思いにやにやしながら寝床に着き寝る準備を始める。
場面変わってあの黒猫はどうなったかと言うと・・・・
「にゃー」(くそー痛えー)
黒猫は先程居た倉庫を離れ倉庫から離れた公園を片足を引きずりながら歩いていた。
「にゃあご」(くそー逃げたのは尺だがきっと逃げる判断は正しかった筈だ)
黒猫は悔しそうに一鳴きし、真っ黒な公園を歩いていく。
公園は昼間とはまるで別な顔を見せており、昼間は子供達が楽しそうに遊ぶ遊具も今では暗い空間にただ佇っている物体にすぎない。
滑り台は子供では無く風に揺れ落ちた木の葉を滑らせ、ブランコは人間の動力では無く風の力で揺れて、砂場は昼はあんなに暖かかったのにそれが嘘のように冷やがり寂しい風景となっていた。
そんな中を黒猫は1匹寂しく痛々しい片足を引きずりながら歩いていく。
なぜ自分はこんな事になっているのだろう何か自分は悪い事をしただろうか?。
考えれば考える程自分の人生は酷いものだと黒猫は痛感するのだった。
黒猫は思った、あ~神様自分はもうこれでもかという程不幸ですいえ不幸と言う言葉も生ぬるいですどうか一生のお願いです自分に最高で無くともいいです。どうかささやかな幸せを下さいと神に黒猫は願った。
黒猫が神に祈っている瞬間いきなり黒猫の目の前に眩しい光が差した。
そこには光の奥から3人の人影が見えた。
黒猫は嫌な予感がしたもしかして先程の奴らが自分を追ってきたのではないかと思い唾を飲んだ。
「にゃー」(この世には神も仏もいないのかー)
そうやって黒猫は諦めの一鳴きをした所だった時に声が聞こえた。
「あーあの時の猫ちゃんだ本当にここにいたよパパママ」
「あ~あや本当にあの占い師の言った通り居たね」
「ほんとほんとママビックリしちゃったわ」
黒猫は状況がいまいち吞み込めなかった。
「にゃあ」(何であの時の女の子?年を取っていまいち分からないが、とその親が今目の前に居るんだ)
そうそこに居るのは何を隠そう昔黒猫を飼おうとしていたあの家族。しかし飼う寸前の所までいって豪塚達によりあの事件が起きその家族と黒猫は離れ離れになってしまっていた。それが今偶然にしては出来過ぎている奇跡によって再開したのだ。
黒猫は信じられないものを目にするかの様に痛々しい片足を引きずりながらその家族に近づいていく。
するとその家族の父親が黒猫の異変に気付く。
「ん?あや、あの黒猫片足から血を流しているぞ」
「本当だどうしようパパママ!」
家族の娘である「あや」は今にも泣きそうになりながら母親と父親の方を見る。
すると今度はあやの母親が黒猫の方に近づき黒猫を優しく抱きかかえあやに言った。
「大丈夫よあやこんな怪我すぐに治るわ」
その言葉に便乗するように父親も言う
「そうだよあやここは医療市、こんな怪我数分もしないうちに治るよ」
「でもこんな時間に病院やっているかな~?」
「だから言ったろーここは医療市、病院なんて夜勤の人がいてどこも24時間営業さ」
そうこの医療市は全ての病院がまるでコンビニのように24時間営業なのだ。日勤と夜勤それぞれ優秀な医者とスタッフが交代で勤務している。その理由としては医療市は最先端の設備や治療法がある為他の市からも注目が高い為、時間が遅くなったり医療市に来るのが困難な人の為のサービス。
黒猫はあやの母親の腕の中で落ち着いている。
「にゃあご」(しかし何故自分はこの家族と再会できたのだろう)
黒猫が疑問に思っているのもいず知らずあやの母親は黒猫を抱っこしたままそのままスタスタとあやとあやの父親と公園の出口へと歩いていく。
そして公園の出口付近に停めてある車に乗り込んだ。
車に乗ってエンジンを掛け車を発進した所であやの父親が話す。
「いや~それにしてもあの占い師は本物だな」
「うん本当にすごいよね~占い師さんの言う通り猫ちゃんが今日あの場所で見つかったもの」
「え~わざわざ遠出して占い師さんの所に行って正解でしたねあなた」
「そうだなテレビで有名な占い師だから最初は胡散臭いと思っていたんだが・・・蓋を開ければもうビックリ私達がいくら探しても見つからなかったこの黒猫を見つかる場所と日時まで教えてくれたんだから」
そう言って父親は車を法定速度ちゃんと守って車を飛ばしていた。
車が信号の赤で止まったその時黒猫は感心するように鳴いた。
「にゃあご」(成程そういう訳があったのかだったらその占い師には感謝だな)
腕の中に黒猫を抱き助手席に座っている母親が語る。
「でも占い師さんだけじゃなく色々手伝ってくれたペットショップの店長さんや店員さんそれからご近所の皆様にも猫ちゃんが見つかった報告と感謝をしなければならないわね」
「うん私もお友達のよっちゃんやたけ君達にお礼言わなきゃ」
「あやの友達が一生懸命探してくれた時はお父さん感動しちゃったな~」
父親が思い出し目に涙を溜めた所で黒猫が一鳴き。
「にゃあ」(そうかそんなにたくさんの人が自分を探してくれたのか)
「しかしこの黒猫の尻尾の模様店員さんは不吉だと言っていたがこの模様のお陰で他の猫と区別が出来て探しやすかったんだよな。案外この黒猫めちゃくちゃラッキーなんじゃないか」
「にゃあごにゃあ」(確かに言われてみればそうだこの模様のせいで中々パートナーは見つからなかったがこの尻尾の模様のお陰でまたこの家族と再会できたんだ)
そう分かった黒猫だったが少し複雑だった。
ではこんなつらい目に会って傷までできてこれが幸運かと言われたら絶対違うこれは悪運だと黒猫は思のだ
った。
因みにこの黒猫の悪運はこれだけではない黒猫自身は気付いていないが先程の豪塚との闘いで既に悪運は出現していたのだ。それは黒猫に豪塚が弾丸を連射していた時いくら黒猫が野良の感を持っていたとはいえあれだけの数の弾丸をかすり傷だけで乗り切るのは不可能。では豪塚が手加減したのかと言えばそうでは無い豪塚は間違いなく黒猫を本気で殺そうとしていた。しかし豪塚はその時寝不足で寝起きだったためうまく標準が定まらなかった。あの時仲間達に会話している時もずっと眠たかっただからいつもよりもイライラして声を張り上げていた。回想していた時も油断すればそのまま眠る状態まできていたのだ。無理やりな理由かもしれないが事実だから仕方ない。
そうこうしてる間にあや達の車はある動物病院の駐車場に着いた。
「はい着いたよ~もうちょっとの辛抱だからな我慢しろよ」
父親がなだめる様に黒猫の頭を撫でながらそう言った。
母親が黒猫を抱っこしながら受付に行く。
すると病院の受付の女の人が母親に話しかける。
「本日はどの様なご用件で?」
「実はこの子が片足を怪我してしまって」
「あら痛そうでちゅね~でももうちょっとの辛抱ですよ」
「にゃ~」(こいつ舐めてんのか自分の足、痛いどころじゃねえんだよ)
「あらお姉さんに返事してくれたいい子でちゅね~」
「ふにゃーご」(その喋り方止めろあとお前お姉さんって年じゃねえだろう)
その黒猫の言う通り受付の女性は確かにお姉さんという年では無い私が推測するにこの女性の年齢は・・・・はっ何か言ってはいけない圧力を感じるバカなこの私に意見できるのはあの2人だけでも厄介だというのに・・。
おほん、取り乱してしまってすみませんが諸事情によりこの女性の年齢を言う事はできません。決して私がこの正体不明な圧力に屈した訳では無くあくまで他人の年齢を勝手に言う事は失礼だと思ったからです。
まあともかく黒猫を抱いているあやの母親は受付を済ませ待合室であやと父親と一緒に呼ばれるのを待っているところだ。
あや達は自分達が呼ばれるまで話をしていた。
「ね~パパこの猫ちゃんの名前どうしようか」
「ん?パパはもう1個候補があるぞ」
「あらそれは何かしら」
「パパ聞きたい聞きたい」
「にゃー」(ご主人自分も聞きたいです)
「はははこの黒猫も聞きたいみたいだから教えようか」
すると父親はドラムロールを口ずさみ答える。
「ジャンジャカジャカジャカジャン命名「ブレイブ」」
「ブレイブ、すごいカッコいい」
「ええ、あなたかっこいい名前考えたわね」
「にゃあ」(ご主人自分もその名前気に入りました)
父親が出したその名前に皆大絶賛。
父親は更に続けて言う。
「名前の由来ブレイブは日本語で勇者なんだあの事件の時あやを守ったこの黒猫はまさに勇者だという風に俺には見えたんだ」
「勇者か~、うんいいと思う今日から猫ちゃんの名前はブレイブ私はブレちゃんって呼ぶね」
「ママもブレちゃんって呼ぶわ」
「おいおい折角かっこいい名前にしたのにそんな可愛い呼び方にしちゃうのか!」
「にゃあ!」(自分もご主人と同じ意見です)
女子達はブレイブの名前の呼び方で盛り上がり、男子達は女子達の言う事を黙って聞くしかなかった。
あと皆さん察していると思いますがブレイブは雄です。
そうこうしている間にお医者さんに呼ばれ治療室へと家族は入っていった。
そこには若い茶髪で髪の長い女性の看護師さんが立っていてその斜め前に長い白いまるでサンタクロースのような髭をした年を取った男性のお医者さんが丸椅子に座っていた。
このお医者さんの事をこれからサンタ医者と呼ぶことにしよう。
サンタ医者は家族に軽く挨拶を済ませ診察台に目をやる。
そこには先程名前が決まった黒猫ブレイブが片足を痛そうに寝転がっていた。
心配そうにブレイブの様子を見ている家族にサンタ医者は一言。
「この位の傷でしたら1分位で何とか出来ますので安心して下さい」
そう言ってサンタ医者はブレイブの片足の傷をよく見て治す準備に取り掛かる。
サンタ医者の後ろから女性の看護師さんがトレイに何か乗っけて持って来た。
サンタ医者はゴム製の緑の手袋をして準備に取り掛かる。(勿論この手袋にも複製「エレニウム」が埋め込まれている)
トレイの上にはそれぞれ違うジェルの容器が2つそのジェルを塗る為の布が置いてあった。
まずサンタ医者が手に取ったのは黄色いキャップに透明な入れ物の中に「エレニウム」の粉末が入ったジェル。
このジェルは「エレニウム」の生き物のあらゆるものを向上させる特性を利用し作られたジェルだ。これを塗り込む事により生き物の自然治癒力だけを向上させ傷などを跡形もなく早く治すことができる。そしてもう1つの青いキャップに透明な入れ物の中にこれまた「エレニウム」の粉末が入ったジェル2つのジェルの違いはキャップの色だけというほどそっくりで見た目では判断できない。青いキャップのジェルは超強力育毛剤で禿げた頭に塗りこめばたちまちにふっさふっさになる代物。これは「エレニウム」を調整し、毛だけが活性化するように作り変えられた物でこの2つのジェルは医療市でも歴史的大発明と言われる物の1つである。サンタ医者は黄色いキャップのジェルを塗る前に黒猫の足から出ている血を拭き取る為タオルのような白い布を足に当てた。すると見る見るうちに血が収まり止血が完了した。今度こそ黄色いキャップを外しジェルを手の平に十円玉くらい出し黒猫の足に塗り込んでいくするとたちまちに傷が塞がっていきあっという間に足の傷口があった所は毛が禿げた傷1つない綺麗な足になっていた。そこに医者は今度は青いキャップのジェルを丁寧に塗り込んだ。すると今度はものの数秒もかからない時間で黒猫の足は毛がふっさふっさになり余分な毛をばっさり切って黒猫の足は元の状態へと戻ったのだった。
それを見た家族は驚きを隠せないように口々に言った。
「わ~すごいよパパママまるで魔法みたいにブレちゃんの足が治ったー」
「あ~本当に凄いな医療市は医療が発達した市と聞いていたがまさかここまで進んでいるとはなー」
「え~凄いわあなた。それに本当に1分もかかっていないなんて」
「いや~そう言ってもらえるとこちらも治しがいがありますよ。実は簡単そうに見えて結構大変なんですよこの治療」
サンタ医者が言った事に質問するように父親が喋る。
「えっそうなんですか?言ってはいけないと思いますがジェルを塗り込んでいるだけなんで私にもできそうでしたが?」
「はっはっはっそう思うのも無理はないと思います。わしも初めはそう思っていましたですがあの簡単な工程も実は色々考えながらしなければならないのです」
ここから私が説明しましょう。
あの黒猫の足にジェルを塗り込んでいる場所をまず考えなきゃいけない事なのです。そうあの時サンタ医者はただ単に足にジェルを塗り込んでいるのでは無くどこに塗れば治癒力が上手い具合に活性化するか考えながらサンタ医者は黒猫の足に塗り込んでいた。次に毛が生える方のジェルはどの位付けどの範囲で塗り込めばいい感じの毛の量になるか考えて塗っていた。この事からこの2つのジェルを扱うに至って高い技術求められる事が分かる。この2つのジェルを扱うには資格が必要だとサンタ医者も言った。以上の事などをサンタ医者は父親に説明した。
「へーでは貴方も資格はお持ちになられているんですね」
「当然、でなければわしは捕まってしまいます」
「そこまで重要な資格なんですね」
父親はあの簡単な動作が如何に大変か分かりサンタ医者を尊敬した。
しかしその様子を娘あやはつまんなそうに見てて遂に口を開いた。
「ねえ~パパいつまでお医者さんと話してるの、ブレちゃんも元気になったしもう帰ろうよ~」
「コラあやお医者さんに失礼だろ」
「だって~」
「はっはっはっ娘さんは早く猫ちゃんと家に帰りたいそうだね」
「すみません治療して頂いたのにうちの娘がこんな態度で」
「そうよ、あやお行儀悪いわよ」
「いえいえお子さんはもう寝ている時間、早く帰って布団に入ってぐっすり寝たいんでしょ」
一方黒猫のブレイブは自分に何が起きたのかまるで分からなかった。
「にゃーにゃにゃ」(一体自分に何が起きたんだあの男に付けられた傷があっという間に跡形も無く消えている)
黒猫はサンタ医者の話を聞いていたが何を言っているのか全く分からなかった為自分が何故体が治ったか分からなかったのだ。
「それではこれで私達は失礼します」
会計を済ませ父親は見送りに来て頂いたサンタ医者に別れを言う。
因みに治療費はあのジェルを使ったにも関わらずそんなに高い値段では無かった。それだけあのジェルは一般的で今の時代珍しい事でも無いのだろう。
「はいではお大事に」
「どうもありがとうございました。ほらあやも挨拶するのよ」
「じゃあねバイバイ。ブレちゃん治してくれてありがとう」
「にゃー」(感謝してもしきれないです)
そう言って家族は病院を後にした。
サンタ医者はその家族が出ていくのを見送り自分のデスクに行き今度はちゃんと背もたれがある椅子にもたれかかる。
「先生コーヒーが入りました」
茶髪の女性看護師がコーヒーを椅子に座っているサンタ医者の机まで持って来た。
「ああ頂こう」
コーヒーをズズズと飲みサンタ医者はさっきの黒猫について考える。
{さて先程の黒猫だがあの足の傷あれは事故や普通の怪我では出来ない傷だ。例えばだがあの傷は弾丸がかすったような傷だった毛が少し焦げていたし}
さすが医療市に住んでいる医者だ治療中そんな事考えながらあの手際とは恐れ入りました。
更にサンタ医者は考える。
{もしもわしの考えが正しかったら一体あの家族にいやあの黒猫に何があったんだ}
サンタ医者は自分が治した黒猫がそしてその家族が心配になった。
そして今度は声を出して思った事を言う。
「どうかあの家族にこれ以上何も起きませんように」
しかしサンタ医者は知らないこの事に「豪塚武」という男が関わっている事に、そしてあの家族並びにあの黒猫と豪塚の因縁はまだ終わっていない事に・・・・・・。
「さっ、ここが我が家だ」
「わーいお家に着いた」
「ブレちゃんここが今日からあなたの家よ」
「にゃー」(今日からここが家・・・・)
所変わってあの家族は我が家へと帰還した。
家は普通の一軒家で緑の屋根にソーラーパネルが付いていて家自体は赤色に塗られている。
「にゃー」(今日からここが家・・・・)
玄関を市販のラズベリーの芳香剤の匂いがいい感じに充満しており靴も綺麗に揃えている。
そしてリビングには猫の飼育キットが揃っていた。
「にゃー」(今日からここが家・・・・)
「驚いたブレちゃんいつでもブレちゃんが帰ってこれるように皆で準備していたの」
「ブレちゃん嬉しい」
「そりゃあブレイブも喜んでいるだろう」
「にゃー」(今日からここが家・・・・)
「ほら喜んでるよパパママ」
「あ~そうだなあや、でもあやはもう寝るんだぞ」
「そうねあや早く寝ないと起きれなくなっちゃうわよ」
「は~いじゃあねブレちゃんパパママおやすみ」
「「おやすみ」」
そう2人に言われあやは2階の自分の部屋へと上がっていく
そうして母親はブレイブに寝る場所を教えおやすみを言い寝室へと向かった。
黒猫のブレイブは教えて貰った猫用のピンクの丸いベッドに寝ころび
「にゃー」(今日からここが家・・・・)
「にゃー」(今日からここが家・・・・)
「にゃー」(今日からここが家・・・・)
「にゃー」(今日からここが家・・・・)
「にゃー」(今日からここが家・・・・(嬉))
黒猫は嬉しかった今までゴミのような人生だったからこんな普通の幸せが黒猫にとってはとても嬉しかった。
よーやく自分は救われたんだと思い黒猫は目を閉じた。
しかし安心するのはまだ早い黒猫は知らないがこの家の近くには大きな銀行がある事をそして痛翔が通う高校もある事もこれはまた一波乱ありそうな予感。
どーも今回でプロローグを合わせて3回目の投稿です。今回は話が少し長くてここまで読んで頂きありがとうございます。話の内容としましては強盗団といういかにも悪そうな奴が出て来たり黒猫のブレイブというキャラも出てきました。新キャラが沢山出て来た回でしたねでもまだまだ物語は続きますチョイ役から新たなキャラまでまだ出てきますので楽しみにしていてください。