11話 初・異世界ごはん
部屋は6畳ほどで、大きな窓がある。窓の近くにはベッドと作業用の机が設置されており、小型のクローゼットが備え付けられている。
来客用の部屋なのだろう。
「夕食でございます」
ノックと共に声がかかる。オツターの言った通り本当にすぐだった。くつろぐ時間はなかったが、お腹も空いているのでむしろこれでいいかもしれない。
「はーい!」
バーンと開けると呼びに来てくれた人に扉をぶつけてしまうかもしれないので優しく開ける。ぶつからないことを確認してからしっかりと押して出てきた。
ヨウキもセイカも同じような仕草で部屋から出た。
ダイニングルームにはヴァナディの他にヴァナディの父、母、ヴァナディと同じくらいであろう歳の少年が席に着いていた。
ヨウキとセイカはそれぞれヴァナディ宅の召使いに引いてもらった椅子に座る。
薄朱色の魚の切り身、サラダ、ジャガイモによく似た茹でイモ……テーブルの上に並んだ料理は質素だがとてもおいしそうだ。
「今日の食事前の祈りはフロディにしてもらおうか」
ヴァナディの父がそう言うと、少年はコクリと頷いた。この人がフロディなのだろう。
フロディは勇者二人を見て、口を開く。
「……無理にこちらに合わせる必要はないですが、宜しければ……私の言う言葉を復唱していただければと」
独特な雰囲気のある少年だ。
そのままおもむろに口を開く。
「それでは……星とその賢者に感謝と報いを」
使用人を含めたその場にいる全員が「星とその賢者に感謝と報いを」と唱えた。
ヨウキは普通に復唱し、セイカはノリノリで参加した。
「……世界樹と私たちに繁栄と調和を」
全員が「世界樹と私たちに繁栄と調和を」と唱えた。
「いただきま~す」
「いただきます!」
やはりしっかりと「いただきます」をするセイカとヨウキ。
「……いただきます」
フロディは少しの間セイカとヨウキを見てから真似して言った。
勇者の世界ではそういう祈りなのか、とヴァナディと父母は声を揃えて「いただきます」をした。
領主一家が料理に手をつけはじめた。ヨウキとセイカも食べ始める。
――パクリ
薄朱色の切り身は見た目通りに鮭のような味(というかそのもの?)だが食感がフワッフワだ。口の中でのほぐれ方が全く違った。バターがコクを与えつつ、香り高さが鼻を抜けていく。
サラダはメインディッシュでこってりとした口をリフレッシュさせる酸味のある味付けだ。柑橘系のさわやかな匂いがする。
ジャガイモに似た茹でイモと述べたが、訂正しよう。これはジャガイモだ。ホクホクで熱々だ。そのままでもいけるが、上の二つと合わせて食べるとハーモニーが素晴らしい。
とてもおいしくてヨウキもセイカも気がついたら食べきっていた。日本人にも受け入れやすい味だった。
イモはうまい




