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星の賢者と召喚された姉と俺  作者: 秋見 京也
地底都市の領主 編
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9話 魔法馬の車が動かない

 グウロとその背中に乗ったセイカとヨウキは洞窟外に出た。

 外はまだ十分に明るいが、太陽は傾いている。


「嫌だ〜、グウロ、乗せてって〜」

「姉ちゃん……馬車はどうするんだよ」

「うまくやれば自分で帰れるんじゃない? だって御者がいないわけだし……」


 さすがセイカ。初めて見たのに魔法馬を少し理解している。


「グウロはやり方とか知らない?」


 チラリと馬車を一瞥したグウロは「ふむ、やはり要塞都市か」と呟いてから言う。


「ガウガウ(要塞都市のヒトのマナーは詳しくないが、馬車だけで帰すとして……勇者様のお帰りだ、と出迎えた際に馬車の中が無人では問題があるのではないか?)」

「確かにそうだね……わかった」

「ガウガウ(まだやることがあるだろう。明日あすから馬車はいらんと要塞都市の関係者に伝えておけ)」

「おお……!」

「よかったな、姉ちゃん!」

「うん! ありがとうグウロ!」


 馬車の前で一旦お別れだ。酔い止めの薬を飲むセイカ。乗る前に飲むと、気分が悪くならずに済むぞ。

 セイカとヨウキは乗車する。

 グウロは久しぶりの地上を放浪すると言って去っていった。


 しばらく待つも、馬車が発車する気配がない。


「……これってさ、どうやって帰るんだ?」

「……ちょっと待ってね、考えるから」


 セイカは数秒黙ってから「そうだ!」と顔を上げる。


「グウロが馬車を見ただけで

”やはり要塞都市か”って言ったから何かあるのかもしれない」


 もちろん特徴的な馬車というだけで判断した可能性もあるけど、とセイカは付け足す。


 二人は馬車を降りて見て回る。


「なー、姉ちゃん。それっぽい文字と矢印がここにあるけど」

「なになに……要塞都市 領主館 → 世界樹の森 地底への洞窟」


 馬と車部分を繋ぐハーネスに光る文字で書いてある。


「どうだ、姉ちゃん? それっぽくないか?」

「ビンゴだね」

「矢印を逆にできたら楽なんだけどな」


 ヨウキは無理だろうなと思いながら指でスッとなぞってみた。矢印が右から左に変わった。


「これは……成功しちゃった気配だ」

「ナイスだよ、ヨウキ!」


 この先どうしていいかわからないので、ヨウキとセイカは再び馬車に乗り込んでみた。

 ドアを閉めると、ガラガラガラと走り出した。正解だったのだろう。


「常識って説明されないもんだよね……」

「そうだな。おつかれ姉ちゃん」

「ヨウキこそお疲れさま」


 異世界の人にとっては説明するまでもない事柄なのだろうが、なにせ違う世界から来ているためかなり戸惑う。


「今は寝なくていいのか?」

「薬も飲んだし、中途半端な時間だから、起きていようかな」


 段々と空が赤くなってきているので、今寝ると夜に眠れなくなるかもしれない。


 お昼が早かったからおなかが空いただの、異世界の通貨がないけどご飯や宿はどうするんだろうだの、二人は話し始めた。


 セイカとヨウキが要塞都市に着く頃にはすっかり暗くなっていた。

「魔法馬の車に乗車する」って「頭痛が痛い」みたいになってますかね?


これで「地底都市の領主 編」は終わりになります。

区切ることを考えてなかったので次の話は多分ナチュラルに繋がってます。

新編を書き終わったらまた毎日投稿しますので少し間隔が空くかもしれません。

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