第十九話【越えていく】
「通りで手ごたえが微妙だったわけだ」
「後ろに飛んだつもりだったのだがな……どうにも、お主の威力は減らすのが関の山だったようだ」
あの極限状態で、直撃の瞬間ミフネは後ろに飛ぶことで衝撃を緩和していた。刀を防御に回したのは、僅かにでも動く時間を稼ぐためで、その目論見は一秒の百分の一程度の時間を稼ぐことに成功していた。
だからどうにか立っている。拳を受けた胸骨と肋骨は砕け、刀を持った腕の肉と骨はピクリとも動かない。歩くたびに膝が笑い、激痛が胸から体中に走る。
たった一撃、それだけで形勢は互角にまで引き戻された。いや、主兵装である断斬が手元にない分、ミフネのほうが不利だろう。
とはいえ対するいなほも、体中の切り傷と、背中まで及ぶ風穴に手首まで断ち切られた拳からの出血によるダメージは大きく、満身創痍には違いない。
ミフネは左手に持ち替えた陰刀を構えた。いなほも左手だけを掲げて応じる。
互いに重傷、いち早く治療をしなければならないほどの状態。
絶好調だ。
二人は期せずして同じことを思った。痛みすら心地いい。流れ出る命が喜ばしい。
死への恐怖は、この戦いを止めるには遠く及ばない。
「いなほぉぉぉ!」
ミフネが地面を蹴って空高く舞い上がった。それを見上げたいなほの目がくらむ。太陽を背にすることで一瞬の目くらまし。
卑怯とは言うまい。影の射す顔を邪まに変えて、ミフネは手に持つ刀をいなほに向かって投げつけた。
弾丸よりも早い速度で放たれたその刀を、いなほは横っ跳びで回避する。
ミフネが着地、床に落ちた断斬を掴む。が、それこそいなほの狙い。断斬を持つという行為は隙以外の何物でもない。
「ミフネぇぇぇぇ!」
いなほは叫びながらミフネの間合いに踏み込むと、間髪いれずに蹴りを放った。少しでも早く、隙を晒している今こそ畳みかける好機!
咄嗟に断斬の刀身でその蹴りを受け止めるが、片手故に力負けして大きく体が揺らぐ。
いなほは刀身を滑るようにして蹴り足を頭上に伸ばすと、そのままミフネの頭目がけて振り下ろした。
これも受ける。が、勢いに負けて膝をつく。走る激痛、笑う顔。流れのままに受け流した踵が、闘技場の床を破砕した。
時間が止まる。飛び散る破片も止まる。二人のみが動く。弧を描く名刀の煌めきと、真っ直ぐを貫く鋼の濁流。
刀身を弾く拳。しかし代償に僅かな裂傷。交差によって両者の体が悲鳴をあげる。
歓喜の間違いだ。
違いなく。
二人の間に言葉はいらなかった。未だに逸刀を避けられないいなほの体は刀が振るわれる度に出血し、ミフネもまたいなほの拳が掠る度に己の筋繊維が断裂し、骨がきしみをあげる音を聞いた。
腰が回転、引っ張られるように起き上がる蹴り足。中段と思われた蹴りは途中で軌道を変えてミフネの頭に飛ぶ。頭を下げて回避、頭髪が何本か持ってかれる。
応じる刃。怪我を負っても衰えぬ速度。映像は信用ならない。再び体の赴くままに回避、出血。
返す拳。ミフネの右の肩を擦るように空を切る。激痛。脱臼。白熱。返し。血が顔にぶちまけられた。
「くかかかか!」
「はははは!」
笑い声だけが木霊した。風切音をバックに、笑い声が歌っていた。こんなにも楽しいのだから、歌うのだって当然だ。
なぁ、なぁミフネ。俺はお前に届いているのか? まだ続けられる。終われない。斬られる度に倒れそうになっても倒れない。なぁミフネ。まだ、まだだよな?
応、応よいなほ。心臓が鼓動を続けている。肉が未だに踊っている。届いているとも、続けられるとも、終わらせないが、終わらせたいとも。
「がぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
「おぉぉぉぉぉぉぉぉ!」
二人は言葉を交わす代わりに凶器を交わした。振るう鉄と拳に思いのたけを叩きつけ、与えるように相手を奪う。生きるために殺しにかかる。奪うように、与えあう。
永遠の中に二人はいた。いつまでもどこまでも、体はいつまでも動き続け、心はそんな体をさらに焚きつける。喜びがあった。この戦いをいつまでも続けられる奇跡への歓喜だけがあった。
もう少しすれば、早く倒れてしまえときっと思うだろうけれど、それでも今は、まだこの戦いを続けられることに感謝しよう。
出しきっていない。こんなにも動かない体だけど、まだまだ全ては出していない。
だからもう少し、もう少しだけ──
飛べ。
「きれい」
狂気的な笑い声の歌が響くその光景を、誰かがそう評した。
息を飲まれる。魂を吸い込まれる。破滅へと向かうその光景がこんなにも美しい。
正義も悪もない。あるのは互いに『自分のほうが強い』という意地だけ。その張り合いが美しく、残酷で、目を放すことが出来ない。
戦いの狂気は混沌の果てに芸術へと昇華される。全ての色が混ざり合い、絡み合う景色。二人が一つに溶け合ったかのような錯覚。
言葉は失われた。誰もが瞬きを忘れて見入った。
しかし二人には関係ない。必要ない。己の命も、使命も意義も全部いらない。
倒す。倒してみせる。一点のみに集約された決意は固い。もつれて絡み、がっちりと掴みあう。
重ねられ続ける疲労と痛み。
延々と続く剛と剛。
だがもっと、それでももっと。まだ足りない。まだ行ける。
激痛は空へと飛ぶためのガソリンだ。まとわりつく疲労は痛みが巡る度に消し飛んで熱へと変わる。前へ行こう。この男を倒せるのなら前へ行こう。
歓喜の宴の途中、肉体が先に主を裏切ったのはミフネだった。がくりと膝から力が抜ける。
すかさずいなほは崩れた体に拳を放った。
顔面に飛ぶ魔弾を刀身で受け止め、弾け飛ぶ。闘技場を転がりながらも耐えて見せたミフネは、起き上がると同時に追撃を予測して構えをとった。
だがいなほは動かない。拳を引っ込め、血を流し続ける右手を掲げ、半身に構えた。その顔には表情は浮かんでいない。歓喜はあるが、表に出す余裕はない。
ミフネも同じだ。無表情のまま、傷つき動かないはずの右手を断斬に添えて、無理矢理握りこむ。無理をすればこの右手は二度と動かないだろう。だがそれでも良かった。次の一撃に全てを込めるのだから、それで良い。
「……」
「……」
二人だけは、分かっていた。
無限に続くこの戦いを終える方法を二人は分かっていた。
その結果己が破滅するとしても、それしかないと分かっていた。
「おぉぉ!」
「『戦いの力をこの身に』」
二人の体から魔力が放出される。オレンジの輝きはそのままいなほの体に吸い込まれ、赤き魔力はミフネの体を赤く輝かせる。
いなほは覚醒筋肉を、ミフネは強化魔法の重ね掛けをそれぞれ行う。どちらも通常の状態でも使用すれば体への負担が計り知れない方法だ。
しかしこれしか方法はなかった。互いの体がみるみる内に修復されていく。体中のエネルギーを代償に、一瞬のみ全力を超えた力を解放出来る状態に仕上がっていく。
そして二人の体から浅い傷口はなくなった。だけれどそれも僅かな間のみ、魔法が切れれば崩壊するしかない応急処置。
構わなかった。次の一撃で限界を超えるつもりの二人にはそんな些細なことはどうでもよかった。
互いが分かっている。この敵を倒すには、キースが見せた限界を超えた先の本当の限界ですら足りない。
その限界を超え、一瞬で破滅する領域に至らなければならないのだということを。
「この一閃。我が身命を全て注ぎ、神の一振りへ至ってみせよう」
ミフネは謳うように朗々と語ると、大上段に断斬を構えた。
上から振り下ろす。その構えから当たり前のようにそれが想像できた。だというのに、誰もが予感する。
分かっていようが分かっていまいが問題ない。
斬られる。斬って捨てる。これからいなほを襲うのは、覆しようのない最強の一振りだ。
観客がミフネの威圧に耐えきれずに次々と意識を手放し倒れ始める。
渾身という言葉すら足りない。
限界でも尚劣る。
己の限界を超えた最後。この先の人生すらも厭わぬ刃。
対するいなほは、ミフネから放たれる言語を絶する威圧感に震えた。覚醒筋肉を使い、文字通り限界まで己の体の性能を引き出した上で、尚ミフネの構えから放たれるだろう最後の刃は、自分を切り裂いてくるだろうと想像した。
結論。早森いなほは敗北する。ミフネ・ルーンネスの秘奥の限りをこらした絶技を前に無残に散る。
そんな理性の断言を、いなほの本能は否定した。
だったら答えは簡単だ。今の自分で足りないなら、もっと強くなればいい。今から来る最強すら超える力を得ればいい。
不可能だ。人間はそんなにすぐに強くはなれない。
一笑。不可能なんて、あり得ない。
「だから、なぁオイ」
いなほは構えを解くと、左手を天高く掲げた。隙だらけのその姿。しかし天に謳う最強の拳に隙などない。
誓う。この手が届くと信じているから。
この零秒の先の果て──
俺は、俺を超えて行く。
「弾けるぜ」
最後の攻防が始まる。
瞬間、ミフネの体から溢れる威圧感がさらに膨れ上がった。隠すつもりもない殺意の奔流。放つのは、神楽逸刀流が最秘奥。未だ放つことが叶わぬ始祖が生んだ無敵の太刀を、だからこそやってみせよう。
「神楽逸刀流……」
嵐の前の静寂のように、ミフネから溢れていた全てが、その言葉と共に全てなくなった。威圧感も、魔力も、全てが唐突になくなった。いや、なくなったのではなく、全てがその手に持つ断斬に収束していた。何もかもが刀へと集まる。積み上げてきたこれまで、ここまで放ってきた全て、そして己の命すら。
全部が籠り、束ねられる。乾坤一擲生ぬるく。全身全霊尚ぬるい。超える先こそ彼の誉れ。散って消えるが男子の花道。
行きし我、この閃きの先を求めず。
昇りし我、この煌めきを経て生きるとは思わず。
ただひたすらに、刃と共に。
己、鋼と委細違わず。
無窮の狭間、内の心鉄研ぎすまし、今こそ鋼、神を斬り裂く牙とならん。
奥義。
「神威」
殺戮無情──無心故無敵。至りし刃、ここにあり。
究極の斬撃が来る。言葉の何たる無力なことか。筆舌難きその軌跡は奇跡だ。まさにこの時、ミフネ・ルーンネスは己を超えた。只一振りのみの限界突破。未来を手放すことで得たその狂気的な一振りは、遂に神楽逸刀流が始祖のそれ、無限魔道アート・アートを斬り伏せたその斬撃と同じ領域へと至った。
振るわれれば刹那。その軸上にあったものは死ぬだろう。先程までも見えなかったというのに、今はそれ以上の速度でミフネはいなほまでの距離を駆けていた。零秒後、十以上はあった距離は零になり、必殺の刃は降ろされる。
それを回避することは不可能だ。何をしようが、何を代償にしようが、振るわれれば、その軸上にある全てのものは消滅する。無論、その軸上とは向こう側、いなほの後ろにいる観客たちはおろか、空間を隔てた向こうにあるマルクも含まれる。
劣化心鉄金剛『断斬』。今、ミフネの限界を超えた一振りは、断斬がオリジナル、心鉄金剛『刃毀れする憎悪─マステマ─』の『線を割る能力』を疑似的にだが再現していた。
恐るべきはミフネ・ルーンネス。その阿修羅の如き妄念か。愛刀の持つ潜在能力を完全に引きだした技量。それは数十年にも及ぶ鍛錬の結晶だ。
当然、無事では済まない。ミフネ・ルーンネスはこの一撃の後、これまで積み上げてきた全てを失うだろう。延々と重ねてきた自信と自身、これらを一切捨て去るからこそ、この一振りは放てるのだから。
故に断言する。文字通り、ミフネの過去、現在、未来の全てが込められたこの一撃が振り抜かれた瞬間、アート・アートの作りだした空間すらも切り裂く斬撃は、異空間をも容易く超えてマルクを壊滅させる。そして、永遠に消えることのない断層を大地に刻み込むだろう。それほどの威力と速さを持つのが、今ミフネが放とうとしている技だ。
だから負ける。幾らいなほであろうと、この業を前に生き残れるはずがない。マルクと共に、いなほは死に果てる。
速さで負け。
技術で負け。
そして今、唯一勝っていた力すら敗北する。
ならば残された手段はない。でも行こう。限界まで振り絞った己の体を信じて行こう。
狙いは唯一つ。必殺が解き放たれるより前にこの拳をミフネにぶつける。
当然、無謀だ。速さで負けているというのに、速さで勝り先に当てるなど、無茶でしかない。
しかし、取れる手段はそれだけしかなかった。回避も迎撃も不可能なら。突撃するしか方法がない。
零秒。ミフネの間合いまで後一歩、いなほは既にミフネが動くよりも前に左拳を腰だめに構えている。
勝負はこの一歩で決まる。次の一歩、間合いに入られた瞬間に、先んじて一歩踏み込み拳をあてる。
そのためにはもっと早くならなければならない。余分な動きの一切を排除、呼吸すら最適に切り替えて、細胞の一欠片も知覚して動く。
速さが足りないなら、早く、全ての無駄をそぎ落として、究極の動きで先んじるよりほかはない。
筋繊維の一本、血液の流れ、全神経の全てを隅々まで自覚して動かす。修正、修正、もっと早く、もっと早く、爪の先、細胞の一欠片、DNAの断片すら加速しろ。
不可能なんて覆せ。不条理など終わらせろ。
行け。走れ。踏み込め。
この無敵を超えた先に、栄光の勝利が待っている。
だから──超えろ。
「……」
呼気が漏れた。完璧な呼気が漏れた。
指が動いた。完璧な動作で動いた。
眼球が瞬いた。完璧な瞬間に瞬いた。
心臓が跳ねた。完璧な時に脈動した。
あらゆる全てが完璧だった。完璧が完璧を昇華してより最高の完璧へと持ち上げた。さらにその完璧すら完璧なタイミングで積み重なり、さらに上の完璧へと引き上げる。
完璧がインフレを起こす。早森いなほの限界を超えた踏み込みが完璧を凌駕した完璧へと到達する。
究極極限。これ以上は存在しない動き。だが速さではミフネに遠く及ばない。
ならばやはり敗北するしかないだろう。無駄をそぎ落とそうが、どう足掻こうが、必殺の神速に及ばぬならば敗北が道理。
零秒が経過する。動き始める両者、限界を超えた太刀は、予想を裏切ることなく大上段から──
「っ……」
ミフネ・ルーンネスは絶句する。
その一連を最後まで見届けたエリス達は声を失った。
「なん、だ……今のは」
ようやく、アイリスが言葉を絞り出すが、それでもその頬は興奮に赤く紅潮し、目は感動に震えて今にも涙を流しそうになっていた。
辛うじて気絶しなかった者達も、涙を流して感動していた。神に祈る信者のように膝を折り、この瞬間に立ち会えた奇跡に感謝していた。
彼らは、神に出会った。いや、神の如きものに出会った。
何が起こったのか、その説明の前に結論から言おう。
早森いなほは勝利した。
最後の瞬間、大上段が振るわれるよりも早く、いなほの拳はミフネを捉え、その体を場外に吹き飛ばした。本来ならミフネを殺してしまう威力を誇るいなほの一撃だが、限界を絞り尽くした後のいなほの拳は、ミフネを気絶させるだけにとどまった。
勝ったのだ。あの必殺を超えて、早森いなほは勝ったのだ。その勝者たるいなほは。拳を突き出したまま停止している。直後、体中から血を噴き出して倒れた。
「いなほにぃさん!」
その様子を見て飛び出したのはエリスだ。悲しみからではない。感動で流れ出た涙を拭って急いでいなほの元に行くと、覚えたての回復魔法を唱える。
だが、エリス以外は動くこともできなかった。アイリスはあまりの衝撃に腰を抜かしてへたり込んでいる。
誰もが、あの瞬間のことを反芻していた。
ミフネが太刀を振るう瞬間? 否。
いなほがミフネを倒す瞬間? 否。
では、一体何が彼らをここまで感動させているのか。
「何だったんだ……あの、一歩は……」
アイリスが呟く。
彼らは、拳が突き出されるその手前、いなほがミフネに拳を届かせるために踏み込んだ一歩を思い出していた。
唯の踏み込み、などではない。高名な芸術家が人生を賭して作り上げた最高傑作など駄作にしか見えぬ程に、その踏み込みは完璧すぎて美しかった。
素晴らしい芸術作品を見たとき、人は目を奪われ言葉を失うことがある。あのときのいなほの一歩は、まさにそれだった。誰もが目を奪われ全ての動きを停止させるほどに美しい一歩。
その動きを見てしまったミフネもまた、直前で動きの全てを忘却して、芸術の極地たるいなほの一歩に見入ってしまった。
それが勝敗を分ける。
決着をもたらしたのは拳だったが、勝負を決めたのは、その踏み込みだった。
だからいなほの一撃はミフネを殺すには至らなかった。全ての動作が完璧に混ざり合うことで生まれた、全ての人間の目を奪う至高の一歩。その代償として、いなほは今体をぼろぼろにして、辛うじて意識だけ保っている状態だった。
「勝っ……た」
震える声でいなほは呟いた。最早、指先すら動かせない。激痛は際限なく体を駆け巡り、気を抜けば直ぐにでも意識を手放してしまうだろう。
殆ど相討ちといってもいい戦いの結果。だがそれでも、いなほは目を開き、ミフネは暗闇に沈んでいる。
勝者は俺だ。必死に治療を続けるエリスを眺めながら、いなほはあの零秒を胸に刻み込んだ。
あの瞬間、あの一歩。限界を超えて手にした確かな手ごたえ。今はまだ、限界を超えても一歩の踏み込みしか出来ない。それでもいなほは確かに、自分が目指すべき強さの頂点を見た気がした。
究極の動き。誰もが目を奪われ、回避を不可能とする芸術という名の兵器。
もし、もしもだ。あれを踏み込みだけでなく、拳を突き出すまで再現できたのであったのならば……
それは、本物の一撃必殺足りえるのではないだろうか。
「は、はは」
力なく笑う。笑えば痛みがさらに増すが、その痛みだって勝利の余韻のようで心地いい。
あぁ見えた。俺は、俺の強さをようやく見つけた。
未だ見えぬ化け物共、それらと真っ向から対峙するための己だけの絶技。
「俺が……勝った……!」
だから今は──この喜びを胸に抱いて、静かに眠ろう。
握り拳を、ゆっくり解け。
次回、強さ。