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星の賢者と召喚された姉と俺  作者: 秋見 京也
星の賢者 編
28/33

28話 鳴らすべきベル

 セイカが意識を失ってしまったことに戸惑う一同。

 いつの間にか日が落ちて暗くなっていたため、セイカに差した光の発送元が一際大きな星であることはヨウキにもわかった。


「安心せい、なぜだかまではわからんが眠っているだけじゃ」

「クラークさん……そう、だな」

「魂の眠りを覚ますのは儂らでは厳しいのう」

「ガウガウ(”星”についても魂についても、魔王様が一番詳しい)」

「ヨウキさま、魔王城に行って聞いたほうがいいと思うわ」


 もとより、セイカが興味を持ちそうだったので行く心づもりだった。魂の眠りってなんだろうという疑問を持ったが、今は聞いている場合ではないだろう。

 グウロに伏せてもらい、背中にセイカを乗せる。


 ヨウキは気合いを入れ直すため、自分の両頬をバチンと叩く。


「よし、行こう!」

「転移するわよ」


 フルド=ノックは赤い帽子を被り直す。


「星を治める賢者よ 始末する者フルド=ノックに応えて 知を求める者、名もなき仮初の王の城へ橋を架けよ」


 周りの景色が霞み、短い金の橋が現れる。渡れば目的の地に辿り着く不思議な橋だ。


 渡った。橋の先には魔王城があるかと思いきや、ない。


「フルド=ノックさん?」

「ヨウキさま、言いたいことはわかるけれど、失敗したわけじゃないわよ」

「お、おお、それならいいんだ、ありがとう」


 なぜ言おうとしたことがわかったのだろう。


 ここはまたまた水辺だ。しかし今度は海ではなく湖で、今はほとりに立っている。

 濃い霧がかかっており、視界が悪い。


「ガウガウ(クラーク、早くしろ)」

「ほいほい、言われなくともするわい」


 ヨウキの肩にぶら下がったクラークは湖をしっかりと見つめた。


「星を治める賢者よ 崩す者クラークに応えて 霧隠れを解け」


 金色の霧がずっと視界を遮っていた濃い霧を消していく。


 霧がすっかり晴れて現れたお城は、壁面がくすんだオレンジ、屋根が灰色がかった青で、その姿を水面に映り込ませている。

 四つ角にある塔のようなところは円柱に円錐を合成したような形をしている。尖っていて、なにか刺せそうだ。


「これが……魔王城か」


 正直、観光名所並みに綺麗だった。


「魔王様に会うのは久しぶりでワクワクじゃ! さあ、進むのじゃヨウキ様!」


 クラークは心底待ち遠しそうだ。


「おう!」


 ヨウキと愉快な魔物たちは魔王城の入り口まで来た。4メートルはある扉を真下からみると、首が痛くなりそうだ。

 魔王というのはこのくらい大きさだというのか。


 丸の周りに三角形が六つついた、太陽か星かの模様があしらわれた青銅製のベルが扉に吊り下げられている。

 グウロのところで学んだ。こういういかにも鳴らしてほしそうな物は鳴らすべきだと。そういえばあれは卓上ベルだったし地面に置かずに机を用意して乗せておけばよかったのに。


「ガウガウ(どうぞ。吾輩の手でできれば譲りはしないのだが、生憎肉球なのでな)」

「任せろグウロさん! たのもー!」


 ガランガラーン


「名を示セ」


 感情のない声がどこからともなく聞こえてきた。


「ああ、受付か!」


 ヨウキは納得した顔でこの場にいる人たちの名前を順にあげていく。


「グウロさんとフルド=ノックさんとクラークさんと」

「入るガ良い」


 重そうな木製の扉がギギギ……とひとりでに開く。


「まだ最後まで言ってないんだけど……せっかちだな。でも許可もらったし入るか」

ガランガラーン!

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