この世界のしくみ
ではこの物語の舞台となる世界についてお話しましょう。
舞台となるのは、2024年にある画期的な原石が見つかった我々の住んでいる地球とは別の地球。
その原石は「奇跡の原石」またの名を「エレニウム」と呼ばれ人々に進化の兆しを示した。
「エレニウム」はこの世にある原石の中で一番の強度を持っている。
更に「エレニウム」にはおもしろい性質が多数あり、その1つに「エレニウム」に他の原石や鉱物を近づけ触れさせると「エレニウム」のオリジナル程ではないがその触れた原石や鉱物を複製の「エレニウム」に変える性質を持っている。
そのためオリジナルは発見される数が少なく価値が高い。一般家庭などで使われるものは複製がほとんど。
ではどのようにしてオリジナルか複製かを見分けるのか?
それは簡単である、輝きが複製とオリジナルでは「泥とダイアモンド」程違う。これは別に複製が泥のように汚い訳ではなく、オリジナルがこの世のものとは思えないほど美しいからである。
加工をうまくすればオリジナルは無理だが、複製には装飾可能。
このような「エレニウム」だが一番に使われている事は科学の発展だ。
「エレニウム」はどんな場所にでも耐え、ある工程をすることによって液状になったり戻ったりする。
たとえ無重力や深海などでも全く変化などない。
さらに「エレニウム」には持つもの潜在する力にも作用し魔法などの力もパワーアップさせる特性を持っている。
勿論、人本来の腕力、知力、走る速度、瞬発力なども向上させるため一般人が持つだけで脅威的な力が手に入り、更にこの特性は人だけでなく様々な生き物の力などあらゆるものを向上させる効果を持つ。
これにより科学者の器用さや瞬発力などを上げ細かい作業もでき小さな機械も作れるようになり科学技術は今まで不可能または夢物語といわれるものを続々と開発し科学力は向上しまくった。
「奇跡の原石」の発見により科学力は勿論のこと魔法、超能力、気、妖力、霊力などの今まで日の目を見ずひっそり向上していた力や文化も表舞台へと表れ始めた。
「奇跡の原石」が見つかり一番に世界を変えたことは、世界から戦争と呼ばれるものが一切無くなったことだ。
「奇跡の原石」はその所有者が、人殺しなどを考えたり人殺し目的に使うと原石はただの石になるという性質を持ち、まるでこの世から戦争を根絶させるために生まれた原石「奇跡の原石」と呼ばれる理由の1つである。
また、この時代の学生達は、皆「エレニウム」製の制服着用しているため普通の兵器で戦うと勝つのはもちろん学生のほうである。
つまり今の時代は兵器よりも通学中の学生のほうが強いため、国のお偉いさん方は下らない馬鹿馬鹿しいと一斉に戦争をやめたのだった。
平和になった世界でそれも日本はある事に熱中する事になる。
日本の市はそれぞれ独自の文化あるいは流行らせたい事があり、そのことに全力を尽くし気がつけば都道府県は後か方もなく消え、故東京都の場所に位置する「新都」を筆頭に新しい市が続々と増えていった。
そしてその増えていった市は1つ1つがまるで別世界のようにそれぞれの文化を繁栄していった。
そのため1駅超えたらそこはもう異世界という世界が出来上がったのであった。
そしてこの物語の舞台となるのが、故長野県の半分を市とするこの世で最も医療が発達した都市その名前は「医療市」名はまんまである。
どのくらい医療が発達しているかというと癌が病院から支給される錠剤を飲み続けるだけで完治するほど。
また虫歯はシール1つで治り、切断された足や腕も傷跡残さずきれいにひっつけることもできる。
どんな痛みや吐き気などの状態異常を一時だけ無くす薬もあるが使いすぎるのはやめたほうがいい。
その理由としてあくまで、痛みなどを無くすのは一時しのぎなのでやたら多く使うと体の痛覚などが麻痺してしまう可能性があるからだ。
こんな医療市ですが全てが医療というわけではない。
その証拠に主人公が通う高校は普通の高校よりも医療の授業が多いがそれを除けば医療専門ではない何の変哲もない普通の高校である。
勿論主人公も医者になるつもりは無く、その高校を選んだ。
後、体の体質や進化した医療を気に入らず昔ながらの方法を好む人もいるため昔ながらいわゆる普通の病院も多数存在する。
だから全ての医療が最先端というわけでは無い。
話は変わるが主人公が住んでいる近所のリサイクルショップの店員村田さんが先月結婚なさった。
村田さんは妻と2人で住む新居を足園病院の近くに建てた。
足園病院は何故か病院内の花壇にマネキンの足が植えられている不気味な病院。
そこには可愛らしいハダカデバネズミのデッピー君がいてそれでプラスマイナスゼロ。
さて次に・・・・。
「おいてめえいい加減にしろよ。早くこの面倒な説明終わらせて俺の事を話せよ」
は?
「は?じゃねえよ。突然訳の分からない話なんかしやがって」
「流石我が護衛対象、物語を左右する語り部に向けてもその物怖じしない態度、感服いたしました」
な!貴様いくら主人公だからといってやって良い事と悪い事があるぞ。
「お前が話のネタが尽きたからって訳の分からない話で繋げようとするからだろう」
ぐぬぬ!
「大体なんだよ村田さんって俺と全く関係ないんだけど」
「はい確かにここで覚えたとしても、もう一生出てこない登場人物ですから覚えるだけ脳の労力の無駄かと」
な!ナイトールお前まで。
「あとなんで新居をそんな気色悪い病院の傍にしたんだ村田さん」
だからハダカデバネズミのデッピーがいる事で見事に中和しているんだって。
「いやむしろマイナスだろハダカデバネズミって」
貴様、全国のハダカデバネズミファンに謝れ!!。
「あ~もういいよ。これからは俺が皆様に説明するから」
「流石我が護衛対象いかにも自分が正しいと思わせる言動おみそれいたしました」
「それ褒めてる?」
「はい勿論でございます」
え?マジで私の仕事取るの。
「い~から少し休んでろどうせ体調が悪いから変な事言っているだろ」
「私も同意見です」
え~~・・・・。
「きっと皆もプロローグの続きが気になっているだろう」
「そうですね」
「俺が果たして、麗しき天使との約束を守れたかどうかとか」
「あっ、それは無いと思います」
同感だ。
「とにかくこれからは俺たちで説明していくぞナイトール」
「はい分かりました」
心配だ・・・・・。
さて、ところ変わって俺の通う高校その名も医療私立富部高等学校。
富部は区の名前で市だけでなく区なども一変して新しい名前になっている。
そして今は今朝の事が無事解決し高校への道のりを歩いているところだ。
道の横には桜が満開とは言えないがまだ咲いている。
そこで俺はナイトールに話しかける。
「あ~あ、これで横に天使がいたら最高の登校日和なんだけどな~」
「そんな事言っても、もうしょうがないでしょう」
そう結果から言うと俺は約束の時間に間に合わなかったのだ。
「一応メールで行けないことを送っといたから怒ってはないと思うけど・・・・」
「いつのまにそのようなことを?」
「ん!お前が正気に戻った狂乱病患者を手早く誘導していた時」
「それであの時手伝ってくださらなかったんですね」
おっと悪い狂乱病患者についての説明がまだだな。
プロローグに出てきた目が赤く光っていて俺達を襲ってきたのが狂乱病っていう病気にかかった奴らだ。
ナイトールの話では狂乱病には0~4の5つの症状があるらしい。
今朝襲ってきたのは第0症状の患者達。
第0症状は目が赤く光り人間なら刃物などの凶器を持ち、動物などなら牙などの持ち前の武器が鋭くなり欲望のまま近くの人などを襲う状態。
俺が知ってるのはまだ第0まであと4つはまだ教えてもらっていない。
それは俺がまだ第0症状の患者にしか出会ってないからというのも理由の1つだ。
もう1つ理由があるのだがあまり言いたくないそれは俺がまだ未熟であると言うのだ。
ナイトールにいい加減教えろと凄んだところ今日帰ったら教えてくれるそうだ。
そんなこと思っていると、高校に着いた。
校門の門には医療市らしく注射器のマークが彫られている。
門は開閉式で内側に開くようになっている。
その門を生徒達が通っているのが見える。
この高校の制服は普通で男女ともに紺のブレザーに男子は紺のズボン女子も紺のスカートでブレザーの下は白のワイシャツで男子はネクタイを女子は首のところにリボンをしている。
変わっている所というと左ポケットにブレザーには白色、ワイシャツには黒色で校門に彫られている注射器のマークが描かれている事。
後、当然ながらエレニウム製である。
これは全国の制服に共通する事だが、肌をさらしている部分は透明な風のバリアのようなものが制服から体に沿って常にでている。
それは「エアロスキン」と呼ばれ体をガードしてくれるだけではなく、夏や冬などある程度の温度なら快適にすごせる脅威の一品。
当然値段が張るが全国の学生にはそれぞれ国が出している為ほとんど無料なのだ。
その訳は戦争に使うはずだった莫大なお金をどこに使うか審議した結果。
未来ある子供たちにできるだけ使おうという無事平和な結果に終わった。
ちなみに俺の服装はワイシャツのボタン1つ開けてズボンでネクタイはせず代わりに首からひし形で真ん中に赤く丸い宝石が埋められた手の平サイズのネックレスをしている。
他の学校は知らないがこの学校はよほど重要な事が無い限り制服の着くずしネクタイとリボンの有無少しのアクセサリーは許してくれるのだ。
「実際俺はこのネックレスが無いと困るしな」
「いきなりどうなさいましたか我が護衛対象」
おっとどうやら声が出ていたようだ。
「いや何でもないよナイトール」
「そうですか」
門を潜り校長と挨拶をする。
「おはようございます校長先生」
「おはようオレ(・・)君あとナイトール君」
「おはようございます本高等学校最大権力者殿」
「はっはっはっは相変わらず面白いね君は」
「すいません校長またこいつ訳の分かんないこと言って」
「何を言います我が護衛対象、先ほどの呼び名は最大限の経緯を示した呼び方ですよ」
「まあいいじゃないかほら急がないとチャイムがなりますよ」
「そうですね、ほらナイトール急ぐぞ」
「それでは私たちはこれで」
何も問題の無いまあ少し変だったが、何気ない日常会話でしたが少しおかしな点が2つあることに気付いたかな。
1つは校長先生を含め誰もナイトールを気にしていないところ。
普通下半身のないロボットが人の隣を浮いていたらビックリするだろう。
しかしその訳は簡単で、一言で言えばこの世界でこの時代だからである。
いわば「エレニウム」が見つかったこの世界では何が起きても何が現れても不思議でないのだ。
だがらナイトールに対してもただの護衛ロボットと皆は認識している。
ちなみに大抵の学校は申請さえ出しておけばペットは難しいがロボットは持ち込みOKになっている。
こんな世の中だからこそ俺も自由に動けて助かっている。
そしてもう1つのおかしな点は、校長がオレ君と名前で呼ばず一人称で呼んでいる所。
これは別に校長先生がおかしいのではなく、校長先生はちゃんと名前で呼んでいるのだ。
そう自己紹介が遅れたなー。
俺の名は「痛翔オレ」っていう名前だ。
ん?変な名前だって?その名前でいじめられなかったのかだって。
この性格だしいじめられる事は無かったが、そもそも俺以外だって変な名前の奴は多い。
例えば「飛鷹備雲」とかまるで飛んでいる鷹がビューンと効果音を発しているような名前だ。
この例えで出したキラキラネームの奴は、俺がよくつるむ友達だ。
とにかく飛ぶのが大好きで陸上部に所属し走り高跳びを好んで放課後よくやっている。
この時代だから空を飛ぶアイテムはあるのだが本人曰く自分の足で飛びたいと譲れない信念があるようだ。
とにもかくにも俺ほどではないが変わった名前の奴は多いという事を言っておこう。
話を戻すと、つまり校長先生は一人称でもあだ名でもなくちゃんと俺の名前を言っていた訳だ。
ちなみに備雲からはオレっちと呼ばれている。
そうこうしてる間に校舎が見えてきた。
(何故かここから語り部復活)
うっうっうん、そこは校舎というにはあまりにおぞましく黒い校舎。
飼育小屋には鶏が蛇の皮を被り尻尾がネズミのような形をした奇妙な生物が多数いる。
校舎の階数は1階しかなく一体どこに生徒が収容されているのか謎。
校歌も酷くまるでアホが歌詞を書いた様な適当さ。
においも酷く公衆便所の方が余程いい匂い。
そして何より酷いのが、ここには最低最悪の不良「痛翔オレ」という人物がいるのです。
その人物が今までにやってきた事を考えるだけでも恐ろしい。
さらには・・・・・・・。
「てめえまた証拠にもなく現れやがったな」
「これはこれは語り部殿、お体の調子はもうよろしいのですか?」
え~おかげ様でもうすっかり元気になりました。
「じゃ何か今のは元気になったから(よーし復讐でもするか~)って事か、あ~ん」
不良はあってるじゃないですか~。
「確かに語り部殿の言う通りですね」
「誰だって母校をあんなふざけた紹介されたらキレるだろうが」
だってカピバラ飼っているの羨ましいんだもん。
「だもんじゃねえ、そんなくだらね~事で俺達の母校をあんなボロカスに言ったのか(怒)」
せっかくの語り部としての能力をフル活用したまでですが。
「能力ごみ溜めに捨ててんだろうが」
さてこの神の力を存分に発揮しようではないかふはっはっはっはっはっは。
「もう完全に悪役だな」
「もうこれは手遅れですね」
「ぶっちゃけこの物語のラスボスこいつなんじゃねえ」
「かもしれないですね」
「あ~もういいよお前追放な」
は?
「ナイトールそいつふんじばれ」
「わかりました」
は!神であるこの私に危害を加えようなど百億年早い・・・・な!なんでこっちに来れているんだ。
「ナイトールをなめんなよ」
いやだ!私は神なんだ神に危害を加えようとするお前らに裁きをもごもごもごもご。
「終わりました」
「よしこれで皆に正しい俺の通う母校を教える事ができるぞ」
まず最初にお見苦しやり取りを見せた事を謝罪します。
ごめんなさい。
さてと、まずあいつが教えた間違った情報から正すとしますか。
まず校舎は全部で4階でその周りに実験室などが多数存在する。
色は純白の白と言いたいが汚れもちらほら見える。
校舎を上空から見ればカタカナの「コ」の字の形をしている。
そして飼育室では奴が言った通りカピバラを飼っている。
カピバラは飼うのにはとてもお金がいるのだが、そこは校長先生が何とかしているらしい。
だからうちの高校では委員会の中で飼育委員が一番人気だ。
ちなみに校歌も匂いも普通だ。
後は俺が高校1年生だという事で間違った情報は正せたかな。
「おおっとこうしてる場合じゃない早く教室に行かなきゃ」
「早く急がなければいけませんね」
俺は教室まで全力で走った。
教室は校舎の1階右の1番端1Aの教室だ。
教室のドアを開ける。
「よ~今日は遅かったじゃねか~オレっち」
「こっちにも色々あったんだよ」
「ふ~ん。あ!ナイトールもおはよう」
「これはこれはおはようございます備雲殿」
「相変わらずお前ら二人仲いいな」
「あん、どこがだ」
「私も深く疑問に感じます」
「仲良いと思うけどな~」
この喋りかけてきたのが前に話した変わった名前の飛鷹備雲。
前に話した通り陸上部で活躍している為足のケアは人一倍気にかけている為足にはズボンの上から黒色の特注した膝当てをいつも付けている。後は気前も良いから男女ともに人気がある。
備雲と俺とどっちが人気かというと、自分で言うのも何だが俺の方が人気がある。
困った事があれば大抵手を貸すし元気で明るく誰とでも分け隔てなく話し込めるから。
本当かどうか分からないが噂では俺がいじめっ子に話しかけるといじめは無くなるらしい。
それが本当であれ噂であれ良い事には変わりない。
「ん!この気配は」
「あ~オレっち後ろ」
「おはようオレ君」
なななななななななななあなんあfgfんふぁんvfんヴぁsdbfffvぼふぁヴぉgvんg
ttttってっててててってててててえて天使ーーーーーーーーーーーーーーーーーー。
「あのオレ君大丈夫」
「てててててて天使。この愚かで汚物でバカでアホで生きている価値のないわたくしめにどうか罰をお与え下さいませ~」
「流石我が護衛対象言っている意味が全くもって意味わかりません」
「うんナイトールちゃんの言っている通り意味わからないよオレ君」
「あのすみませんが、前から申しているようにナイトールちゃんは止めて欲しいのですが」
「え?ナイトールちゃんはナイトールちゃんでしょう?」
「あもうそれで大丈夫です。」
くそ~ナイトールの野郎、俺の天使と楽しそうに喋りやがって。
しかし今の俺には天使と話す資格がない。
するとこんなゴミくずの俺に天使が言葉をおかけになさってくれた。
「オレ君もしかして今朝の事気にしてる?」
「ん?何だ今朝の事って」
「あっそうか飛鷹君は知らないよね。あのね今日の朝一緒に登校しようねって誘ったの、でも「用事が出来たから先に学校に行っといて」っていうメールをもらったの」
「なるほどだからオレっちはああなっているのか」
「あ~~~~天使よどうかその怒りを鎮め私を許してくださいませ。」
「もう、だから怒ってないってば~」
「怒ってねえのか?」
「怒ってないのですか?」
「そりゃあ連絡もくれなかったら流石にちょっと怒ったけど、ちゃんと連絡してくれたんだから全然怒ってませんよ」
そこで俺の耳に天使の声が届く。
「ん?今なんて怒ってないと聞こえたような気が」
「うん怒ってないよオレ君」
「よ~やく普通になったな~」
「我が護衛対象に普通などございましたっけ」
「ナイトールお前やっぱ、オレっちと仲悪いかもな」
天使が俺を許してくれた。天使が俺を許してくれた。天使が俺を許してくれた。天使が俺を許してくれた。この気持ち言葉にしたい、いやしなければならない。
そうして俺はチャイムがなっているが大声で天使に感謝のお言葉をかけるのだった。
「ありがたきーーーーしfじょgfhsげfjっふぃffjfjjふぉじふぉいf」
その直後頭に衝撃が走った
「こらー痛翔、授業が始まるのに何大声で訳の分からない事を言おうとしてるんだ~」
それは先生からの怒りの鉄拳だった。
1時間目の授業が終わり10分間の休み時間。
「災難だったなオレっち」
「う~まだ痛い」
「オレ君大丈夫、だけど大きな声出し過ぎだもん。それは怒られるよ」
飛鷹と天使が俺を心配してくれた。
俺はそれに答えた。
「ありがとう飛鷹。ありがたきお言葉天使ーーー。でも大丈夫だから2人とも次の授業の準備したほうがいいんじゃない」
「それもそうだな」
「うんありがとうオレ君」
そういえばまだ説明していなかった。
先程から俺が天使と言っている女の子だが名前は勿論天使ではない。
天使と呼んでいるこの方の名前は「嘘減真美」嘘をつかず正直に生きる一族の噓減家のお嬢様。
髪はおかっぱではないがそれぐらいの長さの黒髪のショートボブだ。
家はかなり大きくお嬢様としての習い事も多数習っている。
けれども学校ではごく普通に暮らしているため女子たちからも人気が高く友達もいっぱい存在する。
勿論天使に何かしようものなら俺が黙ってないけどな。
クラスでは10分しかない休み時間を皆、有意義に使っている。
音楽を聞く者・読書をする者・友達と喋る者・お菓子を食べる者・次の授業の予習をする者様々だ。
よしじゃあ俺もさっき盗撮した天使の写真でも眺めるか~。
ん?何かおかしいって?
なんだろう?10分も写真を見ていられるかどうかだろうか。
しかし他の写真ならいずしらず天使の写真だから何時間でも見られる。
おおっと今度は先生に怒られないように時間はちゃんと守らなきゃ。
俺がスマホで写真を見ていると横からナイトールが話しかけて来た。
「失礼ですが我が護衛対象そちらの写真は真美様に撮影許可を得ているのでしょうか?」
「いや取っていないけど」
「前にも申しましたがそれは犯罪になるのではないでしょうか」
「しかしナイトールよこの写真の天使は許可を取って撮影したら撮れない顔だ、だから許可を取らずに写真を撮ったまでだ」
「生きる上でのルールを守っていきましょうよ。それにですねこちらの写真はどう説明するのでしょうか」
「それは・・・・・(汗)」
「この写真はどのように見ましても真美様の下着姿が写っている様に見えるのですが?」
「ぬ~」
「護衛対象?」
「ふ~~~」
「早くしなければ時間が無くなりますよ」
「あ~そうだよ俺がやったよ、どうだ参ったか」
「はい確信犯ですね学校が終わり次第すぐ警察に向かいましょう」
「え~また行くの~」
「全然反省していませんね」
と俺がナイトールと話している向こうで飛鷹が笑って天使と話していた。
「オレっちの奴またやったな」
「オレ君・・・・」
「あれでばれてないと思っているのかね~」
「私も恥かしいから盗撮は止めてほしいな」
「言う事がそれだけなんて、あいつの言う通りあんた天使やで」
「そうかなぁ?」
何を話しているか聞き取れないがとりあえず飛鷹おまえ後で死刑な。
とそんな冗談を言っている間に放課後になった。
え?早すぎる?
察しろ大人の事情だ。
俺は特に部活に入っている訳でもないからこのまま真っ直ぐ家に帰る。
飛鷹は陸上部、麗しき我が天使ーーーは習い事をしに先にご帰宅になられた。
そして俺が帰り道を帰っているとナイトールが話しかけてきた。
「我が護衛対象、今日は見逃しますけれどもうあんな事なさらないでください。」
「ん?あんな事って?」
「もう忘れたのですか、盗撮の事ですよとうさつ」
「あ~はいはい」
「多分ですけれども備雲殿も真美様も2人共盗撮の事気づいてらした思いますけど」
「マジか!じゃあ同意じゃん。いやっほーーこれで心置きなく撮影ができるぜー」
「いえ普通に犯罪ですから真美様もその内愛想つかしてご本人が通報すると思いますよ」
「天使に通報されるなら本望むしろ通報されたい」
「駄目ですねこの方早く何とかしませんと」
「うわっははははははは」
「あ~もうなんで博士はこの方に人類の運命を託したんでしょう」
どうでもいい話をしながら帰路を歩いていく。
歩いていくうちに家に着いた。
俺の家は二階建ての一軒家で色は上半分が白で下半分が赤で中庭が少しある普通の一軒家だ。
別に秘密の部屋があったり家がロボットに変形したりなどの面白ギミックは無い。
けれども俺はこの家が好きだ。
玄関の匂いも良いし和室の畳も心地いいとにかくすべて気に入っている。
玄関を開け中に入る俺とナイトール。
「ただいまー」
「ただいま帰りました」
「ま、誰もいないんだけどね」
「ご両親がいらっしゃらないのは分かってましたからね」
「まあな」
ん?なんかしんみりムードになっている予感がするんだけど。
別に俺の親生きているからね!
さっきナイトールが言った事も駐車場に車が無かっただけだからね。
うちの親はちょっと変わった職業に就いているから帰らない日もある。
今日は帰らないと連絡をもらっている。
さてそんな事より前に言ったように帰ったらナイトールに色々教えてもらう約束だ。
「ナイトール約束は覚えているだろうな」
「もちろんですよ。我が護衛対象ですから今回は通報せずに真っ直ぐ帰路に着いたわけです」
「あっだからか」
「はいまずはお部屋に参りましょう」
靴を脱ぎ、靴下を脱ぎ、足を風呂場で洗い、足をタオルで拭き、スリッパを履き階段を上がっていく。
自分の部屋に入り荷物を下ろす。
「は~疲れた」
「いきなりベッドへダイブですか・・・」
「いいじゃね~か俺の部屋なんだから」
「そうですね」
俺は少しの間ゴロゴロしながらだらける。
ナイトールはその様子を黙って見ている。
だらけきったので俺はベッドの上であぐらをかく。
枕を腕に抱いてまるで女子会のパジャマパーティーで黙って他の子の話を聞く女の子のようなポーズをとる。
「あの失礼ですけどそのお姿すごく気持ちの悪いものなっているのですが・・・」
「なんだよ別にいいだろう俺の格好の事は」
「いえ見ていてすごく不快に感じるので止めてもらえると」
その言い分を聞いてなんだか腹が立ってきた。
「なんだよそんな言い方しなくても別にいいじゃねえか」
「見ていて嫌なお姿だから申しているのです」
「な!」
「大体なんですかそのお姿、動画投稿でチャンネル登録お願いする女の子ですか?」
俺は完璧に腹が立ったので持っている枕をナイトールへ向けて投げた。
するとナイトールが言った。
「なんなんですか今度は彼氏に可愛さアピールしつつ攻撃する彼女ですか?」
思いのほか枕に勢いがつかなかったのでそういう感想になったのだろう。
とは言えこのままでは話ができないのでここは俺が折れる事にしよう。
「悪かったナイトール変な恰好をしてしまって、今からは普通の恰好で聞くから話をしてくれ」
これで奴も話をする気になるだろう。
「そういう風に素直に申されると逆に気持ちが悪いですね」
こいつ。(怒)
まあいいと、俺はあぐらをかき話を聞く体制を整えた。
するとナイトールも状況を察したのか例の話を話し始めた。
「え~おほんでは、我が護衛対象は狂乱病患者の症状の第0症状まではご存知ですよね」
「あ~知っている」
「では残りの症状を順に教えていきましょう」
そう言ってナイトールは顔の隙間からプロジェクターの容量で何やら映像のようなものをナイトールの左斜め上の空中に映し出した。
「お前こんな事も出来たのか」
「はいこれでも自分で申すのも何ですが最高傑作のロボットなので」
「ふ~ん」
俺は興味無さそうに返事をし、映し出されている映像を見た。
映像にはデフォルメされた俺とナイトールが端にいてそれと対立するように目が赤く光っている人影が数人束になっていてそれは即ち狂乱病患者を示しているのだろう。
「なるほどあの塊が第0症状の患者達か」
「はいその通りです」
とナイトールが狂乱病患者の所を棒で指していて、そしてと言い棒の柄にあるボタンを押すと映像が変わり俺とナイトールはそのままだが狂乱病患者の束に異変が出た。
「ん?狂乱病患者の束に1人だけ体が輝いている奴がいるぞ」
「はいこの輝きを放っているのが第1症状の患者です」
「実際の患者もこういう風に輝いているのか?」
「いえそういう訳では無く、単にですね特別感を出したくて光らせているだけです」
「ん?どういうことだ」
「つまりこの患者の中から滅多に第1症状になる方はいらっしゃらないのです」
「つまりレアという事か」
「はいそうなりますね。それと本題に入る前にもう1つ話しておかなければならない事があります」
「なんだ」
「それは狂乱病患者はそれぞれ主体となる欲を持っているという事です」
「俺と同じことか!」
「はい第1症状は言うなれば我が護衛対象と同じ状態というべきなのでしょうか」
俺と同じ?つまり俺のような変わった能力が備わっているていう事か。
あ~すまないまず俺がどんな状態なのか説明しなければならないか。
俺の体は見た目はいったて普通、目も赤くない、だけれど俺は狂乱病に少しかかっている。でも安心してくれ俺は狂乱病患者じゃ無い、いわゆる抗体を体に作ったのだ。最も分かりやすいのがインフルエンザにかからないように注射をし、ウイルスをごく少量体に入れる予防接種だ。それと同じで俺も生まれる前から1つの狂乱病にずっとかかっていた事になる。因みに俺の欲は「注目の欲」どんな能力かはまた後で話す。
「つまり俺みたいな能力が芽生えるという事か」
「はいその通りです。その方が持つ欲によって能力は決まるので同じ能力になる事はございません」
「あれ?でも同じ欲を持っている場合はどうなるんだ」
「それこそあり得ません。第1症状になるには余程の欲が無ければなれません並大抵の欲ならば第1症状になど決してなれません」
「欲の強さが症状を上げる切っ掛けか」
「その通りです。頭脳が冴え渡ってますね」
「褒めるなよ照れる」
そうしてナイトールは棒の柄に付いてるボタンを押すとまた映像が変わった今度は狂乱病患者が1人になり画面全体に大きく映っている。
「俺とナイトールがいなくなったな」
「え~もう必要ないので」
そう言われると少し悲しくなるが、今度は狂乱病患者がどのようになるのか詳しく見せるようだ。
ナイトールがボタンを押す。
すると次の映像を見て思わず声を出す
「おわ!なんだこりゃ」
「この状態が第2症状です」
そこに映っていたのは、狂乱病患者の左腕だけがおよそ人間のものとは思えない形をしていた。
悪魔の手みたいな鋭く尖った爪、ごつごつした肌、そして何より手全体が真っ黒に染まっている。
「この映像はあくまでイメージですが第2症状見て頂いたように体の一部が変化する者また体から何か生えてくるもの」
「体から生える?」
「例えを出すとするのならば尻尾や羽などでしょう」
「ひえ~そんなのが生えてくるのか」
「その方の欲によって形状、変化する場所などは変わってきます」
「なるほど」
そうしてナイトールはボタンを押す。
その次の映像を見て俺は今度は驚愕した。
「うげ、おいおいこれはもう手遅れなんじゃないのかい」
「やっぱりそう思いますよね」
そこに映し出されていたのは、もう人間だった原形のないもの怪物だ。
「しかしご安心くださいこの第3症状で怪物になった方も第0症状と同様に核を壊せば治療する事ができます」
「あ~治療石と同じで赤く丸いやつか」
またもやすまない、核とか治療石とか分からない単語が出た事であろうその説明をしよう。
狂乱病患者を治療するには必要なものがあるそれがこの治療石と言われる丸く赤い宝石が付いた治療器具といわれるものだ。俺が持っている治療器具はネックレス型、今朝登校時に言っていたのはこれである。そうして狂乱病患者に赤く丸い治療石に似ている核と呼ばれる弱点があるそいつを治療器具で壊せば狂乱病が治るのだ。その核は狂乱病患者同士でしか見えないため抗体を持っている俺と最高傑作のナイトールしか今の所見えない・・。
アイツも・・・・・今のは忘れてくれそれよりナイトールの話では第0~3症状までこの方法で治せると言う。
しかし治療もそう簡単では無い、核は確かに目に見えるが意外と小さく治療石同じくらいでビー玉くらいでどこにあるかも分からないから簡単では無い。ん?どうやってネックレスで戦うもとい治療するのかだって、それには治療石のもう1つの力、治療器具に1つ能力を与えるという力が発揮されるからだ。こちらもどんな能力かは後のお楽しみだ。
さて話を戻そう第3症状まで聞いたから残りは第4症状だ。
「なら第3は手遅れじゃあないんだな」
「はいむしろですねこれから話す第4症状の方が手遅れです」
「なんか聞くのが怖いな」
ナイトールがボタンを押す。
ん~~?何だこれ。
そこに映っていたのは、体は人間だけれども宙に浮いていて背中に羽が生え頭の上に輪っかが乗っている。
これはあまり彼女以外に言いたくないのだが。
「これはもしかして天使なので」
「神です」
「なんだ神か・・・・かかかかかかかかか神ーーーーーーーーーーーー」
「はい第4症状は神になるもしくは神の力を手にするです」
「いやいやいきなり突拍子過ぎるだろう」
「それでですねこの第4症状は核が存在しないんです」
「無理ゲーもいい所じゃねえかー」
「大丈夫安心してください未だこの第4症状は私が追いかけてきた、ボスだけですから第4はおろか第1まで出る事はまず無いでしょう」
「今、さらっとフラグ建てたよね」
「さあもうこんな時間ですサッと料理をお作りになって召し上がってお風呂に入り歯を磨いて寝ましょう」
そう言ってナイトールは棒を仕舞い顔の光も消え大所へと向かった。
それに続き俺も釈然としないが大所へと向かった。
確かに時間はもう8時に差し掛かる所だった。
今日は両親が帰らないので自分で料理を作らなければならない、ならばインスタントや弁当で済ませばいいだってそんな事言っていると不健康な体になってしまうぞ、後自炊が出来たらモテるしね。
まあ俺は天使にさえ好かれればいいんだけど、他の女はどうでもいい。
さて台所に来たぞ、そこにはナイトールがもう待っていた。
冷蔵庫があるのでそれに似ているナイトールが背中に背負っているアレは何だかややこしい。
本当にあの中になにが入っているんだろう、案外見た目通りの冷蔵庫だったりして。
俺は少し可笑しくなってクスクス笑った。
「我が護衛対象何がそんなに可笑しいのですか」
「いや何でも無い気にするな」
「は~。そんな事よりも今日のメニューは何です?」
「今日はハンバーグにしようと思っているんだ」
「いいですねハンバーグ私も大好きですハンバーグ」
「いやまだ信じられないお前が俺達人間の料理食べれてその上味まで分かってエネルギーにしてるんだから」
いくらこいつが最高傑作のロボットだからといって未だに俺はその事実を受け入れられない。
今日の昼だって学校で弁当食べていたし。
ナイトールの食事風景はかなり不気味だ。西洋の甲冑頭の部分が少し開きそこから鋭く尖った歯が出てまるで鮫みたいな風貌になる見た目はかっこいいが食べている様子をみるとガツガツと食べ普段の口調のキャラとは、大分違う様子になっている。だから少しナイトールとの食事は苦手だ。決して嫌いという訳では無い食べ物をこぼしている訳では無い。
「どうしました我が護衛対象」
「いやちょっと考え事をな」
何とか誤魔化し調理に入る。医療の最先端のここ医療市だからといって他のものが全て最先端という訳では無い別に最先端のものは売っていたりする。しかし、うちは違う伝自動包丁など使わず普通の包丁で料理をする。なぜ最先端のもの使わないのかその理由は便利なものを使いすぎて体が訛るのが嫌だから、この事を両親やナイトールに言ったらどちらも素晴らしいと褒めてくれた。なので家は最先端の物を使わないのだ。
「そういえばナイトール」
俺がハンバーグの種を両手でキャッチボールの容量で投げながら話しかけた。
「何です」
ナイトールはもう1つのおかず野菜炒めを炒めながら答えた。
「最近このあたりで出没している強盗の話知っているか?」
「ふっふっふっ私を誰だと思っているんですか最高傑作のロボットナイトールですよそのような情報とっくに収集済みです」
「あ~そうすっか」
「犯人のリーダーの名前は「豪塚武」三十五歳の男で独身、家は無く犯人グループと共同で生活していて幼少期親の離婚からグレ悪の道へそれからは強盗を繰り返し生活しなぜか未だに捕まっていないそして」
「ちょちょちょと待って何でお前がそこまで見ず知らずの犯人に詳しいの」
「私は日々怪しいと思った方を深く調べ分析しているのです。それで狂乱病患者になり得る方を日々探しているのです」
「なんだよストーカーじゃねえか!」
「我が護衛対象に言われたくないのですが」
そうこう話している間に料理が出来てナイトールと一緒に机へとご飯を運ぶ。
机の上には箸置き、ハンバーグ、野菜炒め、冷やっこ、ペットボトルのお茶、取り皿が置かれている。
俺とナイトールは席に着き食べる準備をする。
「それじゃあ食べるとするか」
「そうですね」
「「いただきます」」
そしてナイトールはというと、相変わらずのバクバク食いで俺は呆れながらリモコンを手に取りテレビをつけ、ナイトールに言った。
「なーお前その食い方どうにかならないか」
「はい?食べ方ですか?」
「もうちょっとおしとやかというかゆっくり食べれないものなのか」
「別に出来ますけど」
「はあーーーじゃあやれよ」
「では今からしましょう」
そう言うとナイトールはさっきの食いっぷりが嘘のようにゆっくり食べた。
俺は疑問に思いナイトールへと尋ねた。
「なーなんであんな食べ方していたんだ」
「はい私の読んだ雑誌にワイルドな男は好かれると書いてありましたので」
「それいつの話だよ」
ナイトールが最初に一緒にご飯を食べ始めたのは小学校1年生の頃だから軽く数えても10年以上は経っていて今日までナイトールはあのバクバク食いだったのだ。
「あーもう何だか疲れた」
そうやって考えるのに疲れ机に突っ伏してテレビを見ると、さっき話した強盗のニュースがやっていた。
「またやられたのか」
「おのれ豪塚武殿」
「犯人の名前言わない、殿ってつけない」
ナイトールが軽くボケたので俺も軽くツッコんだ。
ご飯を食べ終わり、お風呂に入り、アイスを食べ、歯を磨き寝る準備を済ませた。
俺はベッドに潜り、ナイトールは部屋の隅に行きそこで機能を停止した。
俺は布団に潜りながら強盗犯の事を考えた、ナイトールとの話が脳裏に浮かぶ。欲が強い者が狂乱病患者になるならば未だに捕まっていないあの強盗犯にもその欲があるのではないかと、いやそれだけではない犯人はグループだそのグループ全員同じ欲を持っているからこそ仲間になったんじゃないのか。
「考え過ぎか・・・・・」
そう言い俺は目を閉じた。
ここまで読んで頂きありがとうございます。この調子で1週間を目安に更新していきたいと思います。