表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
13/28

第13話:王子との対決!?

「……は?」


アキラの思考が停止した。


エリオット王子と剣を交える?いやいや、何かの間違いでは?


「待ってくださいリリス様!それはあまりにも——」


「あなた、私の教育係でしょう?」


リリスは涼しい顔でそう言ったが、その瞳にはどこか楽しげな色が浮かんでいた。アキラはギクリとする。実際、教育係とは名ばかりで、アキラがリリスに教えたことといえば、せいぜいブラック企業で培った忍耐力や時間管理術程度。貴族の礼儀作法や社交術は、むしろ彼がリリスから教えられている始末だった。


そして、リリスの唇が僅かに弧を描いた時、アキラは悟った。彼女は、この状況を心底面白がっている、と。


「いえ、私は教育係であって、剣術の指南役では……!」


「ほう。リリス嬢の教育係、か。面白い。彼女を御せるほどの才覚の持ち主ということだな?ぜひ、手合わせ願いたい。」


エリオット王子は興味深げにアキラを見つめる。


(ちょ、ちょ、待って待って!エリオット王子、完全にその気だ。俺、剣とか触ったこともないってばよ!?)


逃げ道を探すように視線を泳がせるが、観客の注目は完全にアキラに向いていた。期待と興味が入り混じった視線が突き刺さる。


(うわぁ、これ断れる雰囲気じゃないやつだ……!リリス様、どうか!どうか、考え直してください!)


「アキラ、あなたに勝ち目がないとは言っていませんよ?」


リリスはくすっと笑いながら言った。その言葉に、アキラは内心膝をつきそうになった。


(いや、普通に勝ち目ないからね!?相手超強そうだし!?)


しかし、ここで断るのも、それはそれでマズい気がする。王族の誘いを正面から断るなど、平民の自分には到底できる芸当ではない。


断れば無礼、引き受ければ死。まるで選択肢のないブラック企業の上司からの無茶振りみたいだ……!


アキラは脳裏に、かつての職場での記憶がよぎる。「この書類整理、今日中に終わらせておいて」そんな理不尽な要求に耐えてきた日々。そうだ、あの時も結局『わかりました』と答えるしかなかった……。


「……わかりました。」


アキラは重い口を開いた。


「やります。」


観客席から歓声が上がる。エリオット王子は満足げに頷いた。


「では、準備ができたら始めよう。」


アキラは、じわりと滲んだ涙を袖で拭った。それは、ブラック企業時代にも流れなかった、久々の涙だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ