第一話
俺は牛木火角
まあ…普通の社会人だ。
現在退勤中
それで、今めっちゃ困ってる。
何故ならば、後ろから人型の豚…まあよくあるオークか。に追われているからだ。
まじでやばい!まじでやばい!
なんで現代日本にオークがいるんだよ!
まじで死ぬ!殺される!
後ろを見ると、もう目と鼻の先にオークの顔が見える。
あっ駄目だこれ終わった。
振り下ろされるオークの腕に対して、反射で腕を挟む。
ゴン!…どぉん!
何か固い物にぶつかった音がしたかと思うと、重い物が落ちたみたいな音が鳴る。
見ると、何故かオークがこけて尻餅をついている。
あ、逃げてった
良かった〜
…
良く無いわ!!!!
あんな化け物がいる所で生活できるか!
110番110番!!
とは言ってるけど、流石に証拠無しで言うのはきついか
やめとこ
んで、問題はこれからどうするかだ。
え、帰る?ていうかあの”ゴン!”って音は何?
いや…まあ…帰るしか無いかぁ…
俺の家は親から代々受け継いだ物なんだが…
それの影響で山奥にあって帰るのがだるい。
んで、その道中であのオークに襲われたって訳だ。
ただいま〜
えっと…え?
取り敢えず…日常を過ごすか。うん。
仕事終わって、謎のオークに襲われて疲れてるし、たけのこ○里でも食いながら闇のゲーム(デジタル版)やるか…
誰だお前
リビングのソファに白い猫がいる。あ、それ!俺のたけのこ!
貴様何俺の毎日の楽しみのたけのことってくれとんじゃ!
違ぁう!
問題はそこじゃない!なぜ猫がたけのこを食ってる!チョコだぞそれ!
もっと違ぁう!
何故袋を開けれてるんだ!
その手でぇ!
「やぁ、ここの家主さんかな?それとも泥棒?」
キャー!シャベッター!
猫が喋るって何だよ!
「いや、えっと…はぁ?いや…ここの持ち主だが…」
「成程、それなら失礼。勝手にお邪魔させて貰っているよ」
「え…猫しゃべっ…?会話…?知性…!!」
「それで、君に頼みがあるんだ。ここでボクを養ってはくれないかい?」
えっ…やし…えっ!?
「食べ物は人間の物で良いし、量も成人男性の四分の一くらいで済むはずだ」
「え、は…はひぃ?」
つまり、しゃべる猫が?頼み事をしてる?
ああ、駄目だこれ今日だけで情報量が多すぎる…
「お〜い、大丈夫か〜?」
体が揺すられてる…
あれ?寝てた?誰の声?
うわっ猫!
んぁ?そうだ。なんかこの猫に頼み事されたんだわ
養えだぁ?いや、まあ金に余裕が無い訳じゃないが…
「お、起きたか。それで、養ってくれるかい?」
「えっと…まず、なんで喋るか教えて貰って良い?」
「む〜ん、説明は難しいんだが…まあ魔術みたいな物だ」
ああ、また情報が…
「魔術…まあそこはあとで聞くとして…俺の利点は?」
「ごろにゃ〜ん。どうだ?可愛いだろう?」
可愛い。確かに可愛いかったが、そうじゃないだろ
「えっと…家事とかは?」
「家政婦代わりにはなると思う」
「ご飯作ったり…洗濯したり?その手で」
「手を使わずとも、魔術を使えば良いからね」
「魔術を見せて貰っても良いか?」
「ちょっと待ってくれ」
机の上にあった、たけのこの空箱がゴミ箱まで移動する。
風とかじゃないよな?
「まあざっとこんな感じだ。行く当ての無い子猫を助けると思って、どうか養って貰えないか?」
「うん…まあ…いいか…なんか変な事したら追い出すからな」
「精進するよ。それで、ご飯でも作ろうか?家にある物で適当に作るけど」
「レシピとか知ってるの?」
「現代社会の一般常識くらいは持っているよ」
「んと…じゃあよろしく。後、後ろで見てるからな」
白猫はキッチンに移動し、手際良く料理を始める。
今日は一応冷蔵庫の中身とか考慮してミートソースパスタのつもりだったが…
「ボクのご飯はどうしたら良い?」
「少なくても良いんだろ?じゃあ適当に取り分けてくれ」
お、出した物的にミートソースパスタか。
明日の献立とかも考えてるなこれ
あ、すごいめっちゃ手際良い。
魔術で複数個の作業が同時に出来るのを良い事に3つくらい同時進行してる
特に問題のある所も無く、一瞬でパスタは完成した。
「はい。これで完成。どうぞ」
「えっと、いただきます」
「んじゃあボクも、いただきます」
白猫は小さな皿に取り分けた自分の分のパスタを食べ始める。
うわ、美味し。少なくとも俺が作るより何倍も美味しい。
むしゃむしゃ…
あ、気づいたら食べ終わってる。
美味しかった…
「どうだったかな?」
「まぁ…分かった。養ってやる。だけど、炊事掃除洗濯の家事全般はやれよ」
「じゃあ契約成立だね。これからよろしく」
これで良かったのか?
「寝床とかいるか?」
「ソファで寝るし、トイレとかも人間の使う物で代用するから特に要らないよ」
「猫だよな?玉ねぎとか無理では?」
「ボクが一般的な猫に見えるかい?」
「見た目だけなら。喋ると言う点は一般的に見えないが」
「そうだろう?」
何こいつ…こわ…
もういいや…風呂入って寝よ…




