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中に入りましょう

 地下への入り口はハッチになっていた。こういう系の入り口は安心できる。

 ワープする系だと長い間使用されなくて故障してて、

 いちいち修理だの座標設定だのしなければ中に入れない。

 入れないだけならいいが、最悪あらぬ場所にワープする危険もある。

 いずれにせよ一度は装置の中身を調べないといけない。めんどくさい。

 なのでこういう系のは安心なのさ。とにかく開けよう。ポーチからパワーグローブを取り出す。

 数トンの重さのものでも軽々持ち上げられるようになる、これまた便利な道具だ。


「よいしょ」

「あぁ、またそんな乱暴に……」


 やはりというかなんというか、ハッチは錆びついててうまく開かず、

 力任せに開けるとバキンと取れてしまった。

 中は階段状になってるみたいだ。しばらく降りていくと、


「これは……エレベータかな?」


 故郷の地球でも何百年か前に見られたエレベータだ。

 といってもデザインはだいぶ古いけど。

 力任せにドアをこじ開けて中に入ってボタンを押す……が当然反応しない。


「このタイプはロール式だろうから、ワイヤー切っちゃおう」

「落下距離を計測します」

「よろしくね」


 天井にエーテルブレードで穴を開けて登って、

 またまた取り出しましたるはハンガーロープ。

 腰のポーチの原理で四次元空間に強靭なロープがおよそ100kmほど収納されている。

 天井とかに引っ掛けると高所から降りるのにとても便利だ。

 てなわけでワイヤーを切るとエレベータが自由落下していく。

 少し経つと遥か下でドォン、と音がした。


「どれくらい?」

「落下時間などから、おおよそ1kmほど距離があるかと思われます。」

「結構深いなぁ……」


 なんて言いつつロープを下ろし降りていく。

 降りきるとグシャグシャになったエレベータがあったが、

 中に入れないほど原形をとどめていなかったので、

 エーテルブレードで壁に穴をあけて無理矢理出た。

 ロープは戻るときのためにこのままにしとこう。

 あたりまえだけどこんな地下なので暗くて何も見えない……訳ではなかった。

 天井に大きな穴がいくつか開いてて、そこから差し込む光でうっすらと中が見える。


「マスター」

「うん?」

「光はある一点で交わっています。交点に復元装置を使用されてみては。

 先ほどのエレベータは劣化の具合から見て、200年ほど前までは使用されていたかと思われます。」

「あーうん、なるほどね」


 ポーチから時空跳躍復元装置を取り出す。

 座標と年代を指定すれば、指定した座標に、指定した年代にあったものを復元してくれる優れものだ。

 有機物は復元できない、一定の年代までしか遡れない、起動中は要固定、

 停止させると復元したものも消える、

 などなど多数制約はあるがそれでも優秀、なのでお高い。

 考古学などの最先端の場ではさらに優秀なものもあるようで。

 僕も大枚をはたいて一つだけ持ってる。勢いで買ったが後悔はない。

 ナルには怒られたけど……

 とにかく装置を固定して座標を設定、年代は……250年前で。

 そーれスイッチオン! あ、もう一つ欠点。復元にも少し時間がかかる。

 1分ほど待つとようやく復元された。


「うわ、眩しっ!」


 復元が終わるといきなり中が明るくなった。目が慣れるのに少し時間がかかった。


「んん……」


 光の交わるところに復元されたのは、巨大なクリスタルだった。

 何面にもカットされておりクリスタルを通った光は建物の中全体を照らし出す。


「あれで光を行き渡らせてたんだなぁ……」

「あのクリスタル、光を増幅させつつ拡散させている……珍しい鉱石です。

 加工技術も高かったようですね。おかげでなかなかに幻想的な光景です」


 おかげでようやく全体像が把握できた。

 ドーナツを縦に伸ばしたような形になっており、中心が吹き抜けになっている。

 3階建てほどだろうか。

 施設のちょうど中心にクリスタルが設置されてるんだね。

 おーおー、今は虫たちの住処になってるようだ。

 色んな種類の虫が散り散りに暗がりを求めて部屋の中に逃げていく。

 やっぱでっかい。大型犬くらいあるやつもいるぞ。

 けれど部屋の入り口とかを見る限り、住人の大きさは僕とそう変わらないな。

 元からそうなのか別の星から移住してきたのか……


 流石にそれぞれの部屋の奥にまでは光は届かないけど、

 それでもこれだけの光量なら生活するのに十分だろう。

 この星は雨とか降るんだろうか、曇ったりするんだろうか。

 それなら天気によって『今日は薄暗いねえ』とかなんとか会話しながら、人々が暮らしていたのかな。

 こうやってついつい想像力を働かせてしまう。


「小さな集落みたいだ、この様子じゃこの星には他にも似たようなのがありそうだね」

「そのようです。」

「危なそうなものもなさそうだし、見て回ろうか」


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