表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/14

鈴木巡査の不満

夜が明け朝が来る今日は日曜日なので学校も休みだし昨日の疲れもある為今日は何処にも行かずに家でのんびりする事に痛翔が決定した。

 ナイトールも賛成し朝からテレビをだらっと見る。

 勿論ニチアサは欠かせない。

 ニチアサとは日曜朝にやっている特撮などの番組が固まった時間帯の事だ。

 仮面ラ●ダーとかスーパー●隊とかだ。

 ニチアサを見終わった次はニュースを見ながらだらっとしていた。

「あれ?これ昨日の事じゃね!」

(昨日未明医療私立富部高等学校に不審者が侵入し暴れたというニュースが入って来ました。その騒動で学校教員1人が重傷を負いましたが幸い医療市の技術を使用し、完治致しました)

「良かったーキンテツ先生腕治ったんだ」

「あっ!護衛対象まだ続くみたいですよ」

(・・・・などありましたが生徒が無事で学校もほぼ無傷で良かったと校長先生も答えてくれました。また調べによりますと今回学校を襲撃した不審者はなんと!つい最近捕まりましたあの強盗団の仲間の一味だと判明いたしました)

「やっぱりかーー」

「まあ、あれだけ大声で護衛対象を呼びつけたらそれは分かりますものね」

 そして相も変わらずダラダラしながら2人はニュースの続きを見るのだった。


(えー逮捕されたのはアッシュとキーボード名乗る2人組でその後の取り調べにより・・・・・・・・・・)

「くそがくそがくそがーーーーーーー」

今日もアジトで豪塚はご機嫌斜めだった。

先程までテレビを噛り付くように見ていたのだが今度はテレビを壊す勢いで揺らす。

それを必死に止めるゲゲゲ。

「ごわすごわす止めるでごわすガンズリーダーテレビ壊れるでごわす」

「くそーこのやり場の無い怒りをどうしてくれようか(怒)」

「でもガンズリーダーこれひまわりの言っていた占いの通りになってません?」

 キッスのその言葉で豪塚は冷静さを取り戻した。

「ああひまわりの言っていた事は正しかった。しかし憎きはすべてあのレジェンド5のメンバー痛翔オレなんて言うふざけた野郎だ」

 その事を聞いてゲゲゲもキッスを頷く。

「しかしだからと言って闇雲に奴に戦いを挑んでも奴の思う壺だ。だから決戦はあの銀行を強盗しに行く時にしようと思う、正義ズラしている奴の事だ必ず顔出すに決まっている。そこを大勢人質をとってこの3人で一気に責めるんだ」

「分かったでごわす」

「OKよ❤」

 そう言う訳で一先ず痛翔オレの事は置き、強盗の下準備を進める事にした豪塚一行。

 果たしてこの作戦は凶と出るか吉と出るか?

 まあ個人的にはこんな最低の奴らさっさと痛い目見て警察に捕まればいいのにと思っています。


 ところ変わって警察署。

 ここはナイトールがひまわりを突き出した警察署の医療市富部北警察署。

 医療市富部北警察署は医療市にある警察署で一番大きい警察署だ。

 そんな警察は日曜日だというのに今日も大忙しの様だ。

 慌ただしく駆け回る警察達その理由は明白、そうそれは豪塚達を捕まえる・・・・為では無く今から2日後に皇太子が視察に来るのでその警備などに警察は掛け回ている。

 そんな駆け回っている警察とは裏腹にのんびりロビーで缶コーヒーを飲んでいる2人の警察官がいた。

 1人は痛翔がいつもお世話になっている鈴木巡こと鈴木誠二。

 そしてもう1人はその鈴木巡査の後輩の「自画(じかく)正義(せいぎ)」という名前の警察官だ。

 2人は他の警察官の邪魔にならない様にロビーの隅の方で缶コーヒーを啜っている。

 そんな2人の様子を覗いてみるとどうやら鈴木巡査が愚痴をこぼし後輩の正義が聞いている様だ。

「だから俺は前々から言っていたんだ何で皇太子の護衛に俺が外されなければならないと」

「先輩!それ今日で5回目ですよ聞くの。それに先輩だけではないですよ私も先輩の付き添いと言う事で外されてますし」

 そうこの2人が慌ただしい警察署でのんびりと缶コーヒーを飲んでいる訳は、皇太子の警備から外され数少ない通常業務の警察官だからだ。

 何故この様な状況になっているかと言うと、実は鈴木巡査は痛翔には強気で出ているがあまり実績を出していないのだ。

 だから鈴木巡査は肩身が狭い思いをしながら生活しているのだ。

 更に鈴木巡査の愚痴は続く。

「なあ知ってるかー、俺達が陰で何て呼ばれているか」

「さあ何でしょう?」

「変人コンビだとよ変人コンビ!」

「なっ、先輩は変人ですが私は正義を愛する立派な警察官ですよ」

 その後輩の正義の発言に鈴木巡査は言う。

「誰が変人だ誰が!お前のその正義感が度を越しているんだろうが!」

「私の正義の何処がおかしいんですか!」

「お前なーこの前のひったくり犯だって確保では無くタコ殴りにしていただろう」

 そうこの正義と言う男は頭が少しおかしい、先程鈴木巡査が言った通りただのひったくり犯でさえまるで命を奪うのではないかと言う程に相手の上に乗って逃げられない様にしてタコ殴りにした。

「だって・・・・・だって先輩、相手は悪党なんですよ悪党に情けは無用ですむしろ裁きの鉄槌を下すべきです」

「お前なー裁き与えるのは俺達警察官じゃ無く裁判所だろそこを履き違えるな。後ひったくられた女性もお前の行動に引いていたぞ」

「あ~~あの女性ね~ほんと失礼ですよね折角助けてあげたのにお礼を言う所か何処かに行ってしまいましたもんね。ああいう小悪党も見過ごす訳にはいかないと考えていますよ私は」

「小悪党って・・・・・お前なー正義の定義が酷過ぎるぞ。あっ話は変わるがその女性どうやらその後行方不明になったらしい」

「へーそうなんですか(ばち)が当たったんじゃないですか」

 警察官の反応とは思えない反応を正義は笑いながら言ったから鈴木巡査はため息をつきながら正義の顔を見ると一瞬目が赤くなった様な気がしたが鈴木巡査が目をゴシゴシ擦って見たら何の事も無い黒い目になっていた。

 だから鈴木巡査は見間違いだと考えた。

「でも先輩も先輩ですよ」

「ななな何が?」

 鈴木巡査はさっきの事が見間違いだとしても気になってしまい少し反応が遅れた。

「いまだにあの例の少年を逮捕し続けているんでしょう。むしろそっちの方が周りから私達が変人扱いされる要因になっているんですから!」

「仕方ないだろう。いつの間にかあいつの担当は俺って暗黙のルールが出来ちまったんだから・・・・俺だって好きでやってる訳じゃねえ」

「だったら署長に直談判するとか行動を起こしましょうよ。知っていますか先輩のパトカー陰でタクシーって言われているんですよ」

「でもな~あいつは俺じゃなきぇ逮捕出来ねえ様な気がするんだ」

「何、ル●ン三世の銭●警部みたいな事言っているですかそんな事言うから変人扱いされるんですよ」

 その後もわーわー言い争っている2人を遠くで見ている2人の警察官がいた。

 その2人の警察官は鈴木巡査と正義に聞こえない様に小声で話をした。

「たく、いい気なもんだぜこっちは忙しいってのに缶コーヒー片手にくちゃべっているだけなんだからな」

「まあそう言うな仕方ないだろ何たってあいつ等数少ない警備外され組なんだから。ぷっ!」

「おいおい笑ってやるなよ自称正義の味方とタクシー運転手に失礼だろ」

 2人は大笑いをした。

 それに気づいたのか正義と鈴木がそちらを睨む。

 睨まれた2人は笑うの止め小言を言いながら仕事に帰っていった。

「はあ~この様子じゃ他でも陰でこそこそ言われていますね私達」

「それこれも実績が無いからだ。くそ俺はこんな所でくすぶっている場合じゃないんだ」

 その事を聞き正義が突然話題を変える。

「そういえば昨日例の少年の学校に不審者が入った事は知っていますか先輩」

「何?そんな事知らないぞ俺は!」

「えっ!先輩朝ニュース見なかったんですか?」

「そういえば朝から今日はむかむかしてニュースを見ていないなー。お陰で今日の天気も分からない」

「今日の天気は晴れですよ。それよりも凄いのがその捕まった不審者って何とあの強盗団の一味ですよそれも2人!」

「ななな何だってーーーーーー」

 鈴木巡査が突然大きな声を出したので周りにいた他の警察官達は驚きで動きを止めてしまった。

 それを感じたのか鈴木巡査はバツが悪そうに咳を2度「ごほんごほん」としてからまるで何も無かったかの様に話に戻る。

 周りもそれを感じたのか自分達の業務に戻っていった。

「びっくりした~いきなり何ですか!」

「びっくりしたのはこっちだ!何?ってことは俺がいつもの通りあいつ等からの通報を受けていたらその事件の手柄は俺の物だったのに何で昨日は俺にいや近くの交番に通報しなかったんだ」

「止めて下さい先輩苦しい」

 鈴木巡査は興奮して立ち上がり正義の制服の首元を掴み揺さぶった。

 我に返った鈴木巡査は掴んでいた正義の首元を離し椅子に座る

「しかし本当に何であいついや、あの学校の連中は俺のいる交番に通報しなかったんだ?」

「単に先輩が嫌われているからじゃないですか?」

 冗談で正義は言ったのだが突然鈴木巡査が黙ってしまう。

「えっ?図星、一体先輩いつも何やらかしてるんですか」

「人聞きの悪い事言うなよ。俺がやった・・・・・っていうか言ったんだよな・・・」

「何を?」

「お前も知っているだろうあの少年についているナイトールっていう名前のロボットを!あのロボットの事でなちょっとクラスの連中ともめたんだ」

「大人げな!」

 そうしてその時の事を思い出しナイトールの事について正義に話していると突然何かを思い出したかの様にあーっと言い話を中断した。

 正義が何事かと思い問いただすと、鈴木巡査はすべてナイトールの所為だと言った。

「そうだよあいつならナイトールなら俺に電話を繋げなくする事なんて朝飯前なのではないか」

 前に言った様にやはり鈴木巡査は感が鋭い、全くもってその通りである。

 しかし私の声が聞こえないこの2人はそんな事も知る由も無く。

「いい加減にして下さい先輩、さっきから黙って聞いていたら終わった事をグチグチと挙句の果てに手柄が取れなかったのをロボットの所為にしてはっきり言ってかっこ悪いですよ先輩!」

 そんなきつい一言を後輩の正義から言われたのに当の鈴木巡査は黙りもせずぶつぶつと何か呟いている。

 その様子を見て正義は鈴木巡査に向けて落胆の表情でため息をプレゼントした。

 それは尊敬する先輩への態度では無い事ぐらい誰が見ても分かるものだった。

「分かりました。皇太子の護衛の日私は有給休暇を頂き休ませてもらいます」

「はあ?何言ってんだおめえ?」

「今の先輩でしたら必ずと言って良いほど私の求める正義が実行出来るとは思いません当日はどうぞ1人で勤務して頭を冷やして下さい」

 そう言うと机をバンと叩き立ち上がり飲み終えた缶コーヒーを自動販売機の横の空き缶入れに捨て何処かへ行ってしまった。

 無論怒って。

「何だよあいつ!俺が冷静じゃ無いとでも言いたいのか、俺は至って冷静だ現に今からどうやってのし上がるか考えてんだ」

 誰に聞かせる訳でも無くただ大きな声を出したと言う様な喋り方だったが、ここからは喋らずに冷静に考えようと決めた鈴木巡査。

(はあ~あ俺が憧れたのはこんな警察じゃ無かった筈なのにな現実と理想は違うって本当なんだな~)

 そこで鈴木巡査も飲み終わった缶コーヒーを自動販売機横の空き缶入れに捨てふらふらと出歩く。

(くそ~警察になる前はいい職場で活躍もバンバンできると思ったのにいざ入ればこれだよ、活躍は出来ない、内部は結構ブラック、給料もそこそこ、仕事と言えば変なガキや変態共のお世話これのどこに憧れていたんだ俺は!)

 鈴木巡査がため息を吐きながら廊下を歩いていると取調室から出て来た警官達が話しているのを聞いた。

「駄目だ。あいつ等全然口を割らねえ」

「よっぽど強盗団のリーダーあのガンズって野郎を信頼しているんですねえ」

「あ~あこっちは皇太子様の面倒で忙しいってのに何でこうも立て続けに強盗団のメンバーが捕まるんだ?」

「その事何ですが、少しおかしくありませんか?」

「おかしいって何が?」

 その話が気になる為鈴木巡査もそちらに聞き耳を立てて2人の後をついていく。

「ひまわりって言う奴はいつの間にかここ警察署に放置されてその放置したのがあしながおじさんと言う謎の人物が書き置き残しただけ」

 それを聞いて鈴木巡査も考える。

(その事については聞いている確かにあの警官の言っている通り2人の警察官が警察署の入り口辺りで確か保護したんだよなそこであしながおじさんと名乗る人物から書き置きが・・・・・・・いやそもそもあしながおじさんの正体は人間なのか?俺が予想するにあんな芸当を人知れず出来るものに心辺りがあるそれはナイトールだ。ナイトールあのロボットならあんな事も朝飯前だろうしかしあいつ1人の犯行か?)

 犯行って(笑)・・・・・・・・・そして警官達の話は続く。

「後、アッシュとキーボードって奴を倒したのはあそこの学校の担任って話だけど他にも協力者がいたんじゃないかと言う噂が立ってるんです」

「噂ねえ・・・・」

「本当ですよ。関係あるか分かりませんが現に陰でタクシー運転手っていわれてる鈴木巡査の担当しているあの赤い髪の少年が担任と一緒に目撃されていると言う情報を得ているんですから」

(なななな何だとよりにもよってあいつが今回の事件に絡んでいるかもしれないだと。これは詳しく調べる必要があるな)

 そして鈴木巡査は2人から離れ警視総監に直接自分が例の強盗団の取り調べさせて貰えないかと直談判しに行った。

 すると警視総監は「君もかね」と言った。

 もちろん鈴木巡査はその事について尋ねた。

「どう言う事ですか「君も」と言うのは?」

「どうもこうも無いよ。さっき君の後輩の正義君も皇太子様が来る日を休暇にしてくれと突拍子も無い事を頼みに来た所だからねえ。全く君達2人組はどうして毎度毎度そんな問題を起こすんだ」

「お言葉ですが、俺いえ私はあの強盗団の一味から話を聞きたいだけです」

「よくそんな物好きな考え方が出来るねえ・・・あの者達は一切口を割ろうとしないんだ。だから皆無駄な努力をしたくないと言って今日の2人だって嫌々取り調べをしていたからねえ、近々世間の反響はあるが自白剤を投与する考えも出ている」

 警視総監の話を聞き鈴木巡査は口に出さず頭で思った。

(ほらな何が正義の味方の警察官だよ。何の事は無い蓋を開けたらこれだ、やる気の無い駄目警官にいくら強盗団の一味だからと言って薬を投与しようと考えている上層部こんなくそみたいな職場が俺の憧れた場所・・・・本当少年の頃の俺の目は腐っていたな~)

 そんな事を考えてボーーっとしている所、警視総監はため息をつきこう言った。

「分かった許可しよう進んで奴らの取り調べしたがるなんて君くらいなもんだ。因みに君の後輩の希望も叶えたぞ」

 そして鈴木巡査はありがとうございますとお礼をしその場を後にし取り調べが出来る様に手続きをした。

 もうお昼になるので署内で販売している鮭弁当を買い食べ体力をつける。

 そして取り調べの時間になりまずは順にひまわりから始める事にした。

 取調室は何の事も無い空間で畳五畳分の広さで真ん中に机とパイプ椅子が2つ机の上には古い型の電気が置いてある皆ドラマとかで見ている空間だ。

 マジックミラーが犯人側の真正面にありよくドラマとかではそのマジックミラーの反対側に数名刑事がおり取り調べの様子を監視しているが今回は誰も見ておらずこれは決して鈴木巡査に嫌がらせしているのでは無く鈴木巡査が自分で誰も入れない様に頼んだのだ。

 そしてひまわりと鈴木巡査の取り調べが始まった。

 ひまわりの格好はあの煌びやかなものでは無く青をベースとした大人しい色の囚人服だった。

 ひまわりは終始むすっとしており如何にも何も言わないぞの空気を出している。

 そこに鈴木巡査が発言する。

「えーっと確かひまわりだっけ君の呼び名は、早速だけど2,3質問していいかな?」

 ここまではどの取り調べとも一緒だとひまわりは考えそして残りのメンバーの事やガンズリーダーの事は絶対に喋らないと心に誓った。

 そして鈴木巡査の質問は続く。

「まず聞きたいのは君達の隠れ家についてなんだけど・・・・・・」

 ほら来たとひまわりは思った絶対に喋らないぞと決意を新たにするがその決意は次の鈴木巡査の放った言葉でバラバラに砕け散る。

「っていうのはどうでもいいんだ。俺が聞きたいのはお前はどうやってここまで来たかのその順路だ」

「は?」

 ひまわりが取調室で発した初めての言葉はそんな間の抜ける様な言葉だった、

「いや、はっ?じゃねえんだよいいからどんな事があったか教えろ!」

「えっえーっと・・・・・・」

 そこでようやくひまわりはこいつは自分に害が無い事を悟った。

 するとひまわりは自分らしい喋り方で答える。

「う~~んいいでしょう全部は言えませんが答えてあげましょう。あなたが初めてですよこの様な質問をする方は、他の警察官はガンズリーダーの事とかアジトの場所とか今後狙う場所何かを聞いて来ましたが勿論口を割りませんでした。本当に他の警察官達みたいな質問はしないのですか?」

「くどいぞ、俺はお前に何があったか聞いてんだ」

「う~~ん今までの警察の方達とは違い少しは親しみが出来る人が来ましたねえ」

 折角上手くいっているのに質問を間違えたりしたら大変だと話す内容を頭で吟味してから言う事を決定した鈴木巡査。

「まずお前はあの保護された時全身に少し傷や汚れが目立っていたからきっと警察に保護される前に誰かと争っていたのではないか」

「何故それを・・・・・はっ!」

 ひまわりは言った事についてしまったと思ってしまったがもう遅い。

 鈴木巡査は口の口角をちょっとだけ上げ「ふっ」と笑った。

 最初にもし誰かと「戦ったか?」と聞いたらひまわりはまず答えなかったであろう、しかしそこを争ったにするだけで答えやすくなってしまったのだ。それは何故かと言うと戦うならば敵対する者が相手になるが、争うならば誰でも当てはまる。それこそ仲間であったりリーダーであったりはたまた肩がぶつかったなどのトラブルにより争う場青もある為ひまわりは少し油断して話してしまった。

 そしてそれをチャンスと見たかすかさず質問を振り込む。

「その争った少年の髪の色は赤かったか?」

「!」

「ん!どうした黙ってないで答えてくれよ」

「う~~ん(汗)どうだったかな~?」

 ひまわりは焦ったこれは喋っていいものなのか、相手が突然争っていた人物を少年と言い当てた事に驚き上手く返しが出来なかったが何となく誤魔化す様なそぶりをしてしまった。

 しかし鈴木巡査はまた隠れて笑みを作り、もう結構とひまわりに言った。

 ひまわりは疑問に思い尋ねた。

「えっ?何がもういいんですか?」

「いや~知りたい事は大体分かったから次も控えているしもういいよ」

 ひまわりはあまり納得できずに帰って行った。

 鈴木巡査は思った、「こんな所他の誰かに見られたらまた変人扱いされるんだろうな~」とだからマジックミラーの部屋に誰も入れない様にしていたのだ。

 気を取り直して次の取り調べを行う。

 次の取り調べ相手はアッシュだ。

 アッシュもひまわりと同じ囚人服だが髪型はモヒカンでこちらをずっと睨んでる。

「おい!俺はてめえに何もガンズリーダーの事とかアジトの事とか話さねえからな」

「別に俺はそんな事を聞こうとはしていない」

「何?、じゃあ何を聞こうとしているんだ」

「な~に簡単な事だ君が戦った相手は誰か聞きたいんだ」

 今度は明確に戦ったと表現した、これはニュースでも言っている事なので大丈夫と思い直球で言った。

 鈴木巡査はまた赤い髪の少年と答えたらこれは間違い無いと確信したが以外にも帰って来た答えは予想したものは違った。

「あ?確か俺と戦ったのはゴム製の変わった竹刀を持ったあの学校の先公だったぞ」

「えっ?そんな馬鹿なまさか嘘を言っているんじゃないだろうな」

「ガンズリーダーの事とかアジトの事ならまだしもそんな俺が誰と戦った事か何て聞いた所で何の役に立つか分からない情報に嘘ついて俺にメリットがあるとでも思ってんのか?」

 鈴木巡査は考える。

(こいつが嘘をついて無いとするならばきっと本当に戦った相手は先生なのであろう、ならば質問を変えるか)

 鈴木巡査は考えた後再びアッシュに問いかける。

「じゃあ質問を変えようその戦った先生の他に誰かいなかったか、例えば下半身が無いロボットとか髪の赤い少年とか」

「ああいたぜ、あんたの言う通りの2人が俺と戦った先公の傍にいたぜ・・・・・そうだよ俺は元々あの赤い髪のガキ、レジェンド5のガキに用があったのに気が付いてみれば豚箱行きだよ」

 鈴木巡査は驚いた痛翔の事はアッシュの話に出て来るというのは予想していたが、その痛翔がまさかあのレジェンド5のメンバーという事は初耳の為顔には出さない様にしたが心底驚いた。

 だが同時にわくわくもした。

 鈴木巡査はもっと情報を聞き出せるかどうか調べる為アッシュにまた問いかける。

「すると君は本当はあの学校の先生じゃなくてそのレジェンド5の少年と戦いに来たんだな」

「ああその通りだ。なのにあの先公調子に乗りやがって何が「生徒を守る為の戦いだ」だよ生徒そっちのけで楽しんでたくせに」

「もう1つ質問だ。最後に覚えているのはどの辺までだ」

「確か・・・・・あれは俺と先公が良い勝負をしていた時突然まるでゲームの電源がぷつんと切れた様に目の前が真っ赤になってそれからの記憶が無いんだ」

「そこからの記憶は本当に何も無いんだな」

「ああ気がついたらお前ら警察に捕まっていた」

「じゃあお前が戦った先生が重傷という事も知らないんだな!」

「何だそれ初めて聞いたぞ、俺はそこまでするつもりは無かったんだけどな」

 また鈴木巡査はアッシュに悟られない様に頭で考える。

(おかしいなーこいつの言っている事が事実だとするとこいつに何らかの現象が起きて記憶が欠如しているのかもしれない、ただこいつからこれ以上の情報は望めない様だし早いとこ切り上げるかー)

 再びアッシュに向き合いアッシュに言った。

「ありがとう聞きたい事は全部聞けたもう戻っていいぞ」

「はっ?本当にもういいのかよ」

「ああ悪いな時間を取らせて」

「ちっ、調子狂うぜガンズリーダーの事とかアジトの事は全く聞かずに的外れな事ばっか聞きやがる俺は何だかお前が怖くなって来たよ。じゃあおっかねえから退散させてもらうわ」

 そう言い残しアッシュは取調室を後にした。

 次に入って来たのはキーボードだ。

 因みに影薄くて印象に残らなくて雑魚で皆あんまり気にしていないキーボードは大事な所以外以下略で行きます。

 えーっとまず格好は以下略。

「僕は例えどんな事があろうとガンズ以下略」

「ああ聞きたい事は以下略」

「以下略」

「以下略」

 以下略。

 以下略。

「だからお前の見た光景を教えて欲しい」

「僕が見た光景・・・・・はい分かりました。確かにあなたの言っている通りあのレジェンド5の少年が途中からアッシュと戦っていました」

「やっぱりか!」

 鈴木巡査はようやく欲しい情報を手に入れこっそり笑みを浮かべた。

 しかし鈴木巡査は疑問に思った、何故こんな重要な事を本人であるアッシュは覚えていないのだろうと。

「なあ、じゃあ何でアッシュ本人は覚えてないんだ」

「それはよくは分かりませんがあれは所謂(いわゆる)暴走ではないかと思います」

「暴走?」

「はい、それもただの暴走ではありません。何かいつものアッシュとは違う様な印象を受けました」

「二重人格ってやつか!」

 そう言うとキーボードが「それでは無いけど近い様な気がする」と言った

 そして鈴木巡査はキーボードに勝負の結果を聞いたが、残念ながらキーボードも途中からの記憶が無いらしい。

 そうして今捕まっている強盗団の取り調べが全て終わった。

 気づくともう夕方だった。

「もうこんな時間か~」

 鈴木巡査は取調室の鍵を返すのと現状の報告をする為に手続きした場所に向かう。

 そんなくたびれた様子の鈴木巡査の様子を見て受付の60過ぎのおっさんの警察官が笑みを浮かべてマグカップに入った温かいコーヒーを鈴木巡査に渡した。

「お疲れ、どうだい大変だったろうあの3人の取り調べは」

 鈴木巡査は「ええまあ」と簡単に返事をした。

「でっ聞くのは無駄かもしれないけど収穫はあったか?」

 あった。

 だがこれを他の者に言う訳にはいかないそこで鈴木巡査はこう答えた。

「あなたのご想像の通りですよ」

「はっはっはっはーーやっぱり駄目だったかあいつ等何も言わなかっただろう」

「ふっ」

 鈴木巡査はその答えの代わりに少し笑って見せた。

 これで鈴木巡査は嘘は言ってない事になる。

 後で問い詰められても切り抜けれるだろうと鈴木巡査は思った。

 それからコーヒーを飲み終えた鈴木巡査はおっさん警察官にお礼を言いその場を後にし通路を歩いて行った。

 そうやって歩いている時にも鈴木巡査は考える。

(それにしてもあの3人から聞いた情報は凄かったな~。まず痛翔とナイトールが今回の事件に関わっているのは間違いないそしてあの3人を倒したのも痛翔でまず間違いないだろう。だが決定的な証拠が無い、それにアッシュやキーボードに何が起こったかもまだ分からないこれは詳しく調べる必要があるな)

 にやにや笑いながら歩く鈴木巡査を見て周りにいた警官達はどんどん距離を取っていく。

 それに全く気づかない鈴木巡査はまた考える。

(そうだよ上手く行けばとても大きな実績が残せるかもしれないこれは忙しくなるぞ。俺はこんな所で立ち止まっている訳にはいかねえんだ・・・・・・・悪いが俺は利用出来る者はとことん利用させてもらうぜ覚悟しておけ痛翔、そしてナイトール)

 そう考え鈴木巡査は廊下を歩いている。

 その周りには誰もいない、それの所為で気づかなかったのであろう鈴木巡査の目が微かに赤く光っている事を・・・・・・・・・・・・・。


更新が遅れてしまい申し訳ありません。最近このお話しをファンタジア大賞というものに送ろうと編集作業などしていましてこちらの作業に手が回りませんでした。無事この作品をファンタジア大賞に送る事が出来ました。色々と大変でした規定の枚数より多く話があった為泣く泣く無くした話もありますそしてその話を無くした事により生まれた矛盾点などを無くすため軌道修正し、文字数や改行1ます開けた数など数え、その上で計算をしページ数を割り出すなど結構大変でした。しかしその作業も終わった事ですしこれからはなるべく待たせない様に更新していきたいと思います。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ