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星の賢者と召喚された姉と俺  作者: 秋見 京也
地底都市の領主 編
8/33

8話 グウロさんに乗る

「わーーー!」

「わああ……!」


 ツヤツヤな毛並み、向かい風!

 ヨウキとセイカは背がグーンと高くなった気分だ。まだセイカよりヨウキの方が背が小さいのでヨウキが前だ。


「ガウガウ(心地はどうだ?)」

「さいこーだな!」

「馬車に戻りたくないくらいだよ!」


 グウロはスタスタと地底都市を縦断する。

 エレベーターのようになっている床の場所についたわけだが、降下中に悲鳴をあげていた本人ヨウキは全く気が付いていない。むしろ忘れている。


『ベルを鳴らし、世界樹の加護があることを確認してください』


 チーン!

 前足を器用に使ってここに来る前にあったのと同じ卓上ベルを鳴らす。


「ガウガウ(まとめて頼む)」

「そんなことできるのか?」


『三名分解析します』


「できるんだ!?」

「初耳~」


 ヨウキとセイカは意外と融通の利くアナウンス(?)に驚く。一匹と二人の体が淡い光を纏う。


『魂鑑定中……瞬きを観測しました』

『加護を確認中……星の賢者の加護、世界樹の加護があります。あなたはグウロ様です』


「ガウガウ(おお、やはり世界樹の加護が再び……)」


『魂鑑定中……揺らぎを観測しました』

『加護を確認中……世界樹の加護があります。あなたは勇者様です』


『魂鑑定中……瞬きと揺らぎを観測しました』

『加護を確認中……星の加護、世界樹の加護があります。あなたは勇者様です』


 グウロの耳がピクッと動いた。


『その場にいる全員が世界樹の加護があることを確認しました。降下を開始します』


 ゴゴゴゴゴゴゴ……


「この音は……!!」

「ヨウキ、グウロにちゃんと掴まるんだよ?」


 グウロの背に乗っているので、セイカにしがみつくことはない。

 ヨウキは首が上がらなくなり、体もグッと下がった。滑りだしたジェットコースターの上りと同じような圧がかかった。




「上りはいけるな、大丈夫だ」

「よかったね」


 セイカは少し残念そうだ。


「ガウガウ(緑だ……!)」


 グウロは目を見開く。

 洞窟の天井はヨウキとセイカは身をかがめて結構ギリギリだった。

 コケむした斜面が上から届く光で幻想的に見える。


「ガウ!?(おお!?)」

「「わあ!」」


 コケに足を滑らせるグウロ。上に人を乗せているので危ない。


「ガウガウ……(すまない……)」

「ヨウキが危ないでしょ? グウロ、気を付けてね」

「姉ちゃんの方が俺の下敷きされるし危ないからな?」

「なら、ヨウキを抱きかかえて華麗に着地しよっか。そう、ヒーロー物のワイヤーアクションみたいに!」

「ほんとにやりかねないし、ワイヤーアクションとか言っちゃうあたりちょっとメタい!」


 セイカがシュタッと格好良く地面に降り立つ姿を思い浮かべる。実際、運動能力が高いからできるんじゃないだろうか。いやでもいくら成長期手前とはいえ、ヒト一人抱えてそれはやっぱり無理だろう。


「ガウガウ(久しぶりの地上に心が躍って不注意をしたようだ。気を付けるとしよう……)」


 グウロが俯いてしまったのを見たヨウキは少し慌てた。


「さっき俺も姉ちゃんも転びかけたんだ。そんなに落ち込まなくていいんだぞ」

「ガウガウ(いらぬ心配をかけたな。落ち込んでなどいない。コケやシダといったものを見ていただけだ)」

「お、おお? しゅんとしてるのかと思った」


 ヨウキはそんなもの見て何が楽しいのかわからなかったが、セイカにもよくあることなので(人の趣味って色々あるよな)と思った。

 誤解のないように記しておくが、グウロはコケ・シダ植物の観察が趣味ということはない。ヨウキの勘違いだ。


 グウロは一歩一歩踏みしめて進む。

 岩でゴツゴツの斜めを丁寧に登りきった。

アトラクションは基本落ちる方がスリル満点ですよね

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