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異世界行ってもヘッドショット!  作者: ソラ
第1章 異世界へ
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プロローグ

一応処女作です。こんな物語があったら面白いんじゃないかなと思って書き始めました。更新頻度は遅いと思います。それでも読んでくれるなら幸いです。

 学校における昼休みとはどんなものだろうか。昼食はもちろんのこと、ある者は睡眠時間、またある者は勉強の時間と言う。だが俺にとっては―――


「遼!そっちに行ったぞ!しっかり狙えよ!」

「わかってるって。んじゃ……ココッ!」


 スコープを覗いた先を走る敵の頭が十字模様と重なると同時に銃弾の書かれたボタンを押す。バァン!と残響が少し残るほどの銃声が聞こえた後、敵の姿が消えて画面にhead shotの文字が表示され、killの数が1増える。


 そう、この俺佐々木 遼にとって昼休みとはFPSゲームの時間である。かといってこのゲームで世界ランカーを目指しているわけではないし、有名なプレイヤーでもない普通のプレイヤーだ。友人と一緒に戦場に赴き、互いに協力して敵軍に勝利する。MMORPGみたいにな大規模な対戦ではないが俺にとってはFPSのような少数対少数のゲームが合っていた。


 そんなFPSゲームでは俺は必ずと言って良いほど狙撃銃を愛用する。今までにも何度か聞かれたことはあった。なぜ狙撃銃にこだわるのかを。その度に俺はこう答える。


 “死にたくないからに決まってんじゃん”


 自分でもよくわかっていないがどんなゲームをプレイしてもなぜか死ぬをとても拒む。そしてその性格がFPSにピッタリだったのだ。


 そしていつものように教室で昼食をとった後スマホを取り出し戦場に赴いた時に奴は出てきた。


「なぁ遼。さっきからこいつの動きっていうかスコアおかしくねえか?」

「そうなんだよなぁ。一回も死なずにこれだけの敵を殺るとはトッププレイヤーでも無理だと思うんだが」

「お前もそう思うよなー。となるとこいつはあれか」

「ああ、あれに違いない」


 このゲームにおいてヘッドショットは死を意味するのだがさっきからヘッドショットしても死なないプレイヤーが一人いるのだ、それも敵に。


 これが意味するのはチーターが出現したという事だ。よりにもよって敵軍に。そしてそんなズルをする奴が出てきた時どうするのかは事前に決めてある。


「「「「不正行為には鉄槌を!」」」」


 これは普段のFPS仲間との取り決めで、ズルをする輩には容赦しないというものだ。とはいっても普通はゲームの運営に通報すれば良いのだが俺たちはそうはしない。その一戦の間はひたすらチーターを協力して倒そうとする。通報するのはチーターが現れた一戦が終わった後にするのだ。


 だが俺たちはチーターに勝った試しが無い。というのも負けないようにズルをしているのだから当然といえば当然なのだ。だからこそ俺たちは挑む。ズルをしない奴がズルをする奴を倒す、そんな優越感を求めているのだ。だから今日も俺たちは挑む。自らを神の如く無敵だと思い込んでいる奴を地に落とすために。


「そっちにいったぞ猛!」

「おうよ!って殺られた!そっち頼む!」

「おう!っていったそばからこっち見てるんですけどー!?ちゃんと誘導してるんだから外すなよ遼!」

「外すなって言われてもダメージ通らないんじゃどうしようもなくね?まぁやるだけやってみるけどよ!」


 そういってる間に誘導地点に奴が来た。もう少し右……もう少しだ……もう少し……そこっ!


 照準を合わせて発射ボタンを押した。その瞬間に俺は確信した。ヘッドショット出来なかったと。だが奴は倒れた。というより弾がズレたように見えた。これが死亡数0プレイヤーか……


「無理ゲー!!」


 そう叫んだ数十秒後、なぜか画面にhead shotの文字が表示される。


「「「「は?」」」」


 俺たちの声が重なる。それもそのはずで普通はどんな死亡理由でも敵プレイヤーが死ぬとすぐに画面に表示されるのだが今回は明らかに時間が空きすぎていた。ゲーム内での時間の遅れはスマホゲームだからよくあることだが今回はそれにしても遅すぎたのだ。


「どうなってんだ?ラグにしちゃあ時間が空きすぎだろ」

「それなー。でも現にヘッドショットしちゃってるわけだしなー」

「ていうか俺たち遂にやったのか?チーター殺しを」

「ああ。この通りリザルト画面に死亡数1だ!」


「「「「よっしゃああああああ!!」」」」


 教室で4人揃って勝利の余韻に浸ろうとした時、5時間目始業のチャイムが鳴った。今日は後3時間も残っている。とても憂鬱だ……




 ――――――――――――――――――――――――



 授業が終わり、友人と共にゲームセンターに寄った後、家へと帰った。友人とは今日の昼休みの話で盛り上がったのだが1つだけ疑問が残った。俺はあの時確かに頭を外した。だが表示されたのはhead shotの文字だった。なぜヘッドショットの判定になったのだろうか。そもそもこのゲームは家庭用ゲーム機で遊べるソフトをスマホアプリとして使えるようにしているだけで判定等は厳しいはずなのに。まぁ考えても仕方ないな、と自分で割り切って昼の続きを始めようとした時に思い出した。


「そういえば、チャイムがなって出来なかったけど通報してねえな。あいつらがしてるとも思えんしこっちでしとくかー」


 そう呟いて俺はアプリを起動し、昼間の奴の名前を検索し始めたが名前が一向に思い出せなかった。仕方なく友人に電話をかけた。


「もしもし猛か?昼間のチーター名前覚えてるか?」

「ん?ああ、覚えてるもなにもバッチリスクショ撮ってるぜ!」

「さすがは猛!あの短時間でしっかり撮ってるとか流石だぜ!」

「んじゃ送っておいたからな!」

「ありがとさん」


 そうやって送られてきた画像にある名前は“your god(あなたの神)

 昼に神は地に堕ちたんだよな……と思いつつ通報しようとしたその時ゲーム内のDMに通知が入った。こんな弱小プレイヤーにDMなんぞ送ってくる暇な奴は誰だと思ってDMを開いて見たら送り主は今まさに通報しようとしていた自称神だった。しかも内容がひどい。


 “この私を地につけるとは素晴らしいプレイヤーですね。どうですその力。その力を他に役立てたいと思いませんか?


 いい返事待ってます。”


 こいつは一体なにを言ってるんだ?今時こんなに怪しさMAXのメール受け取って“ハイそうですか”って返事するバカは居ねえぞ。と思ってもネット上で騒ぎを起こしたくは無いしな。ここは無難に……


 “DMありがとうございます。お話の件ですがトッププレイヤーにでもお話しされた方が良いと思いますよ。後、チートはダメですよ。”


 まあこんなもんだろう。送信っと。

 送信ボタンを押すとすぐに返信が来た。早すぎるだろ!?


 “昼間の件は反省しています。そのお詫びと言ってはなんですがプレゼントを用意させていただきました。受け取ってください。”


 本文とともにURLが貼ってあった。こんなもの流石の俺でもわかる。押しちゃダメな奴だと。ワンクリック詐欺の類だと。でも一応返信しておいた。


 “詐欺に合いそうになったと警察にも通報しますよ?もうやめた方が良いですよ?いろんな意味で。”


 ちょっと脅しっぽくなってしまったが相手はおそらく犯罪者か何かだろう。どちらにしても良い人ではないのだろうと思う。詐欺師って怖いよなーとか考えてると返信が来た。


 “仕方ないですね。少し強引ですがこっちに来てもらいましょう。”


 読み終わった瞬間身体中に悪寒が走ると同時にスマホの画面が尋常じゃないほど光り出し、俺は意識を手放した。


読んでくださってありがとうございます。

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