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魔法少女ハルナ -ECLIPSE-

作者: 暗黒黙示録

 ハルナは魔法少女で、ニヒルでした。

 魔法少女になる以前のハルナはどこにでもいる普通の少女でしたが、世界の平和を守る為の三年間にも及ぶ戦いを経てその感性はどこか虚無的で独特なものへと変化していました。

 ハルナはパートナーの妖精と共に政府に協力し世界の平和を守る戦いを続けていましたが、現在では政府と距離を置き、パートナーとも連絡を取り合わずに街外れにあるガレージで一人生活をしていました。


 その夜、ハルナはとあるコーヒーショップを訪れていました。

「ブレンド……グランデ……デカフェで……。」ハルナは店員に注文を伝えました。

「十分程お時間を頂いても宜しいでしょうか?」店員がハルナに訊ねました。

「はい。」ハルナは答えました。

 そして支払いを終えたハルナはゆっくりと席につき、コーヒーを待ちながら窓の外を眺めました。


 ナツキも魔法少女で、シニカルでした。

 町内にある私立学校に通うナツキは、普通の人間とは異なる力を使えるようになったことで生じるようになった他の生徒達との軋轢に苦しみながらも、それを乗り越え今は比較的普通の生活を送っていました。

 ナツキのパートナーである妖精はキャロラインという名で、ナツキからはキャリーと呼ばれていました。

 キャロラインは本来ネコのような容姿を持つ妖精ですが、魔法の力で人間の姿を取ることが出来ました。キャロラインはネコと人間の二つの容姿を使い分けながらナツキの傍に寄り添っていました。

 また、キャロラインは茶目っ気が強く、いかなる容姿の場合でも言葉の終わりにニャとつける独特な話し方をしていました。


 その夜、ナツキとキャロラインはとある通りを歩いていました。

「今日はどこか寄り道するニャ?」キャロラインがナツキに訊ねました。

「いや……。」ナツキが答えました。「今日は家でゲームでもしない?」

「それは良い考えニャ!」キャロラインが言いました。

「まあ、何も起きなければの話だけど……。」ナツキが言いました。

「何か起きそうな予感がするニャ?」キャロラインが言いました。

「いや……。ただ、ここ最近トラブルとは無縁だったから……。」ナツキが言いました。

「それが普通ニャ。」キャロラインが言いました。

「普通……ね。」ナツキが言いました。


 そのコーヒーショップを出たハルナは人気の無い通りを歩いていました。

 そこへ正体不明の戦士が姿を現しました。

「あなたは……?」ハルナは足を止めて呟きました。

「ハルナ……。」その戦士が魔法により加工された声で呟きました。

 その戦士は徐に魔法の柄マジカルセーバーを召喚するとそれを右手に持って構えました。その瞬間、マジカルセーバーの先端に輝く魔法の刃が生成されました。

「あっ……!」ハルナは思わず声を上げました。

 最初こそ驚いた様子を見せたハルナでしたが、すぐにその戦士と戦う意思を固め、左腕に装着された魔法の腕輪マジカルチェンジャーを構えました。

「変身!」ハルナはマジカルチェンジャーを使って変身しました。

 その戦士はマジカルセーバーを構えたままハルナの出方を窺っていました。

「マジカルブラスター!」ハルナは魔法の拳銃マジカルブラスターを召喚し、それを右手で構えました。

「ハアッ!」ハルナはマジカルブラスターを撃ってその戦士に攻撃を仕掛けました。

 マジカルブラスターの銃口から魔法弾が発射され、その戦士に向かって飛んでいきました。

「フッ!」その戦士は飛んできた魔法弾をマジカルセーバーで弾きました。

 弾かれた魔法弾は近くの建物の壁にぶつかり、爆発して消えました。

「あっ……!」ハルナが声を上げました。

 その戦士はマジカルセーバーを構え直し、ハルナに向かって歩き出しました。

 ハルナは数度マジカルブラスターを撃って迫り来るその戦士に攻撃を試みましたが、その戦士はハルナの放った魔法弾をマジカルセーバーで悉く弾きました。

 そうしてハルナとの距離を詰めたその戦士はハルナに向けてマジカルセーバーを振り下ろしました。

 ハルナはマジカルブラスターで魔法の刃を受け止めると、それを押し返した後、身を翻してその戦士から距離を取ってマジカルブラスターを構え直しました。

 その戦士はマジカルセーバーを下ろしてハルナの様子を窺い出しました。

「ハアッ!」ハルナがまたマジカルブラスターを撃ちました。

「フッ!」その戦士が飛んできた魔法弾に左手をかざすと同時にその魔法弾が空中で動きを止めました。

「えっ……!?」ハルナが声を上げました。

「ハアッ!」その戦士がかざした左手を前に突き出すと、止まっていた魔法弾が動かした左手と同じ方向へと飛び始めました。

「うあっ……!」その戦士が飛ばした魔法弾がハルナの右手に直撃し、ハルナはマジカルブラスターを落としました。

 ここでその戦士が魔力を用いた特別な技フェイタルアーツを発動しました。

「マジカルグリップ!」その戦士が左手を握りました。

「くっ……!ううっ……!」その瞬間、ハルナは魔力で首を絞めつけられ、苦しみだしました。

 首を絞められたハルナは為す術無く呻き声を上げ続けていました。

 そこへナツキとキャロラインが通りかかりました。

「見るニャ!」キャロラインがナツキに言いました。

「あれは……!」ナツキが声を上げました。

「ハルナ……?」ナツキが呟きました。


 ハルナとナツキは面識がありました。

 二年前、ナツキの通う学校で起きていた問題にハルナのパートナーが巻き込まれたことをきっかけに二人は出会っていたのでした。

 それから二人は一度も顔を合わせていませんでしたが、ナツキはその時の魔法少女のことを忘れてはいませんでした。


「そうニャ!アレはハルナニャ!」キャロラインが言いました。キャロラインもまたハルナのことを忘れてはいませんでした。

「もう一人は誰……?」ナツキが呟きました。

「分からないニャ!」キャロラインが言いました。

「とりあえず、攻撃してみて損は無さそうね。」ナツキがその戦いの状況を分析して言いました。

「行くニャ、ナツキ!」キャロラインが言いました。

「変身!」ナツキがハルナ同様マジカルチェンジャーを使って変身しました。

「マジカルソード!」ナツキは魔法の剣マジカルソードを召喚すると、それを右手で構えながらその戦士に向かって走り出しました。

「ん……?」その戦士は向かってくるナツキに気づき、左手を下ろしました。「ナツキ……。」

「うあっ……!」マジカルグリップが解かれ、ハルナは地面に膝をつきました。

 ナツキが走りながらその戦士にマジカルソードを振り下ろしました。

「フッ!」その戦士はマジカルセーバーでナツキの攻撃を防ぐと、後ろに下がりました。

 ナツキはその後もマジカルソードによる攻撃を続けましたが、その戦士は後ろに下がりながらマジカルセーバーでナツキの攻撃を防ぎ続けました。

「ナツキ……ちゃん……?」ハルナが苦しそうに顔を上げながらナツキを見て、呟きました。ハルナも二年前の出来事をまだ覚えていたのでした。

 その戦士がナツキの攻撃を防いで後ろに下がりながら、左手を右に振りました。その瞬間、その戦士から見てナツキの左側に転がっていた空の灯油缶がナツキに向かって飛んでいきました。

「くっ……!」ナツキは飛んできた灯油缶をマジカルソードで防ぎました。

「フン……。」その戦士はナツキが右を向いていた間に路地へと歩いていきました。

「あっ……!」ナツキは声を上げてすぐさまその戦士を追いかけましたが、ナツキがその路地に入った時にはその戦士は既に姿を消していました。

 その戦士を追うことを諦めたナツキは、地面に膝をついたままのハルナの傍に寄りました。

「大丈夫……ハルナ?」ナツキがハルナに手を差し伸べました。

「うん……ナツキちゃん。」ハルナがナツキの手を掴んで立ち上がりました。

「ありがとう。」ハルナが言いました。

「無事で良かったニャ。」キャロラインが二人の傍へと寄って言いました。

「キャリー……。」ハルナが呟きました。

「覚えててくれて嬉しいニャ!」キャロラインが言いました。

「辛うじて覚えてたよ。」ハルナが言いました。

「アイツは誰……?」ナツキがその戦士についてハルナに訊ねました。

「分からない。」ハルナが言いました。「いきなり現れて、勝負を挑まれた。」

「知らない相手に襲われたワケね。」ナツキが言いました。

「初めて会ったよ。」ハルナが言いました。「向こうは私のことを知ってるみたいだったけど……。」

「ナツキのことも知ってたニャ!」キャロラインが言いました。

「有名になった覚えは無いんだけどね。」ナツキが言いました。

「とりあえず、今のままじゃヤツの正体は分からないから、それが分かるまではヤツのことはマジカルナイトって呼ぶことにしようか?」ハルナが言いました。

「マジカルナイト……!」キャロラインが言いました。

「私は何でも構わないけど……。」ナツキが言いました。

「じゃあその呼び方で決まりニャ!」キャロラインが言いました。

「アイツの狙いは一体……?」ナツキが言いました。

「さあ……?」ハルナが言いました。

「とりあえず、あなたは気をつけた方が良さそうね。」ナツキがハルナに言いました。

「うん……。」ハルナが言いました。

「ナツキも気をつけた方が良いニャ。ヤツはナツキのことも知ってたニャ。」キャロラインが言いました。

「ええ。」ナツキが言いました。

「ひとまず協力することにしない?」ナツキがハルナに言いました。

「良いね。」ハルナが言いました。「一人だと私も心細いし……。」

「そう言えば、カーターはどうしたニャ?」キャロラインが言いました。

「うん……。」ハルナが言葉を濁しました。


 ハルナのパートナーはカーターという名で、ネコのような容姿を持つどちらかと言えば理知的な妖精でした。

 カーターにはキャサリンのという名の双子の姉がいましたが、キャサリンは世界の平和を守る為の戦いでその命を落としていました。

 カーターは戦いにひと段落ついた折を見計らってキャサリンの墓を立て、喪に服しました。

 その頃、ハルナが政府と距離を置き世界の平和を守る為の戦いから身を引いたことでカーターと連絡を取り合う必要性が薄れたことも重なり、そのまま二人は疎遠になってしまったのでした。


「カーターとは……今は連絡を取り合って無いんだ。」ハルナが言いました。

「何があったニャ?」キャロラインが言いました。

「昔よりも平和になったから……。」ハルナが言いました。

「確かに、この町も前と比べれば平和になったわよね。」ナツキが言いました。「ま、それもいつまで続くか分からなくなってきたけど……。」

「うん……。一緒にマジカルナイトの目的を探って、もしヤツが邪悪だったら……倒そう!」ハルナが言いました。

「ええ。」ナツキが言いました。


 その後、ハルナはナツキ達と別れ、ガレージに戻りました。

 ハルナはベッドに横たわり、考え事を始めました。

 しばらくしてハルナは起き上がり、スマートフォンを手にすると、一本の電話をかけました。


 町は次の日を迎えました。


 キャサリンの墓は海沿いの小さな丘の上に立てられていました。

 その日、その墓にマジカルナイトが花束を持ってやって来ました。

 マジカルナイトは持ってきたその花束をその墓に供えると、頭を下げて祈りを捧げました。


 ハルナはその日の学校活動を終えたナツキととある通りで落ち合いました。ナツキはこの日もキャサリンを連れていました。

「あれから何かあった?」ナツキがハルナに訊ねました。

「いいや……。」ハルナが答えました。「今のところは……。」

「そっちは……?」ハルナがナツキに訊ねました。

「何も……。」ナツキが答えました。

「気をつけるニャ!」キャロラインが突然大声を上げました。

「何……?」ナツキが訊ねました。

「気配を感じるニャ、マジカルナイトの!」キャロラインが言いました。

「えっ……!?」ナツキが言いました。

 そこへマジカルナイトが姿を現しました。

「ハルナ……。ナツキ……。」マジカルナイトが呟きました。

「マジカルナイト……!」ハルナが言いました。

「皇帝が命により今日こそお前達を抹殺する。」マジカルナイトが言いました。

「皇帝……?」ナツキが呟きました。

 マジカルナイトがマジカルセーバーを構えました。

「変身!」ハルナとナツキが変身し、それぞれの武器を構えました。

「ハアッ!」ハルナがマジカルブラスターを撃ちました。

「フッ!」マジカルナイトはマジカルセーバーで飛んできた魔法弾を弾きました。

「フッ!ハアアッ!」ナツキがマジカルソードを構えながらマジカルナイトに向かっていきました。

「ハアアアアアアアッ!」ナツキがマジカルナイトに向けてマジカルソードを振り下ろしました。

「フン!」マジカルナイトがマジカルセーバーでナツキの攻撃を受け止めました。

 マジカルナイトはすぐさま後ろに跳んでナツキと距離を置くと、ナツキに向けて左手を突き出しました。その瞬間、ナツキの持っていたマジカルソードがナツキの手を離れ地面に落ちました。

「あっ……!」ナツキが声を上げました。

「特殊能力……!?」ナツキが言いました。

「アイツにはきっと離れた位置にある物を動かす能力があるのニャ!」キャロラインが言いました。

 マジカルナイトがマジカルソードを手放したナツキに切りかかりました。

「くっ……!」ナツキはマジカルナイトの攻撃をかわしました。

 マジカルナイトはナツキに対して攻撃を続けました。ナツキは何とかそれらの攻撃をかわし続けました。

「ハアッ!」ハルナがまたマジカルブラスターを撃ってマジカルナイトに攻撃を仕掛けました。

「フッ!」マジカルナイトはすぐにハルナの方を向き、マジカルセーバーでハルナの攻撃を防ぎました。

「ハアアッ!」ナツキがマジカルナイトが魔法弾を防いだスキを突いてパンチを繰り出しました。

「うあっ……!」マジカルナイトがナツキのパンチを受けて怯み、後ろに下がりました。

「今だ!」そう言ってハルナはマジカルブラスターを構え直し、魔力を込めました。

「ん……?」マジカルナイトが体勢を整えながらハルナの方を向きました。

「マジカルブラスト!」ハルナがマジカルブラスターから大きな魔法弾を放ちました。

「くっ……!」マジカルナイトが飛んでくる大きな魔法弾を見て声を上げました。

 大きな魔法弾がマジカルナイトに直撃して爆発しました。

「うああああっ……!」マジカルナイトが叫びました。

 爆発が収まり、ハルナ達がマジカルナイトの様子を確認しようとしたら、マジカルナイトの姿が消えていました。

「消えた。」ハルナが呟きました。

「どこへ行ったの?」ナツキが言いました。

「アイツの気配はもう感じられないニャ。きっともう遠くへ行ったニャ。」キャロラインが言いました。

「それならひとまず私のアジトに来てよ。」ハルナが言いました。

「アジト……?」ナツキが言いました。


 ハルナはナツキ達をガレージへに招待しました。

「ここがアジト……?」ナツキが言いました。

「うん。」ハルナが言いました。

「ここに一人で暮らしてるワケ……?」ナツキが言いました。

「そうだよ。」ハルナが言いました。

「なるほどね。」ナツキが呟きました。

「それはそうと、マジカルナイトについてだけど……。」ハルナが言いました。

「皇帝って言ってたニャ!」キャロラインが言いました。

「皇帝……。どうやらソイツが黒幕みたいね。」ナツキが言いました。

「皇帝って誰のことだろう?」ハルナが言いました。

「皇帝と言えば……闇の皇帝-ダーク・ロードのことかニャ?」キャロラインが言いました。

「ダーク・ロード……?」ナツキが言いました。

「ずっと昔に世界を滅ぼそうとしていた闇の存在ニャ。」キャロラインが言いました。

「どうやら私も聞いたことが無い闇の存在がいたみたいだね。」ハルナが言いました。

「とは言っても、ダーク・ロードは当時活動していた魔法少女の手により滅んだ言われているニャ。」キャロラインが言いました。

「まあ、そうで無かったら今頃この世界は滅んでいたでしょうしね。」ナツキが言いました。

「でも、闇の存在を倒しても、その力が完全に消え去るかどうかは分からない。」ハルナが言いました。

「そうニャ。ダーク・ロードが持つ闇の力の残滓がまだこの世界の平和を脅かしているとも言われているニャ。」キャロラインが言いました。

「その残滓のことをヤツは皇帝って呼んでいるのかな?」ハルナが言いました。

「今のところアイツが闇の力を持っている感じはしないけど……?」ナツキが言いました。

「確かに……。」キャロラインが言いました。「闇の勢力に属する者は皆何らかの形で闇の力を身につけているニャ。」

「じゃあ皇帝ってのが結局何なのか分からないね。」ハルナが言いました。

「そういうことになるわね。」ナツキが言いました。


 この世界の何処かに存在する魔法の神殿に皇帝はいました。

「ハルナ……。ナツキ……。そう簡単に奴らを葬ることは出来ぬか。」皇帝が呟きました。「ならば……。」

「フン!」皇帝の魔法により魔導従騎マジクワイアを召喚されました。

「マジクワイアよ、奴らを亡き者にするのだ。」皇帝が魔導従騎マジクワイアに命じました。

「ハアッ!」魔導従騎マジクワイアが魔法の神殿を飛び出しました。


 ナツキとキャロラインはハルナと別れ、とある通りを歩いていました。

「ハアアアアッ!」そこへ魔導従騎マジクワイアが姿を現し、剣を構えました。

「コイツは……!?」ナツキが言いました。

「まさか……!」キャロラインが言いました。

「変身!」ナツキはひとまず変身しました。

 魔導従騎マジクワイアがナツキに向かって走り出し、剣を振り下ろしました。ナツキは近くに立っていた電灯の傍へと移動して魔導従騎マジクワイアの攻撃をかわしました。

 魔導従騎マジクワイアは間髪を入れずに次の攻撃を繰り出しました。ナツキは再び魔導従騎マジクワイアの攻撃をかわしました。すると魔導従騎マジクワイアの剣がその電灯に直撃し、その電灯は真っ二つに折れてしまいました。

「くっ……!」ナツキが折れたその電灯を見て言いました。

「フン!」魔導従騎マジクワイアがナツキの方を向いて剣を構え直しました。

「マジカルソード!」ナツキがマジカルソードを召喚し、それを構えました。

「ハアアアッ!」魔導従騎マジクワイアがナツキに切りかかりました。

「フッ!」ナツキがマジカルソードで魔導従騎マジクワイアの攻撃を受け止めました。

 ナツキはそのまま魔導従騎マジクワイアをいなし、マジカルソードを構え直しました。

 魔導従騎マジクワイアのすぐさま体勢を整え、剣を構え直しました。

 ナツキと魔導従騎マジクワイアは睨み合ったままゆっくりと横に歩き出しました。

「フン!」魔導従騎マジクワイアが横に歩くのを止め、ナツキに切りかかりました。

「フッ!ハアアッ!」ナツキがマジカルソードで魔導従騎マジクワイアの振り下ろした剣を弾き、続けて魔導従騎マジクワイアを切りつけました。

「ヌウアアッ……!」ナツキの攻撃を受けて魔導従騎マジクワイアは怯み、後ろに下がりました。

「クッ……!」魔導従騎マジクワイアがよろめきながらも剣を構え直しました。

「行くニャ、ナツキ!」キャロラインが言いました。

「ええ!」ナツキが言いました。

「ヌオオオオオオオッ!」魔導従騎マジクワイアが声を上げながら全身に魔力を漲らせました。

「ムダよ。」そう言ってナツキがマジカルソードを構え直しました。

「ハアアアアアアアッ!」魔導従騎マジクワイアがナツキに切りかかりました。

「フッ!」ナツキがマジカルソードで魔導従騎マジクワイアの攻撃を受け止め、そのまま押し返しました。

「ハアアアッ!」魔導従騎マジクワイアはすぐさま剣を振ってナツキに次の攻撃を仕掛けました。

「ハアアッ!」ナツキもマジカルソードを振って魔導従騎マジクワイアの剣を弾きました。

 攻撃を防がれた魔導従騎マジクワイアは後ろに下がって剣を構え直しました。

「ハアアアアアアアッ!」魔導従騎マジクワイアがまたナツキに向かって走り出しました。

「フッ!」ナツキが向かって来た魔導従騎マジクワイアをマジカルソードで突きました。

「ウアッ……!」魔導従騎マジクワイアは怯み、後ろに下がりました。

「フン!」魔導従騎マジクワイアは体勢を立て直し、剣を構えました。

「ハアアアアアアアッ!」魔導従騎マジクワイアがナツキに向かって走り出しました。

 ナツキはフェイタルアーツを発動しました。

「マジカルパンチ!」ナツキは向かって来た魔導従騎マジクワイアに対し左手でパンチを繰り出しました。

「ウアアアッ……!」ナツキのパンチを受けて魔導従騎マジクワイアはふっ飛ばされ、地面の上を転がりました。

「グッ……!ウウッ……!」魔導従騎マジクワイアがよろめきながら立ち上がりました。

 ナツキはマジカルソードを構え直し、魔導従騎マジクワイアに近づきました。

「フン!ハアアッ!」魔導従騎マジクワイアが剣を構え直し、近づいて来たナツキに切りかかろうとしました。

「フッ!ハアアッ!」ナツキが切りかかって来た魔導従騎マジクワイアをマジカルソードで二回切りつけました。

「ハアアアッ!」ナツキは怯んだ魔導従騎マジクワイアをさらにもう一度切りつけました。

「ヌアアアッ……!」魔導従騎マジクワイアが後ろに下がりました。

「ヌウウウッ……!」魔導従騎マジクワイアが剣を構え直そうとしました。

「フッ!」ナツキがマジカルソードを上に向けると、その刀身に覆い被さるように巨大な魔法の刃が生成されました。

「ンッ……!?」魔導従騎マジクワイアがその巨大な魔法の刃を見上げました。

「マジカルエンド!」ナツキがマジカルソードを振り下ろし、その巨大な魔法の刃で魔導従騎マジクワイアを切りつけました。

「ウアアアアアアアッ……!」魔導従騎マジクワイアはナツキの攻撃を受けて爆発しました。


 その頃、ハルナはとある路地でサクラという人物に会っていました。

「お久しぶりですね、ハルナさん。」サクラが言いました。

「うん。」ハルナが言いました。

 サクラは政府の機関に属する魔法少女であり、ハルナが政府に協力していた頃に親しくしていた人物でした。

「調べてくれたんだよね?」ハルナが言いました。

「はい。ハルナさんからの頼みと言うことで、他の人達には内緒で……。」サクラが言いました。

「ありがとう、サクラちゃん。」ハルナが言いました。「それで……?」

「ハルナさんが戦ったというその魔法少女についてですが、おそらく、過去に政府の下から失踪した魔法少女候補者の一人だと思います。」サクラが言いました。

「魔法少女候補……?」ハルナが言いました。

「ハルナさんも知っていると思いますが、政府は神秘的な力から国民を守るべく、身寄りのない子供達を集めて魔法少女の育成を行っていました。」サクラが言いました。

「サクラちゃんもその一人、なんだっけ……?」ハルナが言いました。

「はい。そして過去に、強大な魔力を宿していながらある日忽然と姿を消した魔法少女候補者がいました。」サクラが言いました。「政府は血眼になって失踪したその魔法少女候補者を探したようですが、見つからず……。」

「その子が、マジカルナイト……?」ハルナが言いました。

「おそらく、その人物の持つ強大な魔力に目を付けた何者かが、その人物を攫い、自身のしもべとなる魔法少女に育てたのでは無いかと……。」サクラが言いました。

「一体誰がそんなことを……?」ハルナが言いました。

「強大な魔力を持つ人物を政府の目から隠すことが出来る程の人物……妖精以外にはまず考えられないでしょうね。」サクラが言いました。

「妖精……?」ハルナが言いました。

「はい。」サクラが言いました。

「妖精、か……。」ハルナが言いました。

 サクラは黙っていました。

「ちなみに、その子の名前は……?」ハルナが言いました。

「ありません。」サクラが言いました。

「えっ……?」ハルナが言いました。

「魔法少女候補者は身元不明の人物も多いですし、身元が分かっている人物であってもその元々の戸籍は削除されますから……。」サクラが言いました。「新しい名前が得られるのは正式に魔法少女になってからです。」

「そっか……。」ハルナが言いました。「名も無き魔法少女、か……。」

「尤も、裏で糸を引いているその妖精からは何らかの名前を付けられていると思いますけど……。」サクラが言いました。

「うん。ありがとう、サクラちゃん。助かったよ。」ハルナが言いました。

「いえ……。私も、久々にハルナさんの顔が見られて嬉しかったです。」サクラが言いました。

「それじゃあ、サクラちゃん……。」そう言ってハルナはその場を離れていきました。

「ハルナさん……。」そう言ってサクラは考え出しました。


 マジカルナイトは魔法の神殿を訪れ皇帝と会いました。

「エクリプス……。」皇帝がマジカルナイトに呼びかけました。

「皇帝……。」マジカルナイトが言いました。

「決戦の時は近い。」皇帝が言いました。「準備は出来ているな?」

「はい、皇帝。」マジカルナイトが言いました。「妖精達が死ぬことの無い理想の世界の為に……!」


 ハルナはナツキとキャロラインに会いました。

「皇帝の正体が分かったニャ。」キャロラインが言いました。

「えっ……?」ハルナが言いました。

「私達の元に皇帝の刺客が現れたの。」ナツキが言いました。「キャリーがソイツに心当たりがあるって……。」

「ヤツは魔法によって生み出された戦士ニャ。」キャロラインが言いました。「ヤツを生み出す魔法を扱える存在は限られているニャ。」

「魔法……。」ハルナが言いました。「と言うことは……。」

「“ジェネシス”ニャ!」キャロラインが言いました。

「ジェネシス……?」ハルナが言いました。

「人間に対し敵意を抱く妖精達が集まって結成された組織ニャ。」キャロラインが言いました。「妖精達の間ではそこそこ有名な組織ニャ。」

「人間に対し敵意を抱く妖精達……。」ナツキが呟きました。

「うん……。知っているよ、そういう妖精達がいること……。」ハルナが言いました。

「皇帝とはきっとジェネシスのリーダーのことニャ。」キャロラインが言いました。

「ジェネシスのリーダー……。」ハルナが言いました。

「名前は“アルパティーン”、無限のパワーを持つと言われる妖精ニャ。」キャロラインが言いました。

「ソイツが皇帝の正体……。」ナツキが言いました。

「無限のパワー……。」ハルナが呟きました。

「アルパティーンはその強大な魔力故か他人を頼ることを知らず、ジェネシスの他のメンバーのことも信用していなかったと聞くニャ。」キャロラインが言いました。

「だから魔力で生み出した戦士を差し向けてきたワケね。」ナツキが言いました。

「妖精の仲間を信用出来ず、それで人間の子供を洗脳してマジカルナイトにしたってこと……?」ハルナが言いました。

「人間を滅ぼす為に人間の力を借りようだなんて……。」ナツキが言いました。

「こうなったらジェネシスの本拠地と言われる魔法の神殿に乗り込むニャ!」キャロラインが言いました。「乗り込んで、アルパティーンの邪悪な野望を打ち砕くニャ!」

「分かるの……?」ハルナが言いました。「その……魔法の神殿っていう場所……?」

「分かるニャ!」キャロラインが言いました。「ずっと前に魔法の匿名掲示板に住所が晒されてたニャ!」

「キャリーの情報源って……掲示板……?」ハルナが言いました。

「魔法の匿名掲示板ね。」ナツキが言いました。

「情報の信憑性は高いニャ!私を信じるニャ!」キャロラインが言いました。

「まあ……試してみる価値はあると思う……。」ハルナが言いました。

「噂によると魔法の神殿に凸った妖精は皆ジェネシスに消されてしまったとのことニャ。心して行くべきニャ。」キャロラインが言いました。

「覚悟ならとっくに出来ているわ。」ナツキが言いました。

「うん!」ハルナが言いました。

「それじゃあ突撃ニャ!」キャロラインが言いました。


 魔法の神殿に皇帝とマジカルナイトがいました。

 そこへハルナとナツキとキャロラインが乗り込んできました。

「お前達……!」マジカルナイトが言いました。

「ほう……自ら滅ぼされにここまで姿を現したか……。」皇帝が言いました。

「皇帝……いや、アルパティーン、あなたに人類を滅ぼさせたりはしない!」ハルナが言いました。

「フン、無駄だ。お前達に私は止められはしない。」皇帝が言いました。

「それはやってみなくちゃ分からないわ!」ナツキが言いました。

「ナツキ!ハルナ!行くニャ!」キャロラインが言いました。

「変身!」ハルナとナツキが変身し、それぞれの武器を構えました。

「エクリプス……!」皇帝が言いました。

「は!」マジカルナイトがマジカルセーバーを構えました。

「アイツは任せて!」ハルナが言いました。

「分かった!」ナツキが言いました。

 ハルナとナツキが走り出しました。ハルナは走りながらマジカルナイトに向けてマジカルブラスターを撃ちました。マジカルナイトはマジカルセイバーで飛んできた魔法弾を弾きました。そしてハルナとマジカルナイトはそのまま戦い始めました。

 ナツキは真っ直ぐ皇帝に向かっていきました。

「フン……。」皇帝が徐に魔法の剣を取り出し、それを構えました。

 ナツキと皇帝はお互いの持つ剣の刃を激しくぶつけ合いました。


 ハルナはマジカルナイトの周囲を移動しながらマジカルブラスターを撃ちましたが、マジカルナイトはハルナの攻撃を悉くマジカルセーバーで弾きました。

「無駄だ。お前の攻撃など通用しない。」マジカルナイトが言いました。

「だったらこれならどうかな?」ハルナが言いました。

「マジカルショット!」ハルナが魔法散弾を放ちました。

 無数の小さな魔法弾がマジカルナイトに向かって飛んでいきました。

「フン!」マジカルナイトが左手をかざすと、飛んでいた魔法散弾が空中で動きを止めました。

「あ……!」ハルナが声を上げました。

「そんな小手先の技が通じるものか。」そう言ってマジカルナイトがかざしていた左手を前に突き出すと、動きを止めていた魔法散弾が今度はハルナに向かって飛んでいきました。

「うわあっ……!」ハルナは魔法散弾を受けて転倒しました。

「フン……。」マジカルナイトが倒れ込んだハルナを見て言いました。


「ハルナ……!」キャロラインが叫びました。


 ナツキは皇帝に対し何度も剣を振るいましたが、皇帝はその全てを確実に防いでいました。

「くっ……!」ナツキが皇帝と距離を取って言いました。

「所詮人間の力などこの程度か……。」皇帝が言いました。

 次の瞬間、皇帝が剣を構え直しました。

「必殺、皇帝魔法斬!」皇帝が魔法の剣に魔力を纏わせナツキを切りつけました。

「うあああっ……。」ナツキは皇帝の一撃を受けてふっ飛ばされて床に倒れ込みました。


「ナツキ……!」キャロラインが叫びました。


 ハルナが立ち上がりました。

 マジカルナイトが立ち上がったハルナに向けてマジカルセーバーを振り下ろしました。

 ハルナはマジカルブラスターでマジカルナイトの攻撃を受け止めましたが、マジカルナイトは次々に攻撃を繰り出しました。

 ハルナはマジカルナイトの攻撃を防ぎ続けましたが、最後まで防ぎきることは出来ずにマジカルナイトの攻撃をその身に受けてしまいました。

「うあっ……!」ハルナが怯みながら後退しました。

「終わりだ。」そう言ってマジカルナイトがマジカルセーバーを構え直しました。

「あっ……!」ハルナが声を上げました。

「マジカルスラッシュ!」マジカルナイトがハルナを切りつけました。

「うあああああああっ……。」切りつけられたハルナはそのまま仰向けに倒れ込みました。


「ハルナ……!ハルナーッ……!」キャロラインが叫びました。


 ナツキは立ち上がって皇帝との戦いを続けていましたが、キャロラインの叫びを耳にしてハルナの方を向こうとしました。

 しかし、皇帝の激しい攻撃を防ぐのに手一杯で、ハルナの方を向くことは出来ませんでした。


「終わったな。」マジカルナイトが呟きました。

「くううっ……!」ハルナが仰向けのままマジカルブラスターを構え、マジカルナイトを撃ちました。

「くっ……!」マジカルナイトはマジカルセーバーでハルナの攻撃を防ぎましたが、その威力のせいで少し後退しました。

「何……!?」皇帝が言いました。


「ハルナ……。」キャロラインが言いました。


「残念だったね。」ハルナが立ち上がりながら言いました。「まだ終わりじゃ無いよ。」

「くっ……!まだ立ち上がるだけの力が残っていたか……!」マジカルナイトが言いました。

「本当の勝負はここからだよ!」ハルナが言いました。

「それはどうかな?」マジカルナイトが言いました。「いくら立ち上がったところで私の特殊能力はお前の攻撃を全て撥ね返す……お前に勝ち目は無い!」

「それはどうかな?」そう言ってハルナはマジカルブラスターに魔力をチャージし始めました。

「私にはダメージを受ける度に攻撃力を上げるスキルがある!」ハルナが言いました。「そっちのスキルと私のスキル、どっちが強いか勝負だよ!」

「攻撃力をアップする特殊能力だと……!?」マジカルナイトが言いました。

「マジカルブラスト!」ハルナが大きな魔法弾を放ちました。

「くっ……!」マジカルナイトがマジカルセーバーを投げ捨て、大きな魔法弾に両手をかざしました。

「ハアアアアアアアッ!」マジカルナイトが飛んできた大きな魔法弾を止めようとしました。

「くっ……!」ハルナがマジカルブラスターを構えたままその様子を見ていました。

 ハルナの放った大きな魔法弾はマジカルナイトによって一時的にその動きを止めましたが、再びマジカルナイトに向かって動き出しました。

「バカな……!」マジカルナイトが言いました。

 そして大きな魔法弾はそのままマジカルナイトに直撃し、爆発しました。

「うわああああああっ……!」マジカルナイトはそのまま消滅しました。


「何……!?」皇帝が言いました。「エクリプス……!」

「ハアアッ!」ナツキが動揺した皇帝の持つ魔法の剣を弾き飛ばしました。

 ナツキはそのままマジカルソードの刃を皇帝に突きつけました。


「ハルナ!ナツキ!」キャロラインが言いました。


 ハルナも皇帝の傍へと近づき、マジカルブラスターの銃口を向けました。

「アルパティーン……!」ハルナが言いました。

「あなたの負けよ。降参サレンダーしなさい。」ナツキが言いました。

「それで勝ったつもりか?」皇帝が言いました。

「えっ……?」ナツキが言いました。

「ハアアアアアアアッ!」皇帝が両手から魔法の稲妻を放ってハルナとナツキを攻撃しました。

 ハルナとナツキは皇帝の攻撃を受けてふっ飛ばされました。


「ナツキ……!ハルナ……!」キャロラインが言いました。「これが……無限のパワー……!?」


「ハッハッハッハッハッ!お前達に私は倒せん!」皇帝が言いました。「人類は今日、我が手によって滅びるのだ!」

「くっ……!」ナツキが動けずに言いました。

「ううっ……!」ハルナもまた動けずに言いました。

「魔法少女ハルナ……まずは貴様から葬ってくれる!」皇帝がハルナの方を向いて言いました。


「ハルナ……!」キャロラインが言いました。


「くうっ……!どうすれば……!?」ハルナが言いました。


「ハルナ……!」そこへ一体の妖精が姿を現しました。

「お前は……!?」皇帝が言いました。

「カーター……?」ハルナが呟きました。

「カーター……!」ナツキが言いました。

「カーターニャ!ハルナのパートナーニャ!」キャロラインが言いました。

「カーター……どうしてここに……?」ハルナが言いました。

「サクラから聞いたんだ、ハルナが過去に政府の下から失踪した魔法少女の行方を追ってるって。」カーターが言いました。

「サクラちゃんから……?」ハルナが言いました。

「うん。ボクはあれから政府で仕事をしてたんだ。」カーターが言いました。

「そうだったの?」ハルナが言いました。

「サクラから話を聞いてすぐにジェネシスの仕業だと分かったよ。ハルナ達が前に三妖精を倒したから、ジェネシスが人間に逆襲を企てると思ってたしね。」カーターが言いました。

「それでここに来たニャ?」キャロラインが言いました。

「そうさ!ホントはキミ達がここに乗り込む前に合流したかったんだけど、間に合わなかったね。」カーターが言いました。

「そうだったニャ。」キャロラインが言いました。「カーターが来てくれたなら心強いニャ。」

「フン、何を言っている?」皇帝が言いました。「そんなザコが何体姿を現したところでお前達に勝ち目など無い。」

「それはどうかな?」カーターが言いました。

「何……?」皇帝が言いました。

「ハルナ……!」カーターが言いました。

「うん……!」ハルナが立ち上がってマジカルブラスターを構えました。

「まだ立ち上がるか……!」皇帝が言いました。「だが何度立ち上がったところで、攻撃力は私の方が上だ!」

「この瞬間、墓地に眠るキャサリンの魔法が発動する!」カーターが言いました。

「キャサリン……?」キャロラインが言いました。

「墓地から魔法……?」ナツキが言いました。

「墓地……?まさか……!」皇帝が言いました。「あの町に人間の戦いに巻き込まれて命を落とした妖精の墓があったとエクリプスから聞いていたが……!」

「どういうこと……?」ハルナが言いました。

「キャサリンは特別な妖精さ。双子であるボクになら、彼女が死んだ後にも一度だけ残された魔力を利用することが出来る!」カーターが言いました。

「そんなことが出来るの!?」ハルナが言いました。

「この魔法によりハルナの攻撃力を一時的にパワーアップする!」カーターが言いました。

 そしてハルナの全身に魔力が漲りました。

「これは……。」ナツキが言いました。

「凄い……。」キャロラインが言いました。

「全身に力が満ちていく……!」ハルナが言いました。「これならアイツを倒せるよ!」

「おのれ……!墓地で魔法を発動する妖精とは……!ご都合主義にも程があるぞ!」皇帝が言いました。

「まだだ!」カーターが言いました。

「何……!?」皇帝が言いました。

「この魔法を受けた魔法少女は、戦闘で倒した魔法少女の攻撃力分のダメージを相手に与える力が備わる!」カーターが言いました。

「何だと……!?」皇帝が言いました。

「戦闘で倒した魔法少女……?」ナツキが言いました。

「つまり、マジカルナイトの攻撃力分のダメージがアルパティーンに与えられるニャ。」キャロラインが言いました。

「くっ……!エクリプスの攻撃力は……!」皇帝が言いました。

「行くよ、アルパティーン!」そう言ってハルナがマジカルブラスターに魔力をチャージしました。

「ぐっ……!」皇帝が言いました。

「マジカル・デス・ブラスト!」ハルナが大きな魔法弾を放ちました。

「ウオオオオオオオッ……!」皇帝が向かってくる魔法弾を前に叫び声を上げました。

「ウアッ……!」皇帝はそのまま大きな魔法弾を受けて爆発と共に消滅しました。

「やった……。」ナツキが立ち上がりながら言いました。

「アルパティーンを……倒したニャ!」キャロラインが言いました。

「カーター……!」ハルナが言いました。

「うん!」カーターが言いました。

 次の瞬間、魔法の神殿が崩れ始めました。

「これは……!?」ナツキが言いました。

「アルパティーンが倒されたことにより魔法の神殿が破壊されているニャ!」キャロラインが言いました。

「みんな、急いでここを出るんだ!」カーターが言いました。

「うん!」ハルナが言いました。


 その後、ハルナとカーターとナツキとキャロラインはアジトに戻って来ました。

「色々あったけど、何とかなったわね。」ナツキが言いました。

「一緒に戦ってくれてありがとう、ナツキちゃん。」ハルナが言いました。

「あなたにだったらいつでも力を貸すわ、ハルナ。」ナツキが言いました。

「それじゃあそろそろ行くニャ。」キャロラインが言いました。

「ええ。それじゃあね、ハルナ、カーター。」ナツキが言いました。

「またニャ!」キャロラインが言いました。

 そしてナツキとキャロラインはその場を去りました。

「それにしても、カーターが政府で働いていたなんて……。」ハルナが言いました。

「ハルナと一緒に世界の平和を守る内に、これからも人間と一緒に世界の平和を守っていきたいと感じるようになったんだ。」カーターが言いました。

「そっか……。」ハルナが言いました。

「本当はハルナも一緒にいてくれると思ってたんだけど……。」カーターが言いました。

「私は……まだ良いかな……。」ハルナが言いました。

「それでも……またいつか一緒に……!」カーターが言いました。

「まあ、機会があればね。」ハルナが言いました。


 こうしてこの日もハルナは世界の平和を守ったのでした。

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