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不倒不屈の不良勇者━ヤンキーヒーロー━  作者: トロ
第二章・第三部【Bless The Beast And Child】
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第一話【羨望と忌避】


 強烈で鮮烈で、何よりもその血濡れの体は感動的なまでに美しかった。

 どんなに傷つこうとも倒れず、どんなに抗い難くても屈しない。立ち向かうということの素晴らしさを、あの人は私にまざまざと見せつけてくれた。

 見せてくれると言った貴方の目的は果たされた。私は貴方のそんな姿に魅せられて、栄光を勝ち取る姿を羨ましいと思った。

 でも、違う。

 違うのだ。

 貴方はいつでも立ち向かう。その果てに待つ栄光の輝きを知っているから立ち向かう。

 でも無理なのだ。私は、貴方のようにはなれない。

 立ち向かうことで傷つくのが怖い。

 立ち向かうことで屈しそうになるのが怖い。

 立ち向かうことが苦痛でしかないという事実が、変わらない。

 私は、駄目なんだ。貴方の輝きはとてもとても素晴らしくて、そう言う風に生きられたらどれほど素晴らしいのかと思うけど。

 それは、英雄である貴方だから出来ること。

 私は、違う。


「……いなほさん」


 その集大成を見て、私は止めどなく瞳から溢れる涙を拭うことすらしなかった。

 立ち向かった先で見つけた栄光の光。貴方の達したその一歩は、きっと奇跡のような現実で。でも、現実感のない奇跡でしかない。

 あぁ、そうなんだ。貴方は私を嫌っているのと同じように、私は貴方が妬ましい。

 私だって、そういう風に生きたかった。

 私も、貴方のように現実に立ち向かえる強さが欲しかった。

 でも現実はこれだ。私は、貴方の見せてくれた奇跡を持ってしても、この場から動くのが怖くて怖くて仕方ない。

 だけどね。私も頑張ったときはあったんだよ? 一杯一杯頑張って、嫌われたくないから頑張って。

 でもね。私はもう限界なんだ。

 皆は褒めてくれなかった。一番、褒めて欲しかった人たちは、そんな私の努力を当然のものだって斬り捨てたんだ。

 だから無理。もう駄目。

 いなほさん。早森いなほさん。貴方は綺麗で、真っ直ぐです。だけど私は汚くて、こんなにもぐにゃぐにゃです。

 だけど、だけどいなほさん。自惚れでもいいから、私は思うことがあるのです。


 貴方はきっと、私とそっくりなんだって。





次回、現状。




例のアレ

心鉄金剛『刃毀れする憎悪━マステマ━』

詳細・線を割るというちょっとよくわからん能力を持つ剣。簡単に説明すると、斬った部分をさらに斬り、さらに斬った部分をまた斬る。つまり永続的な切断能力。直撃した部分は永続的な断絶空間に飲まれるため、事実上これが斬った箇所を回復することは不可能。

すごいぞー!かっこいいぞー!


JK「まそっぷ!」

マステマ「ぬわー」


でも折れた。

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