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たっくんは疑問形  作者: 田沢みん(沙和子)
第1章 幼馴染編
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プロローグ


あの寒い冬の日に、 たっくんは私の前から姿を消した。


私はたっくんを心から憎んで、 心から(うら)んで(のろ)った。


(のろ)って呪って呪いまくっていたら、 とうとう呪いは自分に()ね返って、 心の中がたっくんだらけになった。



あの日から私はずっと、 たっくんの呪いにかかったままだ。



なのに……



高校一年生の春、 知らない人が、 知らない顔、 知らない声で、 私を呼んだ。



「お前、 小夏(こなつ)だろ? 」

「えっ?…… 」


「お前、 俺のこと覚えてね〜の? 」



見知らぬその人は、 慣れた手つきで私の片方のおさげ髪を手に取ると、 感触を確かめるように、 手のひらの中で何度も親指を(すべ)らせた。


伏せた長い睫毛(まつげ)(かげ)を落とし、 彼の真っ黒な(ひとみ)を更に暗く見せている。



指先を見つめていたその視線が動き、 睫毛がバサリと上がったとき、 私の目の前には、 吸い込まれそうなほど真っ暗で深い、 漆黒(しっこく)(やみ)があった。



こんな人、 私は知らない……。



だけど、 かつておさげ髪をこうして(いと)おしそうに()でた手を、 その手の持ち主を、 私は知っている……。



「あなたは一体…… 誰ですか? 」



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