切り裂き童子
「一撃で葬ってやる」
近ずき鎌を振ろうとしたその瞬間だった
「あ…っ?」
男は頭から下へ、真っ二つに切られた
「は…?」
男の体は左右へ倒れ、真ん中から現れたのは
黒のフードを被りマスクを着けた男
見続けると呑み込まれそうな程の黒き目と、狩人の目をした黄色の目
腕には鉄の爪が5指全てに着いている…この特徴…聞いたことがある…確か…奴の名は
「見つめてどうした?」
「切り裂き…童子」
「まさか神にもバレてるとはな」
「切り裂き…童子?」
隠れていた幸太が震えながら顔を出した
切り裂き童子を知らないのだ、仕方ない
「切り裂き童子が何の用だ」
「別に意味は無いさ、ただ壊す、強い者も、何もかもを…ただそれだけさ」
「なんで壊すんだ?」
「俺を虐げてきた人間も、こんな世界を作った人間も…全てが憎いからさ、それだけさ」
「俺もこの世界を壊したい」
「神様がか?」
「…神も人もクソさ」
「面白そうだ、乗った」
「ん、?」
「俺もお前の願いに協力させろ」
「…はっ?」
「冬神様…流石にやばいですよ、断りましょう…」
確かに切り裂き童子の実力的にも…頼もしい、だが…信用していいのだろうか
「俺は神を裏切るほど馬鹿じゃねぇ、信じなくていい、俺は壊したそのあとの世界を見てみたい、だから協力するんだ」
「…分かった」
「冬神様…?!」
「だが、幸太には何があっても手を出すな」
「逆に言えば冬神…だっけか、あんたにはいいのか?」
「俺ならいい、負けねえから」
「そういう自信たっぷりのやつに着いていきたかったんだ、これからよろしくな」
「あぁ」
「ほんとに大丈夫なんですか冬神様…」
切り裂き童子…噂に聞いていたより、普通の人間なんだと…そしてやはり、人は…嘘つきだ