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人形シリーズ  作者: 古月 うい
第四部 見破られない人形 学園編

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試験結果

「お客様は見事な髪をお持ちですね」


「ありがとうございます。」


慣れない買い物でワンピース一つと上の服、スカート、ズボン、パジャマを買った。

早良はすべてズボンタイプだ。


「かわいいからスカートも買ったら?」


「動きやすいので」


昔からこう言ってズボンしかはいていない。


さすがに執政官の集まりの時は着物姿だったが。


それでも懲りずに聞いている私も私か。


今は二人とも目を茶色にしている。さすがにこっちでは橙色では過ごせない。


「この髪、何か変ですか?」


「いえいえ、見事に伸びて美しいですよ!」


ほめるしかしてこないこの店員。


とりあえず買うだけ買って持って帰ることになった。


ほかのものは何が必要かわからないからあとで二人に聞いてからでいいか。


「あ、ここから池が見えるんだね」


「そうですね」


大きな池だな……風が気持ちい。

遠くに鳥が飛んでいく。聞いたことがない鳴き声。あれはなんていう鳥なのかな


あれ、池ってこんなににおいするものだったっけ。


「はっつはっつは。お嬢ちゃんたち、これは海だよ。見たことないのか?」


隣の人に笑われた。対応を早良に丸投げして水に触れてみる。


どんな味がするのかとなめてみると、しょっぱい。


海か……



「え!海を見るのが初めてだったと?」


「荘園にはなかったので。海はどんなものですか?」


「この国の周りを囲んでいる、とても大きい存在。海の向こうには全く違う、海外がある。

勝手に入っては危ないから、行くときはこっちの人と一緒にいくといい。」


海外か……どんなところなのだろう。いつか行ってみたいな。


「海は広くて大きくて、日が昇って沈む場所。

神々を怒らせるとあれる。それを沈めるのも、斎宮の役割。

明日、のんびり眺めに行きましょう」


そうして翌日、私、早良、魅夜。玉英で海へ行った。

今回はいろいろ乗り継いで、けっこう時間がかかった。


「大きいわね……」


あれ、昨日と風向きが違う。


周りにはあんまり人はいない。人が多いのは夏らしい。


「あれはなんですか?」


遠くで、組まれた木が浮いている。しかもたくさん。


「真珠、宝石の養殖ですね。このあたりは有数の産地なので。私たちはここにいますから、見に行かれてはいかがですか?」


「いっしょに行かれ……」


斎宮が行ったら大騒ぎか。そもそもこんなところに供一人なのも問題だと思うけれど。



「これが真珠……」


きれいで白くて丸い。あまり光っていなくて、つつしまやかでしとやかな気品がある。


「初めてかい?」


店主の言葉にうなずく。


「真珠はまだ幼い貝に核になるこういうのを入れ込んで作るんだ。

人工的に作ることができる宝石だ。初代が作り方を確立させたとされている」


これ、人工物だったの。そうとは思えないぐらいにきれいだ。宝石って作れるものなんだな……


「向こうに船があるから乗ってみたらどうだ?詳しい作り方とか貝とかが見れるよ」


その提案にのって、早良とともに船に乗り込んだ。


「あれが海外なのかな」


遠くに見える島を指すと、すぐ下に説明が書かれていた。


「それはただの島で、海外ではないようですよ」


海外はここから見えないのか。残念。


「この世界は、なんでも規模が違うね。」




「試験結果が発表された。ほら、結果だ。開けてみろ」


渡された封筒を開くと、合格していた。


「……喜ばないのか?」


「うれしいですけれど、これはスタートですから。荘園のための、ほんの一歩」


荘園のためには、もっともっとたくさんのことをしないと。


「下にいろいろ書かれているけれど、これは何ですか?」


「えーっと、『貴殿は極めて優秀な成績をおさめられましたので、能力科所属を認めます。また、特進科に所属することを認めます』

入試結果がよかったから、いいコースに行ってもいいということだな。

能力科は能力に関連したことを行うが、学力が優れているものはその他の学科に通うことができる。

教科は一部かぶっているとはいえ1.5倍になるから行かなくてもいいが、どうする?」


隣で魅夜がすごく驚いているのできっとすごいことなのだろうけれど、実感はわかない。


「一旦通ってみて途中でやめることもできるから、そっちにしておくか?」


とりあえずうなずいた。


少しでも優位なところを作っていかないと。


あとで後悔することはできない。

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