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人形シリーズ  作者: 古月 うい
第四部 見破られない人形 学園編

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学園祭

『これより、学園祭を始めます。みなさん、一年間の成果を存分に発揮してください』


文化祭でのわたしの役割は、美珠(びしゅ)とともに放送係だ。


みんなからの訴えを聞いて上に相談し、伝えるという役割だ。


決まった時に少し抗議してみたら美珠一人ではできないし私の声は放送向きだと押し切られた。


「すみません、これはどこですか?」


「ああ、3階の奥ですね。表示があるはずなのでそちらを見てください」


私は道案内役ではないのだけれど……まあ、むしろこんなものの方がいい。


「汐凪、いた」


「早良!来てくれたの」


「九十九は?」


付喪神の二人のことを知らせてから、早良は初めてここにくる。


早良なりに探りに来たのだろう。


何事も無ければいいけれど。


「特進科。きっといるよ」


早良を送り出してまた店番に戻る



今年は最優秀候補生としての仕事のためクラスの出店には参加していない。


なので楽しそうなクラスメイト、特に素子をぼんやりと眺めていた。


委員長と水川さんは先の騒動のせいで信用を無くしてしまった。

あの人のせいで。


全く恨めしいこと。


昼ご飯は放送室で交代で二人で食べた。




「汐凪さん、どなたかの式神が」


美珠に言われて外を見ると、窓枠に鳥が留まっていた。

こっちでは式神は鳥なのか。


『わたしは土御門優雨の式神。汐凪、九十九珠守が堕ちた。ついてきて』


鳥が喋っている…

珠守が、堕ちた?どういうことだろう。


あの珠守が、そもそも堕ちるほどの力があったというのだろうか。


堕ちるにはそれなりに力を使う。だから江は堕ちずに荒ぶることを選んだ。


珠守は、清に神座を壊されている。

普通なら、神座を壊された神は大きく弱体化する。それこそ階位を4下げるほどに。


居ても立っても居られずに窓から外に飛び出して、鳥の後を追う。


途中で服を執政官としての装いに変えて、一目散に飛んでいく。


「どうして…」


きっとあの堕ちたものが珠守なのだろう。隣には委員長が立っている。


その周りを取り囲むように私服の、おそらく陰陽の人たちが何かを用意している。


鳥が一人の方に泊まった。優雨だ。


「汐凪。すまないな、きてもらって」


「いいえ。むしろこれは私でないと収めることができません。」


通常の神ならこの人たちでもできないことはないのだけれど…


そのとき、視界の端を一人の人が横切った。


「止まりなさい!」


範囲指定をせずに命令能力を使ってしまった…いや、咄嗟だったし。


「あなたたちでは相手になりません。下がりなさい」


「汐凪、あなた一人で?」


何を驚くというのだろう。


「執政官ですから」


私は二人と向き合う。


あまりにも、対話をするにはあまりにも変わりすぎた。

私はこちらに染まりすぎたし、二人は神になりすぎた。


悲しいな。二人とは、そこそこの交流があっていいクラスメイトだと思っていたのに。


「結界、展開」


これが許されない程度の存在なら、私は二人と向き合おうとしただろうか。


もしものはなしをしても仕方がない。あるのは向き合おうとしなかった執政官と、堕ちた神だけ。


「執政官第一位、汐凪。私は後悔していない。するぐらいならここには来なかったし、あの人の手を取らなかったし、珠守を堕としもしなかった。」


委員長…

あのときの、世話役になっていたあのときの姿のままで。


何一つ変わらず、にこりと満足そうに笑っている。


「付喪神、珠守。あなたの神としての権能を、“剥奪”します」


珠守、私は結構あなたが好きだよ。

できることならまだ少し、一緒にすごしていたかった。


「夢境」


せめて、幸せな夢の中で。どうか。


「お見事、汐凪」


上から声がした。聞き覚えのある、凛とした声。


「霊姫…」


ここにいるはずのない人が真っ白な髪を揺らして浮いている。


「わたくしの眷属相手に、よくここまで…おいで」


委員長がその声に惹かれるように霊姫のそばに行く。


「霊姫の企みですか」


「あら、ひどい言い草ね。わたくしは第二の崩壊に向けて動いているだけよ。それをさも黒幕のように…心外だわ」


霊姫、一体何がしたいの。



霊姫はそのまま委員長を連れて神界に帰ってしまった。残されたのは私一人。



抜け出したことを怒られるのかと思ったが、意外なことにそうはならなかった。

なんとあの事件も九十九の二人もはじめからなかったものになっていたのだ。


誰に聞いても九十九の二人のことは覚えていないのだ。


唯一、早良だけは違ったが執政官が忘れてはいろいろ問題だ。


そうして、文化祭は何事もなくとは言いずらいが、外から見れば何事もなく終了した。

一応部活の発表とかもしてますよ!

綾波と話したり!

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