リンゴ
子供の頃は警察官になりたかったです。
目を覚ますと、僕は中世ヨーロッパにいた。
「絵にかいたような」、「100人に聞いたら99人は『中世ヨーロッパ!』と答えそうな」
石造りの町並みに、遠くにはお城、活気のある露店街、教会。そして、冒険者ギルド...冒険者ギルド?
よく見るとケモ耳っこに8割人間やめてそうなリザードマン、魔法使い感あふれるローブに身をくるんだ人と、僕が教科書で読んだことのある、中世ヨーロッパではない風景が広がっていた。
「もしかしたらここは、中世ヨーロッパかもしれない。なぜなら、教科書は××によって管理されているから、きっと、あいつらにとって都合の悪いことは書かれていなかったんだ!」
なんて陰謀論を唱えつつ、現実逃避していると、僕はシスターの格好をした人とぶつかってしまった。
リンゴが落ちる。
彼女の抱えた袋に、つまっていたであろうリンゴ地面に落ちると、隣を走っていた馬車がすかさず1個を踏み潰すと、ボロ布まとったお爺さんは年齢に見合わぬ超スピードで2個のリンゴを掠め取っていた。
「すみません、よそ見をしていたもので...」
僕は謝りながら、ボロ布をまとい、胸に2つのリンゴを隠したお爺さん、改め、おばあさんだと自己主張するその2つの立派な胸をもぎ取ると、彼女に差し出した。
「いえ、こちらも不注意でしたので...」
彼女はそのリンゴを受けとると、おじいさんに1個渡し、僕にも1個差し出してきた。
「申し訳ありません。拾っていただいて、これは感謝の印です。」
どうやら、おじいさんにも感謝しているこのシスターはきっと良い子なんだろう。
「ありがとうございます」
僕はそう答えると、リンゴをズボンにしま...
おうとして気づいた。僕は服を着ていなかった。
100人に聞いたら多分、最後の1人が正解を教えてくれるだろう、「ここはアカレシア、ようこそ、異世界に」