夢見る生贄(ひつじ)の視る現実(ゆめ)は
ーーーー少女の亡骸が地面に崩れ落ちるのと同時に、光流の視界に紅い何かが映り込む。
「ぁ・・・・・?」
よく見ると、それは、一枚の花弁だった。
(紅い花なんて、あったか・・・?)
真紅に染まった、美しいそれに・・・光流は、まるで惹き付けられる様に手を伸ばす。
すると、
ぶわりと、まるで光流の周りで沢山の赤薔薇が大量に風にその花弁を踊らせているかの様に、無数の真紅の花弁が舞い散った。
薔薇園の真ん中に立っているかの様に、光流を中心に夜の闇を舞い踊る、沢山の美しい真紅の花弁ーーー。
(一体、何処から・・・・・?)
花弁が流れてくるのは何処からなのかーー光流が辺りを見回してみると
「・・・ぇ・・・・・?」
それはーーー光流自身の躰、もっと正確にいうと、その腹部から、溢れ出していた。
光流の腹から止めどなく流れ出た大量の真っ赤なそれは、地面に降り積もり、いつの間にか光流の身の真下に紅い絨毯を形成している。
そして、よく見ると光流の直ぐ隣ーー其処にも、同じ様に真紅の絨毯が形作られていた。
その中心に在るのはーーー
「・・・ぼく、の、あし・・・?」
そう、其処にはーーーあの金髪の少女と同様に、腹より上の部分と泣き別れた光流の下半身が転がっていた。