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65:潜入! ベルカ帝国 3

スミマセン、今回はちょっと文字数少なめです。

 春人が覆面の死刑執行人を射殺し、そのままの流れで次は判事に向けて狙いを定めてガバメントの引き金を引いた。


「では死ね」


 その言葉と共に銃口から必殺の.45ACP弾が放たれ真っ直ぐと判事目掛けて飛翔していった。そしてその弾は確実に判事の胸部を撃ち抜き確実に殺せる一撃を与えた。仮に息があっても長くは持たないだろう。確実に息の根を止めるのにもう1発撃ってもよかったが春人はそうしなかった。


 春人が銃を撃った事によって、というよりも判事と死刑執行人が死亡したことで辺りはパニックに陥った。これを機に帝国へ反旗を翻そうと周囲に展開していた兵士に攻撃を仕掛け暴動を起こした民衆や、その混乱を避ける為にこの場から逃げる者など様々だった。


 その中で春人は絞首刑台へと登り、首に掛かられた彼等の縄を解いて周った。


「お前は……何者だ?」


「説明は後だ。ここの全員の縄を外したら直ぐにここから逃げるんだ」


 春人は縄を掛けられていた者の一人にそう聞かれたが、話すより先に逃げろと答えた。これから戦場になるというのに彼等が居ては邪魔でしかないからだ。


 その後春人が全ての受刑者を解放したと同時に帝国の兵士が春人を囲むように絞首刑台へと上がって来た。


「随分とタイミングがいいことで……。来て早々で申し訳ないが、ご退場いただこう。お前らはお呼びでないのだから」


 まずは手始めに適当に狙いを定めて向かってくる兵士を射殺する。その銃声が第二ラウンドの始まりの合図になった。


 それから春人は前後左右から向かってくる兵士の刃を華麗に避けながら確実に相手を射殺して無力化していく。その動きはまるで演武でも舞っているかのようであった。


 相手の攻撃は一切当たらず、こちらの攻撃だけ確実に当てに行く。ここでも春人のワンサイドゲームになってしまっている。警備の為に剣や槍などといった最低限の武装しか装備していない彼等ベルカ帝国の兵士が春人と戦うにはこの装備では心許ない。それに彼等は国内で、ましてや帝都内で暴動が起こるなどとは思っていなかったようで、怠慢さが有った事も要因の一つだろうか。


「次で最後のマガジンか……」


 ここまで何人の兵士を殺害したのかはっきりとカウントしていないので分からない。それでも常に予備として何本か携行していたマガジンも最後の1本がガバメントに装填されたので相当数の敵を無力化してきたことだけは分かる。


 その証拠に絞首刑台の周りには帝国の兵士の死体でいっぱいだ。それでもまだ向かってくる敵兵士は沢山いる。敵を完全に殲滅するよりも春人の手持ちの残弾が尽きるのが先だろう。MTマルチツールから取り出せばまだ弾はいくらでもあるが、今はその余裕がない。


 春人はこの後どうするか考えながら戦っていると最後の銃弾もついに撃ち切り、ガバメントのスライドが後退位置で止まってもう弾が無いことを告げてきた。


 同時に周りでは暴動に参加した民衆も徐々に鎮圧されつつあった。


「これ以上戦っても無意味か……一度引こう。では兵士諸君! 十分楽しませてもらった! ではこれにて失礼する!」


 春人はここが撤退時であると思い、兵士達に別れの言葉を投げると空中にスタングレネードとスモークグレネードを各1個ずつ投げて周囲の視界を奪うとその隙に広場から姿を消した。残ったのはかろうじて生き残った兵士と、鎮圧され捕縛された一般人。あとは春人が作り上げた判事と死刑執行人、それに兵士の死体の山だけだ。


 春人の攻撃に乗じて暴動を起こした民衆も完全に鎮圧されてこの一件は幕を閉じた。この一件で渦中の人となった春人は帝都内にてその日のうちにお尋ね者として狙われることとなった。


 そのお尋ね者の張り紙には下手な似顔絵と共にこう書かれていた。黒髪隻眼の異国の男。短杖を所持して風属性の魔法を使用する。この者、国家反逆及び政府役人の殺害の罪にて現在捜索中。この者の身柄を確保した者には報酬として金貨50枚を政府より進呈する。捕まえた者、もしくは所在を知る者は速やかに報告すること、と。


 このように御触れが出ても、街の住人は、特にあの広場に居た者達は春人の事を話そうとしなかった。と言うよりも彼等も春人の目晦ましで姿を見失ったから知らないのだ。仮にもし知っていても彼等にとって春人は自分達を弾圧していた役人を殺害し、更には無実の罪で処刑されそうになった者を救った云わば英雄的存在だ。そんな人間をいくら懸賞金が高いとはいえ、簡単に差し出すことはしないだろう。


 御触れと同時に市内では兵士が一斉に春人の捜索に出向いていたが彼等は春人の影さえ掴むことが出来なく、その日はもう日が暮れてしまった。


 その間春人は何処にいたかと言うと、既に宿に戻っていて、身を潜めていた。勿論宿の店主には役人が来ても知らぬ存ぜぬで通せと念を押してある。そして外で兵士達が自分の事を捜索している姿を見て春人は、


「随分とご苦労な事で……」


 と部屋でひとり呟いていた。


 それから暫くしてからルイズも戻ってきて、市内での騒動について騒いでいた。それを春人は片手であしらうかのように答えていた。それから今晩、ルイズが春人を連れて行きたい所があると言って外出したいと言ってきた。それを春人は少し考えてから同行しようと答えた。


 そこから更に時間が経過し、春人はローブで姿を隠しながらルイズに連れられ、市内のある館へと来ていた。夜間外出禁止令が出ていることも有ってか、ここまで来るのに人とすれ違うことが無かったので春人は身バレすることなかった。


「ここがそうか?」


「ええ、ここです。中の人とは既に話が通してあるので、さあ中に入りましょ」


「まあとりあえず、中にいる連中が敵でない事を祈ろう」


 こんなやり取りをしつつ二人は館へと足を踏み入れた。

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