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星の賢者と召喚された姉と俺  作者: 秋見 京也
不帰都市の領主 編
16/33

16話 消えたオツターさん

オツターはヴァナディのお付きの人です。

「ありました! コメなる物が出てくる詩……!」


 ハートを四つつけた風車のような形の光る花を胸元に挿し、ライトとして使っている。広範囲を照らそうとしければ読書に問題のない明るさだ。

 オツターは勇者が複数人召喚されたことがあるか調べているところだった。

 ふと、周りが明るくなったことに気づく。それほど広い範囲は照らしていないはずだ。


「これは!」


 光の発信源は床にあった。勇者を召喚するときに現れるものと輝きの色は違っているが、術式は似通っている。

 そう、金色の光で描かれた幾何学模様だ。



 書庫で大声を出しているのが聞こえる。朝から入り浸っているので今の声はオツターだろう。

 休憩中の門番は(坊っちゃんたちがおやすみになっているのに大声を出すなんて。怒られる……!)と思い、注意しようと書庫のドアを開いた。

 ガチャリ。


「オツターさーん、何叫んでるんですか?」


 広くて本がびっしりと詰まった書庫。入り口からは本棚で隠れて見えないところがあるほどだ。

 ぼんやりと光が漏れているので、そこにいるのは明白だ。


「そうですか! そういうことだったんですね!」


 何かに気づいたような意味深長な一言。よほど興奮しているのか、それにしては切羽詰まったようでわざとらしい、オツターの大声だ。


「もう深夜なんですから静かにしてくれないと、うるさいって怒られちゃいますよ」


 少しいらだった声でコツコツと靴音を鳴らしながら近づく門番。


「無視しないでくださいよ、オツター、さん……?」


 金色の光に包まれて、オツターが消えていった。この光景、数度見たことがある。


「今のは、不帰都市への転移陣……!」


 慌てて戻したのか、棚から浮き出ている本には光る風車のような花が挟まれていた。

この後、門番さんは慌てふためいたとか。

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