見つけた
すみません。
時間なかった(泣)
今日は短いです。
遅ればせながら、ブックマーク、ありがとうございます。
長い廊下を進みながら、目につく扉を開いてく。部屋の中には裕翔に似たやつがいたり、似ても似つかない化け物がいたり、何度も何度も繰り返すうちにイライラしてきた。
「……っ、くそ! アイツ、何処にいるんだよ!」
マルグランダ王子が発動させた魔法って、どのくらいもつんだ?
時間制限とかあるのか?
本当に幾つ目の扉になるのか、焦って開いたドアの向こうにビックリした顔の少年が立ってた。
——あ。
黒髪、黒目、アンドリューより小柄で華奢で、ずっと幼い感じの少年。
——けど。
「裕翔」
俺が名前を呼ぶと、少年はハッとした顔をして弾けるように走り寄って来た。
「ジン!」
——ああ、あー。
やっと、見つけた。
寄って来た裕翔を思い切り抱きしめた。
見た目は違ってるのに、その体からは裕翔の匂いがして、胸の辺りがジンッとする。
——無事で良かった。
裕翔は俺を見上げてホッとした顔をしてから、なんとも言えない表情になる。
「なに?」
「はは、まさか獣人になってると思わなくてさ」
「は? 獣人?」
裕翔の手が俺の手を引っ張った。フサフサの灰色の毛に覆われた手の先には、見事に尖った鋭い爪が伸びてる。
「うわっ? これ、俺の手か?」
手を伸ばして俺の頭に触れた裕翔は、泣き笑いのような顔で俺の耳を引っ張った。
「……ジンが獣耳とか、すげーイケてる」
「は? イケ?」
「格好いいってこと」
「お前のそれ、元の姿か?」
「そうだね。元の僕だ」
「……そっか。お前のそれもイケてるね」
俺がそう言ったら、裕翔はキョトンとしてから嬉しそうに笑う。
——笑うと、すごく可愛い感じになるな。
実際、アンドリューより幼く見える姿は、尚さら庇護欲をそそる感じで、愛らしいと思った。堪らない気持ちになって、抱きしめ直して髪に顔を埋めると、裕翔が俺をギュッと抱きしめ返してくれた。
『感動の再会ってヤツかよ?』
頭上から魔王の声が降って来て、思わず腕に力が入る。




