表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
プラントおじさん怒りのエッセイ  作者: 言ったら、たやすく身バレする
5/6

やばかった(製薬工場編)後編

 製薬や食品工場で仕事する場合、大抵その数日前に使用する工具や機器は現地へと発送し、あらかじめ除菌等の処理をしてもらう。

 実際やっているところは見たことないけど……

 そもそも、あたしの使っている数十年物の工具がそう容易くきれいになるわけがないんですよね。そこには絶対的な自信がありますよ!!


 あたしは自分の工具箱からドライバーを取り出し作業を始めた。

 客は後方で立ち会いという名の、あたしの監視業務にあたる。まあ、プレッシャーをかけるのが彼らの仕事だったりする。


 そのことに関しておっさんは慣れがきてるよ!!


 作業開始から30分経つと防塵服はサウナ服のようになり、あたしに牙をむき始める。さらに、分厚いマスクは呼吸をしにくくし、メガネはくもりはじめ、ゴム手袋の内側は汗でべたつきはじめる。

 それが意外と作業効率をとことんまで落としていくのだ。

 

 ただ、あたしの本当の問題、人生で最大の試練はそこからさらに30分後訪れた。


 キュルルルルゥゥゥ


 突然、低いエアーの抜けるような音が聞こえた

 周りを見渡すと、自分がいじくってる機械とは別の機会が近くで稼働していたが、どうやらそこからの音ではなさそうだ。


 キュルルルルゥゥゥ


 またした。

 そしてやっとその音の発信源に気が付いた。


 あたしだ!

 そうだ! 腹をくだしていた!!


 プラシーボ効果です。

 その瞬間に、体中から汗が滝のように噴出し、悪寒が走った。


 この世のおわりだ!


 当然、清潔でならないこの区域の中にはトイレは存在しない。

 あるとすれば区域の入り口か、事務所になる。


 つまり、脱糞をするには一度区域からでなければならず、それは前に述べたようなお着替え手順を一からやらねばならぬことになる。


 クリーンルームを出てくそして戻る。

 だいたい20分、いや、30分くらいかかるか。

 作業自体はどうだ、8割がたは片付いている、いっそのこと我慢して作業を終えるか。


 あたしは人生の経験をフルに活用し答えを出した。


 ゆっくりと、ドライバーを工具箱へもどした。


 そっからさきは、本当に記憶があいまいなのだけれど、たしか客とこんなやり取りをした


 おっさん「すまぬ、糞がしたい」

 客「マジッすか、作業終わってからではダメ?」

 おっさん「作業は終わるかもしれない、ただ同時にあたしの人生も終わるかもしれない」

 客「う~ん、あと少しじゃないですか」

 客は確かにゴネた。それはしっかり覚えている。

 おっさん「今ここで糞をもらせば、もはやテロリスト同然だ、始末書どころのはなしじゃないぜ、あたしはキミにちゃんと糞をもらすと言ったからな、君も共犯者だ!」

 客「我慢できない?」

 おっさん「アナルに聞いたが無理だと言っている」

 客はしぶしぶ了解し、あたしはなんとか入口のトイレにかけこみ、事なきをえた。


 危なかった、ほんとに。あたしは危うくバイオテロの実行犯になり下がるところだった。


 快便後 

 不思議なことに、作業は異常な速度ですすみ、むしろ予定時間より、幾分早く終わった。


 いい職場とは、いつでも糞ができる職場ではないだろうかと、あたしは切実におもうのです。

 

以上


PS

これ書いてて思い出したんだけど。

入社時の面接でたしか、この会社はいつでもうんこできますかねって、社長に聞いた気がする

明日電話してたしかめてみるわ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ