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旅路の始まり

 僕の名前はレスト。レスト・スレインズ。

 年は18歳で、仕事はいわゆる宇宙廃品回収業者スペーススカベンジャーってやつ。

 主に、過去に文明が存在した星からスクラップを回収して売る仕事さ。

 過去の文明とはいえ、星によっては現在の宇宙で使用されている技術より遥かに進んでいるものある。 

 これがいいお金になるんだ……本当にいいのは売らずにおくけど。

 15歳の時に飛び級で機械工学系の大学を卒業した後、

 厳しい厳しい両親から大学を卒業したのなら働け! って言われてさ。


「マスター」


 僕の友人たちはまだ学校教育の真っただ中だってのに、なんでもう働かないといけないの……と思いもしたけど、

 元々廃墟探索が好きなもんで、せっかくなら色んな星の過去の文明を見て回って、

 あわよくばお金になりそうなものを回収して売るって仕事をできればいいなって思ってね。

 父さんに大反対されたけど、母さんは後押ししてくれた。懐が深い。

 そして最後の親からの援助という事で結構な額のお金と最先端の宇宙船を買ってもらった。

 父さんのお金で。

 お金持ってるんだなぁ……


 あれから3年くらい。危ないところには行くなよ、と二人には言われたけど、

 あなたたちの息子は結構修羅場をくぐってしまいました…

 ちなみに人は宇宙廃品回収業者スペーススカベンジャーって言うけど、

 出来ればトレジャーハンターって言ってよね! 約束だぞ!


「聞いていますか! マスター!」

「おおっ!? な、なにさナル」


 彼女? はナル、彼女曰く正式名称パーソナルデータベース。略してナル。

 知識の星レリアス…遥か昔に滅びたけど宇宙中の知識を収集していた星で見つけたものだ。

 僕がレリアスに行ったのはあらゆるものが回収されつくした後だけど、

 たまたま入った隠し部屋の中で彼女と出会った。


 左腕に巻いた小さな玉の付いた腕時計のような形をしているが、

 声は女性のものなのでたぶん女の人でしょう。

 何はともあれ優秀な僕の相棒。

 暇があればあらゆる知識を色んなデータベースにハッキングしたりして勝手に集めてるので物知りだ。

 たまに変なサイト見てるけど。


 機械のはずなのに高レベルで人格形成されててもうこりゃ人だよね。

 特に自分の知らないものや興味のそそられるものに出会ったときなんかやたら興奮したりするし……


「……はぁ」


 バリッ!とお尻のあたりに電撃が走った。


「痛い痛い! 勝手に防衛装置を動かすなよ!」

「お宝ですよ」

「え? うそ?」


 ふとモニターを見ると近くの星の情報が表示されている。

 大気は…地球とほとんど変わらないな、酸素濃度が高いくらい。

 生体反応もある。友好的な知的生命体だと嬉しいけど……

 超距離スキャンで文明の跡でも見つけたのだろうか。「ここ!」と満面の笑みの…

 ウサギ? クマ? タヌキ? 何だろうねこれ。とにかく謎生物が座標を指さしている。

 超距離スキャン含めこんな機能はなかったのだけど勝手にナルが追加した。

 機器の扱いはナルには敵わないな……けどこのセンスはない、ないぞ。

 でも前に笑ったらえらい目にあったからスルーしておく。


「行きますか?」

「そりゃもちろん」


 とにかくナルのおかげで宝探しは順調だ。愛機「ミストラル」に座標を設定して……


 「いざ、お宝!」


 謎の星に針路を取った。


「おぉーっ」


 防護服に身を包んだ僕は地に足をつくと思わず叫んだ。見渡す限り一面の草原だ。

 けど一本一本が胸の高さほどある。遠くには馬のような動物の群れが闊歩している。あれでかくない?


「ナル、サイズ測定」

「平均体高12.5m……おそらく酸素濃度が影響しているのでしょう」


 やっぱりでかい。近づかなければ問題なさそうだけど。

 ちなみに防護「服」とは言うけど実際は目に見えない薄い膜のようなものを体表に展開している。

 首に巻いたチョーカーみたいなのが発生源だ。

 これも過去の文明から発掘した僕にとって最大のお宝だ。

 動きを阻害することなくあらゆる環境に適応できる。ある程度までならダメージも吸収するのだ。

 これを見つけるまでは厳しい環境だといちいちごっつい防護服着て酸素残量気にして…懐かしいなぁ。

 っとまたナルに怒られる。お宝さがしっと……?


「お宝はどこ?」

「座標はこの近くですが目に見える建物はなし…スキャンの距離からも想定するに地下でしょう。

 入口があると思われます。」

「地下か……ようし」


 腰についた小さなポーチを指でピンと弾く。すると胸のあたりにぶぅん、と言う音とともにメニューが出てくる。


「んー……あったあった」


 お目当てのものを見つけたのでメニューを指でつつくとポーチから物が飛び出した。

 このポーチ、言ってしまえば四次元ポ○ットだ。

 これもお宝…でなくありふれた技術だ。開発された当時は世界が騒然としたみたいだけど。

 何はともあれ取り出したるはこれ。エーテルブレード。ボタンを押すと半透明の刃が出てくる。

 切れ味抜群、刃こぼれという概念もないので重宝している。

 宇宙連邦の正規軍隊でもこの系統の武器は正式採用されている、なかなかの優れものだ。取扱注意。

 とりあえず周りの草をバッサバッサ切り捨てていく。小一時間ほどそんな作業を繰り返し…


「み、見つけた……」

「ご苦労様です」


 ようやく地下への入り口を発見した。今回は割かし早めに見つかったほうだ。

 丸一日かけても見つからない、なんてこともざらにある。

 何はともあれ入り口さえ見つければこっちのものさ。ようやくお宝探しの始まりだ。


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