子供の頃、僕は何にだってなれる気がした。
子供の頃は何にだってなれる気がした。
野球やサッカーを見ていたらスポーツ選手になりたかったし、
大きな病気をして入院したときは看護婦にだってなりたかった。
平凡より少し裕福な家庭に産まれ、小学校の頃は神童とよばれ、中学校ではグレ、高校で持ち直し、大学はそれなりの所に入学した。
今はサラリーマンとして汗水を垂らしている。
辛い時期も乗り越え、どの同期より早く昇進もしたし、部下だってついた。
こんなの世界中探せばどこにだっている至って、普通に幸福な人間だと思う。
何時もの通勤途中、子供の頃からの癖でポイ○ルを2粒口に放り込むと、僕は電車に飛び込んだ。
「全く何がしたいのかわかりません、貴方はつい先程まで自分の人生がいかに幸福かを考え、私に感謝していたはずなのに、そのすぐ後には自殺を試みています。
あれですか?今流行りの映画にある『時間よ止まれ、私は今幸福の中にいる』ってやつを実践しようとしたのですか?
そのわりには、貴方の顔はちっとも楽しそうじゃありませんでした。
楽しそうじゃなかったんですよ、貴方の顔は。
生前私にあれだけ感謝し、色々とのべていましたが、全くあれは口先だけで、色々とその小さな頭のなかでは別なことを考えていたのでしょう。
どうにも悔しいので、貴方には第2の人生を送ってもらうことにしました。
私はいつでも貴方を見守っていますよ。願わくは、貴方の次の人生は自分の手でその短い人生を終えることがないよう。」
そういってカミサマは微笑むと、僕の意識は何処かここじゃない遠くへと旅立った。
完全見切り発車、更新は不定期。