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2年浪人のち大学へ
飛び上がってタカシは喜んだ。地獄のような受験生活から解放されるのである。
「諸君、我々は今日,只今より受験生活から解放された。ついに受験戦争は終わったのだ。我々の前途は開かれたのだ。我々の未来は開かれたのだ。
我々の未来はまことに明るい。愛と自由と青春の輝きを十二分に、これからは思う存分に味わうことが出来るのだ。ああ、人生よ、青春よ、万歳!!、万歳!!」
ひとり野間タカシは演説をぶつとキャツと叫んで階段を飛び降りていった。あの街へと、あの華やかな街へと飛び出して行った。
長い浪人生活で頬の肉はこけおち、頭蓋骨の輪郭をはっきり感じさせながら
A大学の経済学部の学生に収まった。