障りに……
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未成熟、それが武器の物語の主役は園児たち、一人の園児ではなくて園児たち。
それでいて、まったく幼児向けの物語ではない。一癖も二癖もある園児たちが織り成す物語。
――とはいっても、園児全員が主役では、物語にまとまりがなくなってしまうので、主要人物の園児を一人、ここで引き抜いて展開していきたい。
ある年の六月も中旬を迎えた頃のある町、荊原時計町が物語の舞台となる。
『バラバラ』、『腹腹時計?(ゲリラ読本)』、とにかく尋常ではない不吉を連想させる名の町――
この町に、その主要人物であるところの、『しなぢく保育園』の年長クラスで、『いばらぐみ』の園児、『飢餓憂』くん六歳が住んでいた。
その容姿は、赤みがかった茶色の大きくはねた髪型、大きくパッチリとした目はややつり目、鼻と口のパーツはやや小さめ、身長も平均よりやや低めで華奢、髪と目以外はやや控えめだらけで、可愛いらしい感じの女の子成分の多いやや男の子。
その中身は感受性が強く、何でも信じてしまう馬鹿が付く程にスイート(甘美)な性格の子。
しかし、世の中は無情で、他人は非情。甘いものではない。
――ことに、飢餓憂くんが通園する『しなぢく保育園』の園児たちは、一味も二味も――どころか、一口たりとも口にはできない、舐めることすらも憚られる下手物揃い。
そんな美味しそうな男の子と、色々な意味で口にできない多種多様な下手物たちで、物語は食い荒らされていくのだった――
荊原時計町不時、『しなぢく保育園』の近隣に位置する『さわり公園』。
町一番の広さと遊具施設が充実していることから、市の三大公園のひとつに数えられている。
この地は、幼児と呼ばれる小さな猛獣共の縄張り争いの場となっていた。
現在、公園を支配している?のは『しなぢく保育園』のフラワーギャングの連中――
そんな甘くない苦々しくて禍々しい、清々しくない今どき?の園児たちが日々、熾烈な縄張り争いを繰り広げて――――といっても、それは数週間前までのこと。
憂くんのクラスの『いばらぐみ』と、その隣のクラスの『まつぽっくりぐみ』、同じ年長組の二大勢力(二クラスしかない)が争っていた。
そして、『まつぽっくりぐみ』のボスが、『いばらぐみ』のボスに敗れて、引き籠りになるという残念な形で決着がついた。
しかし、この町がそれで平和になったということではなかった。
この地は、依然として小ギャング、いや孫ギャング、曾孫ギャング、年齢的には玄孫ギャング世代だろうかという幼年共が、跋扈する無法者地帯となっている。
――――後に、この地が再び惨劇の舞台となるのだった。