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人生を辞めますか?

頻繁にかかってくる上司からの着信を無視しながら、痛くない自殺の仕方を調べたが、そんな事を教えてくれるサイトはそう簡単に見つからなかったし、何よりそれを調べている自分がとても惨めだった


そんなワケで僕は今、電車に乗っている


どこに向かっているわけでもない


ただ、あそこでは無いどこかに行きたかった


今の時間は3時頃だろうか。現実に縛り付けられるだけのスマホはあの家に置いてきたので、何も分からない


普段から、いかに自分がいい加減に時間を過ごしてきたかがわかる



適当に電車を乗り継ぎ、聞いたことも無いようなローカル線に乗っている


今時見た事も無いような古いタイプの車両で、扇風機や発券機が備え付けられている。おまけに僕以外の乗客は見当たらず、本当にここは現実なのかと疑いたくなるほどだ


そんな中、ある駅で止まった時に乗客が一人だけ乗ってきた


見たところ幼稚園児だろうか

半袖に短パン、麦わら帽子を被った中性的な顔をした子だった


どこか不安げな表情のその子は、僕と向かい合う形で席に座った


ふとその子と目が合うと、その子は少し警戒しながら(そう感じただけかもしれないが)ゆっくりとこっちへ近付いてきた


「あの・・・おじさん、この電車は陣回には行く?」


ジンカイ?全く聞いたことが無い地名だったので、貼ってある路線表を見上げ、確認する


「ジンカイ・・陣回・・・あー、結構遠そうだけど、この電車であってると思うよ」


そう言い終わるが早いか否か、その子は空いていた僕の隣に飛び乗り笑顔でお辞儀をしていた


育ちが良いのか悪いのか分からないな


「一人でお出かけしてるの?」


誰かに頼られるのも悪くない。どうせ行くあても、生きる糧も無いのだから、少しぐらい時間を浪費したところで支障はない

せめて、この子が降りる駅までは付いて行ってあげようと思った

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