00:プロローグ
初めまして武藤零次と申します。この作品は私の初執筆、初投稿の作品です。初心者の書いた駄文なので読みづらい箇所も多々あると思いますが、どうか温かい目で読んでもらえたらと思います。
俺は仕事から帰っていつもなら部屋着に着替えて真っ先に缶ビールを1本ひっかけるところを、その日はいつもと違い、ゲームソフトを起動した。
最近流行りのVRMMO。その中でもFPSこと一人称シューティングゲーム「コンバットフィールド」略してCF、全世界で総プレイヤー数約50万人の大ヒットゲームだ。これが最近の楽しみだった。
このCFには大きく分けてPvPとPvEのモードがある。最近ハマってるのはPvEのほうだ。これは広大なマップの中を探索したり、クエストを受注して指定された達成目標をクリアして報酬を得るモードだ。マップの中にしか落ちていないアイテムが有ったり、クエストの報酬でしか手に入らない装備が有ったりする。
そんな中、あるクエストをクリアするために、中東の山岳地帯を再現したようなフィールドを歩いていた。
手には愛銃89式小銃を抱えて……
89式小銃――日本の自衛隊で採用されている豊和工業製の5.56mm弾使用の自動小銃。少ない部品点数と高い命中精度を誇る、我々日本人には一番身近な銃だと思う。
しばらく歩くと、山の麓に集落らしき場所が見えてきた。マップを見て確認したが、間違いない。今回の目的地はあそこだ。あの集落に現れるテロリストのリーダーの男を無力化することが、今回のクリア目標だった。安全な距離から無力化するために狙撃で仕留めよう。
左腕に装着した端末、MTを起動し左手の前にホログラフィックディスプレイを表示した。そこから銃の入れ換え操作をする。すると、手にしていた89式小銃が光の粒子となって消え、その後、光の粒子が集まって違う銃の形を形成した。使用するのは構造も単純で高い命中精度が期待出来るボルトアクションライフルM24である。
M24対人狙撃銃――米軍や自衛隊で使用されている、レミントン社製の7.62mm弾使用のボルトアクションライフル。
銃が切り替わり、姿勢を伏せ撃ちの体勢に変え、銃に装着されているスコープを覗く。このまま目標が見えるまで待機だ。
しばらく待機していると、目標の人物らしき男が姿を現した。スコープから目を離し、MTで顔写真を確認したが、間違いない。周りには護衛らしき連中が数人連れているが大した問題ではない。
「目標確認――」
軽く息を吸い込み、そして少しの間息を止めた。呼吸をしていると照準がぶれるからだ。狙うは胴体部分。
そして目標が足を止めたところでトリガーを軽く引いた。
――直後、雷のような轟音が1つ山岳部に響いた。
着弾と同時に目標の男は膝から崩れ落ち倒れた。間髪入れずに次弾装填、確実に仕留めるために次は頭部に発砲。
目標が完全に動かなくなったことを確認し、手にしている銃をM24から89式小銃に戻し即座に撤収。射撃後に何時までもその場に留まるのは得策ではない。追っ手が迫る前にその場を撤収する。
その時下手に動いたのが間違いだったのかもしれない。どうやら気付かれたようだ。
「仕方ない。その辺に隠れて一旦やり過ごすか」
そして、近くの林の中に身を隠す。
この時、隠れてやり過ごそうと思ったのが間違いだった。彼らの足の早さを侮っていた。思っていたよりも早く追い付いて来たからだ。隠れる暇なんて無い。流石は山岳地帯に住む連中だ。急な山道を難なく登ってくる。
そう感心していると、頭の横を空気を空気を切り裂くような音を立てながら弾が掠めていった。
「おぉー怖。撃ってきやがった」
当たらなくても弾が掠める音だけでもものすごい恐怖を感じる。一方的に撃たれるのも面白くない、そろそろ反撃するとしよう。そして、銃のセレクターをフルオートに切り替える。
一瞬足を止め、後ろを振り向き、引き金を引き、3~4発撃つ。別に当たらなくてもいい。牽制出来ればそれでいい。撃っては走る。それを何度か繰り返す。
「まったく、何処までも追ってくるねぇ。俺もずいぶん人気者になったもんだ」
そんな軽口を叩いていると切り立った崖に追い詰められた。周りを見ても他に逃げ場はない。それに下は落ちればただでは済まない高さだった。
「万事休すとはこのことだな」
来た道を振り返れば完全に包囲されている。何人かがRPG-7をこちらに向けている。
「おいおい冗談だろ」
銃を構える間もなくロケット弾を撃たれた。着弾時の爆風で吹き飛ばされ、そのまま崖下に落ちていった。