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不倒不屈の不良勇者━ヤンキーヒーロー━  作者: トロ
第四章【えんたー・ざ・やんきー!】
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第九話【宣告】


 爆音と灼熱の熱波が、離れたここまで伝わってくる。しかしその場に居る誰もが、いつこちらにまで規模を拡大するかわからない破壊以上に、自然体で佇むたった一人の男、トールだけを警戒していた。


「やってるなぁ……まぁ、あれくらいならいなほさん一人でも大丈夫だとは思うけど」


「我らを前に随分と余裕だな」


「例えお前に比べ遥かに劣るとはいえ」


「この身、『暗球』で向上した今、油断すれば腕の一つはいただくぞ」


「……舐めてるのはそっちだろ」


 トールは吐き捨てるように呟いた。

 その盲目の瞳に小さな怒りの炎が灯っている。この程度の『小物』に舐められた自分自身への怒り。

 何より。


「俺を舐めるってことはな……俺を認めてくれた奴らまで舐めるってことなんだ」


 自分だけならまだ少し苛立つだけですまそう。

 だがトールが何者かを知ったうえで侮るとなれば話は違う。


「教育だ」


 異色の炎を吹き出す右手の指先で影達を指差し、トールは宣言する。


「そして刑罰だ」


 左腕から異端の冷気を吐き出してトールは宣告する。


「俺を『魔道兵装』と知りながら侮辱した罪……その身体に刻みこむ」


「キャー! お兄ちゃんチョーカッコイー!」


 気が抜けるような隣の黄色い声は意識的に無視をして。

 まずは一人。


「え?」


「遅い」


 反応させることもなく影の一つの背後を取ったトールは、その燃え滾る右腕で、軽く声をかけるような気軽さで肩に触れた。

 そして、悲鳴をあげることなく影が燃え上がる。

 一瞬で白色の炎に蹂躙された影は、数秒もせずに燃えカスだけとなって散っていった。


「ぬっ……」


 むしろ美しさすら感じるような焼殺を見て、影が呻き声をあげた。

 決して侮っているつもりはなかった。

 だが、やはり心のどこかで侮っていたのかもしれない。


「……イレギュラーをカースト達が倒す時間を稼ぐ」


 影のまとめ役が残りの四人に言った。

 勝てるとか。

 ましてや戦えるとかというレベルではない。


「そうだ。奴は隊長がここまでの準備をせねば対峙出来ぬと悟った相手」


「隊長が、いや……『傾いた天の城』の全ての隊長が認めた規格外の一人」


「やっと理解したか」


 トールは見えぬ視界にもよく映る、敵の怯えた顔を感じて暗い笑みを浮かべた。


「忘れたとは言わせない。俺が誰なのか。俺がお前らにとっての何なのか……少しは頑張れよ格下共。命を賭ける程度の覚悟で、俺を留められると思うなよ!」


 最早、言葉は要らない。

 ただひたすらに一方的な蹂躙劇は、炎と氷の二重奏を引き連れて始まった。






次回、熱戦。


感想などいただけると作者のやる気もアップするよ!という露骨なクレクレ。

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