表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界行ってもヘッドショット!  作者: ソラ
第1章 異世界へ
2/28

1話 神との出会い

 

 目が覚めると体が縮んで……なんてことはなく地面に突っ伏していた。俺は立ち上がり周りを見渡したが、あたり一面は一寸先は闇状態だ。夢の中かもと思い腕をつねるが普通に痛かった。じゃあここはどこなんだ…夢でもなく俺の部屋でもない。もしかしたら地球でも無いのかもしれない。そんなことを考えながら適当に歩いていると少し先に光が見えた。俺は光に向かって走り出した。この変な世界の出口かもしれないし、たとえ出口でないとしても何かが其処にあるはずだ。だがどこまで走っても光は一向に近づいてこない。やはり出ることは出来ないのだろうか。そんなことを考えていた矢先、光の方から一人の女が光を背にしてこちらへ歩いてきた。


「目が覚めましたか。初めまして……いえ先ほどぶりですか佐々木 遼さん。いえ、この場合はノブナガさんと呼ぶべきですね」


  ノブナガとは俺がいつも使うハンドルネームだ。だがなんでそんなことまでこいつは知ってるんだ?ノブナガなんて名前使ってる人は山ほどいるがそれが俺だとなぜわかった…?というか普通に思考を読まれてないか…?


「答えは単純明快ですよ、ノブナガさん。それは私が神だからです」


  こいつは何言ってんだ?自分のことを神と自称するとか絶対ヤベー奴じゃん。出来れば関わりたくないな…。


「ところが残念、すでに関わってしまっているのですよ。あなたは私を倒した敵として、ね?」


 俺が倒しただと…?俺は生まれてこの方人を倒したことなんて一度もないぞ…?それどころか俺が倒される側だったはずだ。そんな俺が倒しただと?まぁ『自分はあの時の虫です。復讐しにきました!』とか言われたら納得はいくが。


「神を虫扱いするとは……まぁ良いでしょう。今日はそんなあなたにお願いをしにきたのですよ。」


「お願い、ねえ?そいつはしっかりお断り出来るんだろうな?俺は何も聞かずに了承するほど馬鹿じゃないんでね」


「もちろんお断りしてもらっても構いません。ただしその場合は死をプレゼントさせて頂きますよ?」


「なんでだよ!?俺にだって選ぶ権利はあるはずだろ?!」


「ですから選択してくださいな、死ぬか生きるかを」


 うわぁ……。何がやばいって目がマジなんだよなあ。俺だってこんなところで死にたくはないし……こいつは話を聞くしかなさそうだな、はぁ…。


「仕方ない。で願い事はなんですかなお嬢様?」


「まだ信じてないんですね、私が神ということを」


「そりゃそうだろうよ。誰がどう見たって拉致監禁の現場にしか見えないだろうよ」


「大丈夫ですよ。ここには私と貴方しかいませんから」


「は?何を言ってーー」


「ですからここは神界。貴方は私が連れてきた適合者…いえ、試験者であり、もうあちらの世界には帰れないということですよ。お分かりですか?」


 嘘だろ…?帰れない?いやいやいや、おかしいだろ。おかしいだろ!?なんだって俺がこんな目に会わなきゃいけねえんだよ!


「貴方が私を倒したからですよ。たとえそれがゲームであったとしても」


 ゲーム…だと?てことはーーー


「お考えの通り、私は“your god”です。もっとも、その正体は神ですが」


「つまり、チート使いの神様に逆恨みされたって訳か?」


「逆恨みなんてとんでもない。逆に感謝しているのですよ。どんな方法であれ私を倒したのですから」


「感謝ねぇ?だったらちゃんと目に見えるもので頼むぜ」


「ですからこうやって貴方に会いにきたんですよ。貴方を異世界に連れていくために」


「異世界ねえ……仮にそんなものが存在するとしてなんだって異世界へのチケットが喜ばれると思ったんだ?」


 そう、別に異世界じゃなくても良いはず。金品でも名誉でも知識でも良いはずだ。むしろそっちの方が大抵の人間に喜ばれるはずなのになぜ異世界への片道切符なのか。それには重な何かが隠されているはずーー


「地球人の男子中高生ってみんな異世界転生を望んでるんじゃないんですか?」


「は?」


「地球にはさまざまな異世界を舞台にした物語がありますよね?そしてその物語は地球の男性に多く浸透しています。なので皆異世界へ行きたがっているのではないかと。それに都合が良いんですよーそういう人」


「どういうことだ。都合が良い?」


「はい。ではこれを見てください」


 そうやって見せられたのはバスケットボール大の水晶でそれには見た感じ中世ヨーロッパのような世界で人々が暮らしている映像だ。


「これはあなたが行く世界、その名をアカルトピア。そして私が用意した世界の中でで最も自信のある世界です」


「自信だと?それはそういう意味だ?」


「考えたことはありませんか?なぜこのような世界が存在するのかを。また、あるかもしれない並行世界のことを」


 並行世界……存在したかもしれない別の世界か。たしかにあるかもしれないとは考えたことはあるが存在したとしてそれがどうしたってんだ?


「世界とは神が作りしものであり、いわば盤上なんですよ。そして世界が滅亡するということは神の遊具が壊れるということ。誰しも自らが作ったものが壊れるものは嫌うもの。では数多くの盤上を作り出せばどうなるか。答えはそこから数多の並行世界が生まれ、それぞれを神々が見守ることで暇をもてあますことがなくなるということです」


「なるほどな。じゃあ俺へのお願いってのはこのアカルトピアを救って神の暇を潰してほしいってことか?だがそんなことしなくても新たな世界を作れば暇になることはない。違うか?」


「おっしゃる通りです。ですがそれは私に世界を作る力が残っていればの話です。私には世界を作るほど無駄遣い出来る余力がありません。というより世界を作って行く末を見守るより地球のゲームをする方がよっぽど暇つぶしにはなるんですよ」


 さすが地球人の生み出した娯楽……数多の廃人を生み出してきただけのことはあるな。まさか神にまでその毒牙をかけるとは……。


「じゃあ俺は世界を救う勇者にでもなればいいのか?」


「いえ、それは自由です。貴方が世界を守る勇者になろうと、世界を破滅へと導く魔王になろうとも」


「流石に魔王になるつもりはないが、良いのか?暇が増えるだけだぞ?」


「だから試験者なんですよ。異なる世界からやってきたものがどのような影響を及ぼすのか、そしてどんな変化をもたらすのか。それを見守ることは暇ではなく、むしろ暇つぶしなのです」


「俺が行ったところで何も変化は起きない気がするけどな」


「イレギュラーとはどうあがいても変化をもたらすものです。将棋の盤上にチェスのクイーンが現れるように」


「それは大きな変化だな。だがそんな変化を起こすのは何かしらの力が必要だ。ポーンじゃ意味が無い。違うか?」


「その通り。ですから神である私が貴方に恩恵を与えましょう。スキルという名の恩恵を、ね。もちろんこれには貴方が私の世界に来るための資格を得たご褒美も含まれますよ」


「スキルか。定番といえば定番だな。それでどんなスキルをくれるんだ?」


「それは貴方次第です。存在する全ての中から選んでもらって構いません。」


 そう言った後、俺の目の前に無数のリストが表示された。見た感じはスキルの一覧表みたいだが全部確認するには骨が折れるぞこりゃ。

  だが、そんな無数のスキルのうち俺の目を引くシリーズが1つあった。


  【近代武器】《狙撃銃》


  近代武器、しかも狙撃銃だと!?こんなスキルが存在しているのか!いや、よくよく考えればおかしくは無いのか。男子高校生が皆揃って異世界転生を望んでいると思い込んでるし、普通にFPSゲームしてるからな…あって当然、むしろこの神が実装しない筈がないな。


「じゃあこの【現代武器】《狙撃銃》にするぜ」


「うーん、良いの?後悔しませんか?」


「え?なに?口調崩してまで聞いてくるとかもしかして訳ありスキル?」


「あっ…ゴホン!貴方の言う通りこのスキルはお勧めしません。理由は様々ですが、1番は弾が無いこと。2番目にその武器についての知識がないと扱えないことです」


 弾が…無いだと!?それただの鉄塊じゃねーか!流石にそんなスキルは取れないな…せっかく良いスキルだと思ったのに。


「知識が必要なのはまあ良しとしよう。だが弾が無いってのはどういうことだ?本当に1発も無いのか?」


「弾が無いのはその…今までの転移者が色々やらかしまして。昔は【現代武器】っていう1つのスキルだったんですが、転移者の一人が核弾頭を使い始めまして……その……世界が崩壊しました……物理的に。なので大きな武器をスキル範囲から消去してシリーズ化したのですが機関銃を使って世界一面が薬莢に包まれたりしたので、いっそのこと弾を無くせば良いんじゃ無いかと思って消しちゃいました。☆彡」


 なにしてくれてんだこの神様は!俺の気持ちを上げて落としやがった!


「マジで使えないのかこのスキル?どうにかして使えるようにならないのか?」


「今回私が貴方に差し上げるスキルは軒並みレベル上限です。ですから使えないことはないですよ。ちゃんと撃てます、1発だけですが。」


「1発は撃てるんだな!?本当だな!?」


「え、ええ。使えますよ」


  1発だけではあるがちゃんと撃てることが発覚した。それならそれで十分。撃てないよりかはマシだ。必要な知識ってのがどれくらいなのかはわからないが念願の狙撃銃が使えるんだ、その程度どうにかなる。いや、どうにかしてみせる!


「それでも俺はこの【現代武器】《狙撃銃》にする!」


「わかりました。では他のスキルはどうしますか?晴れて試験者に選ばれた貴方には後数個ならばスキルを与えても良いと思っているのですが」


「じゃあ遠慮なくもらって行くがどれでも良いんだな?」


「流石に【現代武器】シリーズのようなスキルはダメですが【鑑定】や【〇〇魔法】シリーズなどは大丈夫ですよ」


 なんともありがたい話だぜ。とりあえず【鑑定】は必要だろうな。あとは料理系が欲しいが…あったあった。【調理】スキル発見っと。やっぱり人には衣食住ってな。あとは【錬金術】スキルかなあ。異世界転生物ではよく使われてるしな。そして魔法!やはり異世界に行くならこれが使えないとな!魔法がない世界なんてファンタジーでもなんでもない!と俺は思った。


  だから俺は魔法スキルを取ることにした。魔法のスキル一覧を見てみると種類が思った以上に多い。火とか水とかのメジャーな属性はもちろん、光や闇も当然ある。だが、空間や重力なども存在していた。大量の中から選ぶのは苦悩したが、結局【空間魔法】にした。


  あとは耐性系のスキルがあるかどうかと探したら思った通り存在した。とりあえず【毒耐性】だけは取っておいた。他にも麻痺やら睡眠やら色々あったが直接害があるわけじゃないし命に関わる毒だけは必要な気がした。


「じゃあ【鑑定】【調理】【錬金術】【空間魔法】【毒耐性】を貰おうか」


「それは良いですが、少し種類が多すぎます。5つの中から3つを上限レベルの4割とします。よろしいですか?」


「そこは妥協するから大丈夫だ。それじゃあ【鑑定】と【調理】以外を頼む」


「わかりました。では他の3つのレベルは上限の半分とします」


 鑑定と調理は俺の勘だがおそらく重要なスキルだろう。出来るなら毒耐性も上限にしたかったがわがままは言ってられない。そもそもこれだけのスキル保持者がいるのかどうかすら怪しいのだから。


「次にステータスですが、全て地球の貴方に合わせてありますのでご安心を。いきなりマッチョマンになるなんてことはありません」


 それってつまり地球の俺の貧弱ステータスがそのまま反映されるってことかよ……こんなことになるならもうちょっと鍛えておけばよかったなあ。


「では一通り説明致しましたのでこれから貴方をアカルトピアにお送りします」


「待ってくれ、最後にいくつか質問しても良いか?」


「良いでしょう。出来る範囲でお答えします」


「まずこの試験者っていう役割は俺である必要があったのか?俺に何か特別な力があったりするのか?」


「試験者の役割は誰でも良かったのですよ。なぜなら私を倒した相手に対し私はyour god(貴方の神)として接触するのですから。ですから貴方に何か特別な力があるから気に入ったというわけではありません」


「じゃあ次。言語はどうなってる?」


「そこはサービスしてます」


「んじゃ次!あんたの名前を教えてくれ」


「あら、言ってませんでしたか。それは失礼。私の名はメルリアラ。創造神メルリアラです」


「メルリアラだな。覚えたぜその名前!次会うときはしっかりと地球に返してもらうからな!」


「それは私が楽しめたら考えましょう。それではアカルトピアでの生活を存分に楽しんで下さいな。そして私を楽しませてくださいな」


 その言葉を最後に俺は光に包まれた。


読んでくださってありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ