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revenger―復讐鬼―  作者: チョコましゅー
蠢く黒い思惑
17/22

ゲームの説明

 クロの元にたどり着いたときには、自分の外見がアバター仕様になっていることに気がついた。それも、自分で創作した姿ではない。おそらくクロが作ったこの空間へと通るときに勝手に変換されたものだろう。

 うん。かわいいからこれで許す。てゆーか、明らかに僕の趣味じゃないから逆に恥ずかしいよー。

 たどり着いた場所は、玉座のような場所だった。僕が一番乗りだったようで他に人が見当たらない。

 これから何をやるのかは僕も知らない。ただ、クロの口ぶり、というかあの説明書みたいなのを考えると普通のオンラインゲームと変わらなさそうだ。モンスタ●ハンタ●みたいな?


「お、可愛らしいアバターがいるね」


 不意に後ろから声がした。

 振り向くと僕よりも一回りくらいデカイアバターが見えない扉を潜って出てくるところだった。その格好は全身を鎧で固め、顔にもフルフェイスの鉄火面をかぶったものだった。

「あなたで二人目ですねー。ちょうど寂しかったから嬉しいですよー」

 僕はパタパタとそのアバターに駆け寄る。

 しかし、鉄火面(勝手に命名)は駆け寄る僕に手をかざして立ち止まるようジェスチャーした。

「馴れ馴れしくしない方がいいぜ。そういうゲームになるんだろうからな」

 ガシャガシャと鎧を動かしそういうと僕のとなりをすり抜け玉座に続く階段へ腰を下ろした。

 僕はそれについて行って、少し離れたところにたつ。

 情報収集もこのゲームには必要だと思うんだよねー。

「他の人は遅いですねー」

「………」

「みんなどんな格好で出てくるんだろー」

「………」

「何人ぐらいここに来るのかなー?」

「………」

「リリィって名乗ったあのお姫様みたいな人もここに来るんだろうねー」

「………」

 なんも反応がないや。

 せっかく話しかけてるのに。

 つまんないなー。

「おい、あんた。俺の言葉が聞こえなかったのかい?」

 反応ゲッツ!

 ここで反応するようならおそらくはお人好しの部類にはいる人だ。しかも男っぽいし。

「別にあなたに話しかけてる訳じゃないからいいじゃーん」

「……それもそうか」

 やっぱりこの人お人好しだよ。普通逆ギレするって。

「あなたも、願い事があってこれに参加するのー?」

「まあ、そういうことだ」

「へぇー。でも、本当になんでもしてくれるって保証はないよー?」

 僕は、そらぞらしくそんなことを言う。なんでもできるって知ってるから、クロの提案に乗ったんだけどね。

「そうだな」

 鉄火面は律儀に僕に返事をくれる。一方的に喋られるより相づちをうっていた方が気が楽だと判断したらしい。

 賢い選択だねー。

「あ、誰か来たみたいだよー」

 玉座の下に広がる広大なスペースに僕らの次になるアバターが出てくる。それを皮切りにか次々とアバターが玉座の間に出てくる。

 すごい! コミケ開始前の西口玄関前みたいになってるー!

 あ、この表現がわからない人のために説明すると、


「人がゴミのようだ!」


 って感じにぞろぞろと人が集まっていってる。目視しただけでも、ううん、目じゃおいきれないほどの人数の人がこの広間に集まってきてる。

「おいおい子猫キティちゃん。ゴミのようだ! は言い過ぎだろ」

「消しカスのようだ!」

「……前よりひどくなってるぞ」

「鼻くそのようだ!」

「ああ、俺が悪かった。ゴミでいいよ。っていうか鼻くそはここまで量産されんだろう」

 鉄火面越しにも伝わるため息と、やれやれ、といった顔でそんなことを言われる。

 鉄火面サイコー。犀愛ちゃんなみにお人好し確定だわー。

 そんなことを思いつつ、さらに増えていく色とりどり、形バラバラなアバターたちに目を向ける。その中にやはりと言うかなんというか、得体の知れないアバターも混じっている。ここにいる鉄火面のように分かりやすいアバターが多くを占めているが、中には目で見ただけではどんなアバターなのかもわからないようなやつもいる。 しばらくあふれでてくる人波が続いたが、五分ほどするとそれも途切れ途切れになっていき、十分後にはそれも止んだ。

 それを見計らったように背後から、正確には上の方、玉座から声が響く。


「全員集まったようね。ではひとしきりの説明でも始めようかしら」


 広間に集まったアバターが皆上を見上げる。僕も振り向き、鉄火面も立ち上がる。

 玉座に座っているのは言うまでもなくクローバー・ソウ・ブラックリリィ。

 しかし、その姿に全員息を呑む。

 真っ黒なドレスに包んだその体は、少女のものから成熟した女性のものへと変わり、顔立ちも幼さを残した面影から、大人の顔つきに変わっていた。まるで見たこともない絶世の美女。見ているだけで目が癒されるようだった。

「この姿はまあ言うまでもなくわたくしの本来の姿。しかし、この姿をとると人間はそのようにかしこまるから面倒なのよね」

 その言葉に広間にいる全員が驚きを露にする。

 気づけば、片膝を床につけ、頭を下げ、まるで王に謁見するかのような姿勢になっていた。もちろん僕のとなりにいる鉄火面も例外ではなかった。

 自分の意思ではなく、気づいたらそうなっていた。

 まあ僕は突っ立ってるまんまだけどね。クロのマスターだし、頭を下げさせるようなことはできないって感じなのかな。

「ほお、私の眼前に立って直立を赦されるものもいるのか」

 僕が後ろの方を見渡すと、僕以外に跪くことのしないものがいた。

 人型のドラゴンみたいなアバター。

 両腕が激しく燃え盛っているアバター。

 全身真っ黒な服のアバター。

 どう見てもただの一般人みたいなアバター。

 それと僕。

 この五人だった。

「ふーん。私が特別枠に選んだ人間より二人多いですね。まあいいでしょう。別にひれ伏せ、とか思っているわけではないのですから。私の格があなたたちよりもひとつ上と言うだけですね」

 クロは面白そうに笑う。その笑顔が跪いている人たちの心を支配しているなんて誰が想像するかな。綺麗な薔薇に棘があるように、あの笑顔の裏にはどす黒いものがあることをここにいる人たちは知らない。

「じゃあ説明します。まずその姿からね」

 そこからの説明は簡単なものだった。

 この姿は自分の中に潜在的にあるイメージが形作ったものらしい。憧れの姿だったり、コンプレックスだったり、そんなものが形となったもの。

 次にこの姿をとった理由。

 これは至極簡単で、相手の素性を隠すため。生身の姿はもちろん、ヴァーチャルの姿でもリアルを知るものがいるため、新しいこの姿にしたわけらしい。クロ曰く、「相手がわかっちゃったら躊躇してしまうときがあるから」だって。

 あとは自分のパラメーターと相手のパラメーター。

 自分のアバター名は目を閉じて対象のことを思い浮かべると、ゲームの画面のように浮かんでくる。ちなみに僕のアバター名は『ブラックサレナ』。

 ………いやいや、これは露骨すぎないかなー。僕とクロの関係をバラしているようなものじゃん。

 そんで相手のパラメーターは???となっていて読み取れない。名前も。これは自分で情報を集めたりすると徐々にわかっていくらしい。戦ってみるのもひとつの手だったりする。

 ああ、これはあれですね。オンラインRPGと言うやつの臭いがプンプンしてきたね。

 あははー、と苦笑い。それに気づいた隣の鉄火面が声をかけてきた。

「やっぱり、誰かと仲良くしようって考えは持てなさそうだな」

「そうでもないんじゃないかな?」

 僕はその言葉を否定した。

 だってRPGものだったとしても仲間が必要だし、その他のゲームだったとしても一人よりも徒党を組んだ方が楽になるはずだ。それに、願い事を叶えてくれる人数をリリィは決めていないしねー。

「なるほど。そういう考えもあるのか」

 鉄火面は顔だけこちらに向けて納得のいった顔をしている。

「まあそれでも僕は誰とも組まないけどね」

 自分の言ったことを速攻で否定する。それを疑問に思ったのか鉄火面がなにかを言おうとしたときクロが手をぱんっと叩いた。

「それじゃあ今から始まるゲームの説明ね。簡単に簡潔に言うわ。あなたたちには勝ち上がり式のトーナメントをやってもらうわ。今から二週間後ににそれぞれの対戦相手を発表するわ。そのうちの一週間のうちに選手登録をすること。もちろん一人でも多人数でもいいわ。一週間のうちに信頼できるパートナーを探したり、利害が一致した人と手を組んだりしてもいい」

 クロがなにかをしたのか、跪いている人たちが解放され始めた。みんな立ち上がって説明を聞き始める。

「勝てば次に進めて、負ければそれで終わり。敗者復活戦はなし。フィールドは私が用意するからそこで戦ってもらうわ。優勝した人にはどんな願い事でも叶えてあげると言う賞品がつきます」

 そこまで言うとクロがなにかに気がつく。その目線を追うと、一人挙手している人がいる。

「なにかしら?」

 手をあげていたのは髪をオールバックでまとめてサングラスをかけたお兄さんみたいな風貌だった。

 むしろヤンキー?

 ンでそのヤンキーさんはこういった。

「説明がきにあったミッションと言うのはどうなった?」

 ああ、確かにそうだよねー。あれにはひとつのミッションをクリアすれば次に行けるとかなんとかかかれていたよねー。

「簡単よ。サブゲームとして遊んでもらうための配慮よ。そのミッションをやれば、ヴァーチャルでもレアなアイテムをあげるわ。ああ、いい忘れたけどあなたたちの装備や魔法なんかは基本ヴァーチャルから引き継がれているわ」

「もうひとつ。あんたが願い事を叶えられると言う保証はあるのか?」

「ある。と言いきりたいとこだけど今は出来ないわ。誰かが優勝する頃にはそれができるようになるのよね」

「最後だ。負けたものはどうなる?」

「それも簡単よ」

 その質問はしない方がよかったかもしれない。その質問によってこのゲームがいかに危険なものか、そしてそれを主催したあの少女がどれ程危険かと言うことを認識してしまう。

 クロは何気ない顔で、むしろおかしそうにこういう。


「負けたら死ぬ。それだけよ」



 そうして、命を賭けたゲームがスタートする。


意外に早く更新ができてよかったです。

さてさて、ここからやっと瑞華の出番です。といっても次からまた違う人物に視点を当てていきたいと思ってます。いろんなキャラの思惑を瑞華はどんな感じにぶち壊すんですかね。

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