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めがね村とこんたくと村と目いしゃさん

作者: 若松ユウ

 あるところに、小川をはさんで二つの村がありました。

 川の右は、めがねをかけた人たちがくらしていたので「めがね村」とよばれ、川の左は、こんたくとをつけた人たちがくらしていたので「こんたくと村」とよばれていました。

 めがね村の村長さんはこんたくとがきらいで、こんたくと村の村長さんはめがねがきらいだったので、二つの村はなかよくできませんでした。


 さて。

 川の上には、二つの村をまたぐように小さなおうちがたてられていました。

 このおうちには、一人の目いしゃさんがすんでいて、二つの村の人たちは、みんなこの目いしゃさんにみてもらっていました。

 ちなみに、この目いしゃさんは、とおいとおい村からやってきた人なので、どちらの村の人でもありません。


 目いしゃさんは、心の中では二つの村になかよくしてほしいと思ってました。

 しかし、どちらの村の人でもない目いしゃさんには、どうすることもできないでいました。

 めがね村に行っても、こんたくと村へ行っても、村長さんにあいてにされなかったからです。

 目いしゃさんは、いつもなやんでいました。


 ある日のことです。

 目いしゃさんのもとに、めがねをこわした女の子と、こんたくとをなくした男の子がやってきました。

 二つの村の子がいっしょの日にやってくることは、めずらしいことです。

 目いしゃさんは、あることをひらめき、二人にそれぞれ、おねがいをしました。


 めがね村の女の子が村へかえると、村長さんはたいそうおどろきました。

 なぜなら、女の子がこんたくとをつけていたからです。

 こんたくと村の男の子が村へかえっても、村長さんはたいそうおどろきました。

 なぜなら、男の子がめがねをかけていたからです。


 実は、目いしゃさん。

 女の子と男の子が、おたがいのことをすきなのをしっていました。

 そこで、女の子にはこんたくとを、男の子にはめがねをあたえて、それぞれの村の村長さんとよく話をするように言ったのです。

 つけなれないこんたくとをしてまで、また、かけなれないめがねをしてまで、なかよくしてほしいとおねがいする二人のあついきもちにおされ、二人の村長さんは、なかなおりしました。


 こうして、二つの村は一つにまとまり、めがねをかけようが、こんたくとをつけようが、どちらでもすきにしていいことになりました。

 目いしゃさんは、おおいによろこびました。

 それから、おとなになった女の子と男の子はけっこんし、子だからにもめぐまれ、すえながくしあわせにくらしましたとさ。

 めでたしめでたし。  

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― 新着の感想 ―
[良い点] 童話らしい、柔らかな語り口がとてもよかったです。 [一言] この話を読む前は童話ということもあり、めがね村=たぬき、こんたくと村=きつね、と、思っていました(苦笑い)どうして、こんな思い違…
[良い点] 企画の設定を素直に使うだけでこんなに優しい童話が出てくるんですね。発想の勝利だと思います。 いつの時代も愛は地球を?村を救うですね。 それから国境?村境なき医師、ということで、尊い。 [一…
[良い点] 可愛いお話ですごくほっこりしました! ハピエンで読後感良かったです。 こんな童話が読みたかったです~ 企画の条件を上手の活かした素晴らしい掌編だと思います。 [一言] 厳しい条件の『眼鏡娘…
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