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この作品には 〔ガールズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

転生して出会った運命の人

作者: 佐藤ろみ

異世界百合短編です。


「私、死んだんだろうか……」


 意識が戻ると、見知らぬ天井が視界に広がっていた。温かい日差しが木漏れ日のように降り注ぐ部屋で、私は目を覚ました。自分がどこにいるのか、なぜここにいるのか、何も思い出せない。ただ、一つだけはっきりと覚えている。事故に遭って、命を落とした瞬間だった。


 だが、ここは天国でも地獄でもない。まるでファンタジー小説に出てくるような、異世界のようだった。


「お目覚めですか?」


 優しい声が耳に届く。驚いて顔を上げると、そこには一人の女性が立っていた。彼女は私より少し年上に見えるが、澄んだ青い瞳が印象的で、肩まで伸びた金色の髪が柔らかく輝いていた。彼女の姿に、不思議と懐かしさを感じた。


「ここは……どこ?」


「ここは『リヴィア』、この世界の一つの都市です。あなたはここで目を覚ましました。私はこの屋敷の主人、エリザ・ローゼンハインと申します。」


 彼女の名前を聞いた瞬間、なぜか胸が高鳴った。初めて会ったはずなのに、どこかで彼女を知っている気がしたのだ。しかし、それ以上に自分の状況を理解しなければならない。


「私……死んだはずなのに、どうしてここに?」


 エリザは静かに私の手を取って、温かい微笑みを浮かべた。その触れた感覚は、現実的で、確かなものだった。


「あなたは確かに一度命を失いました。でも、こちらの世界で新しい命を授かったのです。異世界転生……そういう現象です。」


 異世界転生。その言葉を聞いて、私は少し戸惑ったが、同時に興奮も覚えた。子供の頃から、こんなファンタジーの世界に憧れていたのだから。しかし、何もかもが突然過ぎて、心の整理がつかない。


「それにしても、どうして私が……?」


「それは、この世界にあなたが必要だからです。」


 彼女の言葉は謎めいていたが、その声には揺るぎない自信と優しさが込められていた。


「少しずつで構いません。この世界であなたが何を望むのか、何をするのか、ゆっくりと考えてください。」


 エリザは私を優しく導き、彼女の屋敷の中を案内してくれた。広々とした庭園、豪華な書斎、そして大きな図書館。どれもが美しく、夢のようだった。彼女の屋敷は、ただの住処というよりも、まるで小さな王宮のように豪華だった。


「ここはあなたの新しい家です。どうぞ、自由に過ごしてください。」


「でも、私がここにいてもいいの?」


「もちろんです。あなたは私にとって特別な存在ですから。」


 エリザの言葉に、私は心が温かくなるのを感じた。彼女の瞳に映る私の姿が、まるで大切な宝物のように思えた。


 数日が過ぎ、私はエリザと共に新しい生活を始めた。彼女はこの世界のことを一から教えてくれ、私の不安を少しずつ取り除いてくれた。彼女の笑顔が、私にとっての救いだった。


 しかし、ある日、私は気づいてしまった。自分がエリザに対して特別な感情を抱いていることに。ただの憧れや友情ではない。もっと深く、もっと温かい感情。それが恋だと気づいたとき、私はどうしたら良いのか分からなくなった。


 彼女は私を助けてくれた恩人であり、この世界で唯一の知り合いだった。その彼女に恋をしてしまったことが、何よりも怖かった。もし、この気持ちを伝えたら、彼女との関係が壊れてしまうのではないか……そんな不安が頭をよぎった。


 それでも、私の心は彼女に惹かれていく一方だった。彼女と共に過ごす時間が、私の生きる力になっていた。彼女の笑顔が、私の心を温かくしてくれる。彼女の優しい声が、私の不安を和らげてくれる。


 ある日、エリザが私を森に連れて行ってくれた。美しい自然に囲まれた場所で、二人だけの時間を過ごすためだった。彼女は私に色々な話をしてくれた。この世界の歴史や、彼女がどのようにしてこの屋敷を手に入れたのか、そして彼女自身の過去。


「この世界では、運命的な出会いがあると言われています。それは、お互いを深く理解し、支え合う存在を見つけることです。私は、あなたと出会った瞬間、それが運命だと感じました。」


 彼女の言葉に、私は胸が熱くなった。エリザは私にとって特別な存在であり、私も彼女にとってそうであって欲しいと願った。


「エリザ……私、あなたのことが……」


 私は勇気を振り絞って、言葉を続けようとした。しかし、エリザがそっと私の唇に指を当て、微笑んだ。


「言わなくても分かっていますよ。私も、同じ気持ちです。」


 彼女の言葉に、私は胸がいっぱいになった。エリザも私と同じ気持ちでいてくれた。それが何よりも嬉しくて、私は涙が溢れそうになった。


「ありがとう、エリザ……本当に、ありがとう。」


 私は彼女に抱きつき、彼女も優しく抱き返してくれた。二人の心が一つになった瞬間だった。


 その後、私たちは共に生活しながら、互いの絆を深めていった。エリザは私にとって、恋人であり、家族であり、友人であった。彼女と過ごす毎日が、私にとっての新しい人生の始まりだった。


 そして、ある日、エリザは私にプロポーズをしてくれた。美しい花々が咲き誇る庭園で、彼女は真剣な表情で私に向き合った。


「あなたと共に生きたい。あなたと共に、これからの人生を歩んでいきたい。私の願いを、受け入れてくれますか?」


 彼女の言葉に、私は迷わず頷いた。彼女と共に生きることが、私の唯一の望みだったから。


「もちろん、エリザ。私も、あなたと共に生きたい。」


 私たちはその場で誓いを立て、お互いの指にリングを交換した。それは、この世界での新しい人生の象徴だった。私たちは、異世界で出会い、そして共に生きることを決めた。


 その後、私たちは幸せな日々を過ごし続けた。エリザと共に冒険に出かけたり、新しい人々と出会ったり、時には困難にも直面したが、常に二人で乗り越えてきた。


 エリザは、私にとって最も大切な存在であり、私も彼女にとってそうでありたいと願った。この異世界での生活は、決して楽なものではなかったが、彼女と共にいることで、どんな困難も乗り越えることができた。


 そして、私はこの異世界での新しい人生を心から楽しんでいた。エリザと共に歩む未来に、私は希望を抱いていた。彼女と共に、これからもずっと。


 こうして、異世界で出会った二人の物語は続いていく。新しい冒険、新しい出会い、そして新しい試練が待っているだろう。しかし、それでも私たちは恐れることなく、共に歩んでいく。


 エリザと私の物語は、まだまだ終わらない。異世界で出会い、愛を育んだ私たちの旅は、これからも続いていくのだから。

趣味で書き溜めていたものをネットの海に放とうと思い立ちましたので載せ始めます。

8年ほど前からコツコツとペンを走らせていました。

1人で書いてるだけで満足していたのですが、やはり他人の感想を聞きたくなりましたね。

他人に読ませる気で書いていた訳では無いのでとても拙い文章になっております。

批評でも結構ですので感想をくれると嬉しいです。

よろしくお願いいたします。

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