表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/28

第4話:教育係、社交界への第一歩

翌日、アキラは昨日のスライム果実ジュレ事件を引きずりながらも、新たな課題に挑むこととなった。


「さて、今日の課題は…」


執務室に呼び出されたアキラの前で、リリスは優雅に扇子を広げながら微笑んだ。


「今日は社交界での挨拶と礼儀作法を学んでもらうわ。もちろん、実践形式で。」


「実践って…まさか…?」


「ええ、今からお客様がいらっしゃるわ。」


「聞いてない!まだ昨日のジュレのトラウマから回復してないのに!」


「教育係なら、いつ何時でも完璧であるべきよ。」


アキラはため息をつきながら、目の前に置かれた分厚い礼儀作法の本をめくった。


「えーと、『貴族への挨拶は、相手の身分に応じてお辞儀の角度を変えることが望ましい』…いや、細かすぎるでしょ!」


「当然よ。失礼のないよう、しっかり学んでおきなさい。」


そうこうしているうちに、執務室の扉が開いた。そこに立っていたのは、金髪の美しい青年だった。


「リリス、久しぶりだね。」


「レオン様、ようこそいらっしゃいました。」


(うわ、見るからに王子様キャラ…)


アキラは心の中でぼやきながらも、リリスに促され、挨拶した。


「初めまして、アキラと申します。リリス様の教育係を務めさせていただいております。」


「ほう、君が噂の新しい教育係か。リリスに教育…大変そうだね。」


「ええ、まぁ…その…想像以上に大変です。日々、胃に穴が開く思いですよ。」


「ちょっと、それ私の前で言うこと?」


リリスがじろりと睨むと、アキラは軽く肩をすくめた。


「いやいや、こ、これはちなみに悪口ではないですよ?」


「そう言いながら汗が出てるわよ?」


リリスが扇子をぱちんと閉じると、レオンは微笑みながらアキラをじっと見つめた。


「ふむ、君、なかなか面白いね。」


「あ、ありがとうございます」


「別に褒めたわけじゃないさ。あと、僕も貴族なんだ。まだ、君から正式な挨拶をしてもらってないんだけど?」


リリスの方をちらっと見ると、楽しげに頷きながら、扇子をぱたぱた仰いでいた。


(い、いや、ちょっと待ってくれ…俺、まだ礼儀作法の本を半ページしか読んでないんだけど…!?)


アキラは内心パニックになりながらも、必死で頭の中の知識を引っ張り出した。


「えーと、たしか…貴族に対する正しいお辞儀の角度は…」


リリスが楽しそうに見守る中、アキラは覚悟を決め、適当に角度をつけてお辞儀をした。


しかし。


「…君、どうして90度も頭を下げるんだい?」


「えっ!? 違いました!?」


「それは臣下が王に対して行う礼だね。僕はまだ王になっていないよ。」


リリスが溜息をつきながら扇子で口元を隠し、くすくすと笑った。


「ふふっ、あなたって本当に面白いわね。」


「笑い事じゃないですよ! いきなり貴族の礼儀作法って、ハードル高すぎるんですけど!」


レオンも苦笑しながら肩をすくめた。


「まぁ、徐々に慣れていけばいいさ。でも、リリスの教育係を務めるなら、しっかり学んでおいた方がいい。」


「はい…。」


その後、アキラは貴族らしい振る舞いや会話術を学ぶため、リリスとレオンによる徹底指導を受けることになった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ