表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
タクトの物語  作者: rhmgr
9/10

9章:宣言と通信

「連邦軍、通信途絶地点(つうしんとぜつちてん)にパトロール艇を派遣(はけん)

重力異常(じゅうりょくいじょう)未検出(みけんしゅつ)。追跡中(ついせきちゅう)


「反応早いな。……タクトが重要人物(じゅうようじんぶつ)ってことか?

動きが良すぎて、逆に(うたが)われるかもな」


「議会も動いてる。議長名義ぎちょうめいぎで、連邦警察にアストロフォージの拿捕依頼(だほいらい)が出された」


「やっぱり、博士は見張られてたわけか」


「俺たちの失踪(しっそう)とほぼ同時に、アストロフォージが地球軌道に侵入(しんにゅう)する。

タイミング良すぎ。拿捕(だほ)は当然ってわけだ」


「連邦軍にはスパイがゴロゴロしてるな」


「連邦警察には、最新型(さいしんがた)のパトロール艇を出せって指示(しじ)が出た」


「それって早いやつ?」


競技用宇宙艇きょうぎよううちゅうていをデチューンした特注モデル。企業の贈呈品(ぞうていひん)

スペックは非公開(ひこうかい)だが、確かに速い。ただ――地球軌道まで12日はムリだろう」


「リオの腕なら、勝てるってことか?」


「コンピュータ解析では、こうだ」


- アストロフォージ:地球軌道進入ちきゅうきどうしんにゅうまで あと4日

- 僕らの艇:到達(とうたつ)まであと5日

- 連邦警察:最速到達(さいそくとうたつ)、9日後

- 連邦軍攻撃艇(こうげきてい):到着は10日以降


「つまり――」


「俺たち、警察にも軍にも、両方(りょうほう)に追われてる!」


「すげえ、大物じゃん!」


---


「地熱再構築に使える地球滞在日数ちきゅうたいざいにっすうは、3日だな」


余裕(よゆう)じゃん」


---


リオが画面を見ながら告げる。


「さて。いよいよ“正体”を明かすときだ」


「アストロフォージは、(すで)に地球軌道に乗っている」


「俺たちは、24時間後に地球軌道に入る。

その情報を、地球とアストロフォージに通信で送る」


「タクト。地球への通信文(つうしんぶん)――もう書き終えたか?」


---


僕は(うなず)いた。

けれど、その一通の文書には、(すべ)てを込めた。


説明しなければならない。

これまでの経緯(けいい)を。

博士・メルクリオ・レエスとの接触(せっしょく)と、人工地熱再構築の詳細(しょうさい)を。


公聴会で()びた、あの視線。

僕らが、どう見られていたか。

資源。サンプル。見世物(みせもの)

“人間”という言葉は、誰の口にもなかった。


このままでは、移住は不可避(ふかひ)だ。

移住先(いじゅうさき)では、僕らは“貴重な資源”以下の(あつか)いを受けるだろう。

(おり)の中の猿より、価値はあっても尊厳(そんげん)はない。


---


僕は、独断(どくだん)で動いた。


救助艇の技術者たちの支援を得て、博士に実験を依頼した。

過去の実験では、惑星が()(ぷた)つに割れた。

今回も、同様(どうよう)の危険はある。


けれど、誰かが動かなければ――何も変わらない。

通信を通じて事前に説明していたら、こんな計画は通らなかった。


---


だから、僕は書いた。


「僕らは、地球の所有者として振る舞うべきだ」

「所有者として、博士に実験を正式に依頼する」


「僕は確信しました。

僕らは地球から離れて生きることはできない。

僕らこそが、地球の所有者なんです」


「そして――人類の祖先(そせん)として、相応(そうおう)尊敬(そんけい)を受ねばならない」

「その矜持(きょうじ)を、命を()けて証明しなければならないんです」


---


画面に通信のステータスが(あらわ)れる。


> 通信再開完了つうしんさいかいかんりょう地球軌道到達予告ちきゅうきどうとうたつよこく:010703時刻


僕らの存在が、地球に向かって、もう一度“声”になった。

それは、単なる予定通知(よていつうち)ではない。


それは――宣言(せんげん)だった。



読んでいただきありがとうございます。


下の☆☆☆☆☆に評価をつけて頂けると嬉しいです。


面白ければ☆5個、つまらなかったら☆1つでよろしく!。


感じたまま評価して下さい。


ブックマークの登録もできればおねがいします。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ