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幽霊の髪は伸びるだろうか?

作者: 雉白書屋
掲載日:2022/10/01

 幽霊の髪は伸びるだろうか?

 もし、自分が死んだことに気づいていない幽霊がいたとして、その幽霊の髪の毛は伸びるだろうか? 死後のフワフワとした緩慢な脳で疑問も持たず、断片的な日常の記憶を辿り、生きていた頃のように行動していたとしたら。


 伸びない?


 ああ、そうだろうとも。気づいてなかろうがそもそも栄養がなければ髪は伸びない。食べるどころか心臓が動いていないんだ。

 でも、もし心臓や臓器自体も死んだことに気づいていないとしたら?


 そんな事ありえない?


 でも、死を認識する前、余りに一瞬のうちに消し去られたのなら、そういう事もあるんじゃないだろうか。何なら人間の体の中に存在する多数の微生物。腸内細菌なんかもね。

 そんな小さな生物に魂が、意思があるのか? って思うだろう。一寸の虫にも五分の魂というじゃないか。小さいからって見くびっちゃいけない。僕らだってこの星からしたらそれは……それはそれは小さなものだろうさ。



 波が飛沫を上げ、風が砂を撫でる。最近は海を見に来る人が増えた気がする。

 ここからならこの星を広く見渡せるからだろう。何も変わらない景色。あの日から何も……。


 ある日、巨大な隕石が衝突し、一瞬でこの星は砕け散った。……ただ、どういうわけか僕らはこうしてここに存在している。

 全てが半透明だ。手も足も髪も猫も木も、この星そのものも。

 幽霊となった僕らは前とほとんど変わらない日々をすごしている。

 いや、変われない日々かもしれない。そうしないと気づかれるかもしれないからだ。


 僕らの髪はもう伸びない。でも風は吹いている。時々、その風が止むと僕らは怯える。地球がピタリと止まり、考え込んでいるのではと思うからだ。


 この星が自分が死んだことに気づいたら、僕らはどうなってしまうのか。


 その思いを胸に秘めながら生きている。そう、僕らは生きている……。

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― 新着の感想 ―
[良い点] > 時々、その風が止むと僕らは怯える。 情景が浮かんでゾッとしました。 [一言] 昔の掌編SFのような味わいがある作品ですね。 映像で観てみたいお話でした。
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