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黒泥の魔術師  作者: 11時11分
キングクラウン 〜戦いに恋し、姉妹を愛す〜
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第63話:黒白

 準決勝、やっとここまで来た。

 まだここを突破しても決勝があるが、キングクラウン優勝という義務が見えてきた。

 ミアと織可が敗れたのは残念だけど、そんな事で気落ちしていては二人に顔を向けられない。

 ここは二人の分まで戦って勝たないとな。

 俺は試合場に立つ。


「ここまで来ました。キングクラウン優勝者を決める決勝戦進出者を決める準決勝。過去のキングクラウンを見ても決勝よりも準決勝の方が大番狂せが多く、同時に観客が最も沸いた試合が多いのも準決勝です」

「準決勝第一回戦出場者を紹介します」


 実況の言葉が歓声と拍手と共に続く。


「その者、黒曜の疫病神と揶揄されながらも鍛錬を続け。欠点を道具と技術を補い、ここまでの試合で魔術師だけに飽き足らず魔法使いをも下し、選手紹介の場でキングクラウン史上初の魔術師優勝を宣言した黒き太陽。この魔術師は宣言通り、我々に魔術師栄光の瞬間を目撃させるのか!?」

「黒水の魔術師、黒曜濡羽ァァ!!」


 俺は名前と同時に右手を掲げる。

 大きな歓声と拍手が俺を包み込み、俺に高揚感とどこに立っているかを実感させる。

 キングクラウン準決勝、俺がここに立つなんて夢にも思わなかったな。

 俺一人ならキングクラウン優勝を目指していただろうが、ミアが居たから目指さなかった。

 でも俺一人じゃ、ここには立てなかっただろう。

 ミアが、織可が、ルナが、師匠が居たからここに立てた。

 感謝して、見せてやらないとな。

 ふと、師匠の方を見る。

 彼我見叔父さんは珍しく誇らしそうにしていたし、喜んでいるように見えた。


「その者、ホワイトの神童とかつて期待されていたがその座を弟に奪われ、天才から凡才に落ちた今、栄光を持ってその座に再び座ろうと画策する。その野心を持って魔法使いを下したホワイト家の白き魔術師。この魔術師は野心を成せるのか、それとも希望が潰えた瞬間を我々に悲劇として送るのか!?

「純白の魔術師、ブラン・ホワイトォォ!!」」


 俺はブランを見る。

 ホワイト家の特徴である白い髪が靡き、その白い瞳が俺を睨む。


「先の戯言を無様に撤回する気になったか?」


 こいつはどうしてそこまで、俺の黒曜家当主にならないという発言を撤回させたい。

 実況で言っていた事が事実だとしても、そんなに七家の当主になりたいのか?


「撤回しない。あの言葉は俺の本心だ」


「そうですか……貴方の考えは到底理解出来ないし、理解したくもないな」


 実況の言葉が響く。


「それではキングクラウン準決勝第一回戦、黒曜濡羽、対、ブラン・ホワイトの試合を始めます。互いに健闘を祈って……ファイト!!」


 地を蹴り、ブランに迫る。

 定石通り、魔術師相手には近接で攻める。


「黒斑!」


 鋭い打撃がブランに直撃する瞬間、ブランは俺の顔を覗く。


「舐めるのも大概にしておけ、白律『白波』」


 拳に纏っていた魔力が乱れ、霧散する。

 そしてブランの魔力が高まり、魔術の起こりを感知し、俺は距離を取る。


「距離を取りましたか」


 ブランは自分の攻撃が行えなかったのに、冷静でこうなる事も予見していたようだった。

 それにしても今のは……


「白究か」


 白究。

 ホワイト家の誓い『魔術を魔法に上げる』を成すために生み出した言葉通り自身の魔術を究めるための技術。

 ホワイト家と何度も揉めている黒曜家だから分かっている白究の基礎理論は三つで先ほどのように魔術式の魔力を制御する白律、魔術行使で発生するロス魔力を用いる白補、脳内の演算を強化する白演。

 これら三つを応用した技術は多く、把握している数は少ないが基礎理論からどんな事が行えるかはある程度、想定することは容易い。


「流石、黒曜家と言ったところでしょう。でも、その博識ならお分かりだと思いますがもう黒曜秘伝は使えませんよ」


 分かっている。

 白律は魔術を行使する際に世界に満ちた魔力が干渉して、その効力が少しでも落ちないように魔力を制御する技術であり、魔術の魔力へは干渉出来ないが外部魔力なら容易に制御出来る。

 黒曜秘伝は魔力による身体強化技術で、どうしても外部で魔力を使わないとならず、白律の前では無力だ。


「早く無限インクの液体魔術を使用して下さい。私を第一試合の対戦相手と同じだと思っているなら間違いですよ」


 無限インクを使用した液体魔術をご所望か。

 あの試合を見ているなら危険性と厄介度は分かっていると思うが、それでも挑むという事はあの状態の俺にも勝てるという自信があるのか。


「分かった。ご所望通り、魔術で相手してやるよ」


「そうですか。貴方を倒すならそれを使った貴方を倒さなくては……」


「でも、その前に……」


 俺は同じように距離を詰める。

 魔力で拳を覆う。


「無駄ですよ、黒曜秘伝は!」


 白律で拳の魔力が揺らぎ、ブランの魔術が行使される。

 だが、その寸前、揺らいでいた魔力が拳の骨身と浸透する。


「は?」


「黒斑!」

  

 ブランの顔に拳が叩き込まれる。

 彼は盛大に吹っ飛び、地面に転がる。


「黒曜秘伝2000年の歴史を舐めないでくれ」

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