24話 水位ってどうするんだ?
海の主の話を聞き、要塞都市から出たヨウキとセイカ。
目の前に突然、グウロとフルド=ノックが現れた。グウロの頭に、うーんと手を伸ばして帽子を掴み取ったフルド=ノックと、頭を下げてあげているグウロ……これだけだと仲が良さそうだが。
「あれ、グウロさんとフルド=ノックさん、どこ行ってたんだ?」
「ずっと近くにいたわよ。あの眼鏡くん、あたしが呼び出しちゃったひとりでしょ? さすがに怖がるかと思ったの。だから姿を見えなくしていたのよ。グウロはついでよ」
フルド=ノックの言う眼鏡くんとは、オツターのことだろう。
「ガウガウ(吾輩は姿を隠す必要などなかったが……まあ良い。吾輩をかがませるほどのフルドの小ささに免じて許そう)」
「小ささに免じてって……! 大きければいいわけじゃないでしょ!? 高性能で小型で何が悪いのよ」
やっぱり、うすうす気が付いていたが、この二人はすぐにケンカする。
「……っと! 危うくグウロに乗せられて忘れるところだったわ。あたしがその”海の主”ってヤツのところに転移させてあげる」
「でもある程度は動いたほうが腹ごなしになるような……あ! 姉ちゃん、勝手にどっかいかないで!」
「この木の葉っぱが光ってるでしょ? 独自の進化だな~って気になっちゃって、つい……」
「そんなことしてると迷子になっちゃうだろ……。フルド=ノックさん、やっぱり転移おねがい!」
「任せなさい!」
フルド=ノックは赤い帽子を直した。
「星を治める賢者よ 始末する者フルド=ノックに応えて 崩す者クラークの元へ橋を架けよ」
フルド=ノックの話だとここは細長い入り江が多く存在する都市、地上都市の端っこらしい。
後ろ側は陸続き、横には水を挟んで陸地がある。それ以外は海。つまり入り江を作り出している部分にいる。フィヨルドに似ているだろうか。
碧く輝く海にところどころ空のオレンジが混ざっていてとてもきれいだ。
「本当に水位が高い」
セイカの呟きはたまたまヨウキに聞こえた。
「ついに姉ちゃんは未来だけじゃなくて過去まで見られるようになったのか?」
「違う違う。水が綺麗だから見えるんだけど、対岸の、地層とか見えそうな面に生えてる草がこの辺のと似てるなと思って。水草かもしれないけどね」
「もともとあの辺まで水はなかったかもってこと?」
「うん」
「ガウガウ(何年も見ていないから覚えていない……)」
「さすがの観察眼ね、セイカさま。気になったものに一直線に引き寄せられるだけあるわ」
フルド=ノックはセイカに褒めているのか褒めていないのかわからない言葉を贈った。
「それで、海の主さんは成長期なんだろ?」
「ガウガウ(クラークという)」
海の主はクラークという名前らしい。
「どうするんだよ、姉ちゃん」
セイカに丸投げした。セイカは顎に手を当てて軽く考えると、パッと顔をあげ「わかった、縮める!」と言った。
「ええええ! 姉ちゃんできるのか!?」
「とにかくやってみないことには始まらないよ」
「なるほど?」
水位をなんとかするなら盛土とかでも良かったのではと思わなくもないが、とにもかくにもやるしかないのは事実。
やらなければ元の世界に帰れないのだから。
ヨウキはカレーを食べたいのだ。セイカの好物でもあるため、明日のセイカの誕生日にお母さんが作ってくれるカレーを。つまり、さっさと帰りたい。
「ほらグウロ、あなた念話が得意なのだから、クラークを呼んでちょうだい」
「ガウガウ(高性能で小型なのではなかったか?)」
「あたしは普通にしゃべれるから、グウロみたいに念話の必要がないの。できないことはできないわ」
「ガウガウ(できないのならば、できないというのであれば、仕方がないな)」
「いちいちうるさいわね、ほんとに!」
大きく息を吸い込み、グウロは遠吠えをした。
「ウオーーーーーーーーーン(クラーーーーーーーーーク!)」
水面が揺らめき、エメラルドグリーンに反射する模様が近づいてくる。
ザバーンと上がってくるかと身構えたが、そっと目までを水面から出した。
透明度の高い水の中には尖った二本の牙がある。現れた海の主は巨大な蛇だった。
グウロとフルド=ノックはおしゃべりですね




