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罪と心  作者: 龍息ch
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冬神と少女

今から約10年前 2014年1月12日の話だ

俺は冬神、神と言っても大した神じゃない

上位の神に[この祠の神としてお前を認定する]と勝手にやられただけだ

昔は近くの村から沢山人が来ていた、だが今じゃ草だらけだ、まぁ昔から人は好かんからいいのだが

最近人の少女が来る、嬉しかったことや悲しかったことを話し帰っていく、【神は人と触れ合ってはいけない】そういう縛りがあり俺はただ聞くだけの日々……だが最近思う、あの髪に触れてみたいと、1度、、話してみたい…と、ダメだと分かっている、破ればただでは済まないだろう……分かっている……だが…明日……一言返してみようか、どんな反応をするのだろうか、気になってしまう

次の日にもまたあの少女は来た

「今日みーちゃんがね!一緒に遊んでくれたんだ!すっごい嬉しかった…」

「そりゃ良かったな」

そう俺が喋ると少女は目を見開き俺の方をじっと見つめてきた、その目はキラキラしていた…嬉しかったのだろうか、そんなにも嬉しいのか…

「冬神…様?」

「あぁ、俺が冬神だ」

「初めて……会えた」

少女の声は震えていた、嬉しさからだろうか、人の心なんてものは俺には分からない、だが、色々な感情が混じったような、そんな声だった

「冬神様は、なんで冬神って呼ばれてるのですか?」

突然そう聞かれた、声を整えてはいるがまだ息は荒い、緊張しているのだろうか

「冬にこの祠に生まれたから…だな」

「そうなのですか……冬神…って名前、私、好きです」

名前で何かを言われたのは初めてだった、ましてや褒め言葉など……初めてだった

「あっ、時間が……帰らないと…」

「気を付けるんだぞ」

「はい!また明日も来ますね冬神様!」

少女の背中は夕日のせいか、それとも少女の心の明るさか、分からなかったが普段より明るく見えた

次の日も、次の日も、普段のように少女は訪れいつものような普通の話をして暮らす日々

少し…退屈はしなくなった

だが最近…少女がいない時[早く来てくれ]と思うようになってしまった、どんな感情かは分からない

少女が来ると嬉しいという感情しか湧かなくなってしまったのだ


ある日、少女は来なかった

「何かあったか…?」

そう心配だったが俺は祠から動けないため見に行けなかった…

その日は夏に入り夕方でも暑いと感じるほどだった…その時足音がした

「やっと来たか」

そう思った次の瞬間、体が傷付き呻くあの少女と大勢の人が現れた

「この悪魔と冬神が居るせいで不作が続くのだ!」

「祠を怖せ!!!」

俺の何かが切れたような気がした

何が起きたか記憶は無い、だが、俺の手には黒く禍々しい鎌が握られて、周りには俺が殺したということを証明するかのように体が別れたもの、頭と胴が離れた者、有象無象の死体が転がっていた

俺は少女に駆け寄った

「治してやる…大丈夫だ、絶対治してやる……」

「冬……神…様」

その声は……弱々しく、今にも命の灯火が消えてしまいそうな、、悲しい声だった

「喋るな…!息を…息を吸え、俺が助けてやる、俺が……」

「何をしている冬神」

後ろから声が聞こえた、上位の神の声だ

「この子を助けてやってくれ…!!」

「それは出来ぬ」

「なんでだよ……神なんだろ…」

「悪魔を助けることなどできぬ」

悪魔……そういえば人も言っていた、何が悪魔なんだ…どこが悪魔なんだ……

「お前は神の縛りを破り、人を殺した」

「お前を神の座から降ろす」

「……好きにしろ」

「冬…………神……さ…ま…?」

「俺が必ず……守ってみせる」

自分で理解はしていた、神へ攻撃すれば命すら危ういと

だが、神として…人を救う選択をしていたのだろう

「何をする気だ冬神!」

「能力……【穢化】」

いつの間にか鎌を持ち神へ攻撃を仕掛けていた

「冬神!お前の命を……

「……邪魔だ……」

この日、大勢の人と神を殺した

「大丈夫か…今……助けて……」

「冬…神様……」

少女を抱き抱えると…もう、生きているのが不思議なほどに弱っていた

「冬…神……様……わたし…」

「絶対助けるから…待ってくれ……」

「冬神……様に……あえて、よかっ……た……」

そういうと、少女は目を閉じた……

「………村ごと壊してやるから、、報うから…見ててくれ」

[神は人と触れ合ってはいけない]

その言葉の意味を理解した、人と神では生きる時間も、強さも違う…だからこそ、失えば…辛さのみが残るからだったのだ

良い、そんな事…もうどうでもいい

村を壊して、、あの少女のような人を助けるだけだ

悪魔を助ける邪神になってやる

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